「な・・・んで、俺の名前・・・・・・?」
戸惑う俺を、ソイツはゾクッとするような冷たい目で見つめた。
「お前のことなら、なんでも知ってるよ。年齢、誕生日、血液型、家族構成、通ってる高校、それと・・・」
言いながらソイツは俺を指差した。
「・・・・・・何故、死のうとしているのかも、ね」
「え・・・・・・?」
「不思議かい? 何故、僕がそんなこと知ってるのか」
ソイツは俺を指差したまま、俺の眼をのぞきこんだ。
「それはね・・・僕が "死神" だからだよ」
シ・ニ・ガ・ミ・・・・・・? 思わず俺は後ずさった。
「あんまり下がると危ないよ」
平然とした顔で、ソイツはタバコを投げ捨て、足でもみ消した。
「驚いたな。今時、小学生でもそんな嘘信じないよ」
そう言って、可笑しそうに少し長めの前髪をかきあげた。その動作一つ一つで、銀のピアスが怪しげにきらめく。
「わっ、悪かったな! どうせ俺は小学生以下だよ!!」
「そんな図体のデカイ小学生はいないと思うけどな」
いっちいち人の揚げ足とりやがる、何て嫌なヤツなんだ。
「とにかく、危ないからそれ以上下がらないでくれよ」
「俺は死にたいんだ! ほっといてくれ!!」
「だから、他でやってくれって。ワカンナイ奴だなぁ」
呆れたような表情。それでも動こうとしない俺に、
「優等生ってのは、融通がきかないねぇ。生徒会長サン」
「お前、ウチの学校の生徒なのか!?」
そうか、思い出した! 確かコイツ、1週間前に編入してきた・・・・・・
「沢木だよ。沢木秀一」
俺が言うよりも先に、ソイツ・・・沢木秀一は名乗ってきた。
「異例の編入生か」
「そうらしいね。僕にはあまり興味ないことだけどな」
俺の通っている高校は、全国的にも有名な進学校で、編入生なんてとりはしない。だが、何故かコイツは編入生としてやって来たんだ。
「言っとくけど、お金なんて使ってないよ。キチンと編入試験を受けたんだからね」
まるで俺の心を見透かすように、沢木秀一は言った。
「まあ、そんな話はどうでもいいさ。さ、早くそこからどいてくれよ」
言いながら沢木は、俺に向かって手を差し伸べてきた。
「・・・何のマネだ?」
「そこから動けないんじゃないかと思って」
コイツ、明らかに俺をバカにしてるな。
「大きなお世話だよ!」