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2000年1月に読んだ本
 殺意の集う夜
 七回死んだ男 完全無欠の名探偵 夢幻巡礼 念力密室 実況中継死
 幻惑教室 王の眠る丘 解体諸因 凍える島
 てのひら童話−空のともだち− 悪意 月は幽咽のデバイス
 時計を忘れて森へいこう ストレート・チェイサー
 スコッチ・ゲーム 仔羊たちの聖夜 麦酒の家の冒険
 ブギーポップ・カウントダウン エンブリオ浸蝕 そして二人だけになった
 ハサミ男 地球儀のスライス まどろみ消去 人形式モナリザ
 有限と微小のパン 見えない道のむこうへ 数奇にして模型
 今はもういない 夏のレプリカ 幻惑の死と使途 封印再度 黒猫の三角
   (この月は一体何が起こったんでしょう?)




26.01『殺意の集う夜開始読了       
西澤 保彦 講談社ノベルス[長編推理小説]
昨日まで何の変哲もない平凡な大学生だったあたし
でも今日、陸の孤島と化した別荘でもう戻れない一線を越えて
しまった
別荘に転がっている六体の死体はだって
あたしの行為の結果なんだから

 どんなに肉体が滅びかけていても、
 女は女なのだ。
 死ぬまでずっと。
 薄気味悪いくらいに。

どきっとするほど生々しい描写があったり
スピード感溢れる展開があったりで
すんなりと頭の中でイメージを作り上げられる作品
途中で時間的経過をうまく捉えられない場面もあったが
結末でぐっとうならされた
自分ではあまり捕らわれていないつもりだったのだけれど
思いの外頑固に身に付いてしまっているものなのだね
既成概念って

24.01『七回死んだ男開始読了       
西澤 保彦 講談社ノベルス[長編推理小説]
いきなりだけれど、僕、大庭久太郎は特殊な体質である
(どこが特殊なのかはまあ本を読んでみて下さい)
今年もいつものように家族で祖父の家に
新年の挨拶に訪れたけれど なにやら雲行きがおかしい  
母とその姉妹が必死になっている
どうやら祖父の後継者争いに遂に終止符が打たれるらしい
 
 自分が無意識に傷つけてしまう相手に
 温もりをも同時に求めてしまうといった矛盾を抱え込むのが
 人間の姿なのかもしれない。

作家が映画『恋はデジャ・ブ』に触発されて書いたという作品
わたしは読んで、『リプレイ』や『Y』を思い出した
上にあげた二つの作品との違いは
この作品では運命なんてことばで表されるものじゃなく
もっと身近で人間くさいものを感じさせるということ

23.01『完全無欠の名探偵開始読了       
西澤 保彦 講談社ノベルス[長編推理小説]
白鹿毛グループ総帥の白鹿毛源衛門は孫のりんが
目に入れても痛くないほどかわいい
彼女は祖父の元を離れ遠く高知の大学に進学し
卒業後も高知で働くという
それを聞いた源衛門は孫の身を案ずるあまり一人の青年を
高知に送り込むことにした

 人間の記憶力とはかくも現実から遊離した能力なのだ。
 それは正しくは想像力。そして想像力こそ人間の感情あって初めて成立する。
  極端な話、感情を抱かない対象を人間は憶えることはできない。
 好きでも嫌いでもない相手、それは人間にとって存在しないのと同じだ。
 なぜならその”記憶”が補強されないから。
 補強すべきイマジネーションが喚起されないからだ。
 イマジネーションが伴わない対象は、だから思い返すたびに
 逆にどんどん忘れてゆくということになる。

気付かないうちに心の奥底に沈みんでしまった疑問を
思い出させてくれる人が本当に居るとしたら
私は一体何に対する違和感を思いだすのだろう

22.01『夢幻巡礼開始                
西澤 保彦 講談社ノベルス[長編推理小説]
チョーモンインシリーズ第4段(番外編)
十年前の夏
奈蔵渉の恋人だったさやかと義理の姉になるはずだった奈緒美が殺された
それから時は流れ
さやかの弟であり奈蔵渉の友人であったリュウから
奈蔵のもとに突然の電話があった
その時に事件現場の山荘から忽然と姿を消しこの十年というもの
行方をくらましていたリュウは果たして事件解決の鍵を握っているのか

