ちびくまスケッチ(2002年5月)


5/1

(連絡帳より)
「あのねノートに書くとき、書いた文字を左手で隠して(ケラケラ笑いながら)私にわからないようにして書いていました。
2年1組でプリントなどを一緒にしていくうちに、答を人に見せないように子どもたちが左手で隠して書いているのをいつのまにか取り入れて実行しているようです。」
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まあ、毎日毎日、いろいろ吸収してくることです。

今日は生憎の雨で、体育の授業は体育館でマット運動。
ちびくま、マット運動はとっても苦手ですが、青いマットがお気に入りで、
「『かいすいよく』と言いながら、マットの上で泳いで」いたそうです。


5/2

先月末の土曜参観の代休で、学校はお休み。
「お父さん」は会社なので、私と2人で過ごします。
何をしようかなあ、と考えていると、ちびくまが
「きょうは、おかあさんとふたりで、バスにのって、としょかんへいきます。」

市立図書館は、車で行けば10分、駐車場完備。
30分に1本しかないバスで行けば15分、片道大人220円。

「えー、ちびくまくん、車で行こうよ」
「バスでいきます」
「バスはまた今度にしようよ」
「バスでいきます。ふたりでバスにのります」

えーい、強情モノ。
結局バスに乗ることになりました。
ちびくまは、ごきげん。

図書館に着くと、AVブースを指差して、
「おかあさん、ちびくまくん、トーマス見る」
お目当てはこれでしたか。

実は春休みに一緒に図書館に来た時に、ここでトーマスのビデオを見ていた子がいたんですね。
ちびくまは見るからに見たそうだったのですが、春休み中なので、ブースが一杯で、順番まちにはかなり時間がかかりそうだったのでわざと気がつかないふりで、退散したのです。
それからずっと、心の中で「図書館でトーマスを見たい」と思いつづけていたのかも。

幸い、今日は平日だったせいか、ブースはがら空き。
ちびくまは、念願のトーマスを心ゆくまで楽しみました。


5/7

連休も明け、いよいよ学校生活も本格始動という感じです。

朝の学習では、ちびくまが苦手な種類の足し算が。
「できること」にひたすらこだわるちびくま、できないこと、わからないことはパニックの引き金になるのですが、交流級にいたせいか、
「むずかしいねえ、たしざんは」
と介助の先生に言ってすまして座っていたそうです。
ちびくまなりのプライドなんでしょうね。

さて、今日は途中で学校を抜けて、学校から車で5分の福祉センターで療育手帳の更新判定。
ちびくまには昨日の夜と朝学校へ行く前に
「○時○分になったら、おかあさんが学校へおむかえにいきます。
車でふくしセンターへ行って、○時から、子どもセンターの先生とおべんきょうをします」
と書いたものを見せておいたので、迎えにいくと、すっかり行く気になって、駐車場のそばで障担と一緒に待っていてくれました。

ところが、時間どおりに福祉センターに着くと、
「すみません、前の人に時間がかかっているので、15分ほど待ってもらえますか?」

おーーーーい!それはないでしょ〜!
あなたがたが待たせようとしているのは、前回「自閉症のため、予定変更でのパニックなど生活上の困難が非常に多い」という評価をあなたがたがした子どもなのよ!

最近時間へのこだわりが強まり、夕食が時間どおりにできないと言っては泣きがはいるようになったちびくまが、ここでも大パニックになることを覚悟した私でしたが、係の人に
「前のお友達がまだお勉強してるので、待っててくれるかな?」
と言われると、ちびくまは「まっててくれるかな」と答えて廊下のソファーに
こしかけました。

学校生活では、自分でもできるだけパニックを抑えようと頑張っているちびくま、「先生とお勉強」という言葉からここは学校に準じた場所だと判断したようです。
結局、15分どころか30分以上も待たされたのですが、ちびくま、ついにパニックにならずに持ちこたえました。

カーテンで仕切った向こうで、1人発達検査を受けて出てきたときには、もう疲労困憊。
私の膝に上ってきて、「頑張ったね。疲れた?」の質問に「つかれた」と答えるなり、電池切れ爆睡状態に(笑)。

結局、知的には中度の範疇だが、運動面や身辺自立の著しい遅れや本人の「やりたいのにできない」ストレスの心理面での影響など、総合的に判断して、再度重度判定が出ることになりました。

