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2001年5月に読んだ本
 newかめくん 法月綸太郎の冒険 ホテルカクタス
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 二の悲劇 魔女 未完成 ふたたび赤い悪夢 
 一の悲劇 遠い約束   
 *実験続行中。本文の一行目を
 あらすじのかわりに抜粋させてもらうことにしました。 





07.05『かめくん読了
北野 勇作 著 徳間デュアル文庫
不動産屋がかめくんに斡旋しれくれたのは、クラゲ荘という木造二階建てのアパート。玄関の土間には大きな靴箱があって、そこで履き物を脱いでスリッパと履き替える。アパートの管理人はカシワギハルさんというお婆さんで、入ってすぐ右にある管理人室でひとり暮らし。「なんだ、カメなのかい」不動産屋に紹介されて部屋を見に来たかめくんへのそれが細書の言葉だった。

 この宇宙のすべては、
 たったふたつの要素に分けることができる。
 すなわち、甲羅の内と外。


短編連作小説集
カメ主人公のサイエンスフィクション

04.05『法月綸太郎の冒険読了
法月 綸太郎 著 講談社文庫
有明省二はふっと目を覚ました。眠りが浅かったせいか、両のまぶたが熱を持って、締めつけられるように重たい。しかし、たとえ夜明け前のほんの一時間足らずであっても、眠れたというのは不思議だった。まどろんでいる間に、何か夢を見ていたような気がしたが、それがどんなものだったのか、どうしても思い出せない。

 この物語が目指すのは、
 ひとつの寓話たること
 すなわち、人間は「悲劇」を克服し得るか、
 という問いに対して、
 アレゴリカルな考察を提示することにほかならない。


短編推理小説集
法月さんたら…

04.05『ホテルカクタス読了
江國 香織 著 ビリケン出版
ある街の東のはずれに、ふるいアパートがありました。ふるい、くたびれたアパートです。灰色の、石造りのその建物は、でも中に入るとひんやりとして、とても気持ちがいいのでした。ホテル・カクタス、というのが、このアパートの名前でした。ホテルではなくアパートなのに、そういう名前なのでした。

 音楽は個人的なものだな


短編連作小説集
大人のための童話という感じ
それがあまりに全面に出ているのが
少し気になる

04.05『EDG3読了
とみなが 貴和 著 講談社X文庫
夜の車窓を、初夏の熱気をはらんだ大粒の雨が打ちつけていた。汚れたガラスを伝うようにいくつもの水筋が、電車の速度に合わせて横に流れた。酔客が乗り込むにはまだ間のある時刻、郊外へと向かう電車は、それでも隣に立つサラリーマンと肩が触れ合う程度には混み合っていた。車両の屋根を叩く雨音と、鉄輪が線路の継ぎ目を跨ぐ規則的な音が、車内の気怠い沈黙で埋める。

 それにしても(中略)、
 今どき女子高生はどこでも嫌われるものだな。


推理小説
人の「陰」の部分への目の付け方が
女性ならではでのもので、面白い

04.05『EDGE2読了
とみなが 貴和 著 講談社X文庫
物心ついたときから、彼は「死」に惹かれていた。さいわい彼の周囲で死んだ親しい人はいなかったが、それでも注意深く目を凝らせば、小さな「死」は彼の周りに無数に転がっていた。庭に掘った穴に横たえた、死んだ金魚の濁った目。巣から落ちたスズメのヒナの、筋張ってひからびた細い首。生け垣にきれいに咲いた紅いツバキの花と、地面に落ちて茶色く萎れた花。日常目にするそんなところからも、「死」は靄のように漂っていた。

 自分らしく振る舞うと、
 なんでかひとと違ってしまうのって、つらいよね


推理小説
一作目よりかなり良くなっている

04.05『EDGE読了
とみなが 貴和 著 講談社X文庫
傾いた太陽が、微妙な角度からカーテンを引いた薄暗い部屋へ差し込んだ。手元が朱く照らされる。はっとして、微妙な細工にかかっていたピンセットを持つ右手が震えた。大きく息を吸って、静かに吐き出した。軽い舌打ち。細心の注意でピンセットを放しその場を離れた。

