図書館へ行こう! MY ASHIYA-HOO!

WATCHING

このページは私の読書履歴です。
ほとんどの本を図書館で借りました。
どこの街にもきっとある図書館。
そこは情報と娯楽がいっぱいの宝箱。
そしお小遣いをやりくりするための重要な場所。


評価は★5つが最高ですが、あくまで私の独断と偏見によるものです。
納得いかない評価がありましてもクレームは御遠慮下さい。

★★★★★ 是非是非読んで下さい。買ってもいい。
★★★★ 睡眠時間減少覚悟、まだならすぐ図書館へ
★★★ 気軽に読めます
★★ 通勤や出張の時間つぶし
読むならほかの本

ミステリー掲示板
このホームページへのご意見やみなさんのおすすめ小説など、 どんどん書きこんでください。

 

更新日2002/9/2

 

What'snew
<2002>


■地図の読めない女、話を聞かない男
男脳女脳テスト
■ボクの読んだ本のねうち
福田和也氏の「作家のねうち」に取り上げられた中でボクが読んだ本の評価の紹介
清朝末期王朝略系図
浅田次郎「蒼穹の昂」、「珍妃の井戸」に登場する王室家系図。


著者別リスト著者の姓でリスト化しました。作品名をクリックすると詳細情報に移動します。
  著者 作品 年月日 評価
浅田 次郎 珍妃の井戸 2000/3/25
★★★★★
    シエラザード上下 2000/3/11
★★★★★
    天切り松闇がたり1.2

2000/3/6

★★★★
    蒼穹の昂上下

2000/1/17

★★★★★
    まだ見ぬ妻へ

2000/3/3

★★★
    月のしずく
2000/5/20
★★★★
    壬生義士伝
2000/7/9
★★★
    霞町 物語
2000/7/30
★★★
    活動寫眞の女
2000/8/3
★★★★
    天国までの100マイル
2000/9/15
★★★★★
    薔薇盗人
2000/12/4
★★★
    オーマイガッ
2001/11/21
★★★★
    歩兵の本領
2002/7/14
★★★★
    天切り松闇がたり3〜初湯千両
2002/8/20
★★★★★
  池井戸潤 果つる底なき
2002/6/30
★★
  池永 陽 コンビニララバイ
2002/7/7
★★★
  梅図かずお 漂流教室
2002/2/10
★★★★★
  大前 研一 ドットコムショック
2000/6/13
 
  岡田 斗司夫 失われた未来
2000/11/18
 
  アランピーズ&バーバラピーズ 話を聞かない男、地図が読めない女
2000/12/10
 
  アレックスガーランド TESSERACT4次元立方体
2000/9/9
梅原 克文 カムナビ

2000/4/7

★★★★
  貴志 祐介 天使の囀り 2000/1/2 ★★★★
  桐野 夏生 ファイアボール・ブルース 2000/9/10 ★★★
  桐野 夏生 OUT 2000/5/24
★★★
  桐野 夏生 錆びる心 2000/1/3 ★★★
  黒武 洋 そして粛清の扉を 2001/11/26 ★★★★
  小林よしのり ゴーマニズム宣言台湾論 2000/11/25  
佐々木 譲 ワシントン封印工作 2000/2/11
★★★
    総督と呼ばれた男 2000/1/12
★★★★
  佐藤 賢一 王妃の離婚
2000/6/5
★★
  真保 裕一 密告

2000/1/9

★★★★
    ボーダーライン 2000/5/17
★★★★
  謝雅梅 台湾人と日本人〜日本人に知ってほしいこと 2000/11/28  
  新野剛志 八月のマルクス 2002/7/1 ★★
  瀬名 秀明 虹の天象儀 2001/11/11 ★★★
高橋 昌志 空想アクションヒーロー読本 2001/8/2
  田口 ランディ アンテナ 2001/10/26 ★★★
  竹山 洋 ホタル 2001/8/15 ★★★
  手塚治虫 アドルフに告ぐ1-4 2002/4/14 ★★★★
  天童 荒太 永遠の仔上下 2000/2/27
★★★★★
    あふれた愛
2002/8/29
★★★
  伴野 朗 砂の密約

2000/5/2

★★★
楡 周平 TARGET 2000/3/20
★★★★
    Cの福音〜朝倉恭介完結篇
2001/11/5
★★★★
    マリアプロジェクト
2002/6/17
★★
  野沢尚 破線のマリス
2002/6/24
船戸 与一 龍神町龍神三番地

2000/4/17

★★
    虹の谷の5月
2000/9/21
★★
    海燕ホテルブルー
2001/8/16
▲の★★
  東野 圭吾 白夜行
2000/5/29
★★★★★
  福井晴敏 トゥエレブYO    
  福田 和也 作家のねうち
2000/6/18
 
  堀ちえみ 堀ちえみと3人の小さな山男たち
2000/12/5
 
  ボストン・ラテン 神は銃弾
2002/1/27
★★
町田康 屈辱ポンチ〜けものがれ俺らの猿と
2002/3/14
★★★
  宮部 みゆき 鳩笛草
2000/7/15
★★★★
    あやし
2000/9/30
 
    初ものがたり
2001/8/31
★★★★
    人質カノン
2001/10/10
★★★
    堪忍箱
2001/11/2
★★★
    R・P・G
2001/9/9
★★★
    天狗風
2001/10/20
★★★★
    ドリームバスタ
2002/8/14
★★★★
    淋しき狩人
2002/8/30
★★★
  村上 龍 希望の国のエクソダス
2000/9/14
★★★
不明   アトムは僕が殺しました
2002/3/21
★★★
読書履歴
1 読書日/2000/1/9 著作者/真保 裕一 作品名/密告

