ちびくまスケッチ(2003年1月)


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ちびくまを連れて初詣に行こうと思い、「お出かけしよう」と誘うのですが「行かないの」の一点張り。
そこで、ちびくまの学校のすぐ近くにある、ちびくまもよく知っている小さな神社へ「バスに乗って」行こう、と誘ってみました。

「バスで○○神社行く!」ちびくまは即答。いそいそと出かける準備を始めました。

目的の神社は、まだ2日だというのに、地元の人らしい家族連れが2,3組いるくらいで、閑古鳥が鳴いていました。

ちびくまにもお賽銭を渡して、2人で拝んだ後、車につけるお守りを買おうと、社務所に立ち寄りました。
すると、小さなランドセル型の交通安全のお守りが。
「ちびくまくん、見て。こんなかわいいランドセルのお守りがあるよ」
と言って、私が黒いのを手にとると、
「ちびくまくんは、きいろのランドセルがいいの!」
「え?黄色いのが欲しいの?」
「きいろいのがほしいの!」

その後は、少し足を伸ばして、ト*ザラスの中を1時間くらいうろうろし、帰りはまた駅前のバスターミナルからバスに乗りました。
バスの中で、ちびくまは、「おかあさん、きいろいランドセル、かったね」とニコニコ。
最近、TVで24色ランドセルのCMを見るたび、「おかあさん、ランドセル、24色だよ。いろんな色があるね〜」と言っているちびくま、ひょっとしたら、小学校入学の時にランドセルを選ばせてやったら、それなりに思いがあったのかも。

当時は、まだ言葉もあまりなかったし、そもそもランドセルというのがなんのためにあるのか、わからないだろうと思っていて、ちびくまにランドセルを選ばせるなんて、思いつきもしなかったのですが、随分一方的に押し付けちゃったよな、とちょっと反省した母なのでした。

家に帰って、念のために、
「ちびくまくん、このランドセルも黄色の方がいい?」と聞いてみると慌てて
「くろがいいの!このランドセルがいいの!」と言っていましたが(笑)。


1/7

いよいよ冬休みも今日で終わり。

相変わらず人込みは嫌いなちびくま、「おでかけしたくない」と言い張り、初詣以来、ついに今日まで一歩も家を出ませんでした。

でも、「あしたは、しぎょうしきだね。がっこうへいくね」と言ってニコニコ。3学期が待ち遠しくてしょうがないようです。

集団生活が苦手な自閉っ子が、学校へ行くのを楽しみにできるのはとってもラッキーなこと。
今年も、ちびくまの学校好きが変わりませんように。


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今日はちびくまが待ちに待った始業式。
交流級の列にきちんと並んで、校長先生のお話を聞くのも、もうすっかり慣れて、特に援助がなくても、もうばっちりです。

始業式が終わった後、障級の教室へ校長先生が来てくださったので、ちびくまは大喜び。初めての「書初め」にも挑戦しました。

校長先生が「今年の学校のテーマは『活』にしたいなあ」とおっしゃったのを聞いて、障担に教わりながら「活」の字を一生懸命書きました。

その後、お気に入りの絵本を、校長先生に読んであげる「サービス」も。
「こうちょうせんせいに、『***』のほんをよんだね」といちいち障担に確認しながら、何冊か聞いていただいていました。

エネルギー全開の新学期です。


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最近、ちびくまは「1BOXカーごっこ」に凝っています。

教室に椅子を七つ並べて、先生やお友達を座らせ、「1BOXカーでお出かけ」を演出します。

座席指定もちびくまがするのですが、運転席と助手席に座っていいのは大人だけ、多動のお友達は必ず大人2人の間に座らせる、など「よく考えてある」(障担談)そうです。

車種も毎日変わっていますが、今日は「ラルゴごっこ」。
ちびくまが「とまるの。おとな4人でのるの」と言って、お友達2人の手をつないで降りようとするので、先生が「ちびくまくんたちはどこへ行くの?」と訊くと、「こどもだけでゲームセンターにいくの!」

