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2001年2月に読んだ本
 new林檎の木の道 ←new
 
メルサスの少年 風の日にララバイ ノンセクシュアル 
 ウエハースの椅子 黒祠の島 おもいでエマノン
 頼子のために 最後から二番目の真実 
 マニアックス 誰彼 雪密室 密閉教室 
 *実験的に本文の一行目を
 あらすじのかわりに抜粋させてもらうことにしました。 





25.02『林檎の木の道読了
樋口 有介 著 中公文庫
『クーラーは躰に悪い。人類がチンパンジーから分化して五百万年、そのほとんどをクーラーなしで過ごしてきた。発生学的にもい人類は熱帯住みの生物であり、高湿度高温度に対応できる生体システムを獲得している。日本の夏なんてせいぜい二カ月、気温もたかが知れている。これぐらいの暑さに文句を言って、あなたはアフリカ人に申しわけないと思わないのか。そんなことで地球の温暖化に対処できるのか。日本の拝金主義文化を改革できるのか。…』

 「人間の価値には存在感にある。
 駕籠にのる人かつぐ人、そのまた草鞋をつくる人といってな、
 人間にはその環境の中で定められた立場ってものがあるんだ」
 「意味もなく、ただ存在感だけある人も、いるけどね」


ハードボイルド樋口風

23.02『メルサスの少年読了
菅 浩江 著 徳間デュアル文庫
茜色の夕陽がパサラの山を照らしている。
この山が美しくて本当によかったと、イェノムは思う。
<都市>から遠く離れたこの辺境の地にあるものは、ところどころに灌木がへばりついただだっ広い荒野と、風が巻き起こす土埃だけ。白っ茶けた大地は少年の旺盛な好奇心すら取りつく島もないほどに不毛だし、今は乾季の真っ只中なので湧きあがる黒雲の力強さに拳を固めたり、雨を受けて走り廻ることもできない。

 おとななら、自分の分別はわきまえなければ。
 何もかもに口を挟むのは、
 自分の技量を知らない子供のすることです


SF小説
初出1991年の新潮文庫からこのたび
徳間デュアル文庫へ移籍
風景描写が上手い

22.02『風の日にララバイ読了
樋口 有介 著 ハルキ文庫
亜由子が『実験室』に入ってきた時も、おれはまだソファにひっくり返ったまま、諦め悪くベットへの夢を追いつづけていた。意志だけの問題でいうなら、もちろん躰は前の晩からなん度もベットへ飛び込んでいた。しかし現実には一晩中ソファにひっくり返って、カーテンの明るさを茫然と意識していたにすぎなかった。部屋の電気をつけっ放し、製図板のライトもつけっ放し、ウイスキーの蓋もあけっ放し。これじゃ金魚も眠れなかったろうとうは思うが、金魚は亜由子のように、口に出して文句は言わなかった。

 個人的には、そりゃあもう、非常に残念でございますよ。
 いい女ってのはどうしてこう、
 みんなすぐいなくなるんでございましょうねえ


ソフト・ハードボイルド小説
お手伝いのお松さんとのかけあいが絶妙

20.02『ノンセクシュアル読了
森 奈津子 著 ハルキ・ホラー文庫
この二十五年の人生、異性にも同性にも恋をした。
そんな自分を、詠子は変だとは思ったことはない。
変なのは異性にしか惹かれない人々が多数を占めるこの社会なのだ---と、そんなのんきな認識のせいで、時々、彼女は思わぬ失敗をする。

 日本社会は豊かだ。しかし、過剰だ。
 過剰なところがある分、この社会はどこか腐っている。
 たとえば、レストランの厨房の隅の
 ポリバケツにいっぱいの残飯が示すように。
 それは悲しむべきことなのかもしれない。
 しかし、ただちに悲しむことができるほど、詠子は単純ではなかった。
 複雑な問題に対しては、複雑な感想を抱くことしかできない。
 どことなく「やばいかも」と思いながらも、
 その事象の楽しい部分を見れば楽しい気分になれる。


ホラー小説
血みどろのシーンはあまり無かったはずなのに
血のイメージが強かった

13.02『ウエハースの椅子読了
江國 香織 著 角川書店
かつて、私は子供で、
子供というものがおそらくみんなそうであるように、絶望していた。
絶望は永遠の状態として、ただそこにあった。
そもそものはじめから。

 私が、泣くとき、いつもほんとうに「この世の終わり」だった。
 「この世」は、そのつど、確かに終わるのだ。何度でも。
 そして一度終わった「この世」は、もう二度と戻ってはこない。