 おれは、おれの闘いを闘いにいく。
 お前は、お前の敵と、戦え


推理小説
文章はそこそこなんだけれど
いかにもという設定にひっかかりを感じる
中・高校生向けにならこんなもんなんだろうか

04.05『二の悲劇読了
法月 綸太郎 著 詳伝社文庫
きみは歩いている。繁華街の雑踏にまぎれ込み、歩道に沿って南の方へ向かっている。道連れはいない。両手をブルゾンのポケットに突っ込んで、ややうつむきがちに、きみはひとり何の当てもなく、ぼんやりと歩を進めていく。

 まず形式的であることが必要不可欠の前提なんです。
 その前提抜きで、
 人間を自明のごとく語れると思っているような連中は
 馬鹿ですよ。
 しかしまた、形式だけでやていけると考えるのも
 大きなまちがいで、
 つまり形式というのはのっぺらぼうなんです


推理小説
京都が舞台

03.05『魔女読了
樋口 有介 著 文藝春秋
ずいぶんヒマワリが咲いているから、季節は夏だろう。千秋は灼けた砂浜に身を横たえている。周囲を太陽ほどもあるヒマワリがとり囲む。視線のはるか先には本物の太陽が燃え、皮膚を無遠慮に焙ってくる。その熱に実感はなく、千秋はただ日灼けのあとの肌荒れを夢うつつに嫌悪する。

 わたし、ずっと不思議に思ってた、
 普通に生きてるのに、どうして毎日がイヤなのか……
 でもそれは、世の中のほうが失敗だったの。


ハードボイルド青春ミステリー
「青春小説の名手の放つ会心の書き下ろし」
という帯の文句に疑問あり

01.05『未完成読了
古処 誠二 著 講談社ノベルス
そろそろ草木が丈を伸ばす季節に入る。雑草を極力踏みつけないよう、足を降ろすポイントを選びながら、李昌宰は尖った岩のむき出す山肌を登った。ほとんど陽光も届かない鬱蒼とした森はしんと静まりかえり、自分のたてる足音以外ほとんど何も聞こえてこない。港で漁船がディーゼルエンジンの調整でもしているのか、弱い風に乗ったその騒音が小さく聞こえるだけだった。

 曖昧なままであるのをいいことに
 好き勝手なことを「事実」と主張する人間ほど滑稽なものはない


推理小説
古処さんの第三作目にして
自衛官シリーズ?第二段

01.05『ふたたび赤い悪夢読了
法月 綸太郎 著 講談社文庫
わたしは、あなたの知らない人間です。でも、わたしはあなたのことをよく知っています。とりわけ、あなたがみにくい欲望にとらわれた人であることを知っています。そして、あなたがそのことで、たまらなく自分を恥じていることを知っています。
わたしは、あなたの暗い秘密を握っています。

 でも、君には他人にその道を提供することはできないんだ。
 ぼくには君の目を醒ますことはできない。
 君になら、君の目を醒ますことができるんだ。
 ぼくには君の傷を治せない。
 君になら君の傷を治せるんだ。


推理小説
良くも悪くも作者の葛藤が
そのまま伝わってくる作品

29.04『一の悲劇読了
法月 綸太郎 著 詳伝社文庫
流れた水滴の筋が、何本も車窓をつたっていった。いつの間にか、雨が降り出していったのだった。ぼんやりとにじんだ街灯の列が、墨色の夜の中に、淡い光の尾を曳いて、次々と窓をよこぎっていく。

 夢のくせして夢じゃないなんて、生意気な夢だ

推理小説
『頼子のために』から始まる三部作のうちの第二作目

28.04『遠い約束読了
光原 百合 著 創元社推理文庫
「あったぁっ」キャンパスの掲示板の前で、一人小さくガッツポーズをした。名残の桜の花びらが風に乗って目の前を横切り、私は自分と同じ名を持つこの薄紅色の踊り子に手を伸ばした。いつもなら巧みに身をかわしてしまう花びらは、心弾ませる私を祝福するように、手のひらにおさまってくれた。

 大人になるとはつまり、
 自分のすべきことから逃げないということだ
 と私は勝手に定義していたし、
 それなら目の前にある試験に精一杯挑んでみせたら
 (結果はどうあれ)、認めてもらえるかもしれない
 −−−間に合うかもしれない、と思ったのだった。


短編連作推理小説
西澤保彦のあとがきをよむべし
(もちろん本文読後)

 
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