 正常という状態は、微妙なバランスのもとに成立しており、
 実に些細なことで崩壊し得る。

人の狂気というのはいかにして生まれるのかということが主題
思いの外ダークな感触の作品

22.01『念力密室開始読了                
西澤 保彦 講談社ノベルス[長編推理小説]
チョーモンインシリーズ第3段
超能力者問題秘密対策委員会出張相談員(見習)紙麻嗣子と
作家保科そして能解警部の出会いを含む6作品

 「変わったわね、あなた(中略)
 以前のあなただったら、同じ科白を口にしても、
 きっと、おざなりにしか聞こえなかっただろうから」

シリーズ第一作と銘打たれた幻惑密室を
読み始めたときからこの作品の前にきっと
何か発表されているはずだと思ったのだが
単行本での出版順に読んだので
結局この段階まで出会いの秘話を知らなかった
なぜ密室を作らねばならなかったのかという
様々な理由が楽しめる本
 
21.01『実況中継死開始読了                
西澤 保彦 講談社ノベルス[長編推理小説]
チョーモンインシリーズ第2段
4月1日の午後
降りしきる雨の中車道を自転車で突っ走っている最中に
落雷に打たれた素子
それを境に彼女の身に異変が起きた
見知らぬ他人の目を通して風景が見え音が聞こえるようになったのだ
最初はその状況を呑気に楽しんでいた素子だが
その<分身>の奇妙な行動に不安がむくむくとわきあがりはじめた

 彼女は泣くことが嫌いだった。
 涙はストレスを浄化する。それゆえ、
 しばしば物事の本質から眼を逸らす目的でひとは泣く。
 特に女はそうだ。
 匠緒はそう認識している。
 そういう意味で涙は匠緒にとって、ある種の麻薬のようなものであり、
 それに依存する自分は嫌いだった。

超能力者問題秘密対策委員会出張相談員とミステリ作家
警部の三人組が活躍するシリーズ第二作目
前作と比べるとぐっとキャラクターがいきている
今回は実在作家の名前や作品が登場したり
作家に関して面白い挿話もあったりでかなり楽しめる

21.01『幻惑教室』読了
20.01『幻惑教室開始                
西澤 保彦 講談社ノベルス[長編推理小説]
チョーモンインシリーズ第1段
健康器具開発会社<ゲンキ・クリエイト>の社員
男性2名女性2名が一月三日に社長宅に招かれた。
数多いる社員の中からなぜこの四人が選ばれたのか、
当人達はおのおの勝手にその理由を見いだし、
ある者は不安に駆られ、ある者は期待に胸膨らませ
宴会が始まるのを待っていた。
しかし、思わぬ出来事が 起こり・・・

 人間、やはり受け身にならざるを得ない時があると思うんです。
 そして、わたし、受け身であることが罪悪とは思いません。
 何故なら、受け身であるという状態は、そのひとの固定的な資質ではない。
 ある状況下で受け身だからといって、
 いつもいつも受動的だとは限らないわけですものね。
 能動的になったり受動的になったりするのは、
 状況に応じて決定される、そのひとの価値観の表れだと思うんです。
 恋愛の問題でもそうです

SF混じりの推理小説とは
果たしてどのような代物だろうかとどきどきしながら読む
ちょっと疑問に思うところもあったが
設定に押されることなくきっちりと話が書かれていて
なるほどと合点がいった次第

20.01『王の眠る丘』読了
19.01『王の眠る丘開始                
牧野 修 ハヤカワ文庫 [長編小説]
霊の国の西の端に<灰かぶり市>があった
そこには首都のゴミが全て捨てられていた
大量のゴミはあるものにとっては宝であり
人がそこに集まり始めた 
これはその灰かぶり市に住む少年戌児の話

 
牧野さんって最初はこんな作品も書いてられたのね
そういえばホラーとファンタジーって似ているか・・・?
もう少し書き込める作品かなと思った
展開が急すぎて え?と思う箇所もあったし・・・
ともかく最後の場面はとても幻想的で美しい

20.01『解体諸因』読了
14.01『解体諸因開始                
西澤 保彦 講談社ノベルス[短編推理小説]
匠千暁、辺見祐輔、高瀬千帆らが
不可解な9つのバラバラ事件の謎に挑む
西澤 保彦氏のデビュー作

