2000年冬学期生態環境論シケプリ

遅くなってごめんなさいまし。でも頑張りました。後半(高橋先生の)分は、印刷して配ります。たぶん1月30日以降。で、前半分の配布プリントに関しては印刷しないので、持ってない人は早めに私まで。じゃあがんばってこ〜!タブチ ミノリ

松本先生講義分

絶滅問題はここ十年間で話題となってきており、100ヶ国が参加した1992年の生物多様性国際会議(@リオ・デ・ジャネイロ)では、先進国・途上国同士での資源の奪い合いが問題になった。環境保全に関する憲章の作成を目指したが、資源利益配分の問題から南北問題も勃発した。

バイソン、バッファロー
北米・ヨーロッパに生息1万年前には数多く生存。ラスコー・アルタミラ等の洞穴絵画に描かれる。骨も見つかり、人間の狩猟対象であったと推定されている。しかし、中世になると、貴族の狩猟ゲームの対象となり、激減した。現在、ポーランドの国立公園に数百頭が生息するのみ。野生化を促す運動が進んでいる。
リョコウバト
集団で渡りをする。かつては1億羽と多かったが、アメリカの穀倉地帯を荒す害鳥として撃ち殺され、食肉として取引された。1830年代には絶滅した。
ドードー
モーリシャス島に生息していたが、島が大航海時代に寄港地とされたことで、食糧にされ、絶滅した。
トキ(Nipponia Nippon)
かつては百万羽いたと言われていたが、水田開発に邪魔な鳥とされ、激減した。三十年前に、能登半島と佐渡島にいなくなったことがわかる。生存数が少なく、近縁のものが多いため、遺伝子劣化が起こり、繁殖も困難となっている。
サイ
角を取るために捕獲された。(角は、粉薬とされた。)また、宅地開発のために生存環境が悪化した。
フクロオオカミ
タスマニアの有袋類。(有袋類は、真獣類と別系統の進化をたどってきたが、相互に似た形態の生物が多数存在する。それゆえ、ヨーロッパ大陸から持ち込まれた種によって生態系内の地位を脅かされ、絶滅に追い込まれることがある。)1830年代に進んだ牧場化により、害獸としてころされ、1838年にロンドンの動物園で最後の1頭が死ぬ。
モア、エピオルニス、ダチョウ、エミュー、レア(走鳥類)
ゴンドワナ大陸に生息し、空を飛ぶかわりに巨大化して、最大のもので体長6メートルに達した。捕食者がいなかったため繁栄したが、草原の開拓、狩猟により絶滅した。モア→ニュージーランド、マオリ人により1600年代に絶滅。エビオルニス→マダガスカル、マレー人により1600年代に絶滅。ダチョウ→アフリカ。エミュー→オーストラリア(まだ生存)。レア→南米。

まとめ

遺伝的多様性の喪失の直接的原因

生息環境の変化、自然、人為による撹乱により、小集団への細分化。集団が小さいほど絶滅率は高くなる。

南北アメリカやオーストラリアといった新大陸のほうが、旧大陸よりも絶滅率は圧倒的に高い。

具体例として、まず、オーストラリア・北アメリカ・マダガスカル・ニュージーランドについてみる。この地域では、人類が入ってくると生物種の相対頻度が急減した。サーベルタイガー、イエスタデイキャメル、ハーランオオナマケモノなど大型哺乳類の減少は顕著であった。(およそ11000年前から10000年前の間で急減した。)

理由としては、大陸として新大陸が狭く、生物が外来種に対して逃れる空間がなかったことが考えられる。巨大な大陸(ex.アフリカ)では、一地域で生物群が絶滅しても、他の地域で残っている可能性がある。オーストラリアでは典型的な例として人・犬・ねずみ・猫・狐といった外来種の導入により、アボリジニー・フクロオオカミ・カンガルー・ワラビー・ウオンバットが急減した。

