| HOME | SPECIAL | BBS | LINK | DIARY 1~4 | DIARY(5) |

DIARY

Mar 99








ロスト・ストーリー
伊藤 たかみ 著 |  河出書房新社 | 30・03・99 読了

帯に惹かれたので購入 J文学 長編ファンタジー

東北沢に父親が残してくれた一軒家に住む星野兄弟 その家には兄のかつての恋人も同居していた しかしある日一通の手紙を残して彼女は突然消えてしまう 彼女の現在の恋人や彼女の妹と一緒に何のために彼女は皆の前から行方をくらませたのかを知るために彼女のかけらを拾い集めていく

結局のところこの目で見るものだけが真実で、この手に触れられるものだけが愛せるものだと、真っ暗闇に閉じ込められた僕の目が教えてくれているようだった。だから忘れるな。その瞳に映るものは全て見ておけ。その手に触れられるものを全て愛しておけ。後悔も喜びも、その後だ。お前は黙って、流れに飛び込め。幸福も不幸も未来に転がっている。甘い思い出や後悔は過去に刻まれている。せめて今だけは、何も考えずに飛び込め。この小さな時間の中で、お前は正しいことをやれ。お前にとって正しいことをやれ。

最初は文体に慣れなかったけれど展開部分に入った途端のめり込んでしまった しばらく時間を置いてから読むときっと印象が変わるであろうと思われる類の本 
作中の人物たちの どうして?と考えるより何のために?という考え方にしばらく影響されそう

久々に二日で二冊読了 これはこの本を読んでる最中に森さんの本に浮気したから出来た技である 







冷たい密室と博士たち
森 博嗣 著 |  講談社文庫 | 28・03・99 読了

シリーズ物で一冊目(新書版)を読んでいたし文庫で出版されたので購入 サスペンス
国立N大学工学部建築系で教鞭をとる主人公犀川助教授とお嬢様学部生の西ノ園のコンビが活躍する推理物 第二段 ちなみに小説の設定では一作目の事件より一年が経過していることになっている 今回はN大学工学部土木系の実験室で起こった密室殺人事件の謎について

何故、役に立たなくてはいけないか 〜略〜 そもそも、僕たちが何かの役に立っていますか?

今のわたしの職業柄 主人公の研究以外に対する仕事 (つまり会議など)に対する気持ちはとても面白く読める あれだけ頭が良いはずの人たちが一同に会し 延々と無駄話に講じているのを端から冷静に見ている主人公の心理はわかる わかるけれど個人的には会議は長ければ長いほうが良い







失踪症候群
貫井 徳郎 著 |  双葉文庫 | 24・03・99 読了

ネットでお薦めだったので購入 サスペンス
ここ数年 親元を離れて暮らしている大学生の失踪が増えている ささいな事件を発端にそれが微妙だがある一定のルールにそっていることに気づいた警察はその失踪の裏側にあるものを探り始める

根ざすものがなくすべてから遊離してしまうことが、これほど恐怖を誘うこととは、想像すらしていなかった。

逃げるということばと変わるということばは似ているようで違う 
思えばわたしも多くのものから逃れ生活していた時期があった そのような時間を送ったために失ったものもあったけれど得たものも大きかった 消極的に逃げてばかりいてもしょうがない 自分で進まなきゃね やっぱり
 
これまた3時間ですんなり読了した 面白かった これはシリーズ本の第一作目で 二作目は「誘拐症候群」らしい 






真夜中の死者

矢口 敦子 著 |  光文社カッパノベルス | 22・03・99 読了

書店のお薦めコーナーにあったので購入 サスペンス
東京で大学生をしている主人公田添一也はインターネット暦四ヶ月 彼はふとしたきっかけで自殺日記のHPに巡り合い 掲示板の常連となる ある日いつものようにそのサイトを訪れるとそこには主催者の訃報がアップされていた 主人公は他の常連たちと彼女の死の真相の解明に乗り出すが・・・

私は虚数、実在するはずのない数。どれほど実数と同じように振る舞っても、描いた軌跡は仮想でしかない。

2〜3時間で読みきってしまった どういう展開になるかどきどきしながら読んだが結末はもう一ひねりできたのではないかと思った ともかくネットの世界の匿名性いや匿顔とくがん性というものを取り上げている小説(ってネットが舞台だから当然か)





リミット

野沢 尚 著 |  講談社 | 19・03・99 読了

ネットで薦められて購入 サスペンス
首都周辺で連続幼児失踪事件が発生する中 警視庁特殊犯捜査一課の巡査部長 有働 公子はある幼児誘拐事件を担当することになった 犯人との交渉を進めるうちに事件は思わぬ様相を見せ始める 

別れの美しさ、死の美学っていうのが日本人の文化的背景なんだよね。

母親であり刑事である公子と 彼女に憎悪 いや嫉妬を燃やす犯人の駆け引きが絶妙 (女の人が実にうまく書けている) また もともと脚本家(「この愛に生きて」、「青い鳥」)として有名な人なので文体にも癖がなく スピード感に溢れている 久々に一日で読めた!
作者は前作「破線のマリス」で江戸川乱歩賞を受賞している これも読まなきゃ