 厳密に言えば母親の影響や支配を全く受けないで済む
 息子などという存在はあり得ないであろう。
 
のっけから最後までバラバラ殺人の話で
読み始めはかなり抵抗があったが
なんとか読み終えた
題材が題材だけに好みが分かれる作品だろう

15.01『凍える島』読了
15.01『凍える島開始                    
近藤 史恵 創元推理文庫[長編推理小説]
ぶらぶら仲間のなつこさんと一緒に始めた北斎屋という喫茶店
そこにも良く来るなつこさんの彼、椋くんの知り合いが
無人島に別荘を持っているので
喫茶店の慰安旅行で行かないかという話が出た
そして瀬戸内海に浮かぶS島で男女8人が一週間過ごすことになったのだが

 「ものごとのわからないひとって、多いよね」
 「うん」
 「そういうひとって、きっとわたしたちにできないことができるんだと思う」
 「たとえば」
 「まっすぐに歩くとか」
 なつこさんはものすごく感心した。
 「さかなをきれいに食べられるとか」
 「まいにち、おなじ時間に起きられるとか」
 「だからこれからわたしたちは、まっすぐな歩き方とか、
 さかなのきれいな食べ方を、時間をかけて覚えていけばいいんだよ」
 「そうだね」
 「そうだよ」

最初は登場人物の名前を覚えるのに
何故か時間がかかりおたおたしたが
一晩で読み終える程面白かった
女の人の書き方が上手い作家
推理小説というより上質の恋愛小説といった感じ
登場する女性と自分のことが重なってしまった 
女って怖いです

14.01『てのひら童話−空のともだち−読了        
おーなり由子 角川書店 [短編集+絵]

 ノートのはじっこに
 あなをあけてのぞいた空や
 教科書の上の白いひだまり
 あたりまえのような一瞬は
 永遠にあるみたいな気がしていたよ

眠れない夜にふと読みたくなる本

13.01『悪意開始読了            
東野 圭吾 講談社ノベルス[長編推理小説]
4月16日にある殺人事件が起きた
第一発見者は二人の人間 
犯人はすぐに逮捕されたが
犯人自身は犯行動機を決して語ろうとはしない
その裏に隠されているものは一体・・・

 教師と生徒の関係なんてのはね、錯覚の上で成り立っているんだ。
 教師は何かを教えていると錯覚し、
 生徒は何かを教えられていると錯覚している。
 そして大事なことは、そうやって錯覚しているのがお互いにとって
 幸せだということだ。

やられた
の一言に尽きる
ここ最近の二作『秘密』『白夜行』と比べて
ミステリー色が濃いのでそれだけ読む人を選ぶだろうけれど
わたしはかなり好き
この作家は人間が生きていくうえで生まれる薄暗闇を書くことに
長けていると改めて思った
彼の独特の味が出ていて良い作品だった

13.01『月は幽咽のデバイス−The Sound Walks When The Moon Talks』読了
12.01『月は幽咽のデバイス開始                   
森 博嗣 講談社ノベルス[長編推理小説]
Vシリーズ第3作目
薔薇屋敷、月夜屋敷、黒竹屋敷と呼ばれている篠塚邸
閑静な住宅地に建つその大邸宅には狼男がでるとの噂がたっていた
そしてそのお屋敷で到底人間業とは思われないような
殺人事件が起こった

 酔うとこうなるのである。自分でもよくよくわかっている。
 楽しいわけでもないのに、うきうきしてしまう。
 どうなっても良い。
 悲しいわけでもないのに、泣きたくなる。
 別にかまわない。
 欠伸が出た。
 よし、乗り込もう!

ん!ん!ん・・・
このシリーズはどうなんだろう?
キャラクターには徐々に慣れ始めたけれど
まだまだ馴染めない科白があったり受け入難い行動があったりと
難航中
その分シリーズが完結した時に あるいはその過程で
この印象がどう変化するか楽しみである

12.01『時計を忘れて森へいこう』読了
10.01『時計を忘れて森へいこう開始             
光原 百合 東京創元社 [短編小説集]
父の転勤の都合で清海に引っ越してきたわたし、翠は
高校の校外学習で訪れた場所で母からもらった大切な腕時計を
なくしてしまった。
森の中で時計を探して一人歩いているうちに
自然解説指導委員の護さんと知り合った。

