消しゴム

 授業中に「消しゴムかして」と言われるなんて、珍しい情景でも何でもないだろう。ここではシャーペンや鉛筆を使う人が少ないので、消しゴムが必要になることはあまりないんだが、それでもたまに「消しゴム持ってる?」とか「かして」と言われることはある。で、その消しゴムに私は若干のこだわりを持っている。

1) 出来れば持つ部分の包装なり紙をはがしたくない。
2) 逆方向から使いたくない。
3) ちゃんと消える消しゴム(意外に少ない)との出会いを大切にしたい。←なんやそれ

 かつて仲良しのKがいつも私の消しゴムを使った。私はその消しゴムを気に入っていたので、彼女が逆方向から使った時『あっ...』と思ったが「この向きで使って」とも言えず、少し悲しい気持ちで彼女が逆方向から使うのを見ていた。なぜか彼女は好んで逆方向から使っていた。更に彼女は使う度に返してくれなかった。しかも「私との間」には置かずに「私のいない側」に消しゴムを置くことがあった。私は次に自分が使う時に、彼女に「取って」と言わなければならず、たまに「めるしぃ」などと言ってる自分に気付いて「それはヘンやろー」と思ったものだ。彼女が間違って持って帰ったこともあり、私は愛しいマイ消しゴムなしで宿題をした夜もあった...。そしてとうとうある日、その消しゴムは姿を消した。悲しい出来事だった。私は彼女のことを大好きだったが、こと消しゴムに関しては一言も二言もあった。
 今私はリヨンでの二代目消しゴムを使っている。先日、彼女(K)と同じスペイン語を話す子が「消しゴム持ってる?」と私の隣の子に聞いていた。すかさず私は自分の消しゴムを筆箱にしまった。貸してなんかやるもんか!
 そんなことを友達に話したら、その友達も「彼女がかしてあげた消しゴムを握りながらノートを取る隣人」に腹を立てていた。それも許せないよなぁ...。人の物はちゃんと人の物として扱おうよ。ね。それとも私たちの心が狭いのかい?

見聞録に戻る

Home