ちびくま、キャンプに行く


7月26日・27日、ちびくまと私は、市教委主催の障害児キャンプに参加しました。
ちびくまにとっては、生まれて初めての海水浴、そして生まれて初めての宿泊を伴う団体旅行。母は「まだ無理じゃないかなあ」と不安だったのですが、障担に「お母さん、私たちも一緒に行くんですよ。ちびくまくんの面倒は私たちがみますから、旅行の練習だと思って、参加してみてください」と励まされ、思い切ってチャレンジ。
はてさて、どうなりますやら・・・。


7/26

8:30am
早朝から、じりじりと焼け付くような晴天。
車で集合場所の市役所へ。
市役所の駐車場開門とほぼ同時だというのに、すごい混雑。これ、全部キャンプに行く人の車だろうか。特別駐車許可証をもらって入る。狭い駐車場なのでバックに四苦八苦。やっと車を停めて、荷物を降ろしていると、後ろから、「おはようございます〜」と声をかけられる。ちびくまのクラスの介助員のI先生。ちびくまは「どこに連れて行かれるのかな」と思っていたのか、I先生の顔を見て、ちょっと安心したようで、にっこりする。I先生に手をつないでもらって、集合ロビーへ向かう。

8:45am
「うちの市に、こんなにたくさん障害児がいたの?」と思うくらいの大混雑。まあ、3年生以下は保護者の付き添いが義務付けられてるし、子ども1人につき、最低1人の先生がつくことになっているから、こんなもんか。
ロビーの入り口で担任のM先生と合流して、班ごとの整列。
すごい人いきれなので、ちびくまがパニックにならないか、と先生が心配してくれていたが、先生と一緒のためか、ちびくまは全然平気。
教委主催なので教育長挨拶なんかあるが、誰も聞いてない(笑)。

9:15am
大型観光バス3台に分乗して、ほぼ定刻どおりに出発。ちびくまは、1号車の前から2番目の窓がわに席をとる。車に乗っているときはいつもだが、ご機嫌で外の景色をながめている。
途中でバスレクがはいる。マイクが回ってきて、自己紹介。
「Mしょうがっこう、1ねん、ちびくまです。くるまと、コンピューターとおさるのジョージが好きです」は台本どおり。そのあと、アドリブで、「こんにちは、みなさん、わたしといっしょにおあそびしましょうね!」(<出典「サンリオ・タイニー・パーク」)で大爆笑をとる。うけたので本人は大満足。
手話を交えての歌唱指導には見向きもしない・・・と思ったら、あとでひとりで「キャンプのしおり」を見ながら手話をやってみていた。

11:30am
京都府U海水浴場着。「うみ、うみ!」と海を見て大喜び。
昼食もそこそこに、M先生が着替えをさせてくれる。「お母さんは、ゆっくりあちらで着替えてきてください」と言ってもらう。
着替えて出てくると、ちびくまはもう海に入っていた。
ちびくまは、シアトル時代、浜まで行ったことはあるが、海に入るのは、生まれて初めて。
波を怖がるのではないかと思ったが、全然平気。
先生の手を引っ張って、どんどん沖へ出て行く。足がつかないところまで行きたいらしい。
怖がっていた子どもたちも少しずつ慣れてきて、沖でM小の上級生たちと合流。M小からは子ども7人、保護者6人、先生8人(障担5+介助員3)の大所帯。大人の手がかけられる分、いろいろあそばせてもらっている。
中学生や小学校高学年の男子たちが、沖の浮島上で、相撲を始める。負けると海に放り込まれるのだが、これに参加したくなったちびくま。
先生に浮島に押し上げてもらうが、さすがに小さい子(小1にしても、小さめ)なので、みんな遠慮して彼を放り投げたりしない。中学生の子に頼んで、海に放ってもらう。
頭から思い切り水をかぶるが、全然平気で「じゃぼーんした」と言って喜ぶちびくま。懲りることなく、何度も先生にせがんで浮島に登っては落としてもらっていた。
台風の影響で、波が荒かったが、ちびくまは却って喜んで、わざと波に乗りに行っている。母は付いていけず、元水泳コーチの介助員の先生にバトンタッチ。M小の先生全員から、「将来はサーファーか?」と言われている。
自閉症サーファー、いいかもしれない(爆)。
海水浴終了の時間まで、目いっぱい海を堪能する。

3:15pm
再びバスで、宿泊先の「自然の家」に向かう。さすがに疲れたのか、30分ほどうとうとしていたが、自然の家のオリエンテーションビデオが始まると、むくっと起きて、じーっと見ている。