 不幸な理由はどうしてって考えなきゃいけないけれど、
 幸せってのは考えるもんじゃないのよ

同じ事が恋愛にも当てはまる
好きになるのに理由は要らないけれど
別れるのには理由がいる
10代半ばの頃を思い出しながら読んだ
主人公の考え方がちょっと甘いと思えたりもしたが
よくよく考えると若いときは自分もそんなに変らない思いを抱えていたような?
草の芽の息吹く春に読むのに良いかもしれません


10.01『ストレート・チェイサー開始読了              
西澤 保彦 光文社カッパ述べルス[長編推理小説]
娘が前夫の家に泊まりに行く土曜の夜はいつも
寂しさを紛らわすため街に飲みに出るリンズィ
ある土曜の夜バーで知り合った二人の女性と
お酒に酔った勢いか交換殺人の計画が持ち上がる

 突き詰めれば人間、存在すること自体がとても
 エゴイスティックな存在状態なわけでしょ。
 それならば、あたし、エゴイスティックであることに
 自覚的であろうと決めたのよ。
 だから今、とても充実しているの。

親の子を思う気持ちというか彼(ら)が
良しとして作り上げた世界観と
子供のそれとの違い
なんだかアガサクリスティーの『春にして君と離れ』 が思い出される
そんな作品

09.01『スコッチ・ゲーム開始読了                
西澤 保彦 角川書店[推理小説]
匠千暁シリーズ第4段
二年前の冬 高校教師惟道晋の教え子が三人相次いで
殺害されるという事件が起こった
犯人はまだ捕まっていない 
その事件により出来た心の傷が
未だ癒されていないタカチこと高瀬千帆
彼女はタックこと匠千暁やボアン先輩そしてウサコに思い出話を
語ることにより真相を掴もうとする

 つきとめれば、人間関係というものは、すべて同じ構造を持っている。 
 節度のある距離を保って接してくれと主張するのは、
 一個の人格として至極当然の権利だろう。
 しかし現実問題としては、そういう主張は往々にして傲慢な態度と看做される。
 お高くとまっている、と非難される。何様のつもりか、と揶揄される。
 そこには嫉妬の構造がある。
 人間にとって他人の”個”を侵害することは、間違いなく快楽だ。
 ”侵略”できる立場とは当人にとって”力”の証明であり、
 存在価値の証明であるからだ。
 
相手の”個”を尊重するっていうことは
とても難しいことだ

09.01『仔羊たちの聖夜開始読了                 
西澤 保彦 角川書店[推理小説]
匠千暁シリーズ第3段
タックと自称旅人のボアン先輩それにタカチの三人が
初めて顔を合わせたのは1年前のクリスマスイブ
つまりキャンパス居残り組で飲み会をしようというボアン先輩の誘いにのって
居酒屋に行ってからのつきあいとなるわけだ
そして その日コンビニエンスストアーの前でたむろしていた
僕たちの前で一人の女の人が飛び降り自殺した

 たとえ愛情として発現されたものであっても、
 結果的に独善的支配力として作用する限り、
 それは子供の場合にとっては束縛でしかない。 
 間違いなく、子供の自立を阻む”悪”なのだ。
 子供は、自我を守るためには親に逆らうしか方法がない。
 成長の過程において、俗に反抗期と呼ばれる概念が組み込まれているのは、
 決して伊達や酔狂ではないのだ。
 もしほんとうに子供を愛しているのならば、
 その現実が見えなければいけない。
 しかし、その”愛”こそが、現実直視を阻む元凶なのだ。
 これほどの悲劇が、他にふたつとあろうか。

元大学教員にして奥様も教師ということからか
子供と親の関係についてかなり意見をもっておられるようだ
これはないだろう!?というキャラもいるけど
なんとなく許せるのもこの作家の技か

08.01『麦酒の家の冒険開始読了              
西澤 保彦 講談社ノベルス[推理小説]
匠千暁シリーズ第2段
「−−−牛が見たい」
というボアン先輩の一言によりR高原で
最後の夏休みを堪能することになったぼくたち4人
滞在1〜3日目は最高だったのだけれど4日目の午後
いざ帰ろうとした時からおかしな様子になってきた

