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DIARY

October 99


















東京開花えれきのからくり 

草上 仁 著| ハヤカワ文庫| 23.10.99 読了

新刊で面白そうだったので購入 長編ファンタジー
明治元年(1875)尊皇攘夷 新しい時代が始まった
そして時は流れ 明治六年 異国文化が町に氾濫し始め過去への固執 未来への希望が渦巻いていた
そんな混乱期 東京で不審火が相次ぎ 一件の不可思議な殺人事件が起こった その事件を解決するためにもと岡引の善七と火消しのサクジが奔走し始めた

年寄りはともかく、若えものが、何か手に入れようって時に、てめえの足を使わなくなっちゃあ、おしめえだ。

最初は登場人物が時と場所を変えあっちにいったりこっちに出てきたりと少し混乱したが
以前から興味のあった江戸と東京の境目の人々の暮らしや習慣 変貌する街に対する 気持ちが面白くかかれていた 葡萄酒の熱燗は健康に良いのだとか苦汁粉(珈琲) は脚気や頭痛に効くのだとかなんだかそういう話が面白い




この町の誰かが   
マイケル・ボンド 著 木村 博恵訳 | 東京創元社 | 21.10.99 読了

新刊で若竹さんの推薦だったので購入 中編推理小説
コネティカット州クロックフォードの小さで平凡な町 そこでひとりの少女がベビーシッターのアルバイト中に殺害された 犯人は誰なのだ?町中の人が犯人探しに躍起になり次々と他の人に嫌疑をかけていく

よその人間に責任を負わせることができたら、どんなに簡単だろうって考えてただけだよ。

最初は口語体に慣れずページが進まなかった
しかしストーリーの展開とともに変化していく 登場人物達の心理が面白く読めた 
一つの町として結束してきた人たちが凄惨な事件に巡り合ったとき恐怖から生み出される集団心理とその犠牲になってしまった個人




ななつの子    

加納 朋子著 | 創元社推理文庫 | 20.10.99 読了

新刊でて面白そうだったので購入 短編連作小説
表紙に惹かれ購入した小説に自分の中の何かを触発され駒子は作家にファンレターを出した
いったい、いつから疑問に思うことをやめてしまったのでしょう?

ひとつだけを割ってしまった揃いのティーカップ、ひとつだけなくしてしまったゲームの駒。一本だけ抜けてしまった乳歯。
揃っているはずのものが、ひとつだけ欠落してしまうのは、ひどく落ち着かない気持ちにさせられる。自分にとってその物の持つ価値の大きさだけのあぶくが、心の中にぽっかりと浮かぶのだ。


温かくほのぼのとした感じが漂う推理物
女子大生と作家のコンビと来れば北村薫氏の作品を思い出される方も多いだろうが
雰囲気としてはあれらをもう少し柔らかくした感じ
のんびりとした天然さと時折みせるしっかりとした芯が魅力的な主人公である




十一月の扉    

高楼 方子 著 | リブリオ出版 | 19.10.99 読了

新刊で面白そうだったので購入 児童書
新品の双眼鏡を弟奪い合いながらアパートの外を眺めていたわたしは ある建物に心を奪われた 
白い柵を巡らし庭には木々が植わり赤茶色の屋根白い木造の洋館 父親の仕事の都合により二学期の途中で家族は引っ越したのだが わたしは両親に頼み込んでその洋館(下宿屋)に二ヶ月住ませてもらうことにした

いろんなことって、流動的だもの、その時その時、いいと思うことをやっていればいいんじゃないかしら。

二ヶ月という期限付きで 家族を離れて暮らしている少女の成長が温かいタッチで描かれている 
ふとした言葉遣いに違和感を覚えたり 子供の頃に読んでいればもっと面白かっただろうにと・・・思ってしまったりもしたが最後は読者の期待を裏切らずにいや期待以上に爽やかさをもたらしてくれた




パンプルムース氏の秘密任務   

マイケル・ボンド 著 木村 博恵訳 | 東京創元社 | 15.10.99 読了

創元社のはさみこみにはいっていて面白そうだったので購入 長編推理小説
元パリ警視庁の刑事で今はグルメ・ガイドブック『ル・ギード』の覆面調査員パンプルムース氏はある日編集長から極秘の依頼を受けた 親戚がやっている田舎のホテルを建て直して欲しいということなのだが

しかし運というものは、目の前にきたときすぐに掴んで使ってしまわなければなにもならない。多くの人は運に恵まれても、それを活かすことが出来ない。

マイケル・ボンド先生はかの有名な『くまのパディントン』を世に生み出された方である
美味しそうなお料理がずらっと出てきたりイギリス人らしいブラックなユーモアもくすっと笑えるほのぼのとしたユーモアもあり楽しい一冊 読み始めてしばらく何かがおかしいと思ったのだが中盤で本書がシリーズ二作目だったことに気づく やられた