ストーリー/かつてオリンピックの射撃代表候補にもなった警察官である主人公にはかつてライバルであった警察官を密告し、代表の座の確保を試みたという忌まわしい事件があった。そして月日は流れ、同じ署の同じセクションにかつて密告した男が上司として着任する。その男に汚職の疑いがあることが警察内部から密告される。その密告も主人公の仕業と思われ、警察内で孤立してしまう。
しかしかつて主人公がその男を密告したのは、単に(その時点では自分より成績優秀だった)ライバルを蹴落とすためというより、好きになった女性がその男と一緒に射撃訓練場にいることを見て、昔はたしかに密告したが、今回はしていないため主人公は独自で調査を始める。

調査をすすめるうちに管内の遊興組合と警察上層部の癒着の構造を発見する。それは遊興施設の取り締まりを甘くする変わりに、安全協会を設立(その資金はパチンコ、違法カジノ、風俗などから上納)し、ノンキャリア組み警察官の天下り先とする計画であった。
主人公が射撃訓練をしていた時代の上司(主人公が警察内で唯一信頼し頼ることができる人物、その娘が現在オリンピックの射撃の代表候補であり主人公に思いを寄せている)に相談したり、ライバルだった男の妻(その妻からライバルの素行調査を依頼されている)に話を危機ながら調査するが、陰謀は把握できたが、密告した人間が誰だかわからない。

この計画の黒幕は実は信頼していた元上司であり、主人公はあやうくヤクザや上司たちに監禁されてしまう。
しかしライバルだった男が結果的に主人公の命を救う。信頼していた上司が黒幕だったことを知り主人公は呆然とす、とともに密告した人間を瞬時に理解する。警察内部の情報に詳しく、陰謀計画も入手できる立場の人間、そして主人公がかつて「密告」という手段を使ったことがわかる人間・・・元上司の娘が密告者だった。主人公に思いを寄せる娘が密告という手段を使うことで、主人公が警察内部でいずらくなり、その結果、自分に向いてくれることを目的としたのだった。主人公は娘の気持ちを理解しながらも、こんな自分にこだわっていては彼女にためにならないと判断し、何も告げず敢えて冷たい態度で自分の気持ちを伝える。

感想/真保氏の作品のいわゆる公務員シリーズのなかでも警官という比較的分かりやすい職業をモチーフにしている。神奈川県警川崎地域を舞台としたものである。神奈川県警、新潟県警など警察の不祥事が相次いでいるが、その大きな問題がキャリア、ノンキャリアの確執のようだ。この小説においてもキャリア組は若くして署長、そして警察庁から天下り先も用意されているのに比べ、ノンキャリア組は長く現場を担当し、せいぜいが地方の署長どまり。そんあ警察内部の状況を捉え、ノンキャリア組が自らの将来の生活安定のために遊興組合と謀略し天下り先を設立しようとする。もち遊興団体はおめこぼしが狙いとなる。
現在では、悲しいかなあたりまえに感じる警察内部の問題を、いち早く小説に取り上げたのが面白い。

しかし新潟監禁事件や埼玉女子大生殺害事件、同僚の後頭部に銃を突き付ける神奈川県警よりは小説の警察官のほうがまだましかも??
評価/★★★★
入手経路/図書館

TOP

2 読書日/2000/1/12 著作者/佐々木 譲 作品名/総督と呼ばれた男
ストーリー/1930年代のシンガポールを中心とするマレー半島が舞台。マレー半島で生まれた日本人木戸辰也が主人公。父を知らず、母に育てられた辰也は中国人家庭に預けられる。
ある日叔父がやってきて辰也をひきとる。ふたりでイギリス人が経営するゴム園や鉱山で働くが、叔父が鉱山で中国人の共産党員に殺されてしまう。辰也はその復讐で人を殺す。刑務所で服役したあと、シンガポールで世話になった鉱山会社社長らの手助けもあり事業を始める。が、事業だけでは飽き足らず、ハリマオらと組み、列車強盗や銀行強盗により資金を集め、さらに飲食施設など事業を拡大する。

当時シンガポールには日本人街があり、その親玉がいるがその男ともわたりをつけながら、日本人街の顔となっていく。しかし終戦、日本の敗戦とともにイギリス軍らに追われる立場となってしまう。恋人であるマダムリーを助けようと中国人の黒社会の友人と乗り込むが、激しい銃撃の中、ひとりは死亡する。友人の中国人の兄が死亡した男は辰也であるとイギリス軍に伝える。

エピローグは1900年代のシンガポール、スターテレビの総帥の部屋となる。日本人ジャーナリストが総帥に向かって木戸辰也ではないかと訪ねる。かたわらには品の良い老婦人もいる。最後に死んだのは辰也ではなく、中国人で、辰也は恋人を助け、生き延びて、現在ではアジア有数の衛星放送局の総帥になったのではないか?という含みをもたせ終わる。
感想/殺人、強盗、暴力、謀略、賄賂などなど悪行オンパレード。だけど痛快。魅力的な主人公。この時代、これぐらいじゃないと生きていけなかったんだろうと思う。最近もブラジル移民100年など日本人海外移住の特集とか見るが、満州、上海、シンガポールなど日本人街を作る程当時から渡航していたとは驚き。その行動力というか必死さ、冒険心は見習うべきものが多いように感じる。また黒社会、特に中国の黒社会について説明されており、結束の固さは、最後に主人公と中国人の友人が追撃されどちらかが死亡する時にもあらわれている。死亡したのが弟であるにも関わらず、主人公を弟としてイギリス軍に報告し助けたことになっている。図書館で予約せず借りることができた。週刊誌(ポストだったか?)に連載されているのは知っていたが、こんな面白い話とは思わなかった。やっぱり佐々木譲はさすがだ。 評価/★★★★
入手経路/図書館(即日)

