ちびくまスケッチ(2001年11月)


11/1

歯科検診当日。ちびくまは、歯医者さんが白衣を着るのをじっと見ていて、「おいしゃさんごっこ」とひとこと。先月の遠足で行った、チルドレンズ・ミュージアムのお医者さんごっこのコーナーを思い出したのでしょうが、「ちびくまくん、これは本物のお医者さん。ごっことちゃうで」と先生たちは大爆笑。

ちびくまは、順番を待つ間、ワニのぬいぐるみを手に持って、ワニの歯を「見てあげて」いました。(心の準備をするために、障担が持たせてくれたもののようです)。

いよいよ、ちびくまの番。声も出さずに歯を食いしばって、口の中を見せないように頑張っていましたが、歯医者さんも心得たもので(市内の障害者入所施設に入っている人を一手に診ている歯医者さんなので)、上手に口を開けさせて見てくださいました。特に異常はなかった様子。ほっ。

ちびくまも、自分の番が終わって、ほっとしたのか、大きな声で「ありがとう」と言いました。また、部屋が笑いで包まれます。障級の教室に帰ったちびくまは、今度は余裕しゃくしゃくで、介助のI先生と「歯医者さんごっこ」を楽しんだのでした。

さて、今日も交流級から2人のお客様を迎えての給食。交流級の子供たちは障級の教室に出かけてちびくまと一緒に食べることをどう考えているのかな、と心配していたのですが、案外、この企画、子どもたちにも好評で、その日のお当番の2人が教室を出るとき「ええな〜」という声があがるそうです。

普通学級の子とはいえ、まだまだ一年生。少人数で、先生にじっくり話を聞いてもらいながら、ゆっくりご飯を食べ(ちびくまの手前、食べるスピードも好き嫌いも問題にされない)、食べ終わったら畳の部屋でおもちゃで遊べる、というのは、普段の学校生活では味わえない、ゆったりした時間なのでしょう。

交流級にいる時は、介助の先生といつも一緒にいて、ほとんど喋ったりしないちびくまが、「おまちどう」「ここに、すわって」「いただきます、いうの」「バスにのって」「みんなで、でんしゃにのろう」などと子どもたちに声をかけたり、CDプレーヤーやキーボードを自由に操作するのを見て、「いつもとは違うちびくまくん」の姿に、ビックリする子もいるようです。

ちびくまのほうも、2人のお客さんが来てくれることを喜んでいるようで、「食べっぷりも普段と変りませんし、自分の好きなCDをかけたり、おもちゃを出してあげたり、話し掛けたり、ちびくまくんなりにサービスしているようです」(障担談)。

給食に来てくれた子が、「せんせー、また遊びに来てもええ?」と訊いて帰ることもよくあるんですよ、と障担は目を細めながら話してくれました。

11/3

地元の親の会が、市内の障級の先生たちを集めて自閉症についての講演会を開くので、ご一緒にいかがですか、と障担から誘ってもらいました。
託児の受付は締め切られていたのだけど、障担が電話をかけて交渉してくれて、講座の間、ちびくまは託児初体験とあいなりました。ちびくまを預けることができるので、今まで自閉の勉強会の類には一度も行ったことがない夫を引きずり出すことにも成功しました。

「ちびくまくん、全く知らないところに預けられるのは初めてですよね。それなら、私が連れて行ったほうが、場面の切り替えがしやすいかもしれませんから、行きは私と一緒に行こうと思うんですが」と障担は家までちびくまを迎えに来てくれることになりました。

私は一応、送り出す前に、
「ちびくまは、Mせんせいのくるまで、いっしょにふくしセンターへいきます。
そこで、せんせいとバイバイして、おともだちといっしょにあそびます。
おとうさんとおかあさんとせんせいは、ふくしセンターでおべんきょうします。
5じになったら、おかあさんがおむかえにいきます。
それから、おとうさんおかあさんといっしょにおうちへかえります」
と紙に書いて、ちびくまと一緒に確認しておきました。

でも、案ずるより生むがやすし。
託児室に連れて行かれたちびくまは、そこであっさりと障担に「バイバイ」と手を振り、ボランティアのお兄さんたちと、ご機嫌で遊び始めたのだそうです。

障担は「お母さんが途中で顔を見せないほうがいいでしょうから」と途中でもちびくまの様子を覗きに行ってくれましたが、「あんた何しにきたんだ」とでも言いたげに、部屋の外へ押し出されたそうです(笑)。

結局、講演が終わって私が迎えに行くまで、ちびくまはご機嫌で遊んでいてくれました。
「ちびくまくんって、ほんとにすごいわ。お母さん、これでもう、どこにでもお出かけできますね」と褒めちぎる障担(笑)。

