夢の途中で散った史上最強馬(サイレンススズカ)

サイレンススズカ.この馬より良い競争成績を残した馬はたくさんいる。三冠馬.シンボリルドルフ.
ナリタブライアンを始め.サクラローレル.メジロマックイーン.ミホノブルボン.オグリキャップ.
最近では.タイキシャトル.スペシャルウイーク.エルコンドルパサー.グラスワンダー。しかし.あえてこの馬を史上最強馬
としたのは.あの稀代なスピード.本格派してから負かしに行けた馬は現役最強馬と評判のエルコンドルパサー
が一瞬並びかけたくらいだけ。あとは鈴をつけに行ける馬さえいない圧倒的強さ。いろいろな脚質の馬がいるが
逃げ馬こそが最強と自分は思う。(マイペースで行く逃げ馬でなく.圧倒的スピードの違いで逃げる馬のこと)
展開.馬場うんぬんは全く関係なく.自分のスピードを武器として自分の道をひた走る。相手なんか関係ない。
自分の前にあるのはゴールだけだ。なんて気分がいい勝ちかたなんだ。
サイレンススズカとの出会いは.デビュー2戦目弥生賞。あの有名なゲートくぐり事件のレースだ。サイレンススズカ
はゲートくぐり抜けただけではまだ納得がいかず?外枠発送となったスタートでも大きく出遅れ.10馬身
以上も離されてのレースとなったが直線では中段までとりつき.8着でのゴール。やんちゃな一面と非凡な
センスを見せてくれた。しかしスタートの緊張の時に笑わせてくれる馬はサイレンススズカぐらいだろう。
その後.自己条件戦を1つ勝ち.ダービートライアル.プリンシバルSへ。見事に勝ち晴れのダービー出走。
ダービーでは行きたがる気性と騎手の押さえる気持ちが喧嘩してしまい.9着に沈む。
秋は距離適正から菊花賞に向かわず天皇賞を目標にローテーションを組む。神戸新聞杯はゴール直前で交わされ
まさかの2着。勝ちを確信した騎手が最後まで追わず差された。勝負の世界は厳しい。騎乗ミスを指摘され
騎手交代となった。河内に乗り変わった天皇賞。4歳での挑戦。今でも名勝負に挙げられているエアグループがバブルガム
フェローを競り落としたあの天皇賞。主役はエアグループだか.サイレンススズカが大逃げをしてレースを
盛り上げた。あれだけ逃げても6着に残るしぶとさには感心させられた。それから.マイルCS.香港国際C
と走り迎えたバレンタインS。ここからサイレンススズカの快進撃が始まった。毎日王冠まで6連勝(うち
重賞5連勝).特に金琥賞で着けて2着との差11馬身.本当に気持ちいい勝ち方だ。続く宝塚記念を制し.
GTホースとなる。エアグルーブ.メジロブライト.シルクジャスティスを敗っての勝利だけに価値ある
勝利だった。
秋は天皇賞からJC.海外も視野に入れてのローテーション。毎日王冠。エルコンドルパサー.グラスワンダーの
無敗馬との対決。2馬身半の差を着けての勝利.もう日本には敵はいない.と確信した。そして.迎えた天皇賞。
単賞1.2倍の不動の1番人気。もう.話題はサイレンススズカが勝つか?ではなく.2着にどれだけ着差を
着けるか?に変わっていた。体調は今までにないくらい絶好調と調教師.騎手とも言っていた。いいスタート切って
後続を引き離す。5馬身.10馬身と差はどんどん離れて行く。3コーナーをまわり.4コーナーへ。10馬身
以上の差。ここで勝利を確信していた。たぶんJCに行っても間違えなく逃げ切れると言う確信めいたものを
感じたその瞬間.サイレンススズカの走りがおかしくなった。馬場の穴に脚をとられたみたいだ...
大惨事にならないように.という武豊の配慮もあって後ろを気にしながらコースをはずれるサイレンススズカ。
あとは.無事でありますように...と祈るだけ。競争生活がだめでもせめて種牡馬として産駒を...
それぐらい壮絶に散っていった。
『魔がさす』って言葉があるが.それは.自分が絶頂な時ほど注意が必要と
警鐘する言葉。まさにサイレンススズカにはその時だったかも知れない。絶好調だったからこそ自分が押さえ
きれないぐらいのスピードで.神の領域まで足を突っ込んでしまった。普通なら何でもないコーナーを.また
何の苦労もなく越えられる小さな馬場のへこみさえもサイレンススズカは敵にまわしてしまった。でも.
サイレンススズカはきっとそれを後悔していないだろう。競走馬が競馬場で.しかも一番大きな舞台で最高の
走りをして散っていったんだもん。走ることが大好きなサイレンススズカが一番の晴れ舞台で精一杯の走りをして
散っていったんだもん。きっと天国でも一番前を走っている。いつまでも先頭で...。
もう二度と逢えないけど.みんなの心にはあの勇姿が刻まれている。さらばサイレンススズカ.夢の途中で散った
史上最強馬よ...