 「要するにあれね、先にイッちゃった者勝ち、とゆーことで」

森先生からの繋がりで、西澤先生の本を読んでみることにした
偶然入った書店に平積みで並べられていた『スコッチ・ゲーム』
奥付を見るとどうやらシリーズ物の4巻目らしい
それではこのシリーズから攻めようと一巻目を探すが見つからず
あえなく二冊目からの挑戦 ちょっと失敗したかな
読んでいると取りあえずエビスビールが飲みたくなる作品

07.01『ブギーポップ・カウントダウン エンブリオ浸蝕開始読了 
上遠野 浩平 角川電撃文庫[中編小説]
ブギーポップシリーズ第7段
人は自分の中の可能性と格闘するために生きている
そして人から眠れる才能を引き出すために存在しているオレの名は
エンブリオ

 強さとは、力があることではない。優れていることでもない。
 大きいことでも、勢いがあることでもない。
 弱くないということも負けないということも意味しない。
 強さとは結局のところ、他の何物とも関係のない、
 それ自体が独立した概念であり、
 それを真に手に入れようとするならば、
 勝利や栄光といった他のすべてを犠牲にすることを覚悟しなくてはならない。

なんというか 続きが出るのを待ちましょう

07.01『そして二人だけになったuntil Death Do Us Part開始読了
森 博嗣 講談社ノベルス[推理小説]
僕が盲目の天才物理学者である勅使河原潤に会ったのは
三年前の夏だった 2つ年上の27歳の彼は実は僕の兄である
そしてその時兄から一つの提案がなされ 
以来僕は兄の影として表舞台に立ち天才を演じることになった

 人間は、もっと簡単に死を受け入れる生き物だ、と私は思う。
 きっと眠るように、諦められるのだろう。
 そういう機能がちゃんと備わっているような気がする。
 人間に限らない。
 そもそも生命とはそういうものではないのか。
 精神が死を覚悟するのだ。

死が二人を別つまで
この科白をまさか森先生の作品で目にするとは思っていなかった
ってことで引き続き森モード
この本を読み終わると森先生の著作で出版されている
単行本(フィクション)は全て読み終えたことになる
面白い!と思い読み進めているとこの人の作り上げた世界が
どこまで見えているのか把握できない状態に陥る
面白い

07.01『ハサミ男』読了
06.01『ハサミ男開始                       
殊能 将之 講談社ノベルス [推理小説]
ハサミ男の三番目の犠牲者は目黒区鷹番に住んでいた
バイト先の氷室川出版に保存されているデータから選び出された
ターゲット樽宮由紀子 
まずは彼女の顔や制服そして日常生活を把握しなければならない

 きみの好きにするがいい。 
 きみのやりたいようにすればいい。
 ただ、きみには、自分が何をしたいのか、
 まったくわかっていないだろうけどね

こころ系の人のどろっとした世界がうまく描かれている小説
読者を楽しませようとする姿勢がとてもよく現れている
(現れすぎているといっても良いだろう)
『このミステリーが面白い』にも入賞していたのだけれど
この小説を買った理由はもうすぐ発売される
第二段殊能作品の題名に とても惹かれたから 
デビュー作を読みたいと思ったのだ
二作目の作品名は 『美濃牛』 
ぐっとくるタイトル

06.01『地球儀のスライスa slice of terrestrial globe開始読了
森 博嗣 講談社ノベルス[短編小説集]  
急死した父親の病院を継ぎ以前の恋人であり
病院の古参の看護婦だった綾子と結婚した島岡清文
父 島岡英夫が殺され 短期間に急変した彼の生活
   〜 「小鳥の恩返し」を始め10本の短編が収められている
 人間って卑怯だ、と思う。

下に書いた『まどろみ消去』より断然よく書けているんじゃなんいかな
犀川&萌絵シリーズ番外編約2作品+Vシリーズ番外編1作品
「有限要素魔法」なんて『そして二人だけになった』に通じるような
不思議な雰囲気が漂っているし その他の作品も
森先生の持ち味を十分活かせている

06.01『まどろみ消去』読了
05.01『まどろみ消去missing under the mistletoe開始  
森 博嗣 講談社ノベルス[短編小説集]
ミドリは幼なじみ水木友則と結婚して建て売りの
一軒家に住んでいた
そして二人の間に息子が生まれ
普通に生活をしていた
普通に暮らしていたのだ 5年前のあの日まで
 〜「虚空の黙祷者」(”祷”という字は本当は旧字)他11作品収録

