ちびくまスケッチ(11月)


11/1
集合に遅刻したのでちびくまを教室に連れて行くと、最年少のアベルが大泣きしていました。
家で手にとげがささったのに、迎えのバスが来てしまい、お母さんがそのままバスに乗せてしまったらしいのです。
大した怪我という訳ではないのだけれど、バスの中で痛みと不安がふくれあがり、3才児には耐えられないばかりに なってしまったのでしょう。いつも元気なアベルが声を限りに、「とって〜!痛い〜!嫌だ〜!」と泣き叫びます。
先生たちは救急箱を出してきて、とってやろうとするのだけれど、本人が興奮しきってしまっているので、どこにとげが刺さっているのか、なかなかわかりません。
腕をもぎ取られるかのようなアベルの絶叫に、他の子供たちはなんだか怯えたようで、先生たちとアベルのほうをちらちらと盗み見ながら、所在なさげに座っています。

ちびくまは、ちょっとびっくりしたようでしたが、いつもどおり、お気に入りの絵本を取って、座って読みはじめました。ちびくまは子供の泣き声や喚き声が大嫌いなので、いつもならここで一暴れあるところなのですが、今日は嫌に落ち着いています。知らない人が見たら、「お友達が泣いているのに、知らんふりで優しくない子」と思われるかもしれないのだけれど、人を思いやる、とか同情する、といったところが最も難しいのが自閉症の特徴なので、むしろ私はちびくまが嫌な音に耐えている方に感心してしまいます。

悪戦苦闘の末、やっととげは抜けました。「遅刻したって、死ぬ訳じゃないんだから、とげくらい抜いてやってからよこせば良いじゃないの」と先生たちはこっそり溜め息。
大暴れしたアベルは、大きな目を泣き腫らし、まだ一杯涙を溜めて、他の子供たちのところへやって来ました。他の子供たちは、なんとなく引いてしまった感じです。

その時、ちびくまが立ち上がり、「ヒア、アベル」と言って、自分の読んでいた、大のお気に入りの「チカチカブンブン」をアベルに差し出したのです。アベルは「サンキュー」と言って、本を受け取りました。
助手のカレンさんがすかさずちびくまに声をかけます。「アベルが痛くて可哀相だったから、譲ってあげたのね。ちびくまは優しいわね」
ちびくまは何のことだかわからない、という顔で、別の絵本を取り出して読みはじめました。

L先生は私にウインク。「あなたの息子は本当に素晴らしい子だわ」
ちびくまが、そこまで考えてやったことなのかどうかは定かではありません。けれども、そんな我が子の姿に、随分ほっこりしてしまった母なのでした。

11/2
電話(古いホンモノを玩具にしている)の受話器を取って、ちびくまがひとりで喋っています。
"Hello? Oh, hi! How are you? I'm fine, thank you. Yes. OK.
Thank you very much. Bye-bye."
受話器を置いて私の顔を見、「マミー、テレフォン」と言ってニヤリ。
え〜!それ、私の真似なの?
「そんな事しか言ってないわけ、お母さんは?(^^;; 」

ところが、丁度そこへ、英会話の先生から電話が・・・。
"Hello? Oh, hi! How are you? I'm fine, thank you. Yes. OK.
Thank you very much. Bye-bye."
ちびくまが私の足元でまったく同じ台詞をハモっています。(^^;;
受話器を置いた私の顔を見て、ちびくまはすっかり勝ち誇った顔。
えーえー、どーせその程度ですよー、私の英語なんて。ふん!(笑)

11/4
先月はいった、Mちゃんこと、マルシアが気になって仕方がないちびくま。
先生たちは「ちびくまがマルシアにお熱♪」と言っておもしろがっています。
外遊びの時も、視線がずっとマルシアを追っているので、L先生が「マルシア、一緒に遊ぼう、って言ってごらん」と言うと、「マルシアー」と言いながら近寄っていきます。でもマルシアは知らん顔。
ちびくま、男はつらいねえ(笑)。

11/9
夕食の用意をしている時に先月の末から日本と香港に出張していた夫が帰ってきました。
米国勤務になってから、海外出張がなくなった分、家を空けることが減ったので、こんなに長い不在は久しぶりです。