絶滅種
過去に生息していたことが確認されているが、すでに絶滅したと思われる、亜種のこと。
亜種
生物分類上の一階級。種の下の階級。種として独立させるほど大きくはないが、変種とするには相違点の多い一群の生物に用いる。例えば、北海道のキタキツネはキツネの亜種である。ただし、種と亜種を分ける明確な基準はない。(らしい。)
絶滅危惧種
絶滅の危機に瀕している種または亜種。

絶滅危惧種数としては、緑色植物(樹木・草木)で20万種、哺乳類で4000種、鳥類で8600種と言われている。(昆虫類・甲殻類・軟体動物などは詳しい調査がされていない。)

哺乳類などは進化の過程で大型化し、地上で目立つ存在になっているが、実際地球上の生物の多様さの中ではごく一部を占めるに過ぎない。存在している種類から見ても、海は多様な生物の住む世界、陸は進化の過程で小型化した昆虫の世界であると言える。

その陸上でもアフリカ中部のコンゴ川(ザイール川)やニューギニア、アマゾンなど熱帯原生林に非常に多くの昆虫、クモなどの節足動物が生息している。一方、ベトナム、スマトラ、マダガスカルでは凄まじいまでの自然の減少で自然地の分断化(点地化、fragmentation)が起こっている。

生物多様性の価値とは…
<直接的価値>…現在失われつつある。
<間接的価値>
生物多様性のレベルとは…
<種レベル>個体群種数、生活史
<生態系レベル>種間相互作用の複雑さ(景観、群集のあり方に反映する)
<集団レベル>遺伝子の多様性

以上3つがセットになって保全が行われるべき。

保全生物学(ConservationBiorogy:プリマック1995)

絶滅しやすい種
地域自然(生態系)全体の消失(=大量絶滅が起こる MassExtinction)
生物間相互作用系が崩れることになる。このことが大型の哺乳類などにとっては生息地が狭まり、そのことで負担を大きく受けることになり不利である。

遺伝子の消失
近親婚となり遺伝子が消滅してしまう。

絶滅をくいとめるためには…人々に次のような合意が必要である。

  1. 生物の多様性は善である。
  2. 人間活動による種の絶滅は悪である。
  3. 生態学的な複雑さ、地域性の多様さは善である。
  4. 生物の進化は善である。
  5. 生物の多様性には固有の価値がある。
しかし、上記の5項目はいずれも心の問題であり、合意に達することは難しいと言え、法的拘束を必要とするものである。さらに人々は進化史の内容を知っておくべきであると言える。

遺伝的浮動(genetic drift)
集団の遺伝子頻度が世代間で偶然に変動すること。小集団で起こりやすい。ライト効果とも言う。
ボトルネック効果(bottleneck effect)
集団を構成する生殖可能な個体の数が、ある期間の世代に渡って減少すると、遺伝的浮動の作用が強くなり、集団中の遺伝的変異の量が減少する。
遺伝的多様性の維持の重要さ
突然変異と自然選択の釣り合い・遺伝的浮動の効果を弱くする少数個体の移入

用語解説

個体群
ある空間を占め、交配により子孫を残すことのできる同種個体の集まり。
生物群集
特定の場所を占有し、お互いに相互作用を持つ種の集まり。
生態系
生物群集とそれを取り巻く物理的環境の全体。
個体群内の遺伝的変異の大きさ
遺伝子プール内の一つ以上の対立遺伝子をもつ多型性遺伝子の数と、各多型性遺伝子がもつ対立遺伝子の数によって決められる。

