ちびくまスケッチ(2004年7月)



7/1

今日は、障級での個別参観。ちびくまの学校の障級では、集団での参観とは別に、子どもも落ち着いて参加でき、親もじっくり我が子の様子を見られるように、個別の参観日も設定してくれるのです。

ちびくまの今回の課題は、「1人でバスに乗って家に帰ろう」。
ちびくまは、普段は学校の送迎バスで、ドア・ツー・ドアの送迎をしてもらっていますが、これから将来に向け、1人で交通機関を利用できるようになれば良いなあという希望をもっています。その第1歩として、時間割の関係で帰りのバスが利用できない日に、学校から路線バスに乗って帰宅する練習を取り入れることを、障担と私で考えてきました。今日はそのための事前学習です。

学校から最寄のバス停までは先生が送ってくれ、そこからは乗り換えなしで約25分。自宅最寄のバス停までは私が迎えにいくことになっています。その間、ちびくまがすべきことの手順表は障担が作ってくれました。その手順表を見ながら、ちびくまはバスに乗る前に私の携帯に電話をかける練習をし、学校の校舎内を歩いてバスに見立て、100均で先生が買ってきてくれたブザーでブザーを押す練習をし、最後に私の携帯から先生の携帯に無事着いた旨の報告の電話をする練習をしたのでした。

電話での会話は台本がなければ無理ですが、それも障担が手順表に盛り込んでくれたので、一連の手順はばっちりでした。
さて、本番もこの調子でいけるでしょうか。。


7/2

昨日の授業参観でリハーサルした「1人でバスに乗って家に帰ろう」。今日はいよいよ実際に路線バスに乗ります。ただし、今日は初めてなので、障担も一緒にバスに乗ってきてくれることになりました。

でも出来るだけ手出しや口出しはしないで、ちびくまの様子を見守ってくれることになっています。

「おかあさん、いまからバスにのります。おむかえにきてね」とちびくまから電話がかかってきた後は、私の方がそわそわ。先生が一緒なので何かあっても大丈夫、とはわかっているのに、何故かじっとしていられなくて、バスが来る予定時刻より15分も前からバス停をうろうろするアヤシイおばさんになってしまいました。

やがて到着したバスからはニコニコ顔のちびくまが「おかあさん、ただいまーーっ」と叫びながら降りてきました。「手順表もばっちり頭に入っているし、今までも1人でバスに乗る練習をしてるから、危なげないですね。もう次の機会からは1人で乗ってもらえそうですよ」と障担のコメント。

ちびくまにとっても私にとってもちょっとドキドキのセミ自力下校。実現の日は遠くなさそうです。


7/8

ちびくまの学校の障級では毎週1回歩行訓練の時間があります。目的の1つは体力作り、もう1つは学校の外でも大人と一緒に危険のないように行動することの練習ということらしいのですが、ちびくまはどちらの目的もほぼクリアできているのと、時間割の都合で、普段はこの訓練には参加していません。でも、今日はちびくまのクラス全員で買い物学習を兼ねて歩行訓練をすることになりました。

朝からからっと晴れ上がって、気温はぐんぐん上昇。それでもめげないで先生たちと一緒に、少し離れたところにある大型スーパーまで歩いて、来週の遠足のためのおやつを買いました。

あまりの暑さに、低学年の子供たちは帰りは車で、となったのですが、6年生のMくんとちびくまはお茶で水分補給をしつつ、帰りも歩きます。汗びっしょりになりながら、でも頑張って歩く子ども達へのごほうびに、障担がアイスクリームを買ってくれました。もちろん、ちびくまたちは大喜び。

毎日、文字通り「おいしい学校生活」を楽しんでいる子ども達です。


7/9

今日は、個人懇談と、「お泊り会」があります。
お泊り会、というのは、5年生で5泊6日の自然学校に行く下準備として、4年生が障担の先生たちと学校で一泊する、という毎年の恒例行事。子ども達にとっては、親元を離れて外泊する練習、先生たちにとっては、外泊時にどのような配慮が必要かを検討する機会になっているようです。

予定では放課後個人懇談を終えた後、一度親子で家に帰って入浴を済ませ、夕方子どもを学校に送り届けたあと親は家に帰り、子ども達は先生達と夕食を作って食べ、花火などで遊んだ後就寝、翌朝の朝食後に親が学校まで迎えに来る、ということになっていました。

ところが、ちびくま、今朝になって急に、
「おとまりかい、行きません。ちびくまくんはおかあさんがいないとえんえんないてしまうし、こまってしまいます。おとまりかいは行かないで、おうちでおかあさんとねんねします」
と宣言。学校に着くや否や、障担に向かって
「おとまりかいはさくじょしてください!ちびくまくんはおうちでおかあさんとねんねしたいです」
と訴えたそうです。

その後は障担がどんなに説得しても「おとまりかいにはきません。おうちでねんねします」の一点張り。放課後に私が個人懇談を終えた時点でも、やはり強硬に言い張り続けていました。