肝心の講演は、小5の男の子のお母さんの実践発表。視覚支援や構造化を上手に使って、「自分でできる」環境を整えているのが、とても参考になりました。認知の特徴などはちびくまに似ているお子さんだったので、ビデオを見ながら、「ちびくまもあと4年たったら、こんなふうになるのかな〜」なんて考えてしまいました。

夫も、やっと「自閉のまま、健やかに育つ子ども」の像が具体的につかめたらしく、「やっぱりヒトの話は、聞いてみるもんやな」とまんざらでもなさそう。これでちょっとは関心をもってくれるといいんですけどね。

11/5

障担からのお誘いで、音楽会の練習を見に行きました。

ちびくまは、例によって舞台の上で踊っていました(笑)。
みんなが歌う歌にあわせて、回転したり手を振ったり、低緊張でビシッとした動きが難しいちびくまの、その動きは、手話のようでも、ちょうちょや枯葉の舞のようでもあって、なんとなく、歌詞のイメージにもあっています。

「歌詞をよーく聴いていて、自分なりにイメージを膨らませているのが、よくわかるでしょう?」と、目を細める障担。

「ちびくまくんは、ちゃんと参加しているんです。ただ、表現方法が、みんなと違っているだけで。叱って、押さえつけて練習させれば、もっとちゃんとしてくれるかもしれない。でも、それでは、彼にとって、意味がなくなってしまいます。ちびくまくんのやり方でいいから、みんなと折り合いをつけて、自分なりに『やれた、できた、楽しかった』と思える参加のしかたを見つけて欲しいんです」

ちびくまはやはり、とっても先生運が良いのかもしれない、と思った母なのでした。

11/7

最近、ちびくまが学校のうさぎにえさをやるのを楽しみにしている、という話をきいて、学校へ行くときに大根の葉っぱをもたせてみました。

「ちびくまくん、うさぎに『じゃ○りこ』をあげにいこうか」と障担が言うと、ちびくまは大喜び。うさぎになにやら話し掛けながら、大根の葉を1本1本口に運んでやりました。

そこへ交流級の女の子2人が「ちびくまくん、なにしてんの」と寄ってくると、その子達にも大根葉をわけてあげて(同じ障級の2年生のお兄ちゃんには分けてあげなかったのに)、3人でうさぎと遊んでいたそうです。

「うさぎにえさをやっている時のちびくまくんは、ほんとうに嬉しそうな、いい顔をしていて、見ているこちらの心が癒されるような気がします」(連絡帳より)

さて、帰宅後、台所の戸棚に「じゃ○りこ」があるのを見つけたちびくま。
「おかあさん、じゃ○りこ、あけてください」
「ちびくまくんが食べるんなら、いいよ」
「ちびくまくん、食べる」
でも、開けてやると、にやっと笑って、私の口に突っ込んできます。やっぱり。
「おかあさん、じゃ○りこ、たべてください」
「お母さんは要りません。ちびくまくんが、食べてください」
すると、一本だけ口に入れて、食べる真似。そして、
「おかあさん、じゃ○りこ、すんの」
私が口をつむったままでいると、片手で無理やり口をこじ開けて、「必殺かわゆい顔とかわゆい声色」を使い、
「おかあさん、かりかりしてください♪」

無理やり母にじゃ○りこを食べさせたちびくまは、大満足の笑顔。
ああ、お母さんも学校のうさぎさんも、あなたにとっては同じなのね。
11/9

夜明け頃、ちびくまがいきなり起き上がって咳き込み始めました。
アトピーっ子のちびくまは、喘息、というほどではないのですが、ちょっとホコリっぽい場所に行ったり、気温が急に下がったりすると、セキやゼロゼロが出やすいのです。

朝食のトーストも半分食べただけで、ちょっと元気がありませんが、熱はないようなので、とりあえずいつもどおり学校へ送り出しました。

コーヒーを飲んで、一服していると、学校から電話。
「通学バスの中で、咳き込んで吐いてしまったんです。お熱はないようですし、本人は元気なので、このまま様子を見ますが、これから熱が出てくるようだと、お迎えに来ていただかないといけないかもしれないので、一応お知らせしておきます」

障担なら、それくらいでいちいち連絡をしてきたりはしないはずですが、今日は生憎出張中。体温調節が全くできなかったり、発作を起こす心配のある子どもさんを担任している別の障担ならでは、の対応でしょう。
「またかかってくるかもしれないから、出かけないほうがいいなあ」と思いながら、洗濯物を干していると、やっぱり電話がかかってきました。

