Diary 〜留学生日記〜

 

 2000年4月より、大学のプログラムで2ヶ月にわたり、医学臨床実習をアメリカ・フィラデルフィアのペンシルバニア大学で行っています。

 ここでは、日本の一医学生が実習で感じることのできた日米の医療の違い、アメリカでの実習生活ぶりなどを紹介したいと思っています。

 

April's Rotation : Clinical Transplantation (4月:移植外科)

 

1−移植外科のサービスの概要>実習の内容

 

 僕のアメリカ医学生生活の第1幕は、日米の医療の違いがもっともよく現れている移植医療の現場で始まった。ローテーションはペンシルバニア大の大学病院で、全米で最初の大学病院としても知られるHosital of the University of Pennsylvania(通称HUP)の移植チームの一員として、4週間を過ごすというもの。

 

 チームは以下のようなメンバーからなっている。

 

 

 

 一日の業務は以下のようなタイムテーブルに乗っかって進んでいく。

 

朝5:30頃_プレラウンドに控えて学生はメインの病棟の患者のデータ収集。(Vitals, In&Outs, FSG) インターンと下級レジデントはSICUの患者のデータ集め(lab data, ABGを含む。)

朝6:00_プレラウンド。1時間をかけて全患者を回診。チーフレジデントを中心に集めたデータを報告し、その日の患者への処置を決めていく。フェロー一人が監督して、たまに助言を与える。

朝7:30頃_プレラウンドで決まった処置を下級レジデント以下が開始。主な仕事は採血、投薬オーダー、ガーゼ交換、ドレーン抜去など。学生も参加。

朝8:45頃_ORに患者が入る時間。レジデントがORに向かい、患者に説明をした後麻酔をかけ、術野の消毒、Foley catheterの挿入、ドレープを掛けるなどの準備を行う。

朝9:30頃_皮膚切開が始まった頃、アテンディングが現れ、この日の患者の状態や術式についての細かい打ち合わせをする。その後手洗いを済ませたアテンディングが参加し手術は進んでいく。

昼14:00頃_手術がある日はこれぐらいの時間からラウンドが始まる。ラウンドは大きく肝臓移植の患者と腎臓(及び膵臓)移植の患者の2つに分けて行われる。アテンディングを先頭にフェロー、レジデント、インターン、学生とぞろぞろと列を作って患者のもとを訪れる。アテンディングは回診の途中でおもむろにレクチャーを始める、ある時は「肝臓の区域について説明:S1は何処にあって何処に静脈血を送っている」、のような初歩的な話をしたかと思うと術後の免疫抑制療法について分子レベルの説明を延々30分以上話し続けたりとまちまちである。 だいたい各グループ1時間強かかって回診を終える。

 ラウンドではアテンディングが免疫抑制剤のdoseを中心に議論して、決定されたものを当日の夜と翌日の朝の処方としてオーダーをだします。つまり、ここで向こう24時間の予定が決められ、朝のプレラウンドはその効果を測定するという意味合いを持っています。

夕方17:30頃_ラウンドを終え、アテンディングからの追加の指示があれば、それをレジデントがこなす。だいたいこの時間には一日の業務が終了。on callのレジデントと学生を残して他のDrはOFFとなる。

 

 

サービスの内容は、簡単に言うと以下の3点に集約される。

1:肝臓、腎臓及び膵臓の移植手術およびグラフトの摘出

2:移植手術後の患者のフォロー

3:移植待機患者のアセスメントとフォロー

 

1について少し説明すると、肝臓はほとんどが死体からの移植(OHT)で、腎臓は死体腎(cadaveric renal transplant)及び血族からの生体腎移植(Living-related RT)、および腎・膵同時移植(kidney-pancreas TXP)が行われている。

2について説明すると、術後退院までの入院期間をフォロー、術後合併症・免疫拒絶での入院をフォローするのはもちろん、移植の既往のある患者の入院は原則的にこのチームでフォローされる。すなわち、移植の既往のある肺炎患者や蜂窩織炎の患者の入院もフォローする。

3についても一言。病院でESRDで入院治療している患者のアセスメントとフォローも仕事の一つなのだが、そういった患者がたとえば透析治療中にシャントトラブルを起こしたとすれば、シャントの再建はこのチームの仕事となるわけ。

 以上がざっとこのサービスのあらましです。

 次は、ここで僕がどんな学生生活を過ごしたか、そんな視点で移植外科を見てみましょう。

 

 

実習初日:「右も左も…」

実習2日目:「日の昇らなかった日」

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