すると、ちびくまはリビングからプラスチックの文字を抱えてきて、キッチンにいる私の足元に並べはじめました。
「せーの?(見て、すごいでしょう)」と指差す先には「MOTHER」と綴ってあるのです。
この語を綴ったのを見たのはこれが初めてだったので、「ほんとだ、お母さんはMotherだね、よくできたね」と褒めてやりました。
「キャハハ」という笑いを残して、今度は洗面所にいる夫のところへ。
洗面所からは「おおー。すごいなー。えらいぞ」という夫の声が聞こえてきます。
そしてまたちびくまの得意そうな笑い声。「何?なんて綴った?」と訊ねると
「FATHERだってよ。教えたのか?」

一応、母と父の区別はちゃんとついているのね、と一安心しました。(だって、今でも時々「おとうさん」と「おかあさん」を間違えるのです)

両親が揃って嬉しい、という、彼なりの表現だったのかも知れません。
アメリカでの療育を続けるために、逆単身赴任、というオプションも考えている私たちにとっては、少し考えさせられる出来事でした。

11/10
そろそろちびくまが帰ってくる時間。もう少ししたらお迎えに出ないとな、と思っていたところへ、L先生から電話がかかってきました。

開口一番
「ママ、バスの発着場で、私たちがちょっと目を離した隙に、ちびくまがどこかに行ってしまって、代りに知らない男の子がバスに乗ってしまったの」
と言うのです。
血の気が引き、とっさに言葉が出てきません。
「何があったんですか?」
「私たちにもよくわからないの。本人に名前をきくとちびくまだと言うし、顔もそっくりだし、ちびくまの服を着ていて、ほんとうにあっという間にすりかわってしまったのよ」
「ええ?どういうこと?」
L先生の声はだんだん笑いを含んできます。
「だってねえ、いきなりネイトに”How are you, Nate?"って話しかけたのよ。ネイトもびっくりして『L先生、ちびくまが"How are you?"って言った!』なんて言うの。それで、ネイトに"I'm fine, how are you?"って答えさせたら、ちゃんと"I'm fine, thank you."って言ったのよ!
おまけに"What's your name?"ってきいたら、"My name is chibikuma."って済ました顔して、"Bye, Ms.L! See you later!"なんて言ってバスに乗ってしまったの。あんまりすごいから、どうしてもあなたに電話せずにはいられなくって!」

なんだー。要は、「ちびくまがバスの発着場で、信じられないくらいきちんと口をきいた」ということだったのです。
んも〜〜。脅かさないでよー。
ホントにアメリカ人のジョークって、時々きついんだから(^^;; 。

「ああ、びっくりした。私はちびくまが誘拐されたのかと思ったわ(笑)」
「ごめん、ごめん。でも、私たちだって、『え?ここはどこ?この子は誰?』状態だったのよ(笑)」

その日帰ってきたのは、まちがいなく私の息子のちびくまでした(笑)。
「普通の」子は一段一段階段を昇るように、少しずつ進歩していくことが多そうですが(普通の子を育てたことがないので想像の域をでない(笑))、自閉の子には、時々こういうことがあるのです。うーんとエネルギーを溜めておいて、ある日突然、ポーン、と大躍進することが。何の前触れもなく、今までできなかったことができるようになることが。今までも何度かあったのだけれど、本当に不思議です。

「ピノキオ」のラストシーンのように、ある朝、目が覚めたら、ちびくまが
「おかあさん、おはよう。見て、ぼく、普通の男の子になったんだ」
と言ってくれる、そんな、見てはいけない夢を、ちょっとだけ見てしまう瞬間でもあります。

11/12
先月、「ぐりとぐらのおきゃくさま」が「ちびくまライブラリ」への加入を許されたのに気を良くして、ちびくまの留守に、本箱に新しい絵本を何冊か加えてみました。

表紙を見ただけで段ボール箱に戻されたものもあるのですが、ある程度の長さのある文章を読みこなせるようになったことが自分でも得意らしく、それがモチベーションになって、少しずつ色々な新しい絵本を受け容れてくれるようになりました。
「てぶくろ」「おふろだいすき」etc....

英単語の発音を覚えるのも楽しいらしく、英語の絵本を持ってきては
「せーの?(これなんてよむの?)」と訊ねてきます。
おかげで、英語の語彙も随分増えました。

知らない人が見たら、単なる早期教育に見えるかもしれないけれど、これがちびくまの世界とつながるためのやり方なら、私はそれを尊重してやりたいのです。

11/15
ちびくまがマルシアに夢中なのは、誰の目にも明らかになってきたようです。
今日はOTのJさんにも
「ねえねえ、ちびくまって、マルシアが好きなんじゃないの?」
ときかれてしまいました(笑)。

