レンジファインダー(距離計・以下RFと略す)というのは目標物までの距離(レンジ)を計測する装置。
日本光学は大戦中、艦砲の迎角の計算や爆撃照準用に大変優れた測距儀を作っていたことで知られている。
初期のカメラは別として、距離計は撮影用レンズと連動している。距離計の無いピント固定式やゾーン・マーク式の
カメラは、厳密に言えばRFカメラではないし、一眼レフは単眼式距離計を兼ねているとも言える。
RFの名器といえば1954年発表のライカM3(※1)が有名だ。これはファインダーの視野率がほぼ100%、
その二重像の比類のない合わせやすさなど、その後のカメラに大きな影響を与えた。明るいレンズと出来の良い
ファインダー。それは現在に続く良いカメラの条件であり資質である。
RF用の焦点距離40〜50mmのガウス型レンズは、光学的に無理が少なく、
明るく性能の良いものが作りやすい。従って1970年頃までの大衆向き35mmRFは焦点距離f=38〜45mmのものが殆どで、
明るさはF1.7〜F3.5くらいであった。そのうち大衆向けF3.5クラスはRFではなくて、目測式が多かった。
被写界深度(ピントの合う範囲)が深いので、せいぜい1m/3m/∞の3点を切り替えればこと足りたのである。
しかし中高級機のF1.7〜2.0クラスともなると、絞り開放では被写界深度が浅く、距離計連動式が多い。オリンパス・ペンEEDはF1.7の明るいレンズを持っていたが、
ピントが目測式なのでピントを外すことがよくあった。
OLYMPUS 35DC
オリンパス35DCはコンパクトで取り回しがよく、逆光補正ボタンを備えた
レンズシャッター式プログラムEE機であり、現在も人気があるようだ。
小さくしすぎて使いづらかった銘機・ローライ35(露出計内蔵・距離目測式 ※2)を意識し、
万人向けの使いやすい距離計連動プログラム式EEカメラとして開発されたのが35DCだった。
当時としては小さなボディー(
※3)に明るいレンズ、そしてピントを合わせ易いファインダー
(倍率は60%:小型の割には大きかった)が好評だった。たまにファインダーを覗くと、圧倒的な明るさとピントの合わせやすさに驚く。
下手な一眼レフより画質は良かった。レンズは明るいF1.7だし、NDフィルターを使えば
バックをぼかしたポートレートだって撮影可能だ。これをスナップ用に携行するのがおしゃれだった。
(Lens: F. Zuiko 40mm F1.7 絞最少 16 4群6枚 最近接0.85m フィルター 49mm 露出 プログラムEE 測光範囲 EV5.5-17
シャッター 1/15-1/500秒 電源H-D or HS-D 1個 逆光補正(+1.5EV)ボタン付 デーライトシンクロ可能 114×71×57cm 490g
)
ぜひ35DCのAE版を、という要請に応えたのが、輸出専用の35RDである。
これは「プアマンズ・ライカ」と呼ばれ、欧米では人気を博したが、日本国内にはほとんど出回っていない。
ごく希にヤフオクで出品されることがあるが、かなり高価だ。

(※1)レンズ交換可能なフォーカル・プレーン・シャッターを備え、バヨネット式のレンズマウントを初めて採用した。
(※2)後になってローライはXF35という35DCそっくりな距離計連動式の実用的なカメラを発売したのだが、人気はイマイチだった。
(※3)Olympus35LE(1965)は138×80.5×67mmで700g。35DC(1971)は114×71×57mmで490g。
ついでにRollei35(1966)は沈胴時99×68×42mmで355g。
参考図書:ズイコー夜話 オリンパスカメラ外史 桜井栄一 1983 朝日ソノラマ
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2008/05/07