『 よ・ソ・み -抄- 』
 
 
抜粋
 
 
――― メガミとオガミ ―――
 
その回転軸に触れた瞬間から
この世【セイジョウ】を捨てねばならぬ宿命を背負ったというのか
肉体のみ瑞々しく
血圧・脈拍・心電共に異常【セイジョウ】はなく
何処の世【パラダイス】
行こうというのか
しかし
しかし もう一度
もう一度 その回転軸に触れたなら ―――
 
―― 対の果物【カミガミ】はこうして生まれたのだろうか ――
 
×                    ×
 
 
気のチガった円筒形果物の汗をぬぐってやる
気のチガった円筒形果物は気を取り戻し優しく笑む
それを美しいと伝えると 涙を流しよろこぶ
それを美しいと伝えると ヨダレを流しよろこぶ
気のチガった円筒形果物は力まかせに私の袖を掴む
気のチガった円筒形果物は痙攣を烈した手で私を離さない
宙に舞った視線は暫らく留まらず
そして一気に私に訴える
「私はオカシクない!
  私はオカシクないの!
  私の大事な話を・・・
  私  これから  大切な話を・・・
  するから・・・
  大切な話を・・・するから・・・」
そうだ!
君はオカシクない!
君は真実【カミ】を見ただけだ
ただ  ただそれだけだ!
 
気のチガった円筒形果物の涙液と唾液と汗を
肉体の腐った円筒形果物がぬぐってやる
気のチガった円筒形果物は笑い続けられる冗談を
「 えぇ――― 」と宙に舞ったまま泣く
気のチガった円筒形果物は何度も何度も
“大切な話”のプレリュードだけを何度も何度も
それだけを何度も繰返す
肉体の腐った円筒形果物が白いBedに運ばれた食事の肉片を噛みちぎり
気のチガった円筒形果物の最初の穴に入れてやると
ただ穴の中に留まっただけで閉ざされたカーテンの裾に目を遊ばせ
肉体の腐った円筒形果物が黙っている限り
気のチガった円筒形果物は最初の穴に肉片をぶらさげたままカーテンになってしまう
そのカーテンに味噌汁を飲ませ「おいしいか」と問うと
「おいしい」とカーテンから抜け出す
気のチガった円筒形果物の乱れた髪を撫で分けてやる
―――ダイジョウブ ハズカシクナイヨ―――
 
肉体の腐った円筒形果物は 時に「私」を脱し君と一緒になる
気のチガった円筒形果物は宇宙【カミ】の言葉で話すのだから
肉体の腐った円筒形果物はその塵にしがみつき
別の星の丘から光線を出す
気のチガった円筒形果物がそれをCatchしようとすまいと
その光線しか届くものは無い
我々円筒形果物の様子を
隣のBedから怪しい耳をすまし醜聞を満たすがいい
二体の円筒形はそいつを裏切りはしないだろう
「こわくないから!」
呼吸が苦しくなった気のチガった円筒形果物は
必死に肉体の腐った円筒形果物を探しまさぐり求める
「こわくないから!!・・・こわくないから・・よ」
気のチガった円筒形果物は指先の痙攣が伝播し全身へそしてBedへそして病室へと犯し
狂声と共に着地点の無い星へ登りつめようとする
肉体の腐った円筒形果物は気のチガった円筒形果物を呼び起こし
全ての痙攣を無け無しの武力で抱擁する
肉体の腐った円筒形果物の最初の穴で気のチガった円筒形果物の最初の穴に蓋をする
「コワクナイ!」
肉体の腐った円筒形果物はテストステロンを開放し 力学に委ね
気のチガった円筒形果物を「抱擁」という拘束を結う
それでも
それでも肉体の腐った円筒形果物の「抱擁」を破壊しようとするので
「私」に帰還し涙が止まらなくなる
 
気のチガった円筒形果物は
ナースコールと机を犯された痙攣の贖罪がすむまでその肉体と戦わせ
流血を投げつけてまで「ナツイ」を乞う
「私」は肉体の腐った円筒形果物を再出し
気のチガった円筒形果物の合図でいつでもその宇宙へ発ち
光線を何度でも発する
気のチガった円筒形果物は子の為に張った乳のせいで
時折「母」へと帰還し
その乳を軽く擦ってやると
薄く 気持ちよさそうに笑む
今や
気のチガった円筒形果物が「母」に帰還するのはその乳しかない
肉体の腐った円筒形果物は「私」に帰還したフリをして
軽くその乳を擦る
乳房から溢れ出た母液はその唯一の有機質な肉体の白い皿では留まらず
無機質なさらに白いシーツまで一本の道を作る
肉体の腐った円筒形果物はそのシーツが冷たい粘土であることの哀しさから
せめて舌で慰めてやると 気のチガった円筒形果物に
「私」ではなくなっていることが すぐにバレてしまう
されども「母」の救われぬ液は止まれない
「いいんだよ」
それでいいのだ
君のその乳の河で
魚は泳ぐのだ
それでいいのだ!
君のその乳の大河で
魚は泳ぐのだ!
君の止まらぬ乳が海となり
その海で 魚は 魚は縦横無尽に泳ぐのだ!
この対の果物の中で
魚は果汁【チニク】100%の海を ―――
 
回転軸は多面体だった
それは とどまるところのない流れだ
それは とどまることのないクニだ
それは とどまることのないウチュウだ
それは とどまることのないセイシンだ
多面体にふさわしく
多面体を尊び
多面体を慈しみ
多面体に捧ぐ
回転軸は多面体キャタピラーズ
新鮮な果物は流転し
魚は泳ぐ  Blues
魚は泳ぐ  Blues
魚は泳ぐ  Blues
魚は泳ぐ  Blues
 
魚は泳ぐ  Blues
魚は泳ぐ  Blues
魚は泳ぐ  Blues
魚は泳ぐ  Blues