TOP

3 読書日/2000/1/17 著作者/浅田 次郎 作品名/蒼穹の昂上下

ストーリー/中国清朝末期が舞台。貧農の子春雲は占師に将来国の宝をすべて手にいれることができると預言される。同村で兄のように慕う進士(科挙合格者:日月をも動かすと言われる)梁文秀とともに北京に行く。そこで紫禁城の様子や西太后の権勢を知る。
貧乏の状況を脱するためには官宦になる決意をし、自ら去勢する。北京にでた春雲は失職した官宦(目を抉られたり、足の骨を折られたり大病を煩っている)が集まる荒れ寺で料理、舞踏、マナーなど官宦の教育を受ける。ある日西太后の前で披露した芝居の主役に急きょ代役として登場し、目にかけられたことから西太后付の官宦となる。その後も機知に富み、荒れ寺で教わった技術を駆使し(荒寺の官宦たちは皆なにかのスペシャリストばかり)どんどん出世していく。
そのころ梁文秀もその優秀さから役人とし出世し、同期の進士や学者たちと光緒帝の親政(立憲君主制度:日本の天皇制やイギリスの王政)をめざす。西太后派と帝派と2分した政争が繰り広げられるが、帝派の主導者である梁文秀の岳父揚喜ていが暗殺されたり、結局西太后派の勝利に終わる。

西太后が悪のイメージをもたれるがそれは実は西洋のマスコミの戦略であり、立憲君主制度を否定した西太后というイメージにより清への侵略の正当性を流布するためのものであった。また西太后派の軍事リーダーである栄碌が実は西太后のかつて恋仲であったことや、西太后自信は皇帝光緒帝を守るために自ら悪のイメージをかってでた、というような背景が語られていく。
また清の起源であるヌルハチから乾隆帝の歴史や日清戦争、アヘン戦争など欧米の侵略も、さらに乾隆帝時代のイタリア人神父カスチリョーネの活動(清の歴史文化に感動し、乾隆帝の家庭教師を勤めたり、絵画、地理、物理など西洋文化をつたえ、紫禁城内に庭園を造園する)もとりあげ清の歴史が語られていく。

親政擁立に失敗した進士たちのうち、王悦(袁世凱ライバルで日清戦争の際、逃亡した袁世凱のかわりに日本軍に立ち向かい敗戦しその責任をとらされ幽閉される)は幽閉先から幽閉先で世話をしてくれた少女の好意で逃亡しある寒村で少年と出会う。その名は毛沢東。
梁文秀は袁世凱に終われ、日本大使館にかくまわれる。その仲介は西太后の孫であるマダムチャンが欧米派であった皇族の力を借りて逃亡させる。伊藤博文も登場し、日本ヘの亡命を認める。 梁文秀とともに春雲の妹玲玲も同行する。その二人の船を、杏色の轎に乗った春雲が見送る。春雲はこの時官宦のなかでも最高位の役職になり、小さいころ妹に約束した(官宦になってからは会うことができなかった)金持ちになるという約束を果たす。

感想/とにかく面白い!感動!上下2冊をかんじさせない。はじめは難しい漢字が多く面喰らうが、慣れてくるとそれが時代の雰囲気を感じさせる効果を持つ。 様々なストーリーがからまりあって進む。春雲の官宦からのサクセスストーリー(官宦になる方法、暮らしや役割、実情なども紹介される)、梁文秀の進士合格から帝親政工作から失敗 西太后、乾隆帝とイタリア人カスチリョーネ、李鴻章と袁世凱 アメリカ記者、など様々な登場人物がみな魅力的。 珍妃の井戸とあわせて(この小説のあとに読むこと、珍妃の井戸だけ先に読むとよくない) 評価/★★★★★
入手経路/図書館

TOP

4 読書日/2000/2/11 著作者/佐々木 譲 作品名/ワシントン封印工作
ストーリー/1941年日本軍の真珠湾攻撃による日米開戦と同時にワシントンの日本大使館が閉鎖される。ひとりのアメリカの大学に留学中の日本人の青年がアメリカ国務省エリート役人との取引(日本への帰国:徴兵またはスパイとして大使館勤務の究極の選択)により日本大使館で働くことになる。国務省のエリートは青年と同時にタイピストの女性もスパイとして利用していた。田舎からでてきた女性は「国を動かす」国務省エリートのとりことなり、また男性も夫婦関係の問題からこのスパイとして利用するだけのつもりだった女性と男女の仲になっていく。
女性は国務省エリートに日本大使館の動きなどの情報を伝えながら、似た境遇同士ゆえ女性と日本人青年が恋におちていく。
いよいよ戦局も進み、日本人は強制連行されることになるが、女性と国務省エリートの男女関係が役人の妻(家族ともエリート環境で育つ)に知れることになり、嫉妬に狂った妻が女性を拳銃で撃つ事件をおこす。日本人青年と恋に落ちていた女性はこの事件を公開しない条件として日本人青年のアメリカ国内における合法的滞在を要求。国務省エリートはその条件を認めることで家族と地位を守ることにし、日本人青年はアメリカで暮らすことになる。
感想/ベルリン飛行指令、エトロフはるかなり、ストックホルムからの密使の3部作の戦史秘話ものに比べるとスケールが小さい。戦争突入の際の在外大使館はどうなっていたのか関心はあったのでノンフィクションとして読めば面白いかも知れないが、ミステリー、冒険などわくわくどきどきの展開を期待するとちょっとがっかりする。 評価/★★★
入手経路/図書館(即日)

