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■ 『傀儡后』 牧野 修 著 早川書房/2002.05 発行 20年前の破壊的な隕石落下により、大阪は異形の街と化した。落下地点から半径6キロは危険指定地域とされ、人々の立ち入りは厳重に禁止されていた。五感で世界と融合する奇怪なドラッグ「ネイキッド・スキン」や、全身の皮膚がゼリー化する謎の奇病「麗腐病」をめぐって、危険指定地域を中心に、不気味な人々が入り乱れ、人類社会崩壊の予兆の中、変容してゆく人の意識と世界が醜悪かつ美麗に描かれる。(〜裏表紙より) モードの死から生まれるこれからの衣服は 皮膚または触覚を通じて肉体と世界が直接溶け合うための 装置になると考えられるわけです 長編SF 牧野さんらしい作品 少年より大人の姿が印象的だった ■ 『パレード』 川上 弘美 著 平凡社/2002.05 発行 ツキコさん、昔の話をして下さい。 夏の午さがり、ツキコさんがセンセイに物語る、幼い日のできごと…。「センセイの鞄」のふたりが過ごした、遠いこだまのような時間、もうひとつの物語。(〜帯より) 「耳たぶに指を当てる動作って、ちょっといじゃありませんか、 色っぽくて」 「ツキコさんは、そういうの、似合いませんよ」 「悪かったですね」 短編小説 『センセイの鞄』の番外編 ツキコさんのイメージがちょっと膨らむ作品 ■ 『センセイの鞄』 川上 弘美 著 平凡社/2001.06 発行 「ワタクシはいったいあと、どのくらい生きられるのでしょう」突然センセイが聞いた。センセイと目が合った。静かな目の色。「ずっと、ずっとです」わたしは反射的に叫んだ。隣のベンチに座っている若い男女が驚いてふり向いた。鳩が何羽か、空中に舞い上がる。「そうもいきませんでしょう」「でも、ずっと、です」センセイの右手がわたしの左手をとった。センセイの乾いたてのひらに、わたしのてのひらを包むようにする(〜本文・帯より) 二人とももう、けっして何も言わなかった。 話すことがなかったのだろうか。 話すことはあったかもしれない。 何を話していいのか、突然わからなくなった。 近いはずなのに、近いがゆえに届かなかった。 無理に話そうとすると、すぐ足元にある断崖から、 まっさかさまに落ちて行きそうだった。 長篇小説 谷崎潤一郎賞受賞作 久々に巡り会えた文学作品 登場人物と世界の距離感がなんともいえず良い ■ 『東京タワー』 江國 香織 著 マガジンハウス/2001.12 発行 恋はするものじゃなく、おちるものだ。ふたりの少年と年上の恋人---恋の極みを描く待望の長篇恋愛小説(〜帯より) 私は私の人生が気に入ってるの(中略) そんなに幸福っていうわけじゃないけれど、 でも、幸福かどうかはそう重要なことじゃないわ 長篇恋愛小説 少年を通じて描かれる年上の女の姿は ある程度年齢を積んだ女性からすると そうあれれば良いのにという理想故に どことなく薄っぺらい ■ 『スゥイート・メモリーズ』 ナタリー・キンシー=ワーノック 著 金の星社/1999.11 発行 きらめきはずっとあのころのまま---おばあちゃんに古いカメラをもらったシェルビー。カメラにまつわる思い出はやがて、ふたりの絆を強めていく……(〜帯より) なんと安らかな時を すごしてきたことだろう 美しい思い出は けっして色あせることはない しかし それを思うと心がうずく もどらぬ思い出に 思いこがれて 児童文学 月の光のように優しい優しいお話 ■ 『密室は眠れないパズル』 氷川 透 著 原書房/2000.06 発行 ”密室”の内側で起こった”密室”の殺人。論理の刃はあなたへ向けて。(〜帯より) そう、「いまここの現実」が幻想にすぎないなんて思えなくなる。 長編推理 饒舌な登場人物たちとお約束通りの展開に 後半は少しくたびれてしまった ■ 『世界は密室でできている』 舞城 王太郎 著 講談社ノベルス/2002.04 発行 ---煙になれなかった「涼ちゃん」が死んで二年。十五歳になった「僕」と十四歳の名探偵「ルンババ」が行く東京の修学旅行は僕たちの”世界と密室”をめぐる冒険の始まりだった!(〜裏表紙より) 密室の謎なんて、密室の中に閉じ込めときゃいいんだって 長編推理 講談社ノベルスには珍しく文章が一段のレイアウトなのは この作者の文体がもつリズムを活かすためなのだろう 最初のグロテスクな描写を嫌悪せずに読み通せば 新しい世界に巡り会えるかもしれない ■ 『銀河パトロール隊』 E.E.