普通級の子どもたちの生活指導で「子どもだけでゲームセンターに行ってはいけません」ということがよく言われるので、そこからヒントを得たようですが、「よくそういうことを考えるもんだよね」と、先生たちは思わず大爆笑になってしまったそうです。


1/14

学校の地元の自治会から、「とんど焼き」へのご招待が来て、2年生全員で徒歩15分ほどのところにある公園まででかけていきました。

先生が何も言わないのに、ちびくまはいつのまにか、交流級の女の子Kちゃんと仲良く手をつないで歩いていたので、障担はびっくり。
1年生や、2年生の最初のころは、常に先生が間に入って交流級の子供たちとの付き合いを仲立ちしてくれていたんですが最近は、男女を問わず数名の「仲良しの友達」が出来てきていて、自発的にこういう行動をとることが増えているらしいです。

さて、肝心のとんど焼きには全く興味を示さず、公園から見渡せる幹線道路を走る車やバスにひたすら見入っていたちびくま。
ぜんざいとお雑煮と豚汁がふるまわれていたうち、豚汁を選んで、しっかり食べました。

帰りは、障担が一緒なので、ちょっと寄り道してもいいだろう、と考えたのか、駅でバスや電車を見たい、と主張。
障担に認めてもらって、皆から離れて30分以上も電車やバスを見て、楽しみました。

やっと学校へ戻ったちびくま、大好きな介助のK先生の指に赤インクがついているのを発見。
「これどうしたの?ほけんしつへいかないとね」としきりに気にします。
「ちびくまくんって、やさしいんだねえ」と言っもてらって、またまた嬉しいちびくまなのでした。


1/17

8年前阪神大震災のあったこの日、学校では避難訓練がありました。

自閉っ子には珍しいことですが、避難訓練が大好きなちびくまは、朝から大張り切り。避難の合図があると、一番に避難していたそうです。

児童が全員校庭に避難すると、朝会の時のように整列して校長先生の話を聞くことになっていたのですが、ちびくま、校長先生が壇上に上がろうとするのを見ると、慌てて、最後部に集合していた障級の集団を飛び出して、朝礼台の方向へダッシュ。

「うわーっ、朝礼台に上がったりしたら、目立ちすぎ!」と障級の先生たちがあわてて追いかけようとしたのもつかの間、ちびくまは交流級の列のいつもの場所に整列。(背が低いので、前から3番目くらいが定位置です)

「校長先生のお話を聞くのは、2年1組の列に並んで、という風に考えたんですね。ちびくまくんのようが、私たちよりよっぽどしっかりしていました」と笑ってくれた障担ですが、これってやっぱり、「こだわり」のなせる技、ですよね(笑)。


1/20

全校集会のあと、障級の教室へ戻ってきて、障担が朝の会を始めようとした時のこと。

「今日は、1月20日。『大寒』という日です」と障担が言うと、ちびくまがすかさず「いちばんさむいひです!」

実は、この日の全校集会で校長先生が同じことを話されたのだそうです。
「集団全体へのお話」を聞き取る力の弱い障級の子どもたちのために、障担が同じことを障級で再度話してくれるのはよくあることなのですが

「あんな集団に向けた話でも、ちゃんと聞き取って、記憶している力があるんだなあ、と感心してしまいました」(連絡帳より)

こういう力も、少しずつとはいえ、集団生活のなかで確実にはぐくまれてくるものなのですね。


1/23

図書館で宮部みゆきさんの「模倣犯」をたまたま見つけて借りてきた私。(話題になっていた頃は、予約がすごくて借りられませんでした)
ああいう小説を読み出すと、途中でなかなかやめられないんですよね。
ついつい、やらなければならないことを後回しにして読みふけってしまうんです。

学校から帰ってきたちびくまの相手をしながらも、まだ読みつづけていたら、ちびくまが本を取り上げて大声で一喝。

「もう!おかあさん!ちゃんとちびくまくんをだきしめてチューしてよっ!」

ごめんなさい。・・・でもそんな言葉、どこで覚えてきたの?(笑)