5:10pm
「自然の家」着。
ちびくまは駐車場から動こうとしない。どうもバスが行ってしまうまで見送りたいらしい。M先生が付き合ってくれる。
バスの運転手さんたちが、集まって喋っているそばへいって、ニコニコしながら、まわりをウロウロする。
「バスの運転手さんが大好きなんです。皆さんが帰ってしまうまで見送ろうと思っているみたいで」と先生がフォローしてくれる。
バスは、まもなく駐車場を出て行ったが、3台とも、ライトをパッシングしたり、クラクションを鳴らしたり、ちびくまのためにサービスしてくれた。

やっと気が済んだちびくまと、宿泊施設へ。M小の上級生2人と、先生3人が同室。M先生が子どもたちを「たんけん」に連れて行ってくれている間、親は休憩。

5:30pm
大食堂で夕食。ちびくまは一足先に、M先生と一緒に座って待っていた。
「もし、人が多すぎて食べられないようなら、向こうに連れて行って、私と2人で食べますので、お母さんはここでゆっくり召し上がっててくださいね」とM先生。
ちびくまは、先生が箸を持ったのを見るや、自分も箸を握る。
フォークもスプーンもあるのだが、先生と一緒のことをしようと思うらしい。
だが、当然うまく使えず、癇癪をおこす。M先生に、「やろうとしたこと」を褒めてもらい、「これは海老フライだから、フォークで食べるのも正しい」と説明してもらって(わかったのだろうか?)、やっと機嫌が直る。先生と私の心配をよそに、大勢でいることは気にならない様子。
食べられるものは全部平らげて、先生と一緒に片付け(セルフサービス)もする。

7:30pm
「夜の集い」。グラウンドで、仕掛花火(某中学の先生の自作らしい)を鑑賞した後、1人1袋ずつ花火を貰う。ちびくまは、見るのは面白いようだが、自分ではなかなかしない。M先生が手をとってやらせてくれる。火花を手に取って見ようとするのであせる。

8:20pm
入浴。まだ1年生なので、女子浴場でも許されるだろう、と自分で入れるつもりだったが、M先生から「S先生(M小障担の黒1点)が入れてくれますから」と言われ、お願いする。父親でもやってくれないのに〜。m(__)m
結局、S先生はM小の男子を全員お風呂に入れてくれた。(のぼせたかも)
ちびくまは、大好きなS先生だったからか、泣いたりすることもなく、さっぱりした顔であがってくる。
M先生たちが「私たちが子守りをしていますから、お母さんたち、ゆっくりお風呂に入ってきてください」と言ってくれる。天国(^。^)。
女の先生たちが女の子の介助をしていたりで、お風呂場は結構込み合っていた。日焼け止めを塗っていたが、焼けたのか、背中がヒリヒリ痛い。

9:15pm
お母さんたちがお風呂を済ませて、先生たちとバトンタッチ。ちびくまは普段でもまだ寝ていない時間だが、いつもは9時までに必ず寝る、という子でも寝ないで遊んでいる。でも、「子どもどうし」で遊んでいないところがミソ。

10:00pm
先生たちが戻ってくる。ちびくまはとろとろと眠り始めている。先生に「お母さんたちは座談会に行って来てください。子供たちは私たちが見ます」と言われる。同室のお母さんたちは、「座談会なんていいですう」と言うが、M先生に「いいえ、行っていただきます。これは保護者の義務です」ときっぱり言われてしぶしぶ会場へ。
座談会、なんて嫌だなあ、と思ったが、これはなんと○ール飲み放題の会に過ぎなかった。ほとんどコンパのノリ。なかなかやるな、Q市教育委員会!
お父さんたちはそうでもないかもしれないが、お母さんたちにとって、夜、子どもの心配をしないで、遊べることなんて、めったにない。昔は大ジョッキ片手にブイブイ言わせていた私には、8年ぶりくらいの体験だった。
同じ学校に通わせていても、じっくり話したことがないお母さんたちとゆっくり話せたのも嬉しかった。でも、やっぱりちびくまは、「あんなに普通なのに、なんで障級に来ているんだろう?」と思われていたらしい(笑)。
それにしても、「うちの子どもは障害児、あなたの子どもも障害児」を前提とした関係って、本当に楽だ。通園施設の時以上にそう思うのは、我が子を障害児学級に入れた時点で、親のほうも腰が座るからかもしれない。

