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■25.08『バガージマヌパス−わが島のはなし』読了 池永 永一 著 文春文庫 みっともないさぁ。 もっといっぱい泣いて、さっきの涙を押し流さないといけないさぁねぇ。 むかしは泣いて地面に落としてしまえばすぐに忘れられたのに、 今じゃ体に染みこんでまた戻ってくるさぁ。 第六回日本ファンタジーノベル大賞受賞作 沖縄が舞台 社会の波に流されずにのんびりと自分のしたいことをして 生きている主人公と86歳の親友オージャーガンマーのやりとりは 自然な笑いと涙を誘う。 夏から初秋に読むのがお薦め! ■24.08『偏執の芳香−アロマパラノイド』読了 牧野 修 著 ASPECT 人類が嗅覚の欠如と引き換えに手に入れたもの。 それが言語なのだ 調香師が出てくるホラー においを表すことばの少なさは下にあげたような作品でも とりあげられていたが、今回の牧野作品ではまた 違ったアプローチが取られている。 ■21.08『香水』読了 パトリック・ジェースキン著 池内紀訳 文藝春秋 高価な代償を払わなくてはならないにせよ、 手に入れて失う方が、はなから拒むよりも望ましいような気がした。 拒むことならのべつやってきた。 手に入れてのちに失うことは、いまだに経験がない。 生まれつき嗅覚のするどい18世紀の調香師が主人公の話 香水や当時の生活習慣など学べます ■18.08『オルファトグラム』読了 井上 夢人 著 毎日新聞社 伝える相手のいない言葉なんて、無意味、か 在る事件をきっかけに においが視覚とリンクしてしまった人が出てくる話 前日に『カニス〜』を読んおり、その印象が強く この主人公の嗅覚に対して違和感を感じていたが 一度慣れればぐいぐいと世界に引き込む力を持つ作品。 誰が読んでも楽しめるだろう ■17.08『カニスの血を嗣ぐ』読了 朝暮 三文 著 講談社ノベルス 何に我慢しているのか。何を得るために我慢しているのか。 何かを我慢して得られるものとは しょせん次の我慢に過ぎないことに気がつかないのか。 在る事件をきっかけに嗅覚が異常にするどくなった人が 出てくる話 一文一文が短く、シャープな文章なので 慣れるまで時間がかかった。 ハードボイルドが入っていて面白い。 ■16.08『P.I.P』読了 沢井 鯨 著 小学館ノベルス 大切なことは、たいてい起こってから気づく。 実際プノンペンで拘留所において獄中生活を 送った経験をもつ著者によりカンボジアの今が描かれている どこまでがフィクションでどこからがそうでないのか判らないまま その世界に圧倒された ■15.08『策略と陰謀(下)』読了 P.D.ジェイムス著 青木久恵訳 ハヤカワ文庫 生きるために欠かせないものを人に依存したくなければ、 一人暮らしの人間は簡単な料理ぐらい覚えておかないとね 読むとイギリスにとってもとっても行きたくなる小説 彼女の作品を読むと常にそう思うのだけれど 本当にそこにイギリスがある ■14.08『西条秀樹のおかげです』読了 森 奈津子著 イーストプレス わたしは廃墟に花開いた一輪の白百合。 年上の女性のたおやかな白い手に手折られるのを、 一人ひっそり待っているのです。 西澤保彦一押しの作家森さんの最新短編集 SFバカ本などに発表された作品が再録されているのだけれど 改めて森さんの作品ばかり読むと お耽美でおバカでぐはは ■13.08『東京異端者日記』読了 森 奈津子著 廣済堂出版 特筆すべきはゴジラがオスのくせに卵を産んだことであろう。 やるじゃん、ゴジラ。 でも一匹だけで生殖するなんて……。 森さんの異端な日記 活字(漫画以外)を読んでいて 声を出して笑ったのは本当に久々 ■10.08『策略と陰謀(上)』読了 P.D.ジェイムス著 青木久恵訳 ハヤカワ文庫 自分をとりわけ愛してくれる人たちが、 一番の苦しみを生むという大人の心理を初めて思い知ったのは、 その一人ぼっちの帰り道だった。 ラークソーケンという名前を聞いたことがあるような気がしたのだけれど まえがきをみると全くのフィクションだとのこと。 なんでそんな錯覚をおこしたのか不思議 ■10.08『白仏』読了 辻 仁成 著 文春文庫 自分たちが苦労して子供を育ててきたのだ、などと奢ってはならない。 子供は預けられたに過ぎないのだ。それが血の役目で、 子供には血の関係とは別にもう一つの魂の繋がりもあるのだ 長編小説 この作品で フランスの6大文学賞の一つフェミナ賞外国文学賞を 日本人で初めて受賞 辻さんの本は1〜2冊しか読んだことがないが今回で こんなに硬質な文章が書けた人なのかと認識を改めた。 ■10.08『メドゥサ、鏡をごらん』読了 井上 夢人 著 講談社ノベルス 説明のできない不安というものが存在していることを、私は知った。 不安は、眼を閉じることで、さらに膨れ上がるものだということを知った。 