1/27

ちびくま、最近、行動がやや荒れ気味です。
3学期になってから、障級での個別指導の時には着席しようとしないし、交流級の授業中も立ち歩きや1人だけ好きな事をしている、といった行動が出てくるようになりました。

先生の指示に対しても、これまでは言われた事が理解できれば素直に従っていたのに、最近では「いや」「しないの」と拒否したり「〜なんだから」と口ごたえしたりしています。

そうした日々の行動については、連絡帳で事細かに知らせてくれる障担ですが、「一度、お母さんにお越しいただいて、介助の先生も交えて、今後の指導方針についてお話させていただきたいんですが」と電話がかかってきました。

今日はその話し合いです。
ちょっとドキドキしながら教室に着くと、ちびくまは介助の先生3人をひとりじめにして、ハーレム状態でご機嫌で遊んでいました。

障担は、これまで見られた「問題行動」の例をひととおり紹介して「おかあさんは、こういう行動がどうしてでてきたとお考えですか?」

実は、私は、表向きには「問題行動」ではあっても、これはちびくまの発達によるもの、特に「人」と「自分」に向ける意識が発達してきたために起こっていることだと考えていました。

幼児期のちびくまには、まだ外界が混沌としていて、理解できていない状態でした。対人関係もごくごく限られていて、それもちびくまから要求を出すという一方的なもの。こういう時期には、自己刺激行動、常同行動など、一般に「自閉症の症状」と言われる特徴が強く出ていました。

こうしたちびくまに、「彼にわかりやすく情報を提示すること」「彼が安心して暮らせる環境を整える事」「人と交わる事が怖くない、役に立つ、快適である、と感じてもらう」という工夫を続けてきて行き着いたのが、「人に指示を出されれば従える」「ルールが理解できればそれに従える」「他人を拒否せず受け入れることができる」という状態。

これが、ちょうど入学の時期と重なったので、入学以来、ちびくまは
先生の言うことはちゃんと聞き、ルールには律儀に従う、「いい子」で通してきたのです。

ところが、より発達が進んで、「白か黒か」という二者択一でなく、グレーの部分もあるのだ、ということが理解できるようになってきたことや、「先生がこうして欲しい、といっているのはわかるけど、自分は今こうしたい」という、「他者とは違う自分」を意識できるようになってきたために、「親や先生の言う事をなんでも聞くいい子」ではなくなってきたのではないか、と思うのです。

それは丁度、非自閉の子が、何でも「いや」「自分で」と言ってみたくなる反抗期の頃の姿と重なります。もちろん、発達の遅れのない子なら幼児期に通ってしまう段階ではありますが、ちびくまにも「やっとその時期」がやってきたのであって、この時期を一方的に押さえつけないで上手に過ごさなければ、その後の健全な自我は発達していかないのではないか、と考えていたのです。

そうした考えを先生方に率直に話すと、障担はすかさず、
「お母さんがそういう風に考えていてくださって良かったわ。実は、私も、交流級の先生も、同じ意見なんです。ですから、ちびくまくんは私たちが甘やかしているから『悪く』なったのではなくて、順調に発達してきているんだから、これからも彼なりに理由のあることは説得はしても絶対に叱らない、押さえつけない、という方針で行きたいと思うんです。お母さん、それでよろしいでしょうか、介助の先生にもそういう方針でいっていただく、ということで」

そこで初めて、「ははあ」と気がつきました。障担は、私とのコンセンサスが十分とれていない、と感じているため私を呼んだのではなくて、介助の先生たちに、「親と先生の見解は一致しているので、その方針をきちんと理解して自信をもって仕事をしてほしい」ということを周知徹底する狙いをもってこの機会を設けたのではないか、ということに。

実は、「変だな〜」とは思っていたのです。「問題行動が増えたので親を呼び出す」っていうのはどう考えても障担らしくなかったし、「『問題行動』も視点を変えれば成長の証」ということは、これまでにも2人の間では何度も話し合ってきたことでしたから。