「ちびくまくんは、一度嫌だと思ったことに再挑戦するのはすごく難しいから、今回は無理強いはやめましょう。夕食が学校で一緒に食べられたら、それで良い事にしましょう、おかあさん」
と私にささやいた障担は、ちびくまには
「ちびくまくん、じゃあ、晩御飯はちびくまくんの好きなカレーを作るから、カレーだけは学校で食べようね。そのあと、どうしてもお家に帰りたかったら帰っていいからね。夜遊ぶおもちゃやビデオを持ってきてもいいからね」と声をかけてくれました。

家に向かう車の中でも半泣きで
「おかあさん、きょうのねんねは、おうちでおかあさんといっしょ、ということでおねがいします〜」
「おとまりかいはキャンセルにしてください」
と延々言い続けたちびくま。さすがに私も諦めモードになってきました。

ところが、家につくなり、ちびくまは「おかあさん、ビデオはなんぼん持っていっていいの?」と聞くではありませんか。「うーん、3本かな」と答えると、ちびくまはビデオの棚から慎重に3本の英語のビデオを選び、「これで、よる、みんなでえいかいわのべんきょうするの」と言います。「え?ちびくまくん、おとまりするの?」と訊くと、「ちびくまくんは、おかあさんがいないとちょっとかなしいけど、がんばります。K先生といっしょに、えいごのビデオを見て、それからねんねします」ときっぱり。

その後は、二度と「行かない」とは言わず、「ちびくまくんは、おかあさんがいなくてもえんえんなかないでがんばります」を繰り返しながら、結局時間どおりに学校に着きました。そして、早速先生に「ビデオつけてもいい?」と尋ね、スイッチを入れると、「じゃあ、おかあさん、バイバイ。あしたお迎えに来てね」とあっさり手を振ったのでした。

彼なりにいろいろな葛藤があり、でもきちんと自分なりに踏ん切りをつけたのでしょう。子どもに無理な頑張りを一方的に押し付けずに来てくれた学校と障担だからこそ、こうしたちびくまの頑張りを引き出せるのかもしれません。

私が帰った後には、1・2年の担任だったM先生も今の勤務校の仕事帰りに差し入れを持って覗いてくれ、子供達は楽しい時間を過ごしたようです。障担からは就寝前に「ごきげんで過ごしています」とのメール。

でも、その夜、寂しくてなかなか眠れなかったのは、実は母のほうだったのでした。


7/10

翌朝、時間どおりに学校まで迎えに行くと、ちびくまは既に帰宅する準備をして待ち構えていました。私が先生達を挨拶する間も与えず、
「さあ、おかあさん、おうちへ帰ろうね!」

家に帰ったちびくまは、さっそく
「おかあさん、ちょっとここでだっこしようか」と言ってべったり。
「おとまり会、どうだった?楽しかった?」と尋ねると
「カレー作ったの。M先生もいっしょにたべたの。はなびして、それからビデオみて、ねんねしたの。ちびくまくんは、おかあさんがいなくてかなしかったけど、えんえんなかないでがんばりました。えらかったの」
ちびくまにとっては、とても「頑張った」経験だったのですね。

でもこうやって、自分の力で1つ壁を乗り越えたことが、また次のステップへの力になっていくのではないかとも思うのです。


7/12

今日は4年生の校外学習で、川の源流を見に行きます。
「川遊びの時間もあるんですが、ちびくまくん、プールじゃないところでも大丈夫ですかね?前の遠足の時、小川に靴脱いで入ってもいいよ、って言っても頑としてはいらなかったんですが」と障担。

幼児の頃は「入ってはいけない」水にでもずんずん入って水遊びをしていたちびくまですが、いつの頃からか「ちゃんとした水泳用のプール」以外には入らなくなりました。その辺を流れている小川に入る、というのは、彼の「こうでなければならない」というルールに反するのでしょうね。

とりあえず、川遊びは、本人が嫌がったら見るだけにする、ということでお願いして送り出したのですが…

皆が水着に着替えて川に入るのを見たちびくま、嫌がるどころかどんどん率先して深いところまで行ってしまい、先生がたをひやひやさせるほどだったとか・・・。晴天にも恵まれ、真っ黒に日焼けして帰ってきました。


7/13

昨日散々川遊びを楽しんだばかりなのに、今日は海水浴。
毎年恒例の、障級の臨海学習です。

福祉センターに集合して、そこから市の福祉バス(リフトバス)に乗って遠足に出かける日は、いつもの送迎バスを断って、私が家の車で集合場所まで送っていき、そこでバスを見送る、というのも、すっかりお決まりのパターンになってしまいました。
手に手に浮き輪をもって、ご機嫌ででかけていった子供達。

お昼ご飯を食べる時間も惜しんで遊んだちびくまは、もう裏も表もわからないくらい真っ黒です。


7/16

今日は、校区のF小学校の障級との昼食会を兼ねた交流会。それぞれの子どもの親も参加することになっています。
ところが、F小の給食は今日までですが、ちびくま在籍のM小では給食は昨日まで。

F小障担の先生にはあっさりと「では、(2人分の)お弁当を作ってもってきてください」と言われてしまいました。でも、今週はもうこれでお弁当作りは3回目。そのために朝30分早く起きなければならない私にとっても、毎回同じメニューでなければ食べられないちびくまにとっても、あまり嬉しいことではありません。

