ちびくまスケッチ(2003年6月)


6/2

これまで、ちびくまは給食を障級の教室で食べていました。
最初は障担と1対1で食べ、それから、交流級から毎日2、3人の「お客様」を招いて少人数で食べる、という形にし、交流級でもリラックスして食べることを目標に、少しずつ慣らしていっています。

国語・算数以外の教科では交流級の教室へ行って一緒に授業を受けているので、1日の半分くらいは交流級で過ごすちびくまですが、「食事をする環境」には特に過敏なので、給食時間を交流級で過ごす事に関しては特に慎重に準備を進めてもらったのでした。

ところが先週のある日、家で遊んでいたちびくまが、ぽろっとつぶやきました。「3年2組のおともだちが給食当番してるよ。ちびくまくんも、給食当番したいなあ」
そのことを早速障担に伝えると、「いいタイミングですね。ちょうど来週ちびくまくんの班が給食当番ですよ。給食当番をいっしょにして、そのままの流れで交流級で食べるようにしましょうか」ということに。

かくして、きょうは、3年になってから初めて。班の友達と一緒に給食当番をし、給食を普通学級の教室で一緒に食べたちびくまだったのでした。

なにしろ、「自分からやりたいと思ったことをさせてもらった」ので、やる気満々ですし、嬉しくてニコニコ。先生やまわりのみんなに助けてもらいながら、仕事をして給食を食べ、大満足で帰宅してきました。
急がば回れ。今年も、給食への参加はとてもスムーズにいったようです。


6/5

ちびくまの「国語」は、本の音読と漢字の学習を中心に、障級で個別指導を受けています。できるだけ交流級のペースと差が開かないように学習しようとすると毎日2文字ずつクリアしていかねばなりません。(小学校って、結構学習量が多いんですね)

一般的に自閉症児は視覚優位と言われ、話すことはほとんどできないのに、難しい漢字をすらすら書いたりする子もいるのですが、ちびくまは文字を書くのはかなり苦手。読むのは得意でも、書き方を覚えるのは決して簡単なことではありません。

学年はじめの障担との打ち合わせでは「本人が苦痛になってきたらペースを落とそう」と言ってあったのですが、なんとか本人が学習意欲を保ちつづけているし、交流級の進度を気にする面も出てきているので、「覚えられたかどうか」は別にして、このペースを守って学習しています。

最近、ちびくまは時々、自発的にパソコンで漢字の復習をするようになりました。ペイントソフトを立ち上げ、漢字ドリルを見ながら、マウスで画面に漢字を書くのです。形もいびつですし、書き順も首をひねるようなオリジナルなのですが「学校で習った漢字を書けるようになりたい」という彼の気持ちを大切にしたくて、あえてそのことにはコメントせずに見守っています。

「できるようになりたい!」と自ら望む気持ち。
それが彼にとって何よりも成長のパワーになっているように思います。


6/6

今日の「総合」の授業は校区内探検。
今日は校区の中でも、水田や畑に囲まれた農村地帯を巡り歩いたようです。ちょうど、同級生のおうちで農業をやっている方がこの地区にあり、ちびくまたちの班は農業機械にも乗せてもらうことができました。田植え機やトラクターに乗せて貰えたので、ちびくまは大喜び。

今住んでいるところはニュータウンですが、車で少し走ると周りは田んぼばかりになるし、定期的に通っている教育大学までの道でも田植え機やトラクターなどをよく見かけるので以前から憧れていたのでしょう。

帰宅するなり、さっそくビデオの箱やミニカーをつかって「トラクターごっこ」や「田植え機ごっこ」が始まったのでした。


6/9

明日は、校区の小学校(地域校)との今年度初の交流授業です。
今日はその準備として、交流級の先生にお会いし、教室を下見させてもらうため、障担とちびくまと私とでF小学校を訪問しました。

今年の交流担W先生とちびくまは、実は以前に一度学校外で会っています。

去年の春、ちびくまがマンションの駐車場に停まっていた車に目が吸い寄せられて、舐めるように見ていたことがありました。
確かに、ちびくまが好きな車種ではあったのですが、車に凝る人の物らしく、あちこちに改造が加えられていてかなり珍しい、目立つ車になっていたのでした。

しばらくして戻ってきた車の持ち主の男性は、ちびくまが自分の車をしげしげと眺めているのを見て、ニッコリ。
「車、好きなんか?お、このホイール気がついたん。目が高いなあ。ほら、中も見てええで」とドアをあけてサービスしてくれます。

そこへ通りかかった小学生が「Wせんせーい!家庭訪問、終わったん?」
「おお!また明日な」
「あら、F小の先生でしたか」
「はい、Wです」
「私たち、いつも交流学習でお世話になっているM小の・・・」
「ああ、ちびくまくんですか。お名前だけは知ってました。それはそれは。車、好きそうですね」
「ええ、大好きなんですよ」
「僕と一緒や」