12:00pm
明日のこともあるので、お開きに。
部屋に戻ると、子どもも先生も完全に熟睡していた。
ちびくまの横に滑り込んで、あっという間に眠る。


7/27

6:00am
朝の弱い私にしては珍しく、ぱっと目がさめる。朝の空気がひんやりして心地よい。お母さんたちや、先生たちも、次々に起きる。

6:30am
起床の放送が入り、子どもたちが起きる。
ちびくまは、一瞬、「ここどこだっけ?」と言う顔をするが、担任に「おはよう」と声をかけられると、照れ笑いをしながら、慌てて毛布に隠れる。

7:30am
青少年施設なので、寝具の片付けや掃除もセルフサービス。
先生の1人が掃除機を出してきたのを見て、耳をふさぎ、表情がこわばったちびくま。それを見て、すぐM先生が「ちびくま君、先生と一緒にお外へ行こう」と連れ出してくれる。

8:00am
大食堂で朝食。担任しているどの子とも1回ずつ一緒に食事をしたい、というM先生の意向で、介助のI先生がかわりに付いてくれる。ちびくまは食欲もりもりで、ご飯のうえに、味付けのりを1枚ずつ載せてもらっては手づかみでパクパク食べていた。味噌汁はスプーンで。食器の片付けもI先生の介助で、自分でやる。

9:30am
午前中の活動は「皿への絵付け」。だがちびくまはまったく興味を示さない。
筆を渡されると、ささっと「○○○ちびくま」と自分の名前を書きなぐって、先生の手を引いて出て行ってしまう。

10:00am
ちびくまのクラスメートたちと合流して、館外の探索に出かける。
子供たちは、館の前を流れる小川が気に入って、水遊び。

11:45am
再び大食堂で昼食。今回の介助はK先生。メニューはちびくまの大好物のカレーライス。スプーンを使って、バクバク食べる。あっという間に平らげて、K先生と一緒におかわりを貰いに行く。M先生の方を見ると、先生も気がついて、笑ってうなずいていた。「ちびくまくん、いっぱい食べて、おりこうだねえ」とK先生にも褒められたので、嬉しいちびくま。

12:30am
食事が終わり、用が済んだので、「もう終わり。バスいきます」と言って、荷物を持って出ようとする。まだ早いし、その前にはグランドで「終わりの集い」があるのだが、本人の中では、もうキャンプは終わったらしい。
ロビーに、校長先生が座っているのに気がつき、「校長先生のところへ行っておいで」と言うと、すうーーっと先生の横に行って座り、窓の外を指差して、何か一生懸命話し掛けていた。

1:00pm
もうすっかり「電池切れ」状態になったちびくま、「バスいきます。バスのるの」と言いながら、駐車場へ行こうとし、止められてかんしゃくを起こす。
「終わりのつどい」の間、ぶちぶち不機嫌。集いが終わって、「さあ、バスに乗るよ」というと、駐車場まで一目散に駆け出す。

1:30pm
バス発車。また、前方の窓際の席に座って、ご機嫌。
まわりはバスが動き出すやいなや親も子も先生も爆睡しているのに、ちびくまだけは妙にハイテンションで、元気。
ガイドさんがつけてくれたビデオが気に入って、ゲラゲラ笑いながら観る。

3:00pm
市役所帰着。ついに一睡もしなかった。
一足先に自家用車で帰ってきていた校長先生を見つけて、はしゃぐ。
荷物を車に乗せかえて、帰宅。


「2日連続の集団行動なんてできるかなあ?大食堂で食事なんかできるかなあ?大部屋で、夜寝てくれるかなあ?」なんて、不安だらけで参加したキャンプでしたが、M小の先生たちのきめ細かい配慮と、ちびくまの頑張りで、無事に終わり、とても楽しい思い出になりました。
ちびくまは、海がとても印象に残ったようで、あれ以来、テレビに海が映っていると、「うみ、なみがじゃぼーん。ちびくまくん、じゃぼーんした」などと言って、喜んでいます。
「ちびくまくん、来年もキャンプ行こうね」と言うと、「キャンプにいこう!」

真っ黒に日焼けして帰ってきた彼は、名実ともに、一皮むけました。
十分な配慮がなされているところなら、少しのストレスは、かえって達成感と成長をもたらしてくれる、ということを改めて実感しました。訓練も勉強会もなくても、これもまた、ちゃんとした「療育」なんですよね。
親子ともに、もう来年のキャンプを楽しみにしています。



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