スミス 著 創元社SF文庫/2002.01 発行 銀河系に跳梁する正体不明の宇宙海賊ボスコーン。超兵器を操り襲撃を繰り返す彼らに立ち向かうは、銀河文明を守るパトロール隊とその精鋭、レンズマンである。新人レンズマン、キムボール・キニスンは決戦に赴くべく、新兵器”Q砲”を搭載した最新鋭艦<ブリタニア>号で出撃する(〜裏表紙より) 正しい一般化はない、この場合もしかり 長編SF レンズマンシリーズ1 今月最初の読了本『サムライ・レンズマン』の元本 しっかりしたSF ■ 『却尽童女』 恩田 陸 著 光文社/2002.04 発行 コウジンカ。却尽火。頭の中に、その音と漢字が浮かんだ。穏和で痩せた祖母の顔が蘇る。悪いことをすると、地獄で劫火に焼かれるんだよ。劫尽火ともいうんだけどね。世界が崩壊する時に、世界を焼き尽くす炎のことをそう呼ぶのさ。(本文より)(〜裏帯より) 長編小説 このテーマでなら もっと深く書きこめるのではないだろうか ■ 『暗いところで待ち合わせ』 乙 一 著 幻冬舎文庫/2002.04 発行 視力をなくし、独り静かに暮らすミチル。職場の人間関係に悩むアキヒロ。駅のホームで起きた殺人事件が、寂しい二人を引き合わせた。(〜裏表紙より) はたして自分のいていい場所はどこなのだろうかと、考えたこともあった。 しかし必要だったのは場所ではなかった。 必要だったのは、自分の存在を許す人間だったのだと思う。 中編小説 同著者の『死にぞこないの青』で削られたエピソードから派生した 静かな、とても静かな物語 ■ 『風刃迷宮』 竹村 健治 著 光文社文庫/2002.03 発行 インドの古代遺跡で火災が発生。死者も出たこの事故で、牧場典子は、幸運にも逃げ出すことができた。「体を屈めながら走るんだ」という謎の声に従って。(〜裏表紙より) 情報というものは、ただそれがそこにあるだけで価値があるわけじゃない。 ほかの情報と出会い、結びつくことによって、はじめて価値が生じるんだ。 だけどこの世の中では、互いに公開されているにもかかわらず、 決して巡り遭うことなく終わる情報がほとんどなんだよ 長編推理 天才囲碁棋士・牧場智久シリーズ 確かに掴めると思ったのに 空中に空しく取り残されたこの手のやり場をどうしてくれよう ■ 『四月は霧の00密室』 霧舎 巧 著 講談社ノベルス/2002.04 発行 四月。入学式。私立霧舎学園への美少女転校生、羽月琴葉(17)が立ち込める霧の校庭で遭遇した「霧密室」殺人事件。学園にまつわる謎めいた伝説が二人の名探偵候補(?)を琴葉のもとへとひきよせるとき、秘密は満天下に明かされる!(〜裏表紙より) 中編推理 霧舎氏の作品はこれが初めて 『名探偵コナン』で推理物は面白いと感じた人が 漫画の次ぎのステップを踏む用に書かれたらしい 確かに漫画のような「あるわけない」設定 ■ 『パンプルムース家の犬』 マイケル・ボンド 著 創元社推理文庫/2002.04 発行 『バスカヴィル家の犬』を読みながら、休暇を過ごしていた元刑事でグルメ・ガイド覆面調査員パンプルムース氏と「犬立入禁止」規定で不機嫌の極にある、元警察犬の愛犬ポムフリットが、国家の危機に直面した。(〜裏表紙より) 自分のどこかを変えたいと思わない人はまずいません。 鼻をもっと高くしたい、低くしたい、真っ直ぐにしたい、 もっと痩せたい、もっと太りたい、背を高くしたい、低くしたいなどと。 なんのために? それは映画スターが美人になる方法を書いた本を買うようなもので、 無意味なことなんです。 そんな方法があったら、ひとに教えたりするでしょうか。 なぜひとはいつも自分を誰かに似せたがるのでしょう。 だれもみなそれぞれがちがうのです。それが人生の喜びでもあるのです 長編小説 パンプル・ムース氏のシリーズ第三段 作者のマイケル・ボンド氏は『くまのパディントン』の作者として 有名だが、このシリーズはイギリス人ならではのユーモアとウィットが ちりばめられていてミステリに馴染みのない人でも充分楽しめる ■ 『嘘つきパズル』 黒田 研二 著 白泉社My文庫/2002.04 発行 俺---間男(はざまおとこ)は、エロいながらも不安な夢から目を覚ました。そこは人外のモノが跳梁跋扈する絶海の孤島。