TOP

5 読書日/2000/2/27 著作者/天童 荒太 作品名/永遠の仔上下
ストーリー/約20年前、四国の小児精神病院に3人の子供たちが入院した。ジラフ(きりん)、モウル(もぐら)の少年ふたりは、あとから入院してきた少女、ルフィン(いるか)を自分たちを救ってくれる存在と信じ、さまざまな場面で彼女を守る。
3人はそれぞれ家庭環境なども問題から精神に問題を抱えている。3人のあだ名も底からつけられたもので、ジラフは義理の父親から家庭内暴力を受けており、タバコの火を体中に押し付けられキリンのように体中に斑点がある。モウルは母親が淫乱でいつも押し入れに閉じ込められていたことから閉所恐怖症になっていた。
ルフィンは父親との関係で悩んでおり3人は父親殺害を実行する。
20年後、3人は警察官、弁護士、看護婦として、それぞれその職務を執拗なまでに遂行している。ある日20年ぶりに3人はであう(というより2人の男性は常に女性の所在を各自調査しながらその近くにいるようにつとめていた)。
女性の弟が弁護士の事務所に勤めるようになる。(弁護士は女性の弟ということをはじめから知っており学生時代から目をかけていた)弟は姉と両親の関係に何か不信なものを感じており独自に調査を開始する。
3人は父親殺しについてそれぞれ弱みを持ってtいた。殺害を実行しようとして躊躇したモウルは、殺害したのはジラフであると信じ、自分はルフィンの愛を得る資格がないと考えている。またジラフも同様に父親殺しはモウルが実行したものと思っていた。ルフィンは自分が父親を殺したものと信じ、各自がそのことを知らず苦悩していく。
弟がついに姉と父親の関係、近親相姦があったことを知ってしまう。
母は家に火を放ち自殺、弟も事故で死んでしまう。
しかし、父親を殺したのは実は母親、娘もそれを知らず苦しみつづけていた。

感想/近親相姦、家庭内暴力、児童虐待など少年期のPSTD、20年後になりその親たちの老人介護の問題など暗いテーマが盛り込まれている。精神の解放、救いを求める、ことがテーマか?

四国石鎚山を神に出会うことができ救われる山としてかかれている。その登山中に父親を殺害する。娘と母親の関係も結局、殺害した人間は誰であったか明らかにならないことでおのおの苦しみつづけることになる。

暗く悲しいミステリー。1999年度ミステリー1位だが、これはたんなるミステリーというより文学としての評価をもっともたれてもいいように思う。

評価/★★★★★
入手経路/図書館(約1ヶ月待ち)

TOP

6 読書日/2000/3/3 著作者/浅田 次郎 作品名/まだ見ぬ妻へ
ストーリー/東京でポン引きをして暮らす男が雇用主から戸籍の借用を持ちかけられ中国人女性と夫婦となる。純粋でひたむきで美人の中国女性に惹かれていく。男は北海道に妻と娘、東京に息子がいるが、離婚したまに娘と電話で話す程度となっている。ある日中国人女性は別の飲食街へ移されることになり、男はその集合場所に彼女を追ってしまう。が、彼女はハンカチをバスの窓から残しお別れとなる。
感想/表題作ほか6篇ほどの短編。表題作まだ見ぬ妻へ、は浅田次郎おとくい?の中国女性が登場。美人できだてが良く、家事も万能でちょっとかわいいところがある、けど中国に夫と子供がいる。
売春をしているが心はきれいなまま、という設定はラブレターに通じるものがある。個人的にはラブレターのほうが泣かせる。
この他踊り子などあるが、短編集としては鉄道員のほうが全体的にクオリティが高いように思う。それにしても浅田次郎はうまい。
評価/★★★
入手経路/図書館

TOP

7 読書日/2000/3/6 著作者/浅田 次郎 作品名/天切り松闇がたり1.2
ストーリー/東京下町の警察署に老人が集合房に収容される。その老人がかつて大泥棒だった天切り松。今では警察長官ら警察から防犯のアドバイスなどを求められ年金生活を送り、きまぐれに昔を懐かしむため留置所に宿泊している。居合わせた犯罪者たちに天切り松が幼少のころその泥棒の業を教えてもらった大泥棒たちの逸話や自分の生い立ちを語って聞かせる。明治の元勲山形有朋から恩賜の懐中時計を掏る美人の姉御、その技玄の前。似せ東大生として経済などに詳しい稀代の詐欺師、天切(天井を破って侵入)の父親との関係、松自身の両親と吉原に売られ一流の花魁となった妹の死など魅力ある登場人物が次々登場し、その話を聞いた犯罪者たちは自分のおかした罪を反省していく。
感想/粋、意気、気質、任侠、伊達、洒落など江戸っ子気質と大正ロマンが色濃く表れた作品。犯罪者ではああるが、ねずみ小僧のように金持ちからしか盗まず、それを貧乏人に施している。警察との癒着というより共存関係(被害者から被害届がでれば、盗んだものは返却する、つまり被害届がだせないようなものを中心に盗み貧乏人のほどこす)、親子関係、男女の恋、不動産詐欺、など現代的なテーマを盛り込みながら展開しいていく。上下巻きを読んでも松じいさんの活躍シーンはでてこない。どこかで連載しているのかも知れないが続編が楽しみ。
闇語りとは泥棒の技のひとつで周囲六尺にしか声が届かないしゃべり方のこと。
評価/★★★★
入手経路/図書館

TOP

8 読書日/2000/3/11 著作者/浅田 次郎 作品名/シエラザード上下
ストーリー/昭和20年、日本の敗戦も濃厚となったさなか、客船として作られ、陸軍に徴用されていた弥勒丸にナホトカから南方各地へ援助物資の輸送が命令される。援助は南方各地にある日本軍の連合軍捕虜収容所への食料などの輸送であり、国際機関ミドリ十字の要請による行われるもので航行の安全はある意味保証されていた。

現代。サラ金会社の2人の日本人がなぞの中国人に弥勒丸引き上げの費用援助を要請される。二人は広域暴力団の関係者であり、その暴力団は日本の船舶関係の黒幕である男の影響下にあった。なぞの中国人は2人のほか、大手商社、政治家にも同様の話を持ちかけていた。