 いったい、ここに何があるというのか。
 何のために、こんなところに足を踏み入れたのか。
 そもそも、そんなことを疑う余裕や権利さえ、自分たちにはないのだろうか。
 他の人間たちは疑っているのだろうか。
 自分たちは何者で、どこから来て、どこへ行くのか。
 そんなことを考えては、いけないのだろうか。
 たぶん、考えるだけなら考えるだろう。
 ただ、それだけだ。
 考えたところで、何かが変るわけでもない。
 自分がいることで、何かを変えたい?
 そう思うのが、人間の生なのか。
 だから? 意味のないものに、意味を見つけ。
 親しくもない者と、親しい振りをして。
 力を合わせるという幻想を見る。
 愛し合っているという幻想を作る。
 少なくとも、汚いものより、奇麗な方が良いとか。
 正しくないものより、正しいものが好きとか。
 でも、好きでもないものを、好きだと言ったり。
 嫌いでもないのに、嫌いと言ってみたり。
 みんな、そういうふうにして、騙し騙し生きている。
 演じられるテーマを・・・・・。
 演じられるキャラクタを・・・・・。  

最後の1〜2ページでの急展開が
かなり強引だと思われる作品があったりで
全体的に作品の粒は揃っていない 
犀川&萌絵シリーズの番外編2作が含まれてる

05.01『人形式モナリザ』読了
03.01『人形式モナリザ開始               
森 博嗣 講談社ノベルズ[推理小説]
物語の舞台は七月の終わりの長野県諏訪市東部のリゾート地
小鳥遊練無は美娯斗屋という名のペンションでアルバイトをしていた
そこに同じ下宿の紫子 保呂坂潤平 瀬在丸紅子が遊びに来ることに
なったのだが

 失われることは、悪いことではないのだ。
 削り取られて、そこに形が現れることだってある。

このシリーズは主役級の登場人物が多く
その分視点の移り変わりも頻繁
故になかなか感情移入がしにくい
前の犀川シリーズと比較すると推理色は濃くなって きている

02.01『有限と微小のパン』読了
01.01『有限と微小のパン開始           
森 博嗣 講談社ノベルス [推理小説]
西之園萌絵とその女友達二人は長崎に来ていた
日本最大のコンピューターソフト会社ナノクラフトの若き経営者
塙社長からの招待だった

 言語による単純化こそ、人間のノスタルジーの起源(中略)
 記号化はすなわち退化。単細胞の生命への逆行です。

一巻目は凝りすぎていてあまり好きではなかったのだけれど
途中から見事にはまったシリーズだった
推理物というよりはそういう枠組みを取った
別の読み物と言った方が良いと思う 
(森先生って蘊蓄好きだし)
この作品群を読んだことによって今までとは異なる視点を
もてるようになった
この作品については犀川&萌絵シリーズの完結編が
こういう形を迎えるとは思ってもみなかった
一からまた読み直さなきゃ

01.01『見えない道のむこうへ開始読了           
クヴィント・ブーフホルツ著 平野卿子訳 講談社[絵+短編小説]
波止場通りの借家に住んでいたぼくらの家族
一階で父親は店を営んでいた
そして三月のある暖かい日 画家のマックスが五階に引っ越してきた

 どの絵にも目に見えない一本の道が通じている。
 それは画家が見つけなければならないものなんだ。
 だからあまり早く人に見せるわけにはいかないんだよ。
 その道をまた見失ってしまうかもしれないから

静にいろいろなことを思いながら読んだ
子供のころのこと かつて抱いていた夢
今はただ信じていれば夢は叶うと言える強さが欲しい

31.12『数奇にして模型』読了
30.12『数奇にして模型開始           
森博嗣 講談社ノベルス [推理小説]
那古野市公会堂で模型の交換会が行われていた
初日は無事に終わったのだが
翌朝控え室で首なし死体が発見された
同じ頃会場近くのM工業大学の実験室でも
一人の人間が殺されていた

 「一般に、優れた視力は、
 どんな物体でも見ることができる。
 何かを見ることで養われた能力は、他のものに対しても、
 今までより見やすくなる。
 本質的に正しいシステムというのは、適応が広い。」
 