天下の美人妻・麗華ちゃんと倦怠期解消の船旅に出たはずなのに、待っていたのは謎と怪奇とドタバタだった!?(〜裏表紙より) 長編推理 挿絵が魔夜峰央! バカっぽい設定なのだけれど基盤がしっかり作られているので侮れず 楽しめる作品 取り扱い書店が少ないのが残念 ■ 『だれかのいとおしいひと』 角田 光代 著 白泉社/2002.04 発行 はっきりとした”恋愛”にはおさまらない微妙な感情を鮮やかに描く新しい形の恋愛小説集(〜帯より) それで、あたしたちが出会う人はみんな同じバスに乗り合わせた人で、 でもほら、目的地がみんな違うから、おりる場所はばらばらで、 あたしはそんなふうに思うんです。 それでね、漆原さんは今奥さんと同じバスに乗っていて、 となり同士に座って、窓からおんなじものを見て、 言葉を交わしたりして、それはきっと楽しいことなんだと思うんです。 漆原さんがどこからバスに乗ってもきっと奥さんと会っただろうし、 となりに座ってその時間を共用したと、あたしは思います。 終点までずっとじゃ、ないかもしれないけど 短編小説集 「あのとき」皮膚で、身体で感じたあの風景が 脳裏に甦る、そんな作品集 ■ 『琥珀の望遠鏡』 フィリップ・プルマン 著 新潮社/2002.01 発行 不思議な力を持つ短剣で他の世界への窓を切り開き、羅針盤を頼りに旅を続けるライラとウィル。---7年の歳月をかけた待望のシリーズ第3巻、いよいよ完結!(〜帯より) とうさんは、ぼくが勇者だといったね。それがぼくの天性だと。 ぼくは否定もしなかったけど。とうさんはまちがってたんだ。 ぼくが戦ったのは、戦う必要があったからだよ。 天性は選べないけど、自分がすることは選べる。 ぼくはもう自由だから、これからは自分の意志で選んでいくよ 長編小説 ライラの冒険シリーズ3 いよいよ物語のエンディング あまりの切なさに涙 ■ 『神秘の短剣』 フィリップ・プルマン 著 新潮社/2000.04 発行 オーロラの中に現れた「もうひとつの世界」に渡ったライラは、<スペクター>と呼ばれる化け物に襲われ、大人のいなくなった街で、別の世界からやって来た少年ウィルと出会う。(〜帯より) いたるところでおろかさを見つけましたが、 かならず英知もありました。 わたしの気づかなかった英知が、ほかにもたくさんあったことでしょう。 人生はむずかしいものですがね、スコーズビーさん、 それでもわれわれはしがみつくんです 長編小説 ライラの冒険シリーズ2 舞台上に必要な役者が整う 子どもは純真なものだとか、嘘ついちゃいけないんだとか 表だって道義的なものが書かれている訳ではないから とまどう読み手も少なからず居るだろう ■ 『黄金の羅針盤』 フィリップ・プルマン 著 新潮社/1999.05 発行 事故で両親を亡くし、英国オックスフォード大学寮に暮らすライラは、明るく活発でおてんばな少女。最近、彼女の周りでは、子どもたちが次々に連れ去られる、という事件が起こっている。北極で何かの実験に使われているという噂もたっていた折にも折、真相を探っていた北極探検家のおじも何者かに監禁されてしまう。(〜0帯より) 小さいときは、ものごとが永久につづくと思うものだ。 しかし、残念なことに、そうはいかない。 長編小説 ライラの冒険シリーズ1 カーネギー賞受賞作 物語の導入部分である第一巻は 謎に満ちあふれている ■ 『サムライ・レンズマン』 古橋 秀幸 著 徳間デュアル文庫/2001.12 発行 シン・クザク---別名<<サムライ・レンズマン>>。ニヒルな白皙は日系アルタイル人の証。束ねられた長い髪。腰に携えられた特性の日本刀。彼は<<第2段階レンズマン>>の制服であるグレーのスーツに身を固めた盲目の超戦士だ。(〜裏表紙より) われわれはただひとり在るのではなく、 多くの縁に結ばれて存在している。 それは束縛を意味するものではない。 むしろ、さらに多くの縁に結ばれることによって、 われわれはより一層の自由を得るのだ。 SF E.E.スミスの『レンズマン』シリーズの外伝的作品 登場人物が生き生きしている それは面白いSF作品にとって必要不可欠な部分 長らく絶版となっていた本家『レンズマン』シリーズも 創元SF文庫から新訳で順次刊行されていくようだ |
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