障担の話を聞いていくと、やはり、これまできちんとできていたことが
できなくなったので介助の先生が「私がいたらないせいで」と交流担に謝る、という出来事があり、介助の先生たちの中でも、「嫌がってもさせるとか、ちゃんと叱るとか、もっと厳しくしたほうが本人のためになるのではないか」という迷いがでてきていたようでした。

でも、交流担の方は、「やっと交流級でも自分が出せるようになってきた」と考えてくれていて、介助の先生が自分の責任だと考えないほうがいい、と障担にも話を持っていってくれていたようです。

結局、障担がポケットマネーで買ってくれたケーキとお茶をいただいて、
ちびくまは、大好きな介助の先生と長時間遊べて大満足、母は「やっぱりいい先生だわ〜」とホクホクしながら、親子でニコニコと帰途についたのでした。


1/28

朝、いつもどおりに起きてきたちびくまが、
「おかあさん、ちびくまくん、しんどいの。がっこう、おやすみする」

えっ?と思って熱を測ると、7度6分でした。
そういえば、昨夜少し鼻をぐすぐすいわせているな〜、と思ってはいたんですが・・・。

それにしても「体がしんどい」ことに気がつき、だから「学校を休んだ方がいい(あるいは休みたい)」ということに気がつき、それを私に音声言語で伝えてくれるなんて、びっくり。

40秒で測れる、という赤ちゃん用の電子体温計ですら体を張って汗までかきながらちびくまを押さえつけて無理やり測らなければならなかった頃のこと(それも、ついこの間までそうだったのですが)を思うと、「お熱測ろうか」ですんなり体温が測れるようになっただけでも感慨無量なのに。

「ちびくまくんは、びょうきだから、おかあさんといっしょにいっぱいねんねするの」と主張するちびくまに負けて、ついに1日を布団の中で過ごす羽目になったのでした。


1/30

結局、2日間学校を休んだちびくま、今日から学校へ復帰です。

昨日はもうほとんど平熱だったのに、「まだしんどいです。きょうもおやすみします」と言ったので、今朝はどうかな〜、とちょっと心配でしたが、「しんどかったらもう1日、お休みしてもいいですよ。どうしますか?」と訊いたら、「いく!きょうは、がっこういきます!おやすみしません!」と元気に答えたのでひと安心。

本当に学校へ行けるのが嬉しかったらしく、学校に着いたときにはもう満面の笑顔。学習も、やる気満点で、しっかり集中して取り組んだそうです。

休み時間に、先生に一生懸命話し掛けているのに、先生が介助の先生と話していて、すぐに返事をしないでいると、「きいてないわ」と一言。口のほうも、ますます達者です。

帰りに、送迎バスの運転手さんから、「風邪が治ってよかったね」と*莱の豚まんをプレゼントされたちびくまは大喜び。早速家に帰って、2個とも、1人で平らげました。もう、ばっちり元気そうです。


1/31

ちびくまの学校には、障級の教室が6つあります。

ちびくまのクラスは、他の子が入ってきて遊ぶ事が苦痛になるタイプの子がいないので、出入りのときに先生にあいさつさえすれば、誰でも出入り自由なのですが、クラスのメンバーのタイプによっては、普通級の子の出入りを全く禁じている教室もあります。

障担と廊下を歩いている時に、ふとある障級のドアに貼ってある「ここであそんではいけません」という張り紙に目をとめたちびくま。障担に、「『ここ』(というの)はどこ?」と質問したそうです。

確かに、ドアの外に張ってあるので、教室の中に入ってはいけないとも、教室の前の廊下で遊んではいけない、とも解釈できるのですが。

「鋭い質問をしてくれるようになったな〜、と感心してしまいました」
(連絡帳より)

「なに?」「どこ?」「だれ?」「どうしたの?」と最近質問ばかりのちびくま。やっと「そういう歳」になったのね。


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