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12/1 今日は、全校耐寒マラソン大会。1・2年生は1.2キロを走ります。 学年ごとに出発時刻が違うので、ちびくまのスタート時刻にあわせて家を出ました。ところが、車の駐車場所を見つけるのに手間取り、子どもたちの走る道に出たときには、1年生のほとんどが折り返し地点から引き返してくるところでした。 ちびくまは、と見ると・・・、いたいた。ちょうど折り返し地点あたりで、障担と介助のN先生の2人にはさまれるようにして、走っていました。 マラソン、というより、小走り、くらいのペースなんですが、なんとか走っている、という形を保っていたのに、親の顔を見るなり、ヘナヘナヘナ・・・。 そこで足が止まってしまいました。 そこで飛び出したのが父親。 「こい、ちびくま、お父さんと一緒に走るぞ!」 かくして、ちびくまは大人3人に囲まれて、無事?ゴールにたどり着くことができました。もらった順位カードは99位。 そこへ、交流級のHくんがやってきました。 「ちびくまくん、何番やったん?」 Hくんはちびくまが交流級で唯一固有名詞で呼ぶ、仲良しです。 「ちびくまくん、Hくんにカード見せてあげたら?」 ちびくまは、黙ってカードを突き出しました。 「99番か。よう頑張ったなあ。えらい、えらい」 そう言って、Hくんはちびくまの頭をなでました。 実は、このHくん、クラスではちょっと目立つ存在です。 授業中じっと座っていられない。忘れ物、なくしものが多い。持ち物が整頓できない。その場に関係なく、衝動的に話を始めてしまう。 普通学級では、うまくいかないこと、失敗も多くて、べそをかいていることもよくあるらしい。 こういう彼が、自分ができないことに劣等感を抱かず、しかも自分よりもっとできないことが多いちびくまの頑張りを認めようとするのは、自分も認められる体験を日頃からしているからこそ、でしょう。 ちびくまも、交流級に行くのを楽しみにしているのは、やはり、自分の居心地がいいからでもあるようです。 交流級担任も、上手に指導してくださっているのだなあ、と思いました。 |
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12/2 障害児スイミングの2回め。前回は父親にも一緒に行ってもらったのですが、場所もわかったので、今回はちびくまと私の2人だけで行きました。 レッスンが終わって、隣接の大型スーパーSの店に入ります。 ここの屋上駐車場に車を停めているのですが、ちびくまとしては、そこまで上がる途中で、3階のおもちゃ売り場やゲームコーナーを見るのが楽しみなわけです。 おもちゃや文具をしげしげと眺めているちびくまを背後から見守っているところへ、同じ障級のPくんとお母さんが通りかかりました。彼も同じスイミング教室にきているのです。Pくんは、しっかりお母さんの腕につかまっています。 「Pくんはいいわねえ。ちゃんとお母さんに付いてきてくれて」 そう言って、ふと振り向くと、ちびくまの姿がありません。 「あれ?さっきまでここにいたのに」 慌てて、周囲を探しますが、ちびくまはどこにもいません。今度はフロアを端から端まで歩いてみました。いつもなら、いそうなところは決まっているのに、今日に限って、どこにもいません。 時間がたつにつれて、不安になってきました。丁度、県内で、小1の男の子が誘拐された事件があったばかりです。下のフロアまで降りてしまったかもしれない。外に出てしまったら、店の前は国道。屋上の駐車場に出て、車を眺めていたりしたら、車にひっかけられるかもしれない。 そこへ、やはりちびくまと同じ障級のQちゃん(4年生)が通りかかりました。障級在籍とは言え、彼女は会話も普通に出来、クラスのリーダーを自認する、しっかりしたお姉さんです。友達と一緒に遊びにきているようでした。 「Qちゃん、ちびくまくん、見なかった?迷子になってるの?」と言うと、 「見いひんかった。おばちゃん、ちゃんと見とかなあかんやんか。お店の人にゆうて、呼び出してもらい」 「そうするわ。ありがとう。またね」 幸い、店は夕方の混雑を迎える前でした。近くのレジに行って、「すみません、子どもとはぐれてしまったんです」と言うと、「そういうことは、サービスカウンターのほうへ行ってください。」 慌てて、フロアの反対の端にあるカウンターまで走っていって、同じことを言うと、「いいえ、迷子のお子さんはいらっしゃいません」 ナニイッテルンダ、コイツ。 