熱帯での絶滅

熱帯の生物の絶滅に関して…

熱帯における種の多様性の説明

  1. 生産力・資源説
    熱帯は高温多湿で、生産力が高いため、多くの生物が生息できる。植生の立体構造が複雑。利用可能な生産物が多い。
  2. 安定度・時間説
    非常に長い年月にわたって安定して存続してきたため、新種の分化が増大する。また絶滅が少ない。
  3. 競争によるニッチ分割説
    複数種が同一資源をめぐって競争関係にあると、生態的地位を等しくする2種は共存できず、排他へ向かう。これは動物の多様性の説明としては正しいが、熱帯の樹木の多様性の説明には不足がある。なぜならば樹木は土壌・水分条件・地形構造など多くで同所的競争があるが共存してるといえるから。
  4. ギャップ説(中規模ランダム撹乱説)
    ギャップがランダムにでき、その頻度に応じてどれかの種が空いたギャップを埋めていく。
    • 空間的ギャップ:立ち枯れ、倒木、被雷、地滑り、山火事による
    • 時間的ギャップ:非定常環境変動(エルニーニョ)、繁殖可能期間の長さ、季節性
  5. 補食説
    補食者は被捕食者同士の競争が、絶滅を起こすほど激しくならないよう調節している。頻度に依存した選択(selection)が起こるとき、多頻度種は補食される状況にあり、少頻度種に少数利益(minority advantage)が生じることとなり、種間競争は弱まり生存に有利となる。

適応度(fitness)

類似した種同士では種間競争がおこり、ニッチ上同じ生息場所(habitat)にはまろうとする。そこで資源の状態(土壌中の窒素量・餌の大きさなど)に対する種の適応度は、一種で資源を独占している時は幅広い資源環境において高くなっているのに、複数種で資源を共有する時は狭い資源環境においてのみ高くなっている。つまりなるべく利用する資源が重複しないように調節しあっているのである。

ハッチンソンによれば、生物によってそれぞれが成長に好適な環境要因は決まっており(ニッチ)、互いに少しずつ環境要因をずらすことで生育可能となっている。

★集団はニッチとギルドの概念で分別される

<参照>ホットスポット(熱点)=(自然林などについての)危険地域(=ConservationArea)

他、ボルネオ(湿地の存在)、アマゾン(入植)、コンゴ(入植)

熱帯林

樹木の上方向への伸長競争が激しい。葉(上層)では光合成をする。幹(本体)は支持組織であり高分子で強力な持続性を持つ。

生物について

林幹部
平均30メートルの高さ。特に最高の高さのものを突出林と言う。突出林は平均60〜80メートルの高さで、1ヘクタール当たり平均20本存在する。(50本/haなら豊富といえる。)動物(消費者)は樹上の資源(葉など)を利用。
林床部
バクテリア(分解者)は地上の資源(枯死体など)を利用。人間利用はこの突出林を対象にしている。しかし突出林はその立木間隔が大きいので、周囲の木を全て伐採して採取することになる。また、チェンソーで一本だけを切り取っても突出林は高木のため倒れるときに他の木をなぎ倒してしまう恐れがある。(disturbanceが起こる)自然状態では数年に一度くらいの割合でしか倒れない(寿命による)。数年に一度倒れるだけなので、周囲には他の木が突出林となるべく待機している。つまり、ギャップができても、そこに光がたくさん注ぎ込むことになり、もやし現象が起こり草木は一生懸命に伸ることになる。そこに再生(re-grow)が起こる。再生が起こる時には次の二通りの方式がある。
  • パイオニア樹による再生
    パイオニア種は、強い光によりすばやく成長するが、支持組織は弱く、次から伸る樹との競争には敗れる。
  • 種子爆弾による再生
    一時期に大量の種子をばらまき、種子から成木になる確率が低くても1・2本は成木になるようにしてパイオニアとなる。
これらランダムな破壊と再生が自然状態では起こっている。

中規模の撹乱(disturbance)