「あの後、また2回ほど咳き込んで吐いてしまったらしいんです。微熱もあるようですし」
「わかりました。今から迎えにいきますので、それまでよろしくお願いします」

学校に迎えに行ってみると、ちびくまは障級の後ろの畳のコーナーで、介助の先生に膝枕をしてもらってゴロゴロしていました。私の顔を見ると、照れたような笑顔を見せますが、相変わらず強いセキが出ています。
「セキが強いせいで吐いているみたいで、お腹は大丈夫そうですが、こんなにセキが強いと、体力を消耗するので、お医者さんに見てもらって、おうちで休んだほうがいいと思ってね」と隣の障級のH先生。

ちびくまに、「お母さんと一緒におうち帰る?」と訊くと、「おうちかえる!」
介助の先生に抱っこをせがんで、駐車場まで一緒に行ってもらいました。
帰りの車の中で、「ちびくまくん、このまま、お医者さんに行って、お薬もらおうか?」と言うと、「おいしゃさん、いかないの!おうちかえる!」と激しく主張。「お医者さん=口の中を触られる=嫌だ」になってるんですね。

仕方がないので、近所の薬局で咳止めのシロップを買って、ジュースに混ぜて飲ませることにしました。家でのちびくまは、セキは強いけど、ご機嫌でコンピューターで遊んでいます。でも、食欲が全くないので、ちょっと心配です。

11/11

1日ゆっくり休んで、すっかり回復したちびくまと入れ替わりに、私が風邪をひいてしまいました。微熱で、大したことはないはずなのですが、体が辛くて、起きていられません。

退屈したちびくま、日曜で家にいる父親に
「ちびくまくん、おとうさんといっしょに、たしざん、ひきざん、したいなあ」。
わはは。なんてツボを心得たおねだりなんでしょう。ちびくまパパは数学と英語が大好きなのです。

早速、チラシの裏に、たくさん足し算と引き算の問題を作ってくれました。ちびくまは大喜び。
調子にのって、「おとうさん、かけざん、わりざんもすんの。」

たちまちのうちに、カレンダーの裏に九九の表ができあがりました。
同じ障級の上級生たちが九九を覚えてるのに以前から興味を持っていたちびくまは、またまた大喜び。

それにしても、父子でできる遊びが、パソコンゲームと算数だけだなんて、あんたたち、そうとう変わった親子よ、やっぱり。

11/13

休み時間、障級の教室で、ちびくまが床にごろんと転がっていました。
(低緊張なので、こういうことが多いのです)
そこへ、2年生のお兄ちゃんが三輪車に乗って近づいたので、障担が「Pくん、お友達が床に寝ているところでは三輪車に乗らないでね」と注意しました。聞き分けのよいPくんは、さっと三輪車から降りました。

それを見ていたちびくま。ぴーんとくるものがあったようです。
次の休み時間に、Pくんが三輪車に乗り始めると、さっと近くの床に寝転んだのです。Pくんはあわてて三輪車を降ります。すると、ちびくまがさっと起き上がって三輪車を占領。

「ちびくまくん、のせて〜」と言うPくんを尻目に、ご機嫌で三輪車に乗るちびくま。

連絡帳でこの話を聞いて、笑ってしまいました。なんて悪知恵が働くんでしょうね。障担のことだから、ちゃんとフォローをしてくれたはずだと思うのですが、うーん。Pくん、ごめんね〜。

11/15

今日は音楽会の児童鑑賞会。17日の保護者鑑賞会のときは、子供たちは自分の出番にでるだけですが、この日はお客さんにもなって、他学年の演奏を聴くのです。

障害児学級のお母さんたちは、ゆっくり自分の子どもを見られるこの日に鑑賞することも許されているので、私も学校へ行きました。

1年生は、プログラム1番です。
「秋の日曜日」の一日を、台詞と歌と合奏とで表現する、というもの。
ちびくまは、あいかわらず、自分の場所で踊っていました。
まあ、本番もあんなもんでしょう(笑)。

障級在籍のY君が、なんとシンバルを担当する、6年生のクラス演奏。
1年後のちびくまの姿を思い浮かべながら聴く、2年生の演奏。
忙しい中を塗って練習したらしい、先生たちのリコーダー奏は、校長先生のにこやかな指揮が素敵です。
そして、ちょっとじーんときてしまったのが、3年生の演奏でした。