「現に、今、はぐれて、どこかに1人でいるはずなんです。探してください」 「じゃ、ちょっとお待ちください・・・(電話をかける)・・・今、1階のカウンターにも訊きましたが、迷子はいませんよ」 ニホンゴツウジテルノカ、コノバカ。 「6歳なんですが、ちょっと障害があって、自分が迷っていることに気がついていない可能性があるんです。気がついていたとしても、泣いたり、大人の人に助けを求めたり、っていうことができないんです。わかるように質問されれば答えることもあるんですが、コミュニケーションが難しいんです」 「じゃ、こちらのサービスカウンターに来ていただくよう、放送すればいいんでしょうか。それ以上のことは、ちょっとできかねますが」 ツブレチマエ、コンナミセ。 「だから、それが理解できないって言っているでしょう!お店のかたに、探していただけるようにして欲しいんですよ!」 そこへ、Pくん母子が走ってきました。 「ちびくまくん、いたよ!Qちゃんが探してきてくれたの。今、2人であっちで待っているから」 慌てて走っていくと、ちびくまは何事もなかったように、おもちゃ売り場を眺めていました。その片手を、Qちゃんが握り締めていました。 友達と一緒に遊びに来ているのだから、引き止めては悪い、と思って別れたはずのQちゃんが、自分からちびくまを探しまわって、私に会った場所まで連れ戻してくれていたのでした。 「ありがとう、Qちゃん、助かったわ!」 「じゃ、バイバイ」Qちゃんはあっさり行ってしまいました。 冬だというのに、私は汗びっしょり。久々に肝を冷やす体験をしました。 これまで、迷子になった経験は殆どないちびくま。しかも、最近は行動がとても落ち着いてきていたので、油断していました。 ああ、もうQちゃんには足を向けて寝ることができません。 そして、あの店では二度と買い物してやるもんか、と心に誓った母なのでした。 |
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12/3 連絡帳に昨日の顛末を書き、Qちゃんへお礼の手紙を障担から渡してくれるよう依頼しました。 Qちゃんはそれをクラスのみんなや先生の前で披露して、喜んでくれたそうです。 以前から「M学級のリーダー」を自負するQちゃんは、ますます面倒見が良くなり、もともとQちゃんとは仲の良いちびくまは、ますますQちゃんべったりになってきたとのこと。 「大人になったらちびくまくんと結婚する」と公言してはばからないQちゃんなのですが、本当に今から予約しておこうかしら(笑)。 |
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12/4 今日は、M小を早退して、障担と一緒に、校区のF小へ交流に行きました。 前回の失敗?を教訓にして、今回は 「皆が口々にしゃべったり、動いたりしているところでは、本人のストレスが強くなります。障害児だから勉強でないほうがいい、と固定的に考えないでください。むしろ、皆がきちんとしている場面でのほうが、ずっと落ち着いた行動がとれ、それができることで本人の自信にも繋がるのです」 と申し入れをしておいたところ、国語の授業に参加できることになったのでした。 新単元の導入部分で、内容は担任による読み聞かせが主。 ちびくまは、前回とはうって変わって、きちんと着席して、静かに授業を受けることができました。 交流先の校長先生も教頭先生も、障担の先生も、交流級の先生も、ちゃんと覚えていたちびくま、帰りには「ありがとうございました」と挨拶して、 「またおいで」と言ってもらっていました。 ちびくま本人はここに来ることをどう思っているのか、訊く術はありませんが、少なくともひとつの行事として、チャレンジしてみよう、という気持ちがあることははっきり見て取れました。 1学期は家を基地にして学校に慣れ、2学期は障級を基地にして交流級に慣れていったちびくま。 その世界を、少しずつ広げて、私のもとから巣立つ準備を時間をかけてしてやることが私の仕事だと思っています。 |