低緯度
スコールに伴う強風や雷雨が原因となる。緯度10〜15度の範囲にあり、赤道収束帯(低緯度収束帯)のため恒常風が吹き、風は一方向に安定しているといえる。(中規模な撹乱)
中緯度
台風・ハリケーン・サイクロンにより渦を巻く風がつくられて、風は一方向には安定しない。このためこれらの一時的な強風により撹乱が一気にくることになる。(大規模な撹乱)たとえば沖縄などでは木が大木に成長せずに10〜20メートルの高さでなぎ倒されてしまう。ただ、大陸内部に入ると強風もその勢力を失うのであまり大きな撹乱は起こらなくなる。

生物の種分化について

一つの生物集団が物理的障壁によって隔離されると、それぞれは突然変異の集団遺伝子組成に組み込まれ、独自に遺伝子変化を遂げる。(異所的種分化)物理的障壁がある程度取り払われて、ある程度交流が進んだ状態で起こる生物集団における遺伝子変化。(側所的種分化)

昆虫の多様性

植物は根をおろして生存する。そこで、植物は食植者に食われないようにするため化学的防衛物質を出す。そこでその防衛物質に対応して特定の解毒システムを作り出し、植物を食そうとする植物種に特有な食植者が存在することとなる(宿主特異性)。食植者の量は極めて少ないが、食植者の種数は極めて多くなる。植物が防衛物質を以って多様化するのは、天敵を減少させる、種仲間を見つける、適当な物理的生息場所を確保するなどの利点がある。特有化することで、天敵も対応を迫られ、仲間とは生息場所が近くなり、異種とのすみわけの細分化が図られる。一方、食植者にとっても、他の生物からの隠れ家になるなどの利点がある。

近交弱勢(inbreeding depression)

近親交配を長く続けることにより、大きさ・耐性・多産性など一般に生活力が減少すること。(近交系個体の適応度<非近交系個体の適応度)
適応度
自然淘汰に対する、個体の有利・不利を示す尺度、個体あたりの次世代に寄与する子供の数。
なぜ近親交配をした個体の適応度は減少するのか?→近親交配により、ホモ接合体の増加が起こる。このことにより、有害な劣性遺伝子の増加、超優性の対立遺伝子の消失といった影響が引き起こされることとなる。
超優性
ヘテロ接合体の適応度が、ホモ接合体のそれより高いこと。(AA<Aa<aa)
近親弱勢に着目するのはなぜ?

絶滅の遺伝学的な理由

  1. 確率的揺らぎ
    各個体の繁殖における偶然の失敗。偶発的死亡。
  2. 弱有害突然変異遺伝子の蓄積
    遺伝的浮動により固定化。もとの野生型遺伝子の組み合わせに戻れない。
  3. 近親交配による近交弱勢
    劣性有害遺伝子のホモ接合化。同系交配。

島の生物学

Island Biogeography(1967)→島における生物相の成り立ちを理解し、統一理論を形成しよう。R.H.Mc.Arthur&E.O.Wilson
島とは…
周囲の環境とは異質な部分のことであり、例としては水界に囲まれた陸地などがある。
この理論では、島同士の移動関係が重要。…隔離された場所同士の移動・風分散・動物分散・水分散・人為分散
新たに生じた島に対して生物がどのように生育可能になるか?
島に移動しても定着するかは分からない。定着したとしても、定着には時間がかかるもの。入ってきた種が競争に敗れて消滅することも考えられる。島に入った後も、定着・競争・消滅といったシナリオが在りうる。供給源と島との距離・島の大きさ、移動率・定着率・消滅率を考慮しなければならない。特に、島の生物学においては、後者の移動率・定着率・消滅率が重要であり、この3つを基盤として理論化がすすめられる。前者の供給源と島との距離・島の大きさについては、距離が離れるほど面積あたりの種数が減るといえる。
島の保全について…
保全対象は現在ことごとく島化している。そこで、同面積を保全する場合SLOSS(Single Large or Several Small)問題が起こってくる。ここでは、一個所に大きい保護区を作るか、それともいくつかの小さな保護区を作るかが問題とされる。
★まつもとせんせいの分は以上です★後はぷりんとで★