ローラさんが、
「今日はマルシアのパートナーになっていいよ」
と言うと、とっても嬉しそうに「マルシアー」と言いながら手をつなぎにいきます。
皆に1人ずつネームカードを渡して出席をとるときも、ちびくまの当番の時はいつもマルシアが一番。

でも、ちびくまは良い趣味をしています。マルシアって、ほんとうに可愛い子なのですもの。 とろけるような笑顔の持ち主。
「自閉症児=表情のない子」と考えられがちなのはとても残念。
「表情の豊かな自閉症児なんているの?」
という方には、是非この子達に会いにきていただきたいな。

11/17
L先生は今アベルとちびくまのトイレトレーニングに必死です。
「どうしても、今年度中にとるわよ。私のノルマに決めたの」
あちこちから自閉症児のトイレトレーニングの情報を集めて、やってくださるのですが、今のところ殆ど成功の兆しはありません。先生の「おもらしをすることも大切だから」というアドバイスで、学校にはふつうのパンツをはかせて行かせているのですが、一度おもらしをして以来、どんなに長時間でも、学校では絶対に我慢をして、おしっこをしなくなってしまいました。

「我慢をするにも限界ってものがあるでしょうよ。今日は朝からパンツにしてみてね」と先生が言うので、朝8時にパンツをはかせました。学校の始まる11時50分までにおもらしするか、学校でおしっこを我慢できなくなるか、どちらかでしょう。

それなのに、なんとちびくまは家でも学校でも頑として我慢を続け、午後3時、バスで家に帰り着いたときにも、まだ我慢していたのです。
(丸7時間・・・・。考えただけでクラクラしそう(笑))
さすがに股を押さえて半泣きになっています。
パンツを脱がせて、トイレに座らせても、まだ泣きながら我慢しようとするので、ちょっとお腹を押してやったら、さすがに我慢できずにおしっこをしました。
これで、おしっこを出せば楽になる、とわかったかな、と期待したのですが、そうは問屋がおろさない。

その後もトイレでは拒否、あとでおもらし、のパターンを何度も繰り返し、みるみるうちにバケツ山盛りの洗濯物を作ってくれました。

ちなみに、一緒にトイレトレーニングを始めた3才のアベルのほうは、まだ失敗はあるものの、誘ったときにトイレでおしっこができる回数が確実に増え、時々は自分から「おしっこでる」と言えるまでになっています。
単に「発達の遅い」子と「自閉症児」ではこんなに違うものかしら、とちょっと溜め息ぎみの母です。

11/19
今日はL先生が担当する自閉クラス。

工作の課題をする時には、午前中に用意された絵カードのセットがコミュニケーションボードに貼られて、机の上にあります。
「普通のカードより字が多いですね(指示が文章になっている)」と私が言うと、ローラさんが、
「ちびくま仕様よ。Lに言われて、私が作ったの。既製のはこんなに文章がはいっていないから」
と言うのです。

「既製の絵カードでは、絵のインパクトが大きすぎて、ちびくまが混乱している。文で書いてやって欲しい」
という、私がIEPミーティングで出した要望が取り入れられているのでした。

今日の課題は型紙を色紙に写し取って、それを切り抜き、上手に並べてはって、福笑いのように、顔をつくるというものです。

T君のほうは、ローラさんが絵カードを示し、少し手を添えてやると、簡単に作業をするのですが、 ちびくまは絵カードに書かれた文章(「かたがみをうつす」「はさみできる」など)を嬉しそうに繰り返して読んでいるだけで、なかなか作業に集中できません。特に苦手な鋏で切る、という作業は、先生がいくら手を添えても、すぐに投げ出してしまいます。

すると、L先生が「こんなものを作ってみたわ」といって、大きな箱をだしてきました。特大サイズの段ボール箱の中を真っ黒に塗ってあるのです。
「これ、なんですか?」
「見ていてね」
L先生はその箱の口をちびくまの方に向けて机の上におきました。
ちびくまの視界は遮られ、ちびくまから見えるのはコミュニケーションボードと自分の手と、はさみ、それから今切ろうとしている紙だけになります。
するとどうでしょう。ちびくまは、あいかわらず鋏のコントロールはうまくできないものの、きちんと目の前の課題に取り組みだしたのです。切りにくいところも、闇雲にちぎるのではなく、どうしようか、と考えているようです。

「やっぱりそうなんだわ」L先生が言いました。
「ママ、この子は、聴覚だけでなく、視覚でも、あらゆる情報が同じ重要度で入ってしまうタイプらしいわ。文字と数字だけは別格だけど。だから、得意なことをしているときはいいのだけど、苦手なことをするときには、回りの視覚刺激を減らしてやらないと、十分集中ができないのよ」