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12/6 まだ、ちびくまの国旗へのこだわりは続いています。 障担はそれを上手に使って指導をしてくれています。国旗を見て、その国名を書くことは、カタカナの練習。色紙を適当な形に切って、それを張り合わせて国旗を作ることは、微細運動などの訓練。苦手な活動をするときに、「これが終わったら、あとで国旗をしよう」と言われると、それを励みに頑張るちびくま。 彼の国旗の知識もそうとうなものになってきました。国連加盟国の旗は、ほぼ全部覚えてしまったようです。一昔前なら、テレビに出られたんだよなー、などとミーハーな母は考えてしまいます。 今日も、「あのつくことばはアメリカがっしゅうこく、アフガニスタン、いのつくことばはイスラエル、イラク、うのつくことばはウクライナ、ウガンダ、えのつくことばはエクアドル、エチオピア〜」と歌いながら、宿題をする彼なのでした。 |
| 12/13 今日は、15日のクリスマス会のリハーサルと児童鑑賞会でした。 この学校の障級は総勢16名の大所帯なので、2班に分かれて劇をするのです。 「障級一の目立ちたがり」の地位をすっかり確立しているちびくまはもう大はしゃぎ。自分のクラスの劇では自分の出番でなくても舞台からひっこまないし、もう1つの班の劇にまで飛び入り参加してしまいました。 「でも、とても可愛い演技なので、お父さんお母さんの前でも、あの調子でやってくれるといいんですけど」とは障担の弁。 さてさてどうなりますやら。 |
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12/15 いよいよ、クリスマス会本番です。 第1部は、「サンタと遊ぼう」。 サンタクロースに扮した校長先生が、お姉さんサンタとトナカイと猿を従えて登場。みんな、サンタから紙袋で作った靴下に入ったプレゼントをもらい、音楽の先生の生ピアノでクリスマスソングを歌い、踊ります。 第2部は1組・4組合同の「新・ヘンゼルとグレーテル」。 メンバーの中に、台詞をしゃべれる子が1人しかいないので、子どもの動きに合わせて、先生たちのアドリブが光ります。 そして、第3部がちびくまの出る、2組・3組合同の「新・キャッツ」。 1組の先生の紹介のあと、舞台のちびくまにマイクが渡されました。 「ビー。ほんじつは、まいどごらいじょうありがとうございます。 ただいまより、げきだんのらねこによります、キャッツをじょうえいいたします。 とうしばとカルビーとセキスイハウスとJAバンクとマクドナルドのていきょうでおおくりします。ビー」 これだけですでに大喝采を浴び、ちびくまは大喜びで舞台上を跳ね回ります。 結局、最後の 「これをもちまして、ほんじつのこうえんをおわります」 という挨拶まで、ちびくまはマイクを握りっぱなし、舞台に出っ放し、ずっと飛び跳ねていました。 まあ、この班は、ぴょんぴょん系の子どもたちが殆どなので、飛び回っていてもちゃんと絵になるように考えられていたのですが。 どちらの劇も、子どもたちの可愛い仕草と先生たちの芸達者ぶりに皆大笑い、大喝采のうちに終わりました。 そのあとは、家庭科室で、先生方お手製のカレーライスでみんなで会食。 とても楽しい1日になりました。 |
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12/16 「劇がとても上手にできたね」と先生たちからも両親からも褒められて、大得意のちびくま。 私の撮影したビデオを、朝から何度も繰り返して見ています。 先生のアドリブで文句なく笑える劇に仕上がっているので、私たちもゲラゲラ笑いながら一緒に見ていました。 でも、ちびくまにとっては、「自分が頑張った」「よくできた」ことの確認だったのでしょう。 衣装をつけ、与えられた台詞を正確にしゃべり、その場の雰囲気を楽しむことができる・・・この子にそんなことができるようになるなんて、1年前には考えられなかった。 この1年の彼の成長を改めて実感する機会にもなりました。 |
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12/18 学校での休み時間。 「ちぎって、ぽん」と言いながら、色紙をちぎって自由帳に並べて貼り、そこに「はっぱ」「ひまわり」「すみれ」などと書き込んでいたそうです。 こういう「創作」系の遊びは今まで見られなかったので、先生もびっくりして連絡帳に書いてくれていました。 毎日、毎日、新しい発見のあるちびくま。 今、ちょっと発達に加速度がついているようです。 |