というわけで、ちびくまはすっかり満足するまでW先生の車を隅から隅まで見せてもらったのです。

ちびくまは、今年の交流担がF小の”クルマの先生”だと知って大喜び。「またちびくまくんも車乗せてもらえるかなあ」とウキウキしています。

まず、校長室で校長・教頭に挨拶して、障担・交流担に会い、教室に案内してもらって、先生と一緒に自分の机やロッカーに名札を貼って自分の場所を確認。教室内の探索もこの間に済ませておきます。

ひととおりの打ち合わせが終わって、W先生が「さあ、これでおわりや。ちびくまくん、先生、また新しい車買うてんで。見せたろか」と言うと、ちびくまは満面の笑みになって、駐車場まで猛ダッシュ。
いったい何のためにここへきたんだか(笑)

この日も、心ゆくまで新車を触らせてもらって、大満足のちびくまなのでした。


6/10

さて今日は交流授業の本番。

交流授業は大体ちびくまが楽しめる事、得意なことをネタにしていただくのですが、今日は「私の好きなもの」についての作文を各自みんなの前で読み上げる、という内容でした。

ちびくまは、障担の力を借りて大好きなバスについて短い作文を書き、それをみんなの前で音読しました。そして、「自分で作った作品」である、デジカメで撮ったバスの写真を皆に見せました。

読み終わったあとは、子どもたちが作文を聞いた感想を発表します。
「ちびくまくんがバスが大好き、っていうのがよくわかりました」
「バスの写真がきれいに撮れていたと思います」
などという意見を聞いて、ちびくまはにこにこ。

「ちびくまくん、またおいでな〜」と皆に送ってもらってF小を後にしました。


6/11

今日は「1年生を迎える会」でした。
今春入学してきた1年生のために、上級生がクラスごとにそれぞれゲームなど出し物を企画して、全校的な「お楽しみ会」をやるもので、M小では毎年の恒例行事です。
ちびくまも、3回目の体験でしたので、要領がわかっていて、安定して楽しく過ごせたようです。

前半はお客さんとして、さかなつりゲーム、おばけやしき、すごろくゲームを楽しみ、後半は交流級の3年2組で「賞品」の首飾りをお客さんに渡す係をやりました。

「やかましいところでも落ち着いて参加できていましたし、入場待ちの行列にもきちんと並んで順番も守れていました」(連絡帳より)とのことでしたが、送迎バスから降りてからの第一声は「ちびくまくんは、1年生を迎える会をとってもがんばったの」でした。

先生にもそう言って褒めてもらったのでしょうし、自分でも「交流級の皆に合わせてやろう、ルールを守ってやろう」と意識して頑張ったのでしょう。
これまでの学校生活の地道な積み上げを感じることが多い今日この頃です。


6/13

ちびくまが学校に行っている間に、毎週感覚統合訓練を受けているOTの先生から電話がかかってきました。
体調が悪いので、今日の訓練を休ませて欲しい、とのこと。

それ自体は全く仕方のないことなのですが、私は正直「まいったなあ」と思いました。今朝もちびくまは「今日は4時30分から療育センターで○○先生とお勉強だね」と確認しながら出かけていったからです。
学校では少々の変更にもびくともしない、と言われるちびくまですが、暴れたり泣き喚いたりしないとは言っても、「突然の変更」が負担になることに変わりはありません。家では、よほど「ちびくまにとって楽しい変更」でないかぎり、急に思いついて何かをする、ということはまず不可能です。

でも、起こってしまった変更は、出来る限り早く伝えて、心の準備をしてもらうのが基本。学校から帰ってきたちびくまに、まず「ちびくまくん、今日の○○先生のお勉強はお休みになりました」と口頭で伝えました。

「今日は、療育センターには行きません?」ちびくまが確認してきます。
「今日は療育センターには行きません。○○先生は病気でお休みです。次は20日に一緒にお勉強します」

しばらく、じっと考えていたちびくま、にこっとわらってこう言ったのでした。
「じゃあ、今日は4時から、いないいないばあが見られるね」

ほほーー。逞しくなったわね、キミ。


6/18

今日は3年生が市内見学に行く日です。

ちびくまは、去年、この見学に行きたくて、3年生の列に一緒に並んでなんとか連れて行ってもらおうとしたのですが、「ちびくまくんも3年生になったら行けるからね」と説得されて、泣く泣く諦めたのでした。
それから1年、「ちびくまくんも3年生になったら行く」をキーワードに待ちつづけた市内見学。ちびくまはもう早朝からウキウキわくわくです。

「送迎バスから降りたときには既に地面から3センチくらい浮いた足取りで歩いて」(前障担談)いたというちびくまは、嬉しいモード全開のまま、1日かけて交流級の仲間とともにダム、茶工場、消防自動車製造工場を見学してきました。