うわ〜、そこまでは気がつきませんでした、お見事、という感じ。
「まあ、ずっとこうして箱入りにしておくわけにはいかないけれど、ひとつ謎が解けたから、苦手な作業はこれからこういうふうに訓練していくわね」
まったく、すごい先生たちにあたったものです、ちびくまは。

11/22
「おひさまのへや」にマルシアが加わって1ヶ月。

この1ヶ月の彼女の進歩は、信じられないようなものがありました。
今では教室につくと、コートとかばんを自分のロッカーに入れる。
サークルタイムのときは、指示されなくても自分の席に座る。
はじめの歌(手話付き)は一緒に手話をしながら歌う。
サークルタイム中、時々立ち上がろう、とするだけで、全面介助は要らない。
時々、わざと立ち上がって”No,no!”と言いながら席に戻ったり、明らかに「冗談」が出てきています。

それよりなにより、最近のマルシアは、私の顔を見ると、にっこり笑って手を繋ぎにくるようになり、自由遊びのときには、本を読んでくれ、と持ってきたり、遊びながら「ほら、見てみて。すごいでしょ」と言わんばかりの表情でこちらを見ます。
もう、可愛くて可愛くて、他人の子とは思えないくらいです(笑)。

外遊びの時、L先生と喋りながら子供たちをみていたのですが、ちょっと先生が席をはずしたとき、もう1つあるプリクスールクラスの助手の人が私に寄ってきて言いました。
「マルシアのお母さんですか?彼女は本当にお母さんが大好きみたいですね。ほんのわずかの間に、すごく進歩しましたね。素晴らしいお子さんですよ」
「ありがとう。あいにく、私、ちびくまの母なんです。でも、私も彼女が大好きだから、そう言ってもらえて嬉しいわ」
「あら、ごめんなさい。あなたとマルシア、よく似ているものだから、すっかりお母さんだと・・・」

戻ってきたL先生と、ローラさんにそのことを話して、3人で大笑いしました。
「言ってやれば良かったのよ、
『ええ、この子は息子の嫁になる娘です』って」

どうやら、ちびくま同様、私もマルシアにぞっこん惚れ込んでしまったようです。
「だって、本当に可愛いんですもん。
この子に惚れない人の気がしれないわ」
「あはは、ママにもやっと私たちがちびくまに夢中になる気持ちがわかってもらえたようね」
そう言って、L先生もローラさんもまた大笑い。

身を切るような冷たい秋風の吹く日でしたが、なんだかすごく暖かい気持ちになりました。

11/23
最近のちびくまはコンピュータに夢中です。
朝目が覚めると、まずコンピュータを立ち上げに行きます。
自分で勝手にCD−ROMを入れ替えてゲームをする、なんていうのはお茶の子さいさい、マニュアルでもきっちり読まないとわからないような、裏技を使っていたり、壁紙やスクリーンセーバーがいつのまにか換わっていたり、ぎょっとするようなことが多いです。
今日は朝使おうとしたら、画面いっぱいにちびくまの好きなキャラクターのアイコンが並んでました。(^^;;

自閉の子は、コンピュータが好きだとはよく言うけれど、どうせなら和製ビル・ゲイツになってくれないかしら。
彼も子供の頃はスペシャル・エドのクラスにいたっていうのは、有名な話ですものね。

11/24
今日は学校の前にスピーチセラピーに行きました。
SLPのGさんは、いつもその日のスケジュールを書いて待っていてくれます。
最初、彼女は「自閉症の子にはこれが良いです」と言って、絵カードのスケジュールボードを作っていたのですが、
「絵があると却って混乱します。字だけにしてください」
と頼んで、そうしてもらったのです。

1.PLAY GAME.
2.LOOK AT PICTURES.
3.SING SONGS.
4.CHIBIKUMA's CHOICE.
5.SAY GOOD-BYE TO MS.G.
というふうに書かれたリストを、Gさんと一緒に読み上げて確認します。

最初のゲームはわりに集中してできました。
次に出された絵も、しっかり見ています。 Gさんは私に、
「3枚の絵を見せて、順番を確認させ、それから少し絵の内容について触れたいと思います」
とその課題の目的を説明してくれました。
ところが、ちびくまは頑としてそれに応じようとしません。 そして、怒った顔で、
"Look at pictures. The end. X.(「絵を見る」はもう終わった。(終わりの印の)Xを書いて)"
と言うのです。

