黎明期のジェット戦闘機

 多くの発明・発見がそうであるように、ジェット・エンジンが発明されたときも、冷ややかな目で見られていました。第2次大戦中は技術者も工場もそして予算も、既に充分な実績のあるレシプロ機(プロペラ機)につぎ込まれていました。実用化に目星がつくまでは、自主開発が続きました。その中で将来性を見いだし、実用的なジェット戦闘機(攻撃機)を作った国がありました。イギリス、ドイツ、アメリカの三国です。

Meteor=Meteor Me262Me262 Shooting StarP-80 MiG-9MiG-9

Gloster Meteor

グロスター ミーティア  グロスター・ミーティアは世界ではじめて実用化されたジェット戦闘機です。イラストをご覧になって分かるように、 そのスタイルは双発のプロペラ戦闘機から、プロペラを外しただけのような格好をしています。 Me262より2〜3日早く配備開始されたそうです。エンジンは革新的でしたが、機体の設計までは手が回らなかったということでしょうか。 そのせいか最高速度は656km/時で、レシプロ機並でした。(Mk3では765km/h)供用されはじめた頃には既にドイツの配色が濃くなっていたこともあり、 活躍の場はあまりありませんでした。それでもジェット・エンジンを発明した英国の威信にはなったと思います。(フランク・ホイットル、1930年特許申請)

Span:11.3m Length:13.6m Height:3.96m Weight empty 4.85t gross 7.87t max 8.66t Engine RR Derwent Mk8 1636kg*2 Cf:1.50kl Vmax 962km/h Sc=13,400m RC 2,134m/min Range:965km Armament:20mm cannon *4 bombs 1000lb*2 or 60lb*8 1st Flight:1943/05/05

Messerschmitt Me262 Schwalbe

Me262  メッサーシュミットMe262は、いろいろな意味で革新的な戦闘機でした。主翼はかみそりのように薄く、高加重型で、後退角がついていました。 直径が小さくコンパクトな軸流型ジェット・エンジンをポッドに納めて翼にぶら下げ、 おむすび型の胴体には大容量の燃料タンクを納めることができました。機首には四連の機銃と、何と照準用のレーダーまで積んでいました。  メッサーシュミット社は戦闘機として開発していたのですが、これを見たヒトラーの意見により、攻撃機(爆撃機)として量産されることになりました。しかし供用された時には制空権を奪われており、工場は爆撃を受け、パイロットも不足したため、末期に投入された戦闘機がB-17の編隊にに襲いかかり、”シュトゥルム・フォーゲル”(嵐を呼ぶ鳥)と呼ばれるにとどまりました。形勢はすでに決していました。ドイツではほかにハインケルが戦闘機を試作しましたが、実用的ではありませんでした。

Span:12.5m Length:10.58m Height:3.83m Weight self:3.8t gross:max 6.39t Engine Junkers Jumo 004 900kg*2 Cf:2.4kl Vmax 856km/8,000m Zc=12,190m RC 1,200m/min Armament:30mm MK108 Cannon*4 bombs;1t 1st Flight:1942/07/18 (Me-262A-1a Schwalbe="Swallow")

Lockheed P-80/F-80 Shooting Star

F-80  1943年6月、ロッキードは139日間という超スピードでP-80戦闘機を完成させてしまいました。主翼付け根わきに空気取り入れ口を持つ単発機です。 翼は後退翼ではありませんが、層流翼断面を採用し、当時としては比較的大出力の1750kgのエンジンが得られたため、レシプロ機に比べ格段に速いスピードを出すことが出来ました。ほかの米航空機メーカーがロクでもない試作機を作っていた中で、ロッキードの設計者ケリー・L・ジョンソンが卓越していたことが分かります。  太平洋戦争では出番がありませんでしたが、朝鮮戦争には地上攻撃機として参加しています。後退翼を持つMiG-15に比べ、既に時代遅れになっていました。  それでもP-80(F-80)の発展型の練習機T-33は優秀で、世界中で極めて長期にわたって用いられました。今だに使用されています。

Span:11.8m Length:10.4m Height:3.4m Weight empty 3.76t max 7.64t Engine Allison J33-A-35 2,448kg*1 Cf:--kl Vmax 956km/h Zc=14,264m RC 2,093x3in Range:1,328km Armament:12.7mm Gun*6 bombs;1t 1st Flight:1942/07/18 (F-80C)

