第一話 初めての出会い(1)

私は元々猫が好きだった。
しかし、猫を飼おうとは思わなかった。
なにせ一人暮しだったため、面倒を見きれる自信が無かったからである。
それに、殆ど動物を飼った事が無い事も大きな要因だった。

私がまだ幼いころ、実家ではセキセイインコを飼っていた時期がある。
当時中学校の教員だった父が学校で飼っていたインコを貰って来たのである。
その時、父は無邪気に喜んでいたが、難色を示したのが祖母であった。

「最初は良いがそのうち飽きて誰も面倒を見なくなる。どうせ私が面倒を見る羽目になる。」

私の両親は共働きであった。祖母の予測が現実となるのはそう時間がかからなかった。
祖母も鳥達に情が移ってきたせいか、その後数年間、何世代かのインコの面倒を見たが、
やがて初代ピー子を祖先とする一族は我が家からいなくなってしまった。

それから我が実家では動物を飼おうと言出す者はいなくなった。

今からちょうど1年前、当時婚約者だった私の妻に結婚したら猫を飼いたいとせがまれた。
すでに住居は私のマンションと決めていた為、飼うのは当然このマンションの一室となる。

【住民の迷惑となるような動物を飼育することを禁ずる。】

マンションの管理規則の一文が私を躊躇させた。
一度言出したらなかなか引っ込みがつかない彼女をなだめるには、
一度ペットショップに連れて行き、かわいい猫の姿を見せるのが一番だと思いついた。

そしてその週末、我が家の近くにある猫の動物園「ねこたま」に二人で出かけた。
猫をたくさん見れるとあって、車の中の彼女はいつもより機嫌が良い。

「ねえ、飼うとしたらどんな猫がいい?」 と彼女。
「う〜ん、ロシアンブルーとかがかっこいいよね。」 と私。

ねこたまの駐車場に車をとめ、早速中に入る。
ロシアンブルーの小屋の前まできた時、そこには張り紙がしてあった。
私は凍りついた。

【かわいい仔猫が生まれました!譲ってほしい方は係員までご相談ください。】

その小屋の中には生後3ヶ月の仔猫が3匹元気に走り回っていた。
3匹ともメスで三姉妹である。

「お〜。。かっかわいい〜!!!」

なんと、彼女ではなく私がその仔猫たちに一目惚れしてしまった。
気がついたら二人で係員へ名乗り出ていた。

「3匹のうちどの仔をお望みですか?」 と係りのおねいさん。

私達は一番元気に走り回っていた仔を指名した。
その仔を抱かせてもらった。
まだ手のひらに乗るほどの小ささだった。

「おぉ〜。。」

かわいさのあまり声にならなかった。
人間の親指程の手から伸びている小さな爪で必死にしがみついて抱かれていた。

もうここまできたら収まりがつかなかった。彼女ではなく私がである。

帰りの車の中にはロシアンブルーの仔猫と仔猫飼育スターターセットが積まれていた。

後にその仔は「ミント」と命名された。

我が家に娘がやって来た。

つづく。。。

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