Tilt Rotors

Return  ヘリコプターのように垂直に舞い上がり、飛行機のように高空を高い速度で飛べる乗り物、最初の実験機から約半世紀経ちました。
技術的・経済的な困難を乗り越えて、1999年から2002年にかけて、2種のティルト・ローター機がいよいよ量産に入る運びになりました。



BELL/BOEING V-22 OSPREY OSPREY BELL/AGUSTA BA609 BA609 LTV/HILLER/RYAN XC-142A XC-142A

Bell/Boeing V-22 Osprey

BELL/BOEING V-22 OSPREY  ヘリコプターは遅い、足が短いという、構造的な宿命を持っています。高性能で定評のあるユーロコプターEC155(2+12人乗)で最大速度280km/h、航続距離460kmくらいです。気流の安定する高空は空気が薄いためヘリコプターは上昇できませんし、空気の濃い低空でないと高速で飛べません。
 ティルト・ローター機というのは、離着陸の時はエンジンを上向きにして、ヘリコプターのように舞い上がり、一定高度に達したら徐々に前向きにして飛行機のように翼の浮力で飛ぶ飛行機のことです。
 このアイデアはかなり昔からありましたが、いざ実用化となると、ホバリング時の微妙なコントロールと水平飛行への遷移が難しく、結局フライ・バイ・ワイヤ技術が応用できるようになって、初めて実用化されました。V-22Aは1989年に初飛行したのですが、まず陸軍が手を引き、空軍と海兵隊も主として予算面から配備延期が繰り返されていて、もう計画はオクラ入りしたのだと思っていたら、やっと今年から配備されることになったようです。25年間で425機というスローな調達ペースです。
 V-22の用途としては兵員輸送、空中指揮、通信中継、救難、空中給油などが考えられています。愛称「オスプレイ」の意味は、海沿いに生息する「みさご」という猛禽類です。海兵隊への採用を意識してのネーミングですね。
 残念なことに、試験飛行中のMV-22が墜落し、19名の命が奪われてしまいました。

Span:15.52m Length:17.47m Height:6.9m Weight empty:15.03t gross:21.54t(VTOL) 24.95t Engine Allison T406-AD-400 6,150shp*2 Vmax;509km/h Rc=707m/min Zc=7,924m Range;1235nm Crue/Passenger 4/24 1st Flight 1989/03/19 (V-22)

Bell/Agusta BA609

BELL/AGUSTA BA609  1996年11月、ヘリコプターの老舗ベル社がボーイング社と共同で開発をしかけたのですが、途中でボーイングが手を引き、かわりにイタリアのアグスタ社がパートナーになって開発が進められています。(イラストにはベルとボーイングのロゴが入っています。)
 複合材料を多用し、デジタル・フライ・バイ・ワイヤで操縦も楽です。ヘリコプターの倍のスピードと航続距離を持っています。気になる価格は1000万ドル(12億円)からだそうで、世界初のティルト・ローター民間機として記念碑になるでしよう。なお、2000年5月24日の日経新聞には、富士重工がプロジェクトに参加するという記事が載っていました。

Span:18.3m Length:13.3m Height:--m Weight empty:4.76t gross:7.25t Engine P-W C PT6T-67A 1,850shp*2 Vc=510km/h Zc=7,620m Range:777nm 1st Flight 2000 Crue/Passenger 1-2/6-9 (BA609 expected)

LTV/Hiller/Ryan XC-142A

LTV/HILLER/RYAN XC-142A  世界最初のV/STOL実用輸送機としてリンク・テムコ・ボート、ヒラー、ライアンの3社が協同で開発していた輸送機です。参考のため掲示します。
 ボート社のF-8Uのように、翼ごと持ち上げるティルト・ウイング機です。パワフルなエンジンでスマートとは言えない機体を最高速度658km/hというスピードで引っ張ります。期待された高性能輸送機でしたが、採用されずに終わってしまいました。イラストでは分かりませんが、尾部に「第5のプロペラ」があり、低速時の姿勢調整用として用いられました。
 旧ソ連もカモフKA-22「フープ」という転換式航空機を1961年のツシノ航空ショーでデモしていましたが、これも実用化・正式採用はされなかったようです。
 1950年代から60年代にかけて世界中で沢山のVTOL実験機が試作・開発されました。中には採用一歩手前までいったのもありますが、予定性能に達しない、価格がベラボー、運用ノウハウやシステムが整っていない、などの理由で実用には至りませんでした。
 機体を軽く作る新素材、気流の微妙な変化に対応できるセンサーと電子制御機器、小型で高能率なエンジン。これが実用化されだしたのは1970年代以降で、アイデアを具現化する技術が未成熟だったということでしょう。1964年にハリアー戦闘機が評価飛行に成功したのは立派です。なおV-22は海兵隊のハリアー戦闘機の運用支援を主要任務の1つにしています。

Span:20.6m Length:17.8m Height:8m Weight empty:10.25t gross:18.6t(VTOL) Engine GE T64-GE-1 2,805shp*4 Vmax=640km/h Vc=450km/h Crue/Passenger 2/32 1st Flight 1964 (XC-142A)


Last updated 2002/08/16
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