Mikoyan Gurevich MiG-9

MiG-9  ソビエト・ロシアは占領したドイツのジェット・エンジン生産設備を技術者ともどもソ連領内に移し、ジェット機の開発を進めました。MiG-9です。1946年4月に原型機が飛行しました。推力不足で性能は大したことがなかったようです。 ロシアは1000kg以上の高性能な軸流型ターボ・ジェットエンジンを作れなくて困っていたのです。今では知っている人は少ないのですが、イギリスの労働党政権がロールス・ロイス・ニーン(推力2720kg)ほかの高性能ジェット・エンジンをロシアに見本として供与したため、それを国産化して近代的なMiG-15が誕生しました。イギリス(人)が核兵器とジェット・エンジンの技術をロシアに伝えなかったら、世界史もまた変わっていたでしょう。

Span:10m Length:9.75m Height:3m Weight self:3.54t gross:max 5.5t Engine RD-20 780kg*2 Cf:1.1kl Vmax 910km/h Range:1,100km Armament:37mm Cannon*1+23mm cannon*2 bombs;--t 1st Flight:1946/08/18

略 年 表

1909/07/27米 ライト複葉機 ミス・コロムビア 初飛行 世界初の軍用機 47kt 72分滞空
1914/07
1918/11
第一次世界大戦 初めて航空機を用いた戦争
1930/01/16フランク・ホイットル ジェット・エンジンの特許申請
1936/05フォーク合名会社 ホイットルに開発資金提供、パワージェット(株)発足
1936?ドイツでハインケル社とユンカース社でジェット・エンジン開発が進む
1938/03英空軍 パワージェット社と開発契約
1939/07英 最初の航空機用ジェット・エンジンW1型(遠心式)完成
1939/08/24独 ハインケルHe-178 初飛行
1941/04/05独 ハインケルHe-280戦闘機完成
1941/05/15英 グロスターG40(E28/39)試験機 初飛行
1939/09
1945/09
第二次世界大戦 ジェット機、空母、ミサイル、核まで使った
1942/07/18独 Me262シュトゥルム・フォーゲル初飛行 (ユモ004A 830kg*2 870km/h)
1942/10/01米 ベルXP-59A 初飛行 (JE I-A 900kg*2 666km/h)
1943/05/05英 グロスター・ミーティア初飛行 (ハーフォードH1 675kg*2 656km/h)
1944/01/08米 ロッキードXP-80 初飛行 (I-40B 1360kg 810km/h)
1945/01米 マグダネルXFD-1(初代ファントム)初飛行 (J-30 520kg*2 770km/h)
1945/02/25米 ベルXP-83初飛行 (J-33 1820kg*2 822km/h)
1945/08/07日 橘花 初飛行 ネ20 479kg*2 696km/h
1945/英 グロスター・ミーティア 960km/h超を記録
1946/02/28米 リパブリックXF-84 初飛行 (978km/h)
1946/04露 ミグ9初飛行
1946/07/27英 スーパーマリンTS409(アタッカー)初飛行 RRニーン(遠心式)搭載
1946/08/08米 コンベアXB-36 初飛行 (レシプロ併用超重爆)
1946/08/18露 スホーイ Su-9初飛行 (RD-10 900kg*2)
1946/10英国からソビエト連邦にRRニ−ンの見本提供
1947/01/11米 マクダネルXF2H-2 初飛行 (J-34 1360kg*2)
1947/10/01米 ノース・アメリカンXP-86 初飛行 米初の後退翼機
1947/10/14米 ベルX-1(ロケット機)音速突破
1947/10-12インド/カシミール紛争
1947/11/24米 グラマンF9F 初飛行 (847km/h)
1947/E露 I-310 初飛行(ミグ15)
1947/米 ボーイングB-47 初飛行 (J-47 2722kg*6)
1948/03/05米 カーチスF-87 初飛行 (J-34 1360kg*4)夜間戦闘機
1948/03/23米 ダグラスF3D 初飛行 (J-34 1360kg*2)初の夜間艦戦