納得のいく説明を不安が要求し、 混乱した頭はやがて思考のすべてを放棄した。 長編ホラー 夏だしホラー!と思い読んだのだけれど… ■09.08『石ノ目』読了 乙 一 著 講談社ノベルス 中編ホラーとその他のジャンルの小説集 非常に読みやすい文章で 展開の読めない作品がかかれていて上手いとは 思うのだけれどもうひと味何か欲しいところ ■08.08『四十回のまばたき』読了 重松 清 著 幻冬舎文庫 本質的には、世の中に嫌いな奴なんて誰もいない。 自分と異なる価値観や行動パターンや見解を持っている奴がいるだけだ。 あなたは彼らを便宜上、嫌いな奴だと呼んでいるだけなのである しかし……この世の中には、嫌いな奴があまりにも多すぎる! 売れない翻訳家が主人公の長編小説 翻訳という仕事に対して わたしがかつて抱いた疑問を 思い出させてくれた作品 ■07.08『ホーリー・ガーデン』読了 江國 香織 著 新潮文庫 幸福と不幸には境目などきっとないのだ 親友二人の関係を描いた長編小説 江國さんの話では珍しく冬が舞台の小説で これまであまりお目にかからなかった 洋服に関する細かい描写があったりして驚く ■03.08『生きる歓び』読了 保坂 和志 著 講談社 子どもの頃からのことをこれだけいっぱい忘れずに 持ち歩くことのできる人間の心は、ディープブルーのような 大きな部屋いっぱい占めるスーパーコンピューターでも いまのところシュミレーションできないくらいなのだから、 全体を「AだからB」「AでなければBでない」というように くくってしまうような簡単な構文では絶対に表現できない。 心は微妙なのではなくて、それぞれはけっこう単純なものが、 いっぱい詰まって交錯している。しかし、通常使う文章が、 心の交錯のようなものをモデルとしていないから、 一見すごく込み入ったことを言っているように見えてしまう。 中編小説集 著者によるあとがきを見るまでわからなかったが これは確かに「小説」なのだろう ■02.08『刺青白書』読了 樋口 有介 著 講談社 どこかで歯車が狂って、こんな事件になった。 米山も小筆も岸川も、悪いやつなんか、ひとりもいないのに、 でも、こんなことが起こってしまう。 それをおまえひとりで抱え込むのは、人生に対して失礼だと思うけどな 長編青春推理小説 いや推理というよりハードボイルドのが近いかもしれない ■01.08『流しのしたの骨』読了 江國 香織 著 集英社文庫 みんなとても大人びてみえる。 年をとればとるだけ大人になるのだと思っていた。 そうして、大人になれば世のなかはぐんと秩序だってくるのだろうと。(中略) 私は大人のふりをしてさっさと歩く。でもうすうす気づいてはいるのだ。 そよちゃんの落ち着きもしま子ちゃんの情熱も、 大人になることで身に付いた資質では絶対ないことに。 長編 すごく不思議な家族の話 こういう家族に憧れる ■30.07『都の子』読了 江國 香織 著 集英社文庫 「あらゆるイメージはいったん活字に還元されてこそ、 よりゆたかな夢や飛躍に具えることができる」 という矢川澄子さんの言葉をもちだすまでもなく、 私は言葉の持つ力−−−きわめて個人的なイメージの喚起力、 時間にも空間にも支配されないその生命力−−− を信じているが即効性という点で、言葉はやっぱり音楽にかなわない。 江國さんの30歳記念エッセー集 読んでいると自分とものすごい近いものを感じるのだけれど 読者はみんな多かれ少なかれそう思っているものなのだろうな ■29.07『聖の青春』読了 大崎 善生 著 講談社 何のために生きる。 今の俺は昨日の俺に勝てるのか。 勝つも地獄負けるも地獄。99の悲しみも1つの喜びで忘れられる。 人間の本質はそうなのか? 人間は悲しみ苦しむために生まれたのだろうか。 人間は必ず死ぬ。必ず。 何もかも一夜の夢。 ノンフィクションは元気な時に読まなきゃ辛いという 持論に逆らって読む 文章は上手くないし話は途中で飛んだり もっと掘り下げて欲しい部分もあるけれど 読めて良かったと思う本 ■28.07『きらきらひかる』読了 江國 香織 著 新潮文庫 私に必要なのは常識っていうよりむしろ自覚なんだって 長編 映画化されたけれど映像は観ていないし 多分これからも観ないであろう こういう作品の世界は多分読者の頭の中でしか うまく成立しないと思うから ■27.07『愛の見切り発車』読了 柴田 元幸 著 新潮文庫 ・知識の少なさは、なんの自慢にも強みにもならない。 ・傷をさらけ出すことではなく、さらけ出さないことが痛ましいのだ。 ・力は細やかさがなければ意味がないし、逆も同じ。 こういう本を読むと翻訳物が読みたくなる。 そして原書が読みたくなり、また翻訳家になりたくなる。 |
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