父とともに
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3.悲しみ
そのころから少しずつ本を読んだりして「うつ病」や「躁うつ病」のことを調べ始めました。躁状態という のが長く続かないこともわかってきました。父の躁状態はやがて重い「うつ」へ移っていきました。
うつ状態になった父は、仕事に行けなくなりました。治すために自分から入院したいといって少しの間入院しました。わたしは入院したということで安心し、そのままよくなっていってくれるものと信じました。父はわたしが小さい頃に一度自殺未遂をしていました。そのときは郊外で睡眠薬を飲んで、2日くらい帰ってこなかったのですが3日目に家に帰ってきたそうです。そのあとうつ状態のため3ヶ月くらい入院したそうです。わたしは一度助かったのだから今回もきっと助かる、となんの根拠もない勝手な望みを持っていました。うつがどんなものかをちっともわかっていなかったのです。本人にとってどれほどつらい状態なのかを。
油断をしてはけしていけない病気だということを。母からの手紙では「お父さんは少しずつよくなっているようです。」と書いてあり、実際に回復はしていたのだと思います。その年の父の誕生日は、「入院中でたいくつなので英会話の簡単な本が欲しい」という父の希望でわたしは英会話の本をプレゼントしました。
11月に入ったある休日、退院して家にいた父から電話がきました。京都に住んでいる弟の大家さんから千葉の実家へ電話があり、『息子さんが家賃をずっと滞納している。部屋に出入りしている様子がなく、郵便受けには郵便がたまっているようだが、部屋の鍵をあけて入ってもよいか』という電話がきたが、最近弟から連絡があったか、という
ことでした。わたしは驚いて、連絡は少し前にあったけれど…という返事をしてから、「お母さんならわかると思う」と返事をしました。母はそのとき留守にしていて父は困っていたようでしたが、やがて帰ってきた母が大家さんに説明してくれて、弟はだらしないだけで部屋にちゃんといることがわかって安心したのですが、このときの電話が父と話した最後の会話になりました。そのときは『弟に何かあったのかもしれない』というぞっとする気持ちを味わい、不安なことが次々と重なっていく気がしました。
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