昭和20年、弥勒丸は台湾沖でアメリカ軍戦闘機から突然攻撃を受ける。乗船している陸軍参謀と海軍中尉は対立しながらも、この攻撃の意味を考えていた。
実はシンガポールでたくさんの金塊を積み込み、上海に上陸させる作戦であった。中国本土における日本の影響は弱まり、経済による支配も崩壊寸前であった。大本営は中国を生命線と考え、経済支配の安定のために弥勒丸をミドリ十字の保護という隠れ蓑にして、金塊輸送を計画したのであった。しかしアメリカ軍はその動きを察知しており、その警告の意味で戦闘機による攻撃をおこなった。

現代。サラ金2人とひとりのかつての恋人である新聞記者は弥勒丸の調査をするうちに弥勒丸乗船の生き残りの人々と出会う。またなぞの中国人から引き上げの資金提供を要請された政治家、大手商社の役員(非常勤)、サラ金会社の親玉の船舶会の黒幕の3人は弥勒丸に関係した人物であったことがわかっていく。

昭和20年。乗船していた海軍中尉や陸軍参謀、そしてシンガポール駐在軍(政治家、船舶会の親玉などが帰国の弥勒丸へ在留邦人の乗船を作業していた)は弥勒丸航行の恐るべき秘密を知る。それは金塊を積むことを知っているアメリカ軍に対し、多くの民間人を乗船させることで攻撃を防止、つまり人を盾にするとうものであった。事実を知り、驚愕する関係者たちだが命令にはそむけず、弥勒丸は2000人以上の民間人を乗せて上海に向かう。民間人には日本へ帰国すると伝えたまま・・・。船は台湾沖で上海へ進路を変える。しかしあらかじめ予想していたアメリカ軍潜水艦の待ち伏せにあい船は沈没する。

現代。商社、政治家、船舶会の黒幕たちは弥勒丸引き上げ資金の提供を決意する。それは弥勒丸とともに沈んだ民間人に対する謝罪と責任からである。なぞの中国人は引き上げは日本人の手で行われるべきであると説きつづける。それは戦争の被害にあった、知られていない歴史の裏側で犠牲になった人間を弔うことなく、今の繁栄を謳歌する日本に対する憤りからだ。
そしてプロローグ、サラ金2人と新聞記者はなぞの中国人に質問する。
「日本語がとてもうまいが、もしかしたら、弥勒丸に乗船していた海軍中尉なのでは?」と?なぞの中国人はその問いには答えない。
感想/これもまた面白い。日輪の遺産が太平洋戦争時の秘話であるようにこれも同時期の設定である。日輪の遺産も当時と現在が交互に展開し、当時の関係者が現在にもかかわっているというストーリー展開であるが、シエラザードも同様の構成。弥勒丸のベーカー(パン職人、客船のパン職人は高い地位にあった)や政治家、船舶会の黒幕(笹川か?)、商社役員など弥勒丸に関係する人間たちの当時と現在が描かれている。
民間人を盾にしてまで遂行する戦争の悲惨さ、悲劇が、それを遂行した軍首脳部に対する静かな憤りが感じられる。日輪の遺産も主人公は軍人であるが、どこか冷徹な軍人になりきれない性格であった。ここに登場する軍人たちも日輪の遺産の登場人物と同様、将校ではあるが命令に苦しみ、悩む人々として描かれている。
特に日本銀行から徴用され日本軍を信じるマレーシア、シンガポールなど南方の人々から軍票と引き換え(紙切れにしかならない)に多額の金(弥勒丸に積載する)を集めた銀行員は自分の恋人が自分を追ってシンガポールまでやってくる。弥勒丸が攻撃される可能性を知り、彼なりにその船への乗船をあきらめさせようとするが彼女は乗船し船とともに命を落とす。その銀行員は現在、牧師として、弥勒園という名の孤児院を運営している。牧師と新聞記者が出会い、またサラ金の一人はここで育てられていた。
弥勒丸という記録から消された史実に関わった人々が50年を経て、不思議な糸で結ばれるように出会い、思い出を語ることで沈没の秘密が明らかなっていく。
引き上げまでは書かれていない。政治家、黒幕、商社などずいぶん物分りがいいところも気になるが、面白いので見逃す。
でも弥勒丸って小説、史実など?ホントにあった話のように思えてしまう。これも浅田次郎の罠か?
評価/★★★★★
入手経路/図書館(約1週間待ち)

TOP

9 読書日/2000/3/20 著作者/楡 周平 作品名/TARGET
ストーリー/CIAでは北朝鮮が生物兵器の開発とその日本への持込を予定しているとの情報に専門家が検討を続けていた。北朝鮮の作戦とは在日米軍基地に生物兵器を散布し、その機能を無力にし、その間に一騎に南進するというもの。CIAは北朝鮮が生物兵器を日本に持ち込むのを阻止するためには、暗殺など非合法な作戦しかないと判断しその人材を探す。しかし東洋人でかつ、それなりの殺人慣れした局員はなかなかみつからない。そのときひとりのCIA局員が朝倉に関心を持つ。

そのころ前回作猛禽の宴で米軍基地の廃物から入手した核兵器政策データを武器商人に無事販売した朝倉は日本へ向かうファーストシートでくつろいでいた。機内で突然乗客が苦しみだし、医者と名乗る男が緊急を要すると機長に伝え、マレーシアに戻る。ホテルの朝倉を男が突然訪問し、CIAへの協力を要請する。拒否すれば麻薬所持で拘留(マレーシアでは麻薬は死刑など極刑)と脅す。もちろんCIAがひそかに朝倉のスーツケースにしのばせることが前提、また、機内での病気の患者も医者もCIAで朝倉を確実に捕獲するための罠だったのだ。やむなく朝倉はCIAのスパイとなり、その訓練を受ける。朝倉はCIAのレベルの高い訓練をらくらくこなしながら爆破処理など新しい技術も身に付けていき、その訓練も自分のためになるもとの判断する。