風の盆恋歌    

高橋 治 著 | 新潮文庫 | 14.10.99 読了

書店のお薦めの本だったで購入 長編小説
富山県婦負郡八尾町では毎年風の盆といわれる行事が行われる そんな町の一軒家を東京の男が購入した 買ったのは住むためにではなく風の盆にだけ使うためだという 毎年一人でその家を訪れる男が抱えているものとは

幸せって、いいことなの?人間にとって、生きたって実感と、どっちが大事なの?


古くから伝わる郷土文化を背景に語られる愛の話は
主人公達の年齢だからこそ冴え渡り心にこだまするのだろう 
最初は年齢の設定に少し違和感を覚えたのだがあまりの
切なさに後半は泣いてしまっ た  しっとりとしてよくまとまっている作品




ビートキッズ   

風野 潮 著 | 講談社 | 11.10.99 読了

評判が良かったので購入 児童文学  97年講談社児童文学新人賞受賞作
北摂地域(大阪)に引っ越してきた俺こと横山英二はある日交差点で同じクラスの女の子に呼び止められた 彼女のクラブでもある吹奏楽部に入って大太鼓を叩いてくれへん?ということやった 万博公園であるドリフェスに出たいという部員の願いを俺が叶えることが出来るんやろか?

もっとずっと、バスドラムをたたいていたかった。空気を響かせて、リズムを刻んで、花火を打ち上げていたかった。俺、このままずっと花火の気分、味わっていたいねん。俺、やっぱりヘンなやつなんかな。演奏がうまくいってよかったと思うより、もっとたたいていたい気持ちのほうが強いやなんて。


冒頭から関西弁で驚いた 
まだまだ粗削りなところが多いがぐいっと引き込まれる力強い作品
パート2が20日に出る模様ドラマ化もされる
ほのぼのとした大阪産天然パワーが人気あり




恋   

小池 真理子 著 | ハヤカワ文庫 | 10.10.99 読了

久々に読みたくて読む 長編小説
1972年の春からわたしの世界は変わり始めた それまで新左翼系セクトの活動家の唐木との生活に翻弄されていたのだがもっと実入りの良いバイトを探しているうちにある大学助教授がアルバイトを募集していると耳に挟む 彼は翻訳本を出版するための下訳を手伝ってくれる学生を募集していたのだ 

あなたみたいな人は、友達とは言わない。何て言えばいいのか、教えてあげましょうか。小姑と言うんです。他人の人生を自分の一言で動かそうとする。傲慢もはなはだしい。


発売当初購入したのだけれど当時は濃密な雰囲気に圧倒され開始5ページで断念した小説
今読むとあの時のわたしが感じたものは何だったのだろうか?というほどすんなり読 めた 
熟れた水蜜桃を食べているときのような べとべとした甘さはあるものの嫌じゃなか った




あなたには帰る家がある   

山本 文緒 著 | 集英社文庫 | 06.10.99 読了

山本さんの本なので購入 長編小説
私立中学で社会を教える茄子田太郎は太郎の父母 太郎の妻 ふたりの子供と犬で絵に描いたような幸せな生活を送っている 一方結婚して一年半が経ち 幼い娘と三人で生活をしている佐藤家では妻の真弓が子供の面倒 家事や夫とともかく今の生活にストレスを感じ始めていた

自分は誰かを許せるような人間なのだろうかと思った。
人に許しを与えられるようなご立派な人間なのだろうか。



山本調がさえる作品
こういう人間っているよな・・・とわかったふりして頷きながら読んでいると知らぬ間に自分がどこに立っていたのかわからなくなってしまう
生々しすぎることなく今の女性が抱えている問題を描いている作家だと思う




風の王国   

五木 寛之 著 | 新潮文庫 | 05.10.99 読了

書店のお薦めだったので購入 長編小説
流星書館の嘱託で旅行記を書いている風見卓は新シリーズ≪日本、その光と陰≫出版のため二上山に登ることになった
大和の東の三輪山は朝日さす神の山 西の二上山は日の沈む浄土の山でかつて朝廷への反逆者が葬られた地であった

勝つか、負けるか、ぎりぎりの地点で迫られたときは、負けるがよい。


歴史物を読むつもりでなく読み始めたのだが歴史の闇と現代の闇が織りなされた作品だった
五木さんの本を読むのは多分これが初めてだと思うのだが 莫大な量の参考文献を基に描かれた物語はおしつけがましくなく面白かった