「見学の時は、ずっとそばについていなくても周りの友達の動きをよく見て流れに合わせて移動できているので、少し離れたところから見守っているだけでよくなりました。」とは障担の談ですが、ちびくま自身の成長もさることながら、日頃から生活を共にしている交流級の仲間たちが、うまく誘導してくれるのも集団行動がスムーズにいく原因のひとつでしょう。

いつもの送迎バスには間に合わないので、学校まで迎えに行くと、上機嫌で「市内めぐりいったの。おもしろかったよ。また行きたいです。こんどはおかあさんと行こうね」とニコニコ。
とても楽しい1日だったようです。


6/23

ちびくまは最近、交流級のSちゃんという女の子がとてもお気に入りです。ちびくまは1年生の時から当然のように交流級のみんなと生活を共にしていますので、まわりの子どもも特にちびくまに気を使う事もなく、ちびくまが困っているときは声をかけてくれたり手伝ったりしてくれる程度です。Sちゃんも、特にちびくまに親切、というわけではないのですが、ちびくまのラブラブが少しは伝わったのか、以前よりもよく声をかけてくれるようになりました。

そのSちゃんとは給食当番の班も一緒。今日は念願かなってSちゃんと一緒に牛乳びんの箱を運ぶ事ができたので、ちびくまは嬉しくてたまりません。

2人並んで給食を皆に配っているところを障担にデジカメで撮ってもらって「ちびくまくんとSちゃんが給食当番してるね」と更にご機嫌になったのでした。

さて、帰宅後、「ちびくまくんとSちゃんとはいチーズしたの」とご満悦で報告してくれたちびくま、その後「おかあさん、きょうの給食はマクドナルドみたいだったね」と。

「?」と思ってメニューを確かめると、ハンバーガーバンズと煮込みハンバーグというメニューでした。なるほどなあ。
年齢相応、ということを考えると、深刻に遅れている、と言わざるを得ないちびくまの言語力ですが、確実に、こちらに伝わるものが増えてきて、「なるほどねえ」「うがったことを言うなあ」と思うことも多くなってきました。

あえて「言葉をしゃべらせよう」としなかったことがちびくまにとっては正解だったのかもしれない、と思ったりもします。


6/26

ちびくまの学校では、毎年障級の生徒全員が電車に乗ってでかける遠足があります。車椅子やバギーを使っていたり、多動だったりして、なかなか電車に乗る機会のない子供達に「電車体験」をさせるための校外学習です。

学校最寄の駅から電車で15分のところに遊園地があって、これまでは毎年そこへでかけていたのですが、今春その遊園地が閉鎖されてしまったため「今年から電車体験はなくなるのかなあ」と心配していたのですが、先生方が、子供達が思う存分水遊びができる大きな公園をちゃんと見つけてきてくれたのでした。
障級の子の多くは水遊びが大好き。もちろん、ちびくまも例外ではありません。何日も前から遠足を楽しみにしていました。

ただ、昔のちびくまは、水のあるところならどこでも遠慮なく入って水遊びを楽しめたのですが、最近、いろいろなことがわかってきたせいかプールなど、人が入って遊ぶために作られた施設でなければ遊ぼうとしなくなってきています。昔はとめるのに苦労した洗面所やベランダでの水遊びも、こちらが誘ってもしなくなりました。水遊びを前提として作られた公園とはいえ、プールでないところに入って遊べるかしら・・・。

と心配していたのは全くの杞憂で、先生もあきれるほど十分に水遊びを堪能したそうです。少し曇りがちな天気でしたが、真っ黒に日焼けして帰ってきました。

「障級の遠足で1番もとを取る子」の異名はまだまだ返上することはなさそうです。


6/30

今日は今年度に入って2度目の地域校での交流授業。
プールが大好きなちびくまのために、今回はプールの時間に参加させてもらうことになりました。朝から生憎の曇り空だったのですが、そこは「晴れ男」ちびくまの面目躍如、予定時間の少し前から太陽が顔を出し、プール開始の時間にはかんかん照りに。

昨年度も1度のプール交流と、3回のプール開放に参加したちびくまは地元F小のプールの勝手もすっかりわかってはいるはずですが、一緒に来てくれた障担の手をしっかりと握り締めて顔を見上げ、やや不安そうな表情です。

それでも、いざ水に入ってしまうと、一緒に入ってくれた障担と手をつないで、とても楽しげに視線を交わしながら、存分にプールを楽しんでいる様子でした。

プールサイドからちびくまの障担K先生の様子を観察していると、ちびくまが障担を大好きでとても頼りにしているのはその表情から十分に伺えますし、障担もすっかり「パパの顔」になってちびくまと一緒に楽しんでくれているようです。2人の間のラポートがしっかり成立しているのが感じられました。
この春は、ちびくまと障担との関係を随分心配したものでしたが、もう大丈夫そうです。ほっと胸をなでおろすような気持ちになりました。


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