北朝鮮からのスパイは日本に簡単に入国してしまう。在日スパイらと合流し、在日米軍基地7箇所に生物兵器の散布を計画する。日本に戻った朝倉は在日北朝鮮スパイのアジトを殲滅する。そしていよいよ沖縄に向かった北朝鮮スパイと対決する。撃ち合いが続き、最後は朝倉が仕掛けた爆弾でスパイは死ぬ。
無事在日米軍と日本は守られたのだ。
しかしCIAは冷徹な頭脳と驚異的な肉体を持った恐るべき敵を育ててしまったことにはまだ気づいていない・・・
感想/Cの福音、猛禽の宴の朝倉恭平が主人公。CIAの罠にはまりそのスパイとして働くはめになるのだが、とにかく強い。CIAのあらゆる訓練を優秀な成績でクリアし、北朝鮮のスパイを倒していく。今回も武器のてんこもり。そして生物兵器の説明や北朝鮮の発射訓練の日米政府の裏の考えなど、現在の政治社会環境を捉えたストーリーで現実性が極めて高く、特に北朝鮮の問題など日本海の捕虜問題や不法入国、ミサイル発射訓練など不安すら増長するほど。次回作は「クーデター」「クラッシュ」の主人公カメラマン川瀬との対決の予定とのこと。楽しみである。 評価/★★★★
入手経路/図書館

TOP

10 読書日/2000/3/25 著作者/浅田 次郎 作品名/珍妃の井戸
ストーリー/清朝末期、義和団事件の際、中国に進駐した英独日ロシアの4駐在大使は、当時進駐軍が起こした非道の数々の調査をする。そのときに光緒帝の側室珍妃が紫禁城の井戸に投げ込まれて殺害されたことえを知る。
各国は王様、皇帝、天皇、などが国の中心である立憲君主制の国々であり、側室が殺害されたということは、皇帝の命も危険ということで、それは立憲君主制の危機と感じる。また彼ら4人とも爵位を持つ貴族であり、特に最近強大になりつつある、アメリカ自由主義、ロシア共産主義の台頭につながりかねないと懸念を持ち、珍妃殺害事件の調査をはじめる。

新聞記者、皇帝付宦官、袁世凱、珍妃の姉などに話しを聞くがみな違う犯人、犯行状況を話し、真実がつかめない。4人は最後、戊戌の変法(光緒帝が若手官僚とともに日本をモデルとした議会制民主主義政府の設立をめざし100日程度で失敗する)の責任をとって幽閉されている光緒帝に謁見する。帝は精神に以上をきたしていた。が、妃をこころから愛し、妃も帝を心から愛していたことが語られる。そして妃を殺害した犯人はおまえたちだ、と4人を次々に名指していく。4人は自国が清朝に対して行ってきた非道を感じ涙する。
感想/うまくストーリーも紹介できない。なぜならこの小説のストーリーを簡潔に紹介しようとしても表面ばかりで特にラストの部分がうまく紹介できない。ようは中国清朝は諸外国に対し何かしたか?金銀を持ち出すかわりにアヘンを持ち込み、持込を制限しようとしたら、砲撃を加え、賠償金を奪う。清朝が何をしたか?
そして妃も死んだ。実際は自殺だが、その背景には4カ国の進駐がある。そのことを精神に異常をきたした帝が訴え、その真摯な訴えに4カ国大使が感じ入り反省するというもの。しかしこの展開はなぞの中国時女性ミセスチャン、実は西太后の孫娘、の策によるもの。ミセスチャンは策によって4カ国の非を各大使に認めさせたことになる。
蒼穹の昴の登場人物がたくさんでてきて、蒼穹の昴後の登場人物の行方も紹介されており、続けて読むといっそう趣が増す。
浅田次郎は中国に対し思い入れが強く、この小説も日本人が中国に対しおこなったことに慄然とする。特にこの小説の時代以後、日本は理由はともかく中国に対し侵略し、そこでは略奪と暴力が必ず行われたはずである。娯楽として読むだけでなく、日本と中国との間にあった歴史について考えるきっかけとなる本だった。
評価/★★★★★
入手経路/図書館

TOP

11 読書日/2000/4/7 著作者/梅原 克文 作品名/カムナビ

ストーリー/古代日本史大学講師は父を知るという助教授を訪ね、茨城県にある遺跡に向かう。するとそこで助教授の焼死体に遭遇する。死体は超高温で焼かれたもので原因不明。父は10年間に失踪している。また1200℃以上の高温で焼かれた土偶を発見する。なぞの女性と出合い、父の行方や焼死のなぞをさぐっていくうちカムナビ(神奈火)に関係することがわかってくる。さらに驚くべきことに本人のふるさとは蛇神信仰があり、この村では生まれた子供に儀式を行い、みな不思議な力を持っている。
そのことを知った主人公は再度その土偶にふれる事で、力を得ようとするが、その変わり体中にが蛇のうろこにおおわれてしまう。なぞの美女も実は同じ村の出身で、人のからだに触れず相手の首を締め付けることができる。主人公も人の体をコントロールできる力を持つ。二人はカムナビの秘密、父の行方、そして蛇のうろこの体を直すため調査を続ける。そして、邪馬台国、大和朝廷の関係、ヤマトタケルの出身の秘密など探り当てる。大和朝廷は邪馬台国を滅ぼしてからできたもので、10代崇神天皇までの天皇は邪馬台国の家臣に過ぎず、ヤマトタケルは邪馬台国人であり、アマテラスオオミカミこそ卑弥呼であった。それゆえ三種の神器とは邪馬台国時代の象徴のものであり、その怨念を大和朝廷は恐れ、分散して保管したのだった。