これには、Gさんも私も吹き出してしまいました。
確かにスケジュールには「絵を見る」しかなくて、「その後、質問に答える」というのは含まれていません。
ちびくまは文字どおり、「絵を見た」から、これは終わりのはずだ、と言って怒っているのです。
いわゆる「コンクリート・シンキング」、言われたこと、書いてあることを文字どおり額面どおりに受け止めてしまう、という自閉症ならではの特徴がはっきりでた瞬間でした。

Gさんは「今度から『絵を見て、質問に答える』と書くようにするわ」と笑っていました。

11/25
今日はサンクスギビングの日です。
日本ではハロウィーンほど知られていないお祭りですが、アメリカではクリスマスと同様、家族や親戚が集まってご馳走を食べる、日本で言うお正月にも匹敵する行事です。お店もほとんどお休みになります。

我が家は昨年同様、夫の元同僚、スウさんのお宅にお呼ばれしました。
本来なら、家族だけの集まりなのですが、初めてのサンクスギビングに、「アメリカの伝統行事を味わって欲しいから」と呼んでいただいて以来、「あなたたちは準家族」と毎年呼んでくれるのです。

メニューはごく伝統的に七面鳥の丸焼きにクランベリーソース、マッシュポテトにグレービーソース、サラダにロールバンにデザートはパンプキンやチェリーのパイ。
夕方早くから集まって、料理をしながらワインを飲んでおしゃべりを楽しみ、出来上がったところでお食事、というパターンです。
料理から後片付けまで、男女の別なく、皆が手を貸してこなしていくのは、さすがアメリカ、という感じがします。

ちびくまは伝統的サンクスギビングディナーこそ手をつけないけれど、男の人がたくさんいるのでご機嫌で、一生懸命話しかけていました。
ちびくまが自閉症で特殊学級に通っていることは皆に話してあるけれど、皆、
「フレンドリーでとても良い子ね」
と褒めてくれます。 でも、
「いつもこんなに動いてばかりなの?お母さん、よく頑張っているわね。大変でしょうね」
とも言われてしまいました。(笑)
私たち親は慣れてるけど、やっぱり他人から見たら「大変な多動」なのね(^^;; 。
スウさん夫妻は、
「自閉症についての研究や教育システムは、残念だけどアメリカのほうがかなり進んでいるんでしょう?なんとかこちらに残ってこのまま教育が受けられるといいわね」
と言ってくれました。うーん、こればっかりは、本当にどうしたらいいのか、私たちにもまだ結論が出せないのです。

猫毛アレルギーのあるちびくまは、この夜、目が真っ赤に腫れ、鼻水ずるずるになってしまい、親はほとんど徹夜でつきあうことになってしまいました。

11/27
「おひさまのへや」にまた仲間が増えました。マイケル君です。
ちびくまより1つ下だときいていたのですが、なかなかどうして大物で、初日から平気な顔で単独バス通園し、他の子供たちにもすぐなじんでしまいました。

マルシアはなぜだか彼が気に入った様子で、外遊びの時もずっとマイケルについて周っていました。
マイケルも「ぼく、この子好き」なんて言って、満更でもない様子です。

ちびくま、危うし!なのですが、当の本人もマイケルが気に入ったらしく、マイケルとマルシアが2人で駆け回っている後ろを、ニコニコしながらついてまわっているのでした。
君ってただのお人好しなの?ひょっとして。

11/30
早いもので、もう11月が終わろうとしています。
このまま会社の命令どおり日本に帰るとすれば、ちびくまがL先生のもとで指導を受けられるのは、あと3ヶ月半しかありません。
まだ鋏も十分に使えない、会話もできない、なによりトイレトレーニングが全く進む気配がないのに、正直言って焦りがでてきています。

L先生は言います。
「こんな素晴らしい子が、表面的にできること故に必要なヘルプを受けられなかったり、反対にできないことばかり見て正当に評価してもらえなかったりするかもしれない、と思うといたたまれないわ。
日本に帰るまでに、もう少しなんとか目鼻をつけておきたい。
ママ、私はこれからちびくまに対して今までより厳しくなるかもしれない。けど、誤解しないでね。私の手を離れるまでに、もう少しなんとかしておきたいの。
そうでないと、日本の先生たちにはこの子がどんなに特殊で、どんなに素晴らしいかがわからず、この子の内に秘めているものを埋もれたままにされてしまいそうで、怖いのよ。
ああ、もっと時間が欲しいわ」

繋ぎおきとめていたいような時間が、1日1日、飛ぶように過ぎていきます。


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