タイトルは「とべないほたる」。
1人だけ、縮れた羽で生まれてきたため、飛べない蛍のピピと、なかまたちが助け合って生きていくというお話を、音楽劇にしたものです。
「とべない ぼくは ほたるじゃない ぼくは どうして いきているの?」
という歌詞のところでは、ちょっと胸がつまってしまいますが、最後は
「 みんな そのままでいきていていいんだよ みんな ほたるなんだよ」
という歌詞になり、みんなで助け合って新しい未来へ飛んでいきます。

実はこの学年、74人の子どものうち、5人が障害児学級に在籍しています。

M小では、養護学校並に、生活単元学習・感覚・自立活動などの授業も行っていますが、その子の特性に合わせて、その子にメリットのある範囲で、普通級での活動必ず取り入れています。
ですから、普通学級2クラスの学年に5人の障害児がいる、ということは、学年の子どもの全員が、1年生の時から毎日、さまざまな障害を持つ子どもと同じ教室で過ごす時間を持ってきた、ということです。

この子どもたちの付き合い方は、実に見事です。助けが必要なところは助けてくれ、励ましが必要なところでは励ましてはくれるけれど、可哀想がったり、いたずらに特別視したりするところが感じられません。

そんな子どもたちが歌う、この歌だからこそ、「きれいごと」でないインクルージョンの心が、織り込まれている気がしたのでした。

11/17

音楽会本番。
15日に、ひととおり聴かせてもらってはいたのですが、この日は夫とともに参加しました。

プログラム1番、1年生。
さあ、ちびくまの踊りが見られるぞ、と思っていたら・・・。
ちびくま、歌ってはいないのですが、踊らずに立っているのです。
それも、半分以上は指揮の先生のほうを見ています。時々、きょろきょろと振り返ったり、その場で一回転したりしていましたが、「ちょっと落ち着きのない子」(贔屓目?)くらいで済んでいました。
入場も退場も、周りの子が合図を送ってくれていましたが、それだけでなんとかこなせていました。
うーーん、なんだかびっくり。でも、踊りも見たかったような・・・(爆)

ところで、この日、障担の先生たちは、黒服でした。介助がないと舞台でじっと立っていることが難しい子は、最後列。先生たちは姿が見えないようにしゃがんで、こっそり声をかけたり、抱きとめたりして、文字通り黒子になっていたのでした。でも、不思議なもので、子供たちはみんな、ニコニコして舞台にあがっているのです。ざわざわした雰囲気、音、いつもと流れが変わる行事が本来苦手な子も多いのに、多少動き回ったり、(ご機嫌のあまり)奇声をあげたりはしても、脱走しようとしたり、泣き出したりする子はついに1人もでませんでした。

力づくで押さえつけているわけではないのに、「自分なりのやり方で参加する」「自分なりに『できた』という実感をもたせる」ということを重視しているように見えるこの学校の指導がよく生きているなあ、と思ったのでした。

11/19

ちびくまのクラスでは「音楽会がんばったね、の会」がありました。
行事をひとつ終えるたびに、ちょっとしたお楽しみの機会を作ってくれるのは、ひとつの行事をこなした自分の頑張りを子どもたちが改めて実感して達成感や自己肯定感を強めるための、障担の配慮のようです。
これも、事前に知らされていたことなので、ちびくまはたいそう楽しみにしていました。

こういうときにでてくるのは、果物やゼリーや、ちょっとしたお菓子など。
その子その子の好物を用意してくれるのは、いつもながら障担のきめ細かい心配りです。

結局、ちびくまは先生が用意してくれたものは殆ど食べなかったそうなのですが、帰宅しても「おんがくかい、がんばったねーのかいをしました」と言い続けていたのは、彼の心には先生の心遣いはちゃんと届いた、ということだろうな、と思いました。

11/20

今朝から、早朝マラソンが始まりました。12月1日に行われる、全校マラソン大会の練習です。
去年までは2月に行われていたらしいのですが、その頃になると悪天候の日が多いこと、インフルエンザが流行ったりして、参加者が減ることなどの理由で、2学期末になったらしいです。

運動会のかけっこでも走ろうとしなかったちびくま、どうなることかと思いましたが、障担に手を繋いでもらって、校庭を3周したそうです。
でも、こういうことでは、彼はとことんマイペース。

11/23

今日は祭日ですが、PTA同推部の主宰で、クリーンハイキングがあります。ウォーキングが趣味の障担から、「私も行きますので、是非ご参加くださいね。ちびくまくんと歩くのを楽しみにしていますので」と言われては、参加せざるを得ません。(笑)