小説
表紙に使用されている紙の手触りが面白い
読んでいて部分的にとてもせつなくなる

12.02『黒祠の島読了
小野 不由実 著 詳伝社ノンノベルス
その島は古名を夜叉島と言う。

 高を括っていたのでしょう?
 ……そういうのを心得違いというのですよ


小説
待ちに待った小野さんの新作
罪と罰

11.02『おもいでエマノン読了
梶尾 真治 著 徳間デュアル文庫
一九六七年といえばジェミニ計画が一段落した翌年で、
まだアポロも月に到着していなかった。万国博のことが
ぼつぼつ話題にのぼりはじめ、
新聞ではベトナム戦争の拡大が騒がれていた。〜本文より

 (過去の長さと、未来の長さは、どちらが長いのかしらね。
 時間は未来にむかって流れていくから、
 だんだん未来のほうが短くなっていくのかしら。
 そんなことないわね。
 多分、未来の長さも過去の長さもちょぼちょぼじゃないかしら)


短編連作小説
表紙イラストが鶴田謙二作ということで
以前から気になっていた作品
きちんと描かれているから
その分面白みがないような

11.02『頼子のため読了
法月 綸太郎 著 講談社文庫
一九八九年八月二十二日
頼子が死んだ
私たちのひとり娘の命をなに者かが
永遠に奪いさってしまったのだ

 寝苦しい夜に冷蔵庫の扉にほっぺたをくっつけてしんと耳を澄ますと、
 どこかにつながっていくような気がするでしょう。
 好きとか嫌いじゃなくてそんな気持ちのつながりだって。


推理小説
法月シリーズ第三作
とても完成度の高い小説

09.02『最後から二番目の真実読了
氷川 透 著 講談社ノベルス
世間一般でお嬢様大学として名高い聖習院女子大学
そこに勤めている先輩に呼び出された氷川は
またしても事件に巻き込まれることに

 早い話、自由を求める人間は多数派ではない。
 多くの人々は、自由なんかよりも幸福を
 ---言いかえれば、安寧を、固定を、保守を、継続を求める。
  いろいろ不満もいうくせに、社会がいまのままであることを求める。
  いや、むしろそれを強要する。
  それが---多くの場合、人間の本性だ。
 こうやって、自由を求めて逃避していると位置づけることも
 可能なようである自分さえ、つきつめれば、
 むしろ自由から逃避しているのかもしれない。


推理小説
氷川シリーズ第三作
パーツパーツは面白いのだけれど
まとめると今ひとつ

09.02『マニアックス読了
山口 雅也 著 講談社ノベルス
地元民からも見捨てられた無人島に一人住み
浜に打ち上げられた漂着物を収集している女性を
取材に島にやってきたフリーライターとカメラマンは
そこで…

 芸術の創造とか言って気取っていても、
 モノを創ろうとかいう連中は、
 みんな、ノーマルな一般人に比べて、
 どこか欠けているか、どこかが過剰なんだ。


短編小説集
山口流モダンホラー

08.02『誰彼読了
法月 綸太郎 著 講談社文庫
ここ数年で著しく勢力を伸ばした
新・新宗教<汎エーテル教団>の教祖宛に
正体不明の人物から脅迫状が送られてきた
彼の秘書から法月に犯人を突き止めて欲しいとの依頼が
寄せられ…

 混乱こそ、俺の墓碑銘

推理小説
法月シリーズ第二作
緻密に組み合わされた理論

05.02『雪密室読了
法月 綸太郎 著 講談社文庫
法月警視は見ず知らずの女性より
井加沼の『月蝕荘』に招待された
一体なんの目的で山荘に人が集められたのか

 明確な対象を持たない、
 漠然とした不安感ほど手に負えないものはない。
 それがなんでもないときにちょくちょく顔を出すようになったらなおさらだ。
  そういう不安とのつき合いを重ねていくと、
 まるで自分自身が内側から少しずつ削ぎおとされて、
 だんだん薄っぺらになっているような気分になる。
 自分で自分をコントロールするのに、ひどく手こずるようになうる。


推理小説
法月シリーズ第一作

03.02『密閉教室読了
法月 綸太郎 著 講談社文庫
毎朝教室に一番乗りする梶川笙子が
或る朝いつものように自分の教室R7のドアを引き開けようとすると…

 人生というのはできの悪い弟みたいなところがある。
 折り合いのつかない時はこれほど自分を悩ませるものはない。
 自己と外界が乖離したままの状態で新たな自分の再編成をすることは、
 地獄の業火に焼かれるような苦しみを伴う。
 それは自己対世界の戦争だ。
 その兵力差は圧倒的にこちらの不利なのだ。


推理小説
若さがみなぎっている

 
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