落下する夕方   

江國 香織 著 | 角川文庫 | 05.10.99 読了

なんとなく購入 中編小説
「引っ越そうと思う」
8年間一緒に暮らしてきた健吾はそういって家を出ていった 別れを把握できない私の時間は淡々と流れていたのだが ある日今の健吾にとってかけがえのない存在である女 華子が部屋に訪れてきた 一緒に住もうと彼女は言う

「きらいになっちゃったの?」(中略)
「そうかもしれないし、そうじゃなくてはじめから好きじゃなかったのかもしれない。(中略)どっちでもおなじことだわ。
私は自分の感情なんてとても信じられないんだから」



つらい話だけれど読み出すと止まらなくなった
15ヶ月かけて静かに現実を受け入れる女の姿は時として居心地の悪さを感じる
そこに自分の格好悪い姿を重ねてしまうからである
面白かった




星降る山荘の殺人   

倉知 淳 著 | 講談社ノベルズ | 04.10.99 読了

倉知さんの新刊だったので購入 本格推理
真っ昼間のオフィスで課長補佐を殴り制作部からカルチャークリエイティブ部に異動となった杉下
彼の担当は今女性に絶大な人気を誇るスターウォッチャー星風詩郎 マネージャー見習いとして彼についてすぐに営業で埼玉県の山中に行くことになったのだが雪に閉ざされた山荘で事件が起こった

実現できなかった他人の夢なんてはじめからなかったのと同じだから


作者の講談社ノベルズ初登場を記念してかかれた犯人探しの物語
サブタイトルと本編を注意深く読み進めたつもりだったのだが犯人はあてられなかった
こういうのは苦手だからいいのだけれど・・・ちょっと悔しい




食卓の情景   

池波 正太郎 著 | 新潮文庫 | 01.10.99 読了

なんとなく購入 エッセー
単身赴任のパパ 働きに出ているママの間に育ったまいは 中学に入ってすぐに学校に行かなくなった もう学校には行かないと決意したまいをママは田舎のおばあちゃんのところに預けることにした まいとイギリス人のおばあちゃんの暮らしが始まった

人間にとって、ただひとつ、はっきりとわかっていることは、
「いつかは死ぬ」
という一事のみである。
あとのことは、いっさいわからない。
人は、死ぬために、
「生まれてくる」のである。
おもえば、恐ろしいことである。



池波正太郎は祖父が良く読んでいた 
私自身がこの作家の手によるきちんとした一冊の本を読むのは今回が初めて 
京都に良く来られていただけあって良く聞きき知っているお店の名前が沢山でてきた 
東京でも以前行ったことのある目黒が本店の豚カツやさんが出てきたり ともかく面白く読めた 
司馬遼太郎と比べると池波正太郎は庶民的で なじみやすい作品を書いておられると思った 
古き良き昭和 こんなにも懐かしく感じられるのは やはり失われてしまったものへの郷愁か




キス・キス   

ロアルド・ダール 著 開高 建 訳| 早川書房 | 01.10.99 読了

なんとなく購入 短編集
ピリィ・ウィヴァーは田舎から大都会ロンドンへ夢を叶えにやってきた まずは下宿屋を探そうと歩いていた彼の目に一軒の居心地良さそうな下宿屋が飛び込んできた 彼はその場所に惹かれ泊まることにするが

事実からはなれてはいかんよ


開高健氏とは子供の頃からの付きあい 
父親が好きだったこともあって当時彼が出版していた 『オーパ』という写真集をよく眺めていたのが始まり 
きりりとした訳がダールのぞくっとくるブラックな文章と あっていて読みやすかった 
今回読んでいる最中にかつて一緒に勉強していた アメリカ人が面白いと紹介してくれた作品に出会うことができた 
原文を読んでいたときのイメージと日本語に訳されたものとが かちっと一致していたので驚いた 
こういうのは結構うれしい




初ものがたり   

宮部 みゆき 著 | 新潮文庫 | 30.09.99 読了

なんとなく購入 歴史物短編連作
江戸は深川一帯をあずかる岡っ引きの茂七のところには下っ引きがふたり出入りしている その糸吉と権三たちと共に解決されいてく事件が7つ

女でも女みたいな夢見ちゃ生きていかれない女もいるんです


宮部流読みやすい歴史物
四季折々の移り変わりとお江戸の人情が彼女らしく描かれている
出てくる食べ物がいちいち美味しそうで 
主人公が贔屓にしている屋台の稲荷寿司屋の作る料理など
読んでいるだけでお腹が空いてくる 







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