ちびくまはもともと歩くのは大好きな子どもですし、通園施設時代もお散歩で慣らしているので、マイペースでよければ、距離を歩くことには問題ありません。例によって、道端に停まっている車が気になったり、道行くダンプカーに気をとられたり、そばの公園でラグビーの練習をしているのを眺めたり、と道草はいろいろあったのですが、目的地に近づいてきました。ゴールを確かめるPTAの役員さんが見えます。

そのときです。その人が険しい顔で、こちらに怒鳴りつけました。
「ちょっと!速く歩いてもらえます!?みんなに待ってもらってるのよ!」

何時までに現地に着かなければいけないとは聞いていません。びっくりしました。
「いろいろ、興味のあるものがあるので。すみません、あとは私が責任を持ちますので、皆さんにはお先に行っていただいて下さい」
障担がそうとりなしてくれますが、その人は尚も言い募ります。
「あのね、早くしてください、って言ってるんですよ!みんなの迷惑なんです!困るんですよね、ほんとに!」

「みんなの迷惑」という言葉がつきささりました。
学校のPTA行事である以上、障級の子どもにも参加権はあるはずです。でも、実際は、こうして障担が好意で介助してくれなければ、参加することもできない。
みんなに足並みを合わせられない者は、迷惑だ。参加するな。
そういった言葉を障害児とその親に投げつけて、なにが同推だ。

そう思いながら現地につくと、1人で先を歩いていた夫が不機嫌な顔をして待っていました。
「なにしとったんや。みんなに迷惑かけて」
「子どもを私と先生に押し付けて、自分だけ先に行ったくせに、なによ、そのいいぐさは!」
こうなるともう大喧嘩です。ちびくまは泣き出してしまいました。

もう、ハイキングなんてどうでもよくなりました。私はその後夫とは口をきかず、お弁当も他の人たちから離れて食べ、レクリエーションにも参加しませんでした。
障担だけがひとりおろおろして、ちびくまと一緒に遊んでくれていました。申し訳ないことをしました。

家の中と学校とでは、理解され、守られているちびくまも、障害児であることを告げずに一歩外へ出れば、たちまちこういう目にあいます。
両親の足並みが全く揃っていないのも、家では目立たなくても、社会の中に出れば、たちまちお互いの足の引っ張りあいです。

私たちには、乗り越えなければならない壁が、まだまだあるなあ、と改めて実感しました。
ちびくまが「ハイキング、またいこうねー」と言ったのが唯一の救いでした。

11/25

ちびくまはプールが大好きですが、うちの市では温水プールはスポーツクラブや民間のレジャー施設にしかないので、シーズン以外、泳ぐことはできません。

スイミングスクールも、「言語指示に従って、体を動かす」ことを要求されますから、言語理解と協調運動の障害が最も深刻なタイプのちびくまには、マンツーマンでない限り難しいものがあります。

それで、諦めていたところ、社協で初めて障害児向けの水泳教室をやってくれることになり、大喜びで申し込みました。今日はその1回め。

ちびくまは、相変わらずシャワーも水も全く怖がらず、大喜びでした。内容はきちんとしたレッスン形式だったので、あまり自由に遊びまわることができず、その点だけが不満だったようですが。

全4回、という短い期間ですが、楽しんでくれそうです。

11/29

障級全体のクリスマス会が12月15日に予定されています。
この会のときは、先生も子どもも衣装を着けて、劇をやるのだそうです。入学してすぐの頃から、「クリスマス会はね、M小障級の名物なのよ。すごく面白いから、楽しみにしていてね」と先輩お母さんたちから聞かされているので、私も楽しみにしています。

授業として、小道具を作ったり、背景画を描いたりと、準備も始まっているようです。いつも、手やズボンに絵の具を付けて帰ってくるちびくまなのですが・・・。

今日、いつものように帰宅して、ジャケットを脱いだちびくま、なんと黄色のサテンのパフスリーブのブラウスを着ていたのです!
「ちびくまくん、どうしたの、このお洋服?」

そこへ電話がかかってきました。障担です。
「お母さん、きっとびっくりされていると思って〜(笑)。それ、去年私が女の子のために作った、お姫様の衣装の上衣なんですけど、ちびくまくんが着たがるので着せてあげたら、脱がない、って言い出しちゃいまして」

うわはははは(笑)。
サテンの肌触りが好きなのは知ってましたが、何もお姫様の衣装でなくても。キミはきっちり男の子顔だから、似合わないのよ〜(笑)。

「お蔭で、ちびくまくんも衣装は着てくれそうだ、ということがわかってほっとしました。今年は、ちびくまくんに似合う、可愛いのを作りますから、楽しみにしていてくださいね〜」と障担。
うふふ。来月が楽しみです。



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