若い職員が「でも、一生懸命こちらが何を要求しているのか読み取って、答えようとする意欲がすごいですよね。検査の間もちゃんと着席できるし、とても重度には見えない」と言ったのに対し、
「でもねえ、誰が見てもすごい多動で、まわりが見えてなくて、扱いが大変だろうな、って思える子も確かに大変だけど、こんな風に、中途半端にまわりが見えてしまってて傷つくことが多かったり、一見障害がないように見えるばかりに必要な配慮や注意を受けることが難しかったりする子って、また別の意味ですごく大変なんだよ」
という年配のケースワーカーの言葉に「わかってるじゃないの〜」と心の中で拍手した母だったのでした。


5/10

今日は、障級の子供たちは先生とイチゴ狩りにいく予定でした。
毎年、校区の農家の方が、この子達のために特別丹精したイチゴ畑を、イチゴ狩り体験のために提供して下さるのです。

去年はイチゴに興味がなくて、大して喜ばなかったちびくまでしたが、今年はイチゴを喜んで食べるようになっていたので、「いちごとったり、たべたりする」と言って楽しみにしていました。

でも、お天気は朝から生憎の雨。
「イチゴがりに行きたかった」と延々泣き続けたお友達もいたようでしたが、ちびくまは大丈夫。
「学校っていうところは、予定変更ばっかりあるところだ、とわかってくれているみたいですね」とは障担の感想。
でも、もちろん、ちびくまたちは「雨が降ったら行けない」ということも、「行くかどうかは先生たちが○時に決める」ということも、事前に教わっているのですが。

結局、イチゴだけは先生がもらいに行って、子どもたちにわけてくれたのですが、ちびくまは「わあい、おいしそうないちご!」と大喜びしたそうです。

母が作ったおべんとうは「おもちかえり」と言って食べず、「いちごもおもちかえり」と言って、一緒に持って帰ってきました。
そして、学校から帰ってから、1人でぺろりと食べたのでした。


5/13

今日は障害児学級の保護者会で、学校へ出かけて行きました。

すると、途中で、ちびくまのクラスの介助の先生が私を呼びにきました。
「保護者会中なのにすみません。でもM先生がどうしてもお母さんに見ておいていただきたい、ということなので」
何事かと思って付いていくと、運動場で補助輪つき自転車をこいでいるちびくまの姿が・・・・。

実はちびくま、小2の今までいくら教えてもペダルが踏めず、自転車はおろか三輪車も乗れなかったのです。
去年も一度M先生が学校で自転車に乗せようとしてくださったのですが、その時もペダルが踏めず、自分から嫌になって降りてしまったのでした。

そのちびくまが、ペダルを一生懸命踏んで、自転車をこいでいる。まだスムーズにこぐことはできなくて、ペダルが一回転しては休み、また一回転、という感じなのですが、それでもちゃんと前進しています。

「ねえ、お母さん、すごいでしょ!」と障担。
休み時間が終わって、3時間目が始まるのだけど、先生が
「ちびくまくん、2年1組に生活のお勉強に行きますか、それとも自転車をもっと頑張りますか」
と訊くと、はっきりと
「自転車をがんばります。まけないぞ」と返事。
結局3時間目が終わるまで、校庭を3周走ったちびくまなのでした。


5/16

今日は「1年生を迎える会」。

体育館に全校児童が集まり、上級生がセッティングしたゲームなどで、1年生を遊ばせてあげることになっています。

ちびくまは、「2人組でロンドン橋の橋を作ってあげる係」だったのですが、なんと障担の心配をよそに、30分以上頑張って「お仕事」をこなしました。

給食当番に掃除当番、交流級のみんなと共に「お仕事」をすることは、ちびくまなりのプライドを刺激するようです。

去年の「1年生を迎える会」では、「パニックを起こさずに会場に入れるかどうか」を先生と母とで心配したちびくま。
ここでも、1年間の成長をはっきり感じました。


5/20

先日補助輪つき自転車をこげるようになってから、学校では自転車に夢中なちびくま。
20分休みや自立活動の時間には、必ず「じてんしゃ」を要求します。

そこで、明後日の2年生の遠足のためのおやつを先生と2人で買いに行く買い物学習を学校から自転車に乗って行く事を障担が提案してくれました。もちろん、ちびくまは大喜び。