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12/20 朝の会でのこと。 子供たちはひとりひとり名前を呼ばれて、返事をすることになっているのですが、N君が返事をしませんでした。 そこで、先生が「Nくん、おへんじは〜?」と言いながら彼に近寄っていくと、突然、ちびくまが腕でN君をかばうようにして、 「なかしたらあかん!」 「ちょっと、ちびくまくん、そんな人聞きの悪い〜」と先生方、大爆笑になったそうですが。 「車椅子やバギー移動のお友達の前でドアを開けてあげたり、大人しいタイプのお友達にはそうっと関わり、やんちゃなお友達には体ごとぶつかってちょっかいをかけたり、明らかにまわりのお友達の個性を意識して、相手に合わせて関わり方を変えています。大人に対する関わりの持ち方も以前に増して積極的になってきました」とは障担の弁です。 |
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12/25 今日は送迎パスの運行打ち合わせ会。 春休み・夏休み・冬休みと1回ずつ、教委と学校と保護者と運行を委託されている運送業者とが一堂に会して行われるのですが、新ルートの話し合いがある春休み以外は、挨拶程度のことなので、保護者の関心も高くなく、お休みも目立ちます。 私も、別に出る必要性は感じなかったのですが、冬休みになって退屈しているちびくまのために出かけることにしました。 案の定、校長先生や他のクラスの先生や障級の友達に会えたちびくまは嬉しそう。 30分ほどの会の間、部屋の前と後ろのホワイトボードいっぱいに字を書いて遊んでいました。 会が終わってから、他のクラスの障担K先生が、ちびくまも車まで見送ってくれます。 「ちびくまくん、いっぱい書いていましたね。字を書くのが大好きなんですね」 「ええ、先生はご存知ないと思うんですが、実は、このひと、入学した時点ではクレヨンも持てなかったし、線も引けなかったんですよ。1学期・2学期のM先生の指導で、ああやって字を落書きするまでになったんです。ありがたいことだと思っています」 「まあ、そうだったんですか。私、もともと書くことが好きなお子さんだったのかと思っていました」 本当に、よくここまで来たよなあ、と改めてちびくまの頑張りとM先生の指導に感謝したできごとでした。 |
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12/29 大掃除もしないで、親子3人で寒風吹きすさぶ中散歩に出ました。 普段は車での移動が殆どなので、見慣れた町並みも歩いて見て回るとまた新鮮です。 瀟洒な一戸建ての立ち並ぶニュータウンを抜け、旧市街のはずれまで、約1時間ほど歩いて、冷え切った体を暖めようと、マ○ドナルドに入りました。 ちびくまは暖かい飲み物が好きではないので、オレンジジュース。 アメリカにいた頃は、彼をつれてこういう店に入ることはできませんでした。多動の彼は、すぐにウロウロしだし、とめられると床にひっくり返って大声を出したりするからです。テイクアウトしたハンバーガーを公園で食べたり、ひどいときは車の中で食べたりしたものでした。 でも、今の彼は、自分の注文したものが来るまで窓の外の景色を楽しみ、テーブルについて落ち着いて食べることができます。まだ手づかみで食べてしまうので、食べるものは少々選びますが、本当に一緒に生活することが楽になってきました。 さて、それぞれに飲み物を飲み終わって店を出ようとしたのですが、ちびくまはなんだかしきりにカウンターの方を気にして、なかなかで外へ出ようとしません。ハッピーセットの玩具が気になっているのかな、と思い、「ちびくまくん、何を見てるの?おもちゃ?」と訊いても、ちびくまはカウンターを指差すだけで答えません。 もう一度「何か欲しいの?」と訊くと、小さな声で 「てりやきバーガーかうの」。 これにはびっくり。てりやきバーガーなんて、彼は生まれてから一度も食べたことがないのです。 聞き間違いかと思って「ハンバーガー買いたいの?」と訊くと、今度ははっきり 「てりやきバーガーかいたいの」。 そこで彼をカウンターに連れていって、 「おねえさんに、何が欲しいか言ってごらん」と言うと、やはり小さな声で 「てりやきバーガー」 なんとかこれは聞き取ってもらえたようでした。 てりやきバーガーの入った袋を嬉しそうに提げたちびくまと私たちはやっと店を出て、家路につきました。 家につくなり、「てりやきバーガーたべる!」と叫んで、あっという間に平らげたちびくま。 ある日突然、を繰り返し、私たちを驚かせたり感嘆させたりする不思議な息子。来年もどきどきわくわくをたくさんくれることでしょう。 |