かたり商法

 

悪質商法に騙される人って、どんな人かな。

欲張りな人・・・・・・・・・・・・・・・・・・言えてるかもしれない。
あまり深く考えない人・・・・・・・・・・当たってるかもしれない。
世間知らずな人・・・・・・・・・・・・・・その通りかもしれない。

でも、きっと共通してるのは、信じやすいこと。
人から言われた事を、疑わない素直な人。

今回の「かたり商法」。これは、まさにそんな性質を利用した商法なのさ。
純粋な(『え?』ノシュケの声)ぽっぽみたいな人間が、一番狙われやすいかも。

お! さっそく誰かが単純家に近づいてきたよ!

「じゃあ行ってまいります。後よろしくお願いしますね」
そう言って美津子かあちゃんは、出掛けていった。残っているのは我らが五右衛門じいちゃん。
一人きりになったじいちゃん、いそいそとお菓子なんかを用意し始める。
実は、これから麗しの小梅ばあちゃんがやってくるのさ。
二人でお茶を飲み、饅頭を食べ、甘い時間を過ごそうという訳。

 小梅ちゃん、これをお食べ…
 あら、五右衛門さん、あ・り・が・と…
 この饅頭の素晴らしさも、小梅ちゃんにはかなわないな…
 あら、ま、そんな…

にへら〜とニヤケル五右衛門じいちゃん、ふと玄関先で声がしたように思い、ドアを開けた。
恋する者の耳に間違いはなく、そこにいたのは愛しい愛しい小梅ばあちゃん。
が、一人ではなかった。
青色の制服のようなものを着ている若い男だ。胸に名札らしいものをつけている。
「あ、こちらがこの家の方ですのよ」小梅ばあちゃん、男に言う。
「私がこの家の人かと思って、今声を掛けてこられたんですのよ」
小梅ばあちゃんの説明に、じいちゃん、下駄を履いて門まで出てきた。
「どうも、こんにちは! 郵便局の方から来ました!」

オイラは風の又三犬!

「お宅、犬、飼ってます?」「…いや、うちは動物はいませんが…」
「そうですか。じゃあ、こういうものがあるんですよ」男、おもむろに鞄から何かを取り出した。
「実はですね、こーゆーものを家の玄関先につけていただきたいんで・・・」
10センチ四方のステッカーのようだ。
中央に大きく犬のイラストが描いてあり、その上に朱色でバッテンがしてある。
「最近は庭先に犬がいなくても、家の中から飛び出してくるケースが多いんですよ。
郵便局員も配達するのにあぶなくて」
「はぁ…でもうちは犬はいませんのでね」
「ええ、ですから、これをつければ、いるかいないか、はっきりと外からでも分かるんですよ」
「まあ、郵便屋さんも大変ですのねぇ」
小梅ばあちゃんが同情たっぷりに言ったもんだから、じいちゃん、思わずステッカーを手に取った。
「これをつけてて貰えれば、配る前に局員も安心出来ますしね。
まあ、このステッカー、出来たばかりなので、こうやって一軒一軒まわってご案内している訳でして。
で、今買っていただければ、定価よりいくらか安く出来るんですよ」
「まぁ、安く…」小梅ばあちゃんの目がきらきら輝いた。
「今だったら、一枚1800円を、1400円に出来ますんでね」
「……」五右衛門じいちゃん、ばあちゃんと男を交互に見て、そして言った。
「では、貰おうかな。この人の分と合わせて、2件分、2枚」

 

かたり商法

あたかも公的機関からの訪問らしく装って、商品を売りつける商法

踊る3チューリップ

 

上の文章、男は一言だって、郵便局の人間だって、言ってないよね。
五右衛門じいちゃん、小梅ばあちゃんが勝手に誤解しちゃってた。

冷静に考えてみれば、セールスマンがステッカーを売りに来たってだけ。
訪問販売だよね。

ん? 訪問販売?
おおっ! ひょっとしてクーリング・オフが出来るかも?

そう! 今回のケースはまさに訪問販売。
これから五右衛門じいちゃんがやることは、クーリング・オフの花道を参考に、内容証明郵便を出すこと…。
なあんだ、今回、すぐ解決じゃないかっ!

なんて思っている君! 甘いぞ!

よく読んでみよう。じいちゃんは、いくらを払っている?
ステッカーは1枚1400円。2枚合わせても2800円。

よーするに、3000円を越えていないのだよね。

クーリング・オフってなぁに?をもう一度読みなおしてみよう。
訪問販売で、現金取引の場合、総額が3000円未満だったら、いくら8日以内でもクーリング・オフは適用されないのだ。
じゃあ、どうすればいいかって?

話している内容に明確な騙し言葉がないのだけれど、
服装やセールストークで、全体的にみて誤解が生じてしまったら、民法上、錯誤とされるケースもあるのさ。
だから契約の無効を主張するテがある。
でも、同じような被害がいっぱいでたりすれば別だけど、なかなか証明に難しいし、
悪ドイ業者だと、主張しても「勘違いしたのはオタクの勝手だろーが」と開き直って来るかもしれない。

いずれにしても、個人の力では非常に難しいから、
近くの消費者センターに相談するべき。

もちろん、総額が3000円以上で、モノが指定商品に入ってて、その他の条件もクリアしてたら、
クーリング・オフは可能だよ。

そうそう、後日談。
この間、ぽっぽが単純家に行った時、だーれも騙されたことに気づいてなかったから、
気の毒で、教えてあげられなかったよ…。(美津子かあちゃん、ごめんね)

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