二人は熱田神宮にある草薙の剣を強奪し、奈良桜井三輪山に向かう。草薙の剣を邪馬台国の神の神体である三輪山に近付けることですべてが明らかになると考えたのだ。その二人を追って、白川神道の継承者の女性と父親も向かう。ふたりは草薙の剣を三輪山に近付ける危険を知っていたのだ。白川神道は邪馬台国の神々の復活、カムナビの発生を防ぐため代々朝廷に仕えてきた一族なのだ。しかしなぞの美女が封印を解いたことで蛇神と化した邪馬台国王子が復活し、桜井の町をカムナビで焼き付くす。主人公、その父、白川神道の女性は壮絶な戦いの末、父が犠牲となるが、主人公が草薙の剣を使って敵を倒す。

感想/邪馬台国の場所、大和朝廷、古墳、縄文時代、ピラミッドなど誇大日本史の不思議ネタが満載でどこまでが事実でどこまでがフィクションかわからなくなってくる。白川神道は実際にあるし、禁領地もあるようだ。

伊勢神宮は卑弥呼と2代目女王のトヨを内宮、外宮にまつっているとかヤマトタケルは邪馬台国人、そして卑弥呼がアマテラス、1200℃以上の高温(縄文時代にはそんな高温はだせなかった)で焼かれたため風化せず、階段状ピラミッドのような山が秋田や世界にあるなど、一歩間違えばトンデモ本。しかし展開の速さや(ちょっとくどいけど)歴史の説明などが充実しており退屈することはない。
古代日本史については今後勉強してみたいテーマだ。とりあえず三輪山へ行ってみようと思う。
最近の古代史・遺跡ブームも凄い。今後高齢化が進む中、また未来ばかりに目を向けていた時代が続いている中、このブームはいっそう拡大すると予想できる。
ミステリー、冒険小説のテーマについても最近はバイオ、ホラー、サイコ、サイバー系が多いように思うが、古代史をテーマにした小説が増えればいいな、と思う。

評価/★★★★
入手経路/図書館(即日)

TOP

12 読書日/2000/4/17 著作者/船戸 与一 作品名/龍神町龍神三番地
ストーリー/逮捕した犯人を殺害した元警察官。今は高校時代の同級生のクラブママに囲われる身となっていた。ある日長崎五島列島の竜の島の町長を務める高校の同級生が訪れ、仕事を依頼される。島では悪徳警察官や2つのムラ同士の闘争などムラ社会特有?の出来事が多発する。
また京都からきた研究者が志望したり、町長が殺害されたり不信な事件が続く。犯人がわからないまま主人公は調査を続ける。
実はこの島では数十年前に弟の嫁を兄が衆人環境の前で強姦し孕ませてしまった事件があった。
島では性関係がとても乱れていた。
殺人が次々と起こる。犯人は数十年前、兄に嫁を強姦された弟の島全体への復讐のために行われたものだった。
主人公はその事実をつかみ、さらに愕然とする。自分はなぜこの島へくることになったのか?
そう、この殺人者の男の養女が同級生のクラブママであり、ママは養父の復讐を手伝うため、周到な計画のもと主人公を利用していたのだった。
最後、主人公は殺人者の男とクラブママと対峙する。建物に火を放ちみな死ぬ。
感想/船戸 与一最新作であったが、駄作といわざるをえない。
殺人を犯した元刑事という主人公の設定の安直さ、離島のムラ社会の描き方のあまりにも固定概念にとらわれた設定、殺人コウモリの登場の唐突さ。彼の今までの作品はどちらかというと少数民族やアメリカを中心とする世界の中心からドロップアウトし、しかしその世界を守ろうとする男たちが書かれていたように思う。
この作品はアサヒ芸能に連載されていたものであるが、無理な性描写などはそのメディア特性ゆえか?
ページ数は多いが中身は軽い。猛き箱舟のようなガツンとくる作品を期待したい。
評価/★★
入手経路/図書館(約1週間待ち)

TOP


13 読書日/2000/5/2 著作者/伴野 朗 作品名/砂の密約
ストーリー/現代、中国史を元に作品を書く日本人作家が取材のため台湾を旅行中、一冊の本を手に入れる。その本にかかれていることを台湾政府関係者に確認しようとするが、明確な回答がえられないどころか警察から国外退去を求められる。

清朝末期、清朝打倒、革命を巡る闘争。孫文は強大な軍事力を掌握している袁世凱に対応するため、三井物産を仲介者とし日本政府と1000万円融資の見返りとして、敦煌莫高窟エリアの割譲を約束する。
孫文のボディガードとして日本人の拳法家がやとわれる。袁世凱の刺客から見を守るためである。かつて拳法家は偶然、袁世凱の刺客「朱雀」と壮絶な死闘を経験している。孫文側も上海の権力者サッスーン財閥と密約の中で日本人柔術家を袁世凱暗殺者として派遣する。
しかし柔術家はコウモリを自在にあやつる袁世凱の刺客の手により絶命する。
孫文のボディガードの拳法家はさまざまな情報から、コウモリを使う暗殺者の存在をつきとめ、結果的に撃退する。

現代。作家は思う。これは中国の父と呼ばれる孫文の権威を貶める可能性のある本であるため、政府は隠していたのだと。
感想/孫文、袁世凱、犬養毅、三井物産、サッスーン財閥など歴史上の登場人物や組織がでてきて、さも実際にあったことのように思える。
孫文VS袁世凱の政争史実や玄武、白虎VS日本人柔術家、拳法家とのアクションなど読み応えがあった。
浅田次郎の蒼穹の昴・珍妃の井戸でかかれた袁世凱と同様、この作品においても袁世凱はずる賢いが動物的な嗅覚で出世していく男として好感度はきわめて悪い。
この作品は霧の密約の後編という位置付けらしいが、霧の密約はまだ読んでいないのでぜひ読んでみよう。また以前読んだ「上海はるかなり」も再読したい。
評価/★★★
入手経路/新大阪駅構内本屋(東京出張のため)