1948/04/26米 ノース・アメリカンXP-86 ジェット機として初めて音速突破(ダイブ中)
1948/08/16米 ロッキードF-89 初飛行 (J-35 3085kg*1 900km/h)A/B付
1948/09/29米 ボートF7U 初飛行 無尾翼機
1948/10/29米 マクダネルXF-88 初飛行 (J-34*2)A/B付
1949/06/04米 ロッキードF-90 初飛行 ステンレス製(J-34 1900kg*2 1075km/h)A/B付
1948/08/16米 ロッキードF-89 初飛行 (J-35 3085kg*1 900km/h)A/B付
1950/01/25米 ノース・アメリカンYF-93A 初飛行 長距離進攻機
1950/露 SI2 初飛行 (ミグ17)
1950/06/23
1951/07/27
朝鮮戦争(朝鮮事変、朝鮮動乱) 初のジェット機同士の空戦
1951/01/23米 ダグラスF-4D 初飛行 (J-35 2200kg*1)デルタ翼機
1951/08/07米 マクダネルF3H 初飛行中大破する。(J-40)
1951/09/20米 グラマンF-9F 初飛行 
1951/11英 DH110 初飛行 (ジャベリン)
1952/04/15米 ボーイングYB-52 初飛行 (1955就役)
1952/04/27露 ツポレフTu-16 原型機 初飛行
1952/08/30英 アブロ・ヴァルカン 初飛行 (ブリストル・オリムパス 7700kg*4)
1952/11/12露 ツポレフTu-95 原型機 初飛行
1952/12/24英 ハンドレィページ ヴィクター 初飛行 (RRコンウエイ 7830kg*4)
1953/05/25米 ノース・アメリカンYF-100 初飛行 (M=1.38)
1953/09露 I-350M 初飛行(ミグ19)1955年就役 超音速機
1953/10/24米 コンベアYF-102 初飛行 音速越えられず。
1953/瑞 サーブJ32 初飛行
1954/02/07米 ロッキードXF-104 初飛行 (J-65 4760kg/AB M=1.5)
1954/04英 フェアリFD2 初飛行 (RRエイボン 4540kg/AB)
1954/06/22米 ダグラスA-4 初飛行
1954/07/19米 グラマンF-11 初飛行 初のエリア・ルール採用機
1954/08英 BAC P1A 初飛行 (ライトニングの原型機)
1954/09/29米 マクダネルF-101A 初飛行
1954/11米 コンベアB-58 初飛行 (J-79 7080kg*4)
1954/露 ツポレフTu-95 初飛行 (ターボプロップ重爆撃機)
1955/03/25米 ボートF8U 初飛行で音速突破
1955/05/18仏 ミラージュiiiA 初飛行
1955/10/25瑞 サーブJ35 初飛行
1955/10/22米 リパブリックYF-105A 初飛行
1956/03/10英 フェアリFD2 1820km/hの速度記録達成 M=1.56
1956/04/21米 ダグラスF5H 初飛行 ライバルのF8Uに圧倒される
1956/06/16露 Ye5 初飛行 (ミグ21)
1956/09/10米 ノース・アメリカンF-107 初飛行
1956/07/26
1957/03
スエズ動乱 エジプト スエズ運河国有化
1956/10 ハンガリー動乱
1956/12/26米 コンベアF-106 初飛行 半自動防空管制システム採用
1957/05/16英 サンダース・ローSR53初飛行 ロケットエンジンとの複合機
1957/10/04加 アブロ CF-105 アロー 初飛行
1957/露 スホーイS-1 (Su-7改造機)2170km/hのソ連速度記録達成
1957/04/01英 有人迎撃機を全廃しミサイルに置代えるという新国防白書発表
1958/05/27米 マクダネルF4H 初飛行 (J-79*2)
1958/仏 ミラージュ M=2を越える
1958/英 ライトニング M=2を越える
1958/夏英 地対空ミサイル ブラッドハウンド制式化
1959/07米 原潜から ポラリスミサイル試射成功
1959/09/17米 ノース・アメリカンX-15 初飛行 M=2.11を達成(ロケットエンジン)
1959/E米 防空軍(ADC)F-104を廃し、F-106に代えると発表
1960/10/21英 ホーカー・シドレーP1127 初飛行(ホバー)