丁度そこに居合わせた校長先生に行き先を行ってから、先生と一緒に出発。結構いい調子でこいでいったので、先生は走らないといけなかったそうです。

家では別人のように、自転車を拒否するちびくまなので、学校でこういう機会を与えて、彼の世界を広げていってもらえることは本当に嬉しいです。


5/21

明日は2年生の遠足。
障級の2人の2年生も、それぞれの担任に付き添われて参加します。

もちろん、障担はちびくまに前もって経路や予定をプリントに書いてくれて、それをもとに一緒に行動の予定を確認する事前学習の時間をとってくれます。

今回の遠足は、普通学級の子どもたちは初めて電車で行くのですが、行き先は、なんと我が家から徒歩7分の大きな公園(笑)。
そう、ちびくまの学校の最寄駅から我が家の最寄駅までは電車で3駅あるのです。

ちびくまは、公園の名前と駅の名前を見て、それがどこの公園なのかわかったようで、プリントの「自由時間」のところを指差して、障担に
「おかあさんくる。」

先生は、自分が「そうね」と言ってしまったら、親が来ることを強制することになってしまう、と思って黙っていたら、ちびくまがまた、
「おかあさんに、みていただきます。」

仕方がないので、障担が
「それは先生からは言えないから、ちびくまくんお家に帰ってからおかあさんにお願いしてみてね」
と言うと、ちびくま、いきなりプリントにでっかく「おかあさんきてね」と書いたそうです。

字が書けるようになって、書くことで自分の思いが伝えられるという喜びを知ったちびくま。
しかし、結局こう書かれちゃ、行かないわけにいかないですよね。(^^ゞ


5/22

これぞ「五月晴れ」というような、きれいに晴れ上がったお天気。遠足日よりです。
ちびくまのお弁当リクエストは「玉子とハムのサンドイッチ」。

お昼時、帽子をかぶって、公園までぶらぶら歩いてでかけました。芝生の大きな広場に、一目でそれとわかる遠足集団。

遠くから目ざとく私を見つけて手を振ってくれる障担を目印に近寄っていくと、子供たちはちょうどお弁当を食べ終えたころでした。

ちびくまも、何人かのクラスメートと障担、交流級の担任に囲まれて、お弁当箱に蓋をしようとしていたところ。私の姿を認めると、「おかあさんきたよ〜」とニッコリ。

お弁当の後は、自由遊びということでしたが、これまで「きちんと団体行動の規律を守っていた」(障担談)ちびくま、ここぞとばかりに1人でみんなとは反対方向に動き始めます。
こういう「自分勝手」な行動は、母の私が一緒にいるほうがひどくなるのです。

ちびくまは、勝手知ったる様子で、障担を公園の隅の石段の下へ引っ張って行くと、上を指差して「ダ○エーいくの。」
確かに、その石段を登った上にはダ○エーがあるのです。

障担が「ちびくまくん〜、今まだ遠足の途中なんだよ」と言うと、ちびくま、すかさず「ないしょ。」
「内緒でダ○エー行こうって言ってますよ〜」と私と障担は大笑い。

結局、集合時間まで、「ホ○ダの芝刈機」の観察をして、ちびくまはまた交流級のみんなと合流して、電車に乗って学校へ帰っていきました。

私と別れた途端、また「学校モード」に切り替わり、電車の中でも騒がず、とても良い子だったそうです。


5/24

おととい遠足に行ったばかりなのに、今日はまた障級の遠足。電車に乗って、遊園地へ行きます。
この遊園地に行くのは春の恒例行事だったのですが、業績不振で来春の閉園が決まってしまいました。
これで最後の遠足になりそうです。

ちびくまはこの遠足のことも、随分前から楽しみにしていて、今朝も早起きして「さあ、今日はなんにのろうかなあ」とつぶやくなど、ばっちり気合が入っています。

先生たちにマンツーマンで付き添ってもらって、子供たちはそれぞれの興味と体力に合わせて、乗り物に乗り、動物を見て、大満足の様子で帰ってきました。
でもやはり「一番もとを取ったのはちびくまくん」と言われるのは変わりません。学校で体験させてもらえることが、全て楽しめるというのは、ほんとに得な子どもだなあ、と思います。


5/27

ちびくまの学校では、障級の子どもたちも、給食をそれぞれの交流級で食べることが多いのですが、食べることがとりわせ微妙な問題になりがちなちびくまは、2年生になってからも障担と2人きりで障級で食べる日々が続いていました。

去年ちびくまの交流級では1週間に1回だけ、2人の子どもがちびくまと一緒に給食を食べるために障級へ来てくれていたのですが、クラスメートもがらっと変わったので、障担は慎重に交流を進めてくれるつもりだったようです。

