<目的>
「タンザニアの生徒は加減法の理解度が低い」と言うことは既に調査Aで述べてきた.
これらはPrimaryで理解されて当然の内容なのだが,タンザニアではSecondaryのForm1で使用言語が英語に変わるが再び加減法を学ぶチャンスが与えられている.
1st termでは教科書に掲載されている通りに数直線を用いて教えたが,調査Aの結果(以後1回目と表示)からもその理解度は予想以上に低いものであった.
そこで2nd termでは少しでも理解度を上げるために図を用いて再び教えた後に,もう一度同じ試験(以後2回目と表示)を行い,その効果があるかを確かめた.
<対象>
・Mkwakwani Secondary School(政府校)2001年度Form1 139名(男子72名,女子67名)
<内容>
まず,Form1の4クラスを2クラスずつに分け(分け方は調査Dに準ずる),ひとつのグループには理解度を上げるために図を用いて加減法を説明し,もうひとつのグループにはそれをせずに調査Aの1)-24)の加減算を再び解かせ,1回目の結果との比較をすることにより図による説明の効果を確認した.
| クラス | 人数※1 | 平均※2 | |
| 図使用 | B | 36 | 18.0 |
| D | 35 | 19.5 | |
| 図不使用 | A | 34 | 20.4 |
| C | 34 | 19.6 |
<図を用いた加減法の説明>
{○は+1,×は−1,●※3は0(=+1−1)}を表すものとする. ※3:実際には,●は○と×を重ねた記号を用いた.(パソコンではその記号が無いためここでは●を代用)
a)-@ -5-2 を 「-5」and「-2」と考える.
A -5 → ×××××
-2 → ×× と表すことが出来るので
-5-2 → -5 and -2 → ×(-1)が7つ → -7
××××× and ×× → ××××××× → -7
b)-@ -5+2 を 「-5」and「+2」と考える.
A -5 → ×××××
+2 → ○○ と表すことが出来るので
-5+2 → -5 and +2→ ×(-1)が3つ and ●(0)が2つ → -3
××××× and ○○ → ×××●● → -3
<結論>
★図を用いて加減法を説明する事により生徒の理解度は上がったが,この方法が有効であるとは言えない.
★理解度が上がったとは言え日本の生徒と比べると,まだ劣っている事から別の説明方法の検討も望まれる.
<結果と考察>
まずは1回目と2回目の平均点,中央値,満点の人数をTable.B-2に示す.
| 人数 | 平均点 | 中央値 | 満点の人数※ | ||||
| 1回目 | 2回目 | 1回目 | 2回目 | 1回目 | 2回目 | ||
| 図使用 | 71 | 18.8 | 19.8 | 20 | 22 | 15 (21%) | 22 (31%) |
| 図不使用 | 68 | 20.0 | 19.2 | 22 | 20.5 | 22 (32%) | 15 (22%) |
| 日本 | 131 | 22.0 | - | 24 | - | 74 (56%) | - |
平均点,中央値,満点の人数,いずれも図を使用して再説明したクラスは上がり,説明していないクラスのそれは下がっていると言う対照的な結果が得られた.
もう少し結果を詳しく解析するために,2回目にどれだけ点数が上がったかを調べTable.B-1とFig.B-3にまとめた.
| 人数 | 3点以上上がった | 上がった | 下がった | 変わらず※ | 2回とも満点 | |
| 図使用 | 71 | 21 (30%) | 38 (54%) | 19 (27%) | 5 ( 7%) | 9 (21%) |
| 図不使用 | 68 | 7 (10%) | 18 (26%) | 31 (46%) | 9 (13%) | 10 (15%) |
図を使用して説明した場合,半数以上の生徒の点数が上がり更に30%の生徒が3点以上上がっておりいずれも再説明をしなかったクラスのそれよりも2倍以上高い比率になっている事がわかる.
しかし,一方で同じ問題を解かせたにもかかわらず2回目の方が低い生徒がいずれも20%以上いる事から「図を使用して説明した方が効果がありそう」としか言えず,それを「効果がある」と言い切るにはもう少しn増しで調査する必要がある.
また,この方法が有効でありそうだとは言え,日本の生徒の成績と比べるとはるかに劣っている事から別の方法の検討も望まれる.