ちびくまの散髪

ちびくまは散髪が嫌いです。1歳代ではまだいやいやをしてもこっちの勝ちだったのですが、2歳をすぎたあたりから、散髪は親子バトルと化してきました。モーター音に過敏なちびくまには赤ちゃん用バリカンなどとてもつかえません。先の丸い散髪ばさみとすきばさみで挑むのですが、いつもおとなしいちびくまが、ギャンギャン大声で泣き喚きながら暴れるので、大変です。たいていはパパとちびくまが裸でバスタブの中に入り、パパがちびくまを後ろから羽交い締めにしたところを私が頭を押さえつけて切る、という児童虐待のようなまねをしていました。アメリカでは子供が大声で泣いているとすぐ近所から児童虐待の疑いで警察に通報されるというので、散髪のあと、ドアベルがなったりするといつもドキドキでした。

それがここ数ヶ月の間に、「散髪をしようね」というと、嫌々ながらもじっと耐えてくれるようになったのです。勿論バリカンはまだダメですし、長時間は耐えられませんが、なんとかスタイルがつけられるくらいには頑張ってくれます。これも養護幼稚園のおかげでしょうか。

さて、この間の日曜日の午後、私はリビングでちょっとした書き物をしていました。パパは休日出勤で留守、ちびくまはひとりで床の上にプラスチックの文字を並べて単語を作ったり、絵本をみたり、ミニカーを走らせたりして大人しく遊んでいます。いつのまにかまた随分髪が伸びたなあ、と思った私はちびくまに声をかけました。「おかあさんのお仕事が終わったら、散髪しようか?」ちびくまは振り向き、小首をかしげて、「さんぱつ?」「そう、散髪。髪の毛を切るの」私は手で髪を切るまねをして見せました。「ちょきちょき?」「そう、髪の毛、ちょきちょきね」ちびくまはにっこりして、納得した様子です。そのままベッドルームに行ってしまいましたが、私は「いや〜ちびくまも成長したな〜」なんて思いながら、書き物を続けていました。

そのうち、ちびくまがリビングに戻ってきて、私の座っている椅子によじ登ってきました。ちびくまは私が座って用事をしていると、背中に張りついて甘えてくることがよくあるのです。「もうちょっとでお仕事終わるからね」ちびくまに声をかけたのと、ちびくまが声を出したのがほぼ同時でした。「ちょっきん!」

「あっ」と思ったときにはもう遅く、私の髪の毛がテーブルにハラハラと落ちてきました。「何するの!」思わず大声を上げたのにびっくりして、ちびくまは椅子から飛び降りました。その手にはベッドルームの洗面台にしまってあった散髪ばさみが握られています。「げっ!」慌ててバスルームに飛び込み、後頭部を触ってみると、毛束がごっそり落ちてきました。

しばし呆然とした後、妙におかしくなって、1人でゲラゲラ笑ってしまいました。ちびくまは私が自分の髪を切る真似をしたので、私の髪を切るのだと勘違いしたのでしょう。「わかっているようでわかってないんだよねー、君は」ちびくまは私が笑い出したので安心したようで、「ちょっきん、ちょっきん、ちょっきん、ほら、おしゃえ(れ)になーった♪」とNHK「おかあさんといっしょ」の歌なんか歌いだします。「なにがおしゃれだよー、ホントにもー(^_^; 」

ちびくまをそのまま裸んぼにして、無事散髪は完了しました。えっ、私の髪?美容院でカットしてもらったときに何にも言われなかったから、それほど目茶苦茶にはなっていなかったのでしょう。(それとも余りのことに指摘しがたかったのか?(笑))養護幼稚園のL先生に話したら「いいかもねー、将来は美容師にするとか」なんてオオウケされてしまいました。

ちびくまは言われていることがよく解らない分、視覚情報で補っているんだということを、身をもって理解した母でした。今度から気を付けようっと。



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