李歐

高村 薫 著 |  講談社文庫 | 18・03・99 読了

高村さんの本だから購入 長編小説
阪大の学部生として研究に生きるわけでもなく また特に将来に希望のあるわけでもなくただ空っぽな時間を過ごしていた主人公 吉田は ある日バイト先のクラブで一人の青年と運命的な出会いをする その後 二人の友情は数々のものを巻き込み犠牲にしながら途方も無いスケールで発展していく

君は大陸の覇者となれ、ぼくは君についていく夢を見るから

ともかく登場人物の男たちが格好良い!久々に読んだ高村作品だけれどこの文章のうまさ 作者の題材に対する取材および勉強量は圧巻 結構厚い文庫本だったけれどさらさら流れるように読めた 作中 桜がキーワードになってくるのでこの時期読むのお薦め 
*ちなみにわたしの中では高村さんのベストは「リビエラを撃て」





無常の世界

安部 和重 著 |  講談社 | 14・03・99 読了

本屋で平積みになっていて帯に惹かれたので購入 短編集
定期売り場で出会った女性に一目惚れし 彼女のことを知りたいと思うあまり どうにかその不倫相手の子供の家庭教師になり 二人の関係を清算させようとする神経質な男 現実の世界にうまく適応できずインターネットに救いを求める妄想気味の高校生 自分が危険な立場に立たされているにも関わらず 逃げ回ればなんとかしのげると信じるいい加減な男 そんな男たちの話しが描かれている

やたらと先を急いだときが/私にもあったわ/ちょうど今のあなたのように/自分の意見を言わずにはいられない/そんな日もあったわ/ちょうど今のあなたのように/あなたの機嫌を損ねるつもりはないの/ただ少しペースを落として欲しいだけ/穏やかな気持ちになったことはないの?/自分の中に/安らぎを見いだそうとしたことはないの?/歌をくちずさんで/幸せな気持ちになったことはないの?/力づけてあげたことはないの?

この作家の本を読むのは初めてだったので慣れるまで気分がもやもやした それは作品のテーマのせいかもしれないし一編目が特に個性的だったからかもしれない (一編目の後半からはすっと読めるようになった) どの作品にもあっと驚かされるクライマックスが用意されているので 最後まで読み終わったまたもう一度最初から拾い読みしたりもした ともかく略歴で作家が映画学校卒業後演出助手などを務めた経歴を持つと知ったとき やっぱり と納得できた 






日蝕
平野 啓一郎 著 |  新潮社 | 13・03・99 読了

現役京大生の芥川賞受賞作というので購入 つまり単なるミーハー
物語の舞台は1482年 フランスの夏 巴里大学で神学を学を学んでいたニコラは ふとしたきっかけで異教徒の哲学書に興味をもつ パリでは入手が極めて困難なその書を手に入れるため彼は南仏へと旅立つ  その旅の終末で彼は一人の錬金術師と巡り合う 錬金術師を通じて 異端への興味が増して行く中 町で事件が・・・

「・・・・・そこで敢えて言おう、地上の人間は死すべき神であり、天上の神は、 不死なる人間であると。」

最初本を眺めたときは独特の漢字使いに読むのを躊躇したが一旦読み始めると 存外面白かった 23歳の若さでこれだけ書きこめる能力には感嘆する
カソリック系の学校に通っていたのだが宗教に関しては 義務教育で習ったものと西洋美術鑑賞に役に立つ程度の知識しかない だから この歳になってこの手の本を読むにつれもう一度きちんと宗教を知りたいと 思う
そう言えば未読書の中に遠藤さんのがあったっけ・・・






エイジ
重松 清 著 |  朝日新聞社 | 10・03・99 読了

「ビフォア・ラン」が良かったので購入 
新興住宅地で生活する中学二年生のエイジ 彼にはホームドラマに出てくるような家族がいて 所属していたバスケットクラブでも優秀な選手だった それなりの自分の生活に満足していた彼だが 街で連続通り魔事件が起こり その犯人が同じ中学の同じ歳の男の子だったと知ったとき 何かが変わり始める

目の前にふわふわと浮かぶ「わかる」がうっとうしい。
そして、胸の奥には、「わからない」が溜まっていく。

「朝日新聞」夕刊連載に加筆されたものということなので 話しがこまめにまとまっている 
最近ちょっと耳にしないがちょっと前まで良くマスコミを騒がせた「きれる」という状態について考えたとき
いまどきの中学生も ちょっと前の中学生も ずいぶん前の中学生も変わらないだろう と思った
ともかく やっぱり この人うまい!






おしまいの時間
狗飼 恭子 著 |  幻冬社文庫 | 02・03・99 読了

以前からちょっと気になっていた作家だったので購入 
主人公の21歳の春 彼女の高校時代の先生が自殺した そのお葬式で友人と久々の再開を遂げる
今まで受身の人生を送ってきた主人公だが それを機会に自分の足でしっかり進もうと決意するまでが描かれている

ああ、終わったんだなあ。
二十一歳の誕生日に、私は思った。

作者の狗飼さんは若干二十歳と若い これからの人なんだろうな・・・








面白い本 お薦めの本がありましたらメールまたは掲示板にて 
教えていただければ 幸いです


| SPECIAL | BBS | LINK | DIARY 1~3 |
Home