そこで一計を案じた私。ちびくまと一緒にF小に行ってくれる担任のK先生に「今まで行った事のないファーストフードのお店で買い物学習をする」ことを提案してみると、K先生は2つ返事でOKしてくれました。
マ****ドもケ**ッキーも行った事あるし・・・と考えた私が思いついたのは「お持ち帰り」のあるカレー屋さん。

K先生と2人でカレー屋さんでテイクアウトをしたちびくまは大喜び。普段知らない人と食事するのが大の苦手なちびくまも、カレーにつられて同じテーブルで昼食だけは食べる事ができました。

その後は教室に冷房がなくて蒸し風呂状態だったのと、「知らない人がいる〜」というので、ぐずぐすになって、なんにも参加できなかったんですが。(この辺、M小ではわかっていることなので、一応F小にも伝えてはあるんですが、どうも実感としてわかっていただけないようですね)
F小の障担には「今度頑張ればいいよ〜」と励まし(!)の言葉までいただいてしまいました。(本人は十分頑張ったんですけど〜)

ちびくまは「きょう、K先生とカレー買って食べたの。楽しかったね」と。
やっぱり記憶に残ったのはそれだけでしたか(笑)。


7/20

あっという間に終業式がやってきました。暑い時期の体育館での式ですが、ちびくまにとってはすっかり段取りのわかった恒例行事なので、全く混乱なく参加することができたようです。

明日から長い夏休み。今年はどんな夏になるでしょうか。、


7/26

今日からちびくまは1泊2日で市教委主催の療育キャンプに参加します。
昨年までは4年生以上の保護者の参加は任意だったので、今年は私も付いていくつもりでいたのですが、今年から先生方がマンツーマンでついてくれるかわり、保護者の参加は認められなくなったのでした。ちびくまには担任のK先生がついてくれます。

ちびくまにとっては、ちょうど先日のお泊まり会が練習になったような形です。この間のことですっかり自信がついたのか、今回は「行かない」とは一度も言わず、「26日のよるはK先生とねんねするんだね」と納得している様子です。

集合場所まで送っていくと、ちびくまはもう振り向きもせず、K先生と一緒に受付の方へ行ってしまいました。行き先は携帯の圏外。先日のように様子をこっそりメールで知らせてもらうわけにもいきません。
なんだか寂しい私をよそに、ちびくまはK先生と並んでバスに座って、ニコニコ笑顔で出かけていきました。

その夜、私は美味しいお寿司と美味しいワインを自分用に奮発して1人で夕食をとりました。偏食大王のちびくまが食べられるようにとメニューを工夫することも要らず、テレビも好きなチャンネルが見放題、執拗な反復質問を浴びせられる事もなく、ファンタジーに付き合わされることもなく、お風呂もゆっくり1人で入り、ダブルの布団を1人占めにして手足を伸ばしてゆったり眠れる・・・ああ、それなのに、寂しーい、淋しーい、さびしーい、サビシーイ・・・。
帰ってきた夫とも話す事もなくって、まるでお通夜状態。
いかに今の自分の生活がちびくまの存在に依存しているのかを思い知った夜なのでした。
ああ、こんなんでちゃんと子離れできるのだろうか・・・。


7/27

自然の家で一泊をすごしたちびくま、無事に帰ってきました。
心配していた団体での食事も、K先生と一緒だったためか、問題なく食べることができ、夜もきちんと眠れたようです。

ただ、なんと、昨日の朝から帰宅まで、1度も排尿できなかったようなのです。もともと、ちびくまは家の外での緊張が強く、紙おむつをはいていても排尿をすることはまずありません。

尿が溜まった感覚はわかるようですが、6時間目まで授業のある日はそれでも朝からずっと我慢しつづけて、半泣きになっていることもしばしばです。でも、まさか、1泊2日我慢しつづけるとは・・・。

来年の自然学校に向けて、ちょっと気がかりな問題がひとつ浮上してきた感じです。


7/30

今日から、地元のF小のプール開放が始まります。
プールの大好きなちびくまが、地元で、楽しみながらごく自然に「校区の子どもの1人」として学校に出入りし、地域の子供達と顔見知りになれるように、と、毎年F小のPTAに受け入れをお願いして、やっとプール開放への参加が認められたのがちびくま2年生の時。

今年は3年目とあって、許可自体はスムーズに出たのですが、これまでコーディネータの役割を果たしてくれていた障担のF先生が転任してしまったので、今年は細かい打ち合わせにやや手間取ってしまいました。こういうとき、障碍をもつ子どもやその親と管理職やその他の先生方、そしてPTAとの間を取り持ってくれる専任の人が欲しいな〜、とつくづく思います。今よく言われている「特別支援教育コーディネーター」って、そんなところまで面倒みてくれるのでしょうか。

ともあれ、ちびくまはいつも以上のニコニコ顔で、プールを楽しみました。この笑顔のためなら、少々のことにはへこたれずに頑張れるのです。まあ、結果オーライ、ということにしておきましょう。(^o^)




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