ところが、それで黙っていなかったのが、去年ちびくまと同じクラスだった子どもたち。
彼らの中では、「自分たちはちびくまくんと同じクラスだから、今年も毎週ちびくまのところへ行けるはずだ」ということになっていて、
「センセ―、なー、いつになったら、ちびくま君とだれが食べるか、決めてくれるん?」とせっつかれて、交流担は大弱り。

ついに、「そこまで言ってくれるのなら」と、今日から給食交流を復活することになりました。
初回は、2人とも去年も同じクラスだった男の子。
はえある第1回のメンバーに選ばれて(実は名簿順)、彼らは鼻高々。
「○○くんは、去年、2回もちびくまくんと一緒に食べれたのに、ぼくは1回だけやったんや」と訴える子に、障担は
「ちびくまくんと給食を食べる、っていうのを、交流級の子供たちもものすごく楽しみに思ってくれているのがよくわかりました」と
感想を話してくれました。

ところで。
ちびくまの学校の障級には校区外の子や、体の移動機能に障害のある子がたくさんいるので、5台の送迎バスがあります。そのうち、一番古かったバスが、10年経ったので、新車に買い換えられることになりました。

下校時、やってきた最新式のリフトバスを見たちびくまは、目が釘付け。帰宅して、母の顔を見ての第一声も、この新しいバスのナンバーでした。当分、このバスにはまることになりそうです。


5/28

昨日、初の給食交流がうまく行ってほっとしたのもつかの間、また問題がもちあがりました。
「1週間に1回しかちびくまくんと一緒に食べられないなんて少なすぎる。毎日にして欲しい」
と子どもたちが交流担に詰め寄ったと言うのです(笑)。

「ちびくまくんが安定して給食を食べられるのが、もちろん一番大事ですが、交流級の子どもたちの方からそういう声が出た、というその気持ちも大切にしたいので、ちびくま君の様子を見ながら、週3回くらいまで増やしてみたいんですが」
と障担から打診がありました。

もちろん、いつかはみんなと一緒の教室でリラックスして給食が食べられるようになってくれれば嬉しいですし、統合を重視するあまり、障害のある子本人のニーズを無視するような先生ではないことはこれまでのお付き合いでわかっていますので、先生にお任せしてみることにしました。

2日めにきたのは、女の子2人。そのあと、交流級の子が10人ほどやってきて、いっしょに粘土をしたり、滑り台を滑ったりして遊んだそうです。まだまだどちらかと言えば、マイペースで遊んでいるちびくまに、決まった数人の子どもたちが合わせてくれる形であったり、「その場に一緒にいるだけ」の並行遊びだったりしますが、同年代の子どもとは同じ部屋にいることもできなかった昔のことを考えると、確実に変わってきているのがよくわかります。

少しずつ周りの子どもたちともいい関係ができつつあるようです。


5/31

2〜3日、宿題を拒否することが続いたちびくまに、障担が「宿題をしてきたら、明日いっしょに『こんなこいるかな』のビデオを見ようね」という条件を出しました。

でも、昨日は知らん顔だったちびくま。
今朝になって、「ちびくまくんは、きょう、こんなこいるかなのビデオを見るのよ」とウキウキした顔で言います。

「え?ちびくまくん、宿題をしてきたら、っていう先生とのお約束でしょう。ちびくまくんは、昨日宿題をしなかったから、今日はビデオを見られないねえ。残念だねえ」
私がそういうと、ちびくまの顔色がさっと変わりました。
「しゅくだいします!しゅくだいします!」

そして、家を出る5分前から、慌てて宿題をしあげて学校へ行ったのでした。

もちろん、障担は、その努力を褒めて、ビデオをかけようとしてくれたのですが・・・いざ、というときになって、肝心のビデオが見当たらなくなってしまいました。

さあ、ちびくまは大パニック。隣の教室の先生の机の引出しまで勝手に開けて探すほどの荒れ振りです。
結局、介助の先生まですべて動員して捜索した結果、同じクラスの「片付け屋」のお姉ちゃんが誰にも気付かれずに玩具箱の中に「おかたづけ」していたことがわかり一件落着。
いつもどおり、にこにこご機嫌ぼうやに戻ったちびくまは、無事、ビデオを見せてもらうことができたのでした。

学校では滅多に出ないちびくまの大パニックを初めてみた若い介助の先生たちは、びっくりして目が点状態だったそうですが・・・(笑)。





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