個人と集団という単位の認識について
われわれはどこで一個なのか?どこまでが一個?
森先生の文章を
考えれば考えるほど頭の中がむずむずしてくる
その感覚がとても楽しい

28.12『今はもういない読了           
森博嗣 講談社ノベルス [推理小説]           
西之園家の別荘に行く途中犀川は西之園萌絵からある事件に
ついて相談を受けた
それは以前彼女が別荘に居た時 
すぐ隣の別荘で殺人事件が起こったというものだ

 観察された結果から原因を導く場合の理論というのは、
 たいていの場合、あと付けなんだよ

語り手がいつもと違い無骨で回り道も多かったため
読むのに時間がかかった
萌絵とこの語り手のおじさんとはどういう関係になるんだろう?
という好奇心はあったけれど
風邪のためかトリックやのりが今ひとつのように思われた

27.12『夏のレプリカ読了              
森博嗣 講談社ノベルス [推理小説]
那古野市郊外の簑沢家に2年ぶりに帰省した簑沢杜萌
だが不思議なことに出迎える家族は不在だった
そしてその翌朝彼女は誘拐事件に巻き込まれることに

 自分は何を学んだのか?
 たぶん、死ぬときまでに、死を恐れないシステムを作り上げる。
 しかし、死を学習するために生まれてきたというのか。

今回は犀川先生の出番が少なくファンとしてはちょっと不満
(このころから風邪がひどくなりつつある
故に感想がぶっとんでいる)

26.12『幻惑の死と使途読了           
森博嗣 講談社ノベルス [推理小説]
8月の最初の日曜日
西之園と犀川 それに院生の浜中は公園に
野外マジックショーを見に行った
大勢の観客そしてテレビカメラの回る中
天才奇術師有里匠幻の大脱出が行われた
舞台に華々しく現れた彼は しかし・・・

 人は、何のために生きているのだろうか。
 ある者は、呼吸をするために生きている。
 ある者は、思考をするために、また、ある者は、
 生きていることさえ自覚していない。
 ただし、それらを象徴するものは、すべて言葉であり、記号であり、
 すなわち、ものにつけられた名前なのだ。
 それは、墓標に銘される短い一文のように、
 極めて限定された、単なる断片といえる。
 生きる目的とは、局所的な領域に、瞬間的な時間だけ
 存在する記号の解釈であり、換言すれば、
 変換手段の一認識である。

テーマは「名前」「幻想」「消去」

25.12『封印再度読了           
森博嗣 講談社ノベルス [推理小説]
岐阜県恵那市の旧家 香山家に伝わる家宝がある
「天地の瓢」と呼ばれる壺と「無我の匣」という名の鍵箱
かつて祖父が息子に空の壺を見せ
鍵箱の鍵を壺の中に入れておく 鍵箱を開けるには
壺の中の鍵が必要となるが決して壺を割ってはいけない
と言った その数日後祖父は自殺した

 人間の意識とは本来それほど不連続なものだ。
 大切なことが、幾つも忘れられていく。
 おそらく、ずっと切れ目なく繋がっていたら、
 崩壊してしまう弱い精神力・・・・・・、
 ずっと考え続けていれば、気が狂ってしまう脆い思考力、 
 そんな不完全な人類の能力を保護するために、
 あらゆる意識を忘却し、形骸化し、印象化し、
 そして、微粒子となるまで粉砕し、選ばれた小さな結晶だけを、
 点々と順番に並べながら押し込めていく。
 そんな精巧な装置が、人間の体のどこかで働いているに違いない。
 残りの微粒子は、どこへ行くのか?

わからないことが正しい
その他禅宗の流れが取り込まれている

23.12『黒猫の三角開始読了         
森博嗣 講談社ノベルス [推理小説]
6月6日午後6〜9時にかけて大邸宅の二階の一室で
一人の女性が絞殺された
部屋には被害者以外の人は出入りしていない
それは彼女から依頼を受け警護していた4人が見張っていたので
確かだ

 固定観念で鈍化し
 麻痺すること、それが、
 僕の唯一恐れる対象です

人が人を殺す
それには理由があるが その理由が他人に伝達可能かどうか
また伝達可能であっても 他人の共感を得られるかどうかというのは
別の問題だということがテーマの小説
こういうのはちょっと怖い

 
PAST
~1999.12

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