1961/02/01米 ICBM ミニットマン 初試射
1962/03/16米 ICBM タイタンii 初試射
1962 アルジェリア フランスから独立
1964/08/05
1972/01/23
ヴェトナム戦争 越南軍旧型機器で善戦し最新装備の米軍を放逐
1964/03/06露 Ye-155R-1(ミグ25原型機) 初飛行
1964/09/21米 ノース・アメリカンXB-70A 初飛行 (YJ93 13650kg*6)
1964/09/27英 BAC TSR2 初飛行
1965 インド・パキスタン戦争
1966/08/02露 スホーイSu-17 原型機 初飛行
1966/12/23仏 ミラージュF1 原型機 初飛行
1967/02/08瑞 サーブ37 原型機 初飛行
1967/04/10露 ミグ23原型機 初飛行
1967/07/02露 スホーイT-6-21(Su-24原型機) 初飛行
1967/06/05
1967/06/10
第3次中東戦争
エジプト空軍基地、緒戦の空爆で壊滅
1968/09/08欧 スペシャット ジャギュア 原型機 初飛行
1969/08/30露 ツポレフTu-22 原型機 初飛行
1970/12/21米 グラマン F-14 初飛行 
1971 インド・パキスタン戦争
1972/05/10米 フェアチャイルド A-10 初飛行 
1972/07/27米 マグダネル・ダグラス F-15 初飛行 
1973/10/06
1973/10/24
第4次中東戦争 歩兵ミサイル活躍
10/17 OAPEC、米と蘭への石油輸出全面停止 石油危機
1974/01/20米 ゼネラル・ダイナミックス F-16 初飛行
1975/02/22露 スホーイSu-25 初飛行
1975/09/16露 Ye-155MP(ミグ31原型機) 初飛行
1977/05/20露 スホーイSu-27原型機 初飛行
1977/06/16日 三菱F-1 初飛行
1977/10/06露 ミグ29原型機 初飛行
1978/03/10仏 ミラージュ2000 初飛行
1978/11/18米 マクダネル・ダグラスF/A-18 初飛行
1979/10/27欧 パナビア トーネード 初飛行
1981/06/13米 ロッキードF117原型機 初飛行
1981/12/19露 ツポレフTu-160 初飛行
1982/04-/FONT> フォークランド紛争 対艦ミサイル「エグゾセ」脅威をみせつける。VTOL機ハリアー活躍
1982/06/06
1985/06
レバノン戦争
イスラエル、ゴラン高原に侵攻
1984/10/18米 ボーイング B-1 初飛行
1984 シリア・イスラエル戦争
1986/07/01露 ミグ29 フィンランドに飛来 デビュー
1986/07/04仏 ラファールA 初飛行
1988/12/09瑞 サーブJAS39 初飛行
1989/07/17米 ノースロップ B-2(AV-1) 初飛行
1990/09/30米 ロッキード YF-22 初飛行
1990/08/02
1992/02/28
湾岸戦争 地上監視機E-8J-STAR、攻撃ヘリAH-64アパッチ、ステルス攻撃機F-117活躍
1993/12/18露 スホーイSu-34 初飛行
1994/03/29欧 ユーロファイター2000 初飛行
1995/10/07日 三菱F-2原型機 初飛行
1995/11/02米 マクダネル・ダグラス F/A-18E 初飛行
1998/03/23中 J-10 初飛行
1999 ユーゴ・コソボ紛争
2000/10/24米 ロッキード X-35A 初飛行
2001/02/04印 HAL テジャス 初飛行
2001/09/11 米国で同時多発テロ発生 乗っ取られた旅客機がニューヨーク貿易センタービルとペンタゴンに突入
2001/10/07- アフガニスタン空爆 C-130輸送機改造型が超高性能爆弾を投下、B-1爆撃機本格運用
2003/03/20-04/10 イラク戦争 スマート爆弾、巡航ミサイルなど新世代爆弾を90%使用、米英共同で電撃作戦遂行
2003/09/25中 J-17 初飛行
2007露 ミグ35原型機(MiG-29M2) 初飛行
2010/1/29露 T-50 初飛行
2011/01/11中 J-20 初飛行

UPDATED 2000/06/24 00/07/09 00/08/21 01/12/13 02/08/16 03/05/27 11/08/20