TOP

14 読書日/2000/5/17 著作者/真保 裕一 作品名/ボーダーライン
ストーリー/私はロスで日本の信販会社のロス支店調査部に勤めている日本人。私立探偵の資格ももっている。
主な仕事は日本人観光客のトラブル処理だ。強姦されたり、盗難、暴力沙汰、娼婦とのトラブルなどあらゆる旅行者のトラブルを処理している。最近の日本人旅行者の増加による事故は益々増える一方だ。だから私の仕事もあるのだが・・。
ある日会社から日本人青年の行方を調査するよう命令される。その青年は本社の取引先の息子であり、数年前から行方不明であった。
調べるうち、その青年がメキシコ国境付近で麻薬など密売を手がけ、殺人にも関係している可能性がわかった。
私は青年がいると思われる街をたずね、不動産屋などに青年の写真を見せて探していた。突然スモークガラスの車が私の横に止まり、窓が開いた。するとそこには探してた青年の顔があった。「俺をさがしているのはおまえか?」というなり、笑顔を向けながらそいつは私に発砲してきたのだ。仕事柄、私の車は防弾ガラスを装備していたので大事には至らなかった。

私はそのころもうひとつの問題を抱えていた。同棲したいた女性が行方不明となったのだ。探偵の私に探してくれということなのか?失踪する直前に会社も辞め、借金もしていた。

青年について日本に問い合わせた結果、その青年は問題児で魅力的な笑顔を持ちながら、両親に危害を加え、容赦なく暴力を行使できる人間であったことがわかってきた。私が発砲を受けて数日後、父親がロスにやってきた。
私の尋ねてきたが、かばんには拳銃を隠していた。父親は親の責任において息子を自らの手で殺害しようと、ロスにやってきたのだった。その後、すぐに娘、その青年の妹もやってくる。「父を殺人者にしないでくれ」と。
娘も兄に強姦されてきた過去を持っていた。そんな兄のために、父親を犯罪者にしたくないのだと。

私は父親を探すため国境付近の街へ向かった。父親をひきとめるために。なぜなら二人が対峙したとき死ぬのは父親のほうだと思ったからだ。 しかし私の不注意で、せっかく父親に追いついたにも関わらず、コーヒーに入れられた睡眠薬のため不覚を喫する。
目がさめた私はすぐにあとを追ったが、父親は殺害されていた。息子に額を打ち抜かれて。そのとき青年は笑顔で引き金を引いたという。 私は冷静に青年を追った。そしてあじとを発見し、彼の仲間を倒していった。最後に追い詰めた。私はその直前まで引き金を引くつもりでいた。しかしできなかった。警察がやってきて、彼は逮捕された。私も同様に拘留されることになった。
会社の支社長が優秀な弁護士をつけてくれたおかげで私は懲役1年執行猶予3年ですんだ。が、私立探偵の免許は失効した。青年は拘置所で入所するなり、同室の男の目をフォークでつきさし、制止した看守の腕を折る事件を起こした。そして青年には死刑の判決が下される。

同棲していた女性が拘留中の私をたずねてきた。輪亜つぃにはある程度予想していた。なぜ彼女が私の前から姿を消したのかを。彼女はロスで出てくる前、17歳のころ子供を産み、育てていたが、育児ノイローゼから子供を死に至らしめた過去を持っていたのだ。2度と子供は作るまいと思っていたのみ私の子供を身ごもってしまい、前の子供への償いの意味で、当たらいお墓を立てたのだった。

私は思った。彼女のそばにいてあげなくてはいけない、彼女とならずっと一緒にやっていけると。
感想/虫を殺すのと同じように人を殺してしまう。そこに反省の気持ちも罪の意識もない。この作品の悪役として登場する日本字青年はそんな人間。 老女殺害、バスジャックなど、切れる若者という現代的テーマも取り込んでいる。
もっとこの青年の性格描写があってもいいのかな?とも思うが、あまり描写しないことでいっそうその不気味さがでているとも言える。
作品的には 一人称ハードボイルドだが、アメリカ的ハードボイルドの温度も感じられる秀作。
評価/★★★★
図書館(約3ヶ月待ち)
15 読書日/2000/5/20 著作者/浅田 次郎 作品名/月のしずく

ストーリー/
「月のしずく」
千葉の京葉工業地帯の工場で荷役として働く男。40歳を越えいまだ独身で不器用な男だが仲間の信頼は厚い。ある夜、銀座の高級ホステスが恋人ともめてる現場に遭遇する。タクシーもなく、そのままほってはおけず女を家に案内する。女は結婚する男ともめていた。互いの境遇を語り合ううち、男は女に惹かれていく。女は気まぐれでそんな男と付き合っていたが、男から結婚してくれ、と言われ、つけあがるな、と逆上する。ひとりになった女は男のあとを追う。空には月がでていた。

「聖夜の肖像」
妻はかつてパリで日本人貧乏画家と同棲し、子供を堕した過去を持っていた。夫は知らず、妻を愛しつづけていた。妻は夫に感謝しつつも、20年前に別れたその青年を愛しつづけていた。クリスマスの夜、夫婦は表参道に散歩にでかける。そこで似顔絵を書いてもらおうとすると、似顔絵師が20年前に別れた男だった。男が描いた似顔絵は20年前の妻の顔だった。妻はなにもかも許してくれ、包み込んでくれる夫にはじめて本当の愛情を持つ。

「銀色の雨」
和也はある日新聞配達をやめてしまい、幼馴染のホステス菊枝の男(ヤクザ)紹介で雀荘に職を得る。ある日ヤクザの依頼で警察に追われるヒットマンを匿うため、菊枝と3人で暮らすことになる。ヒットマンの男から男について学び、和也は仕事をやめたり、職を紹介してもらったり、まわりの人は親切にしてくれるのに甘えていただけであることに気づいていく。ヒットマンの男は最後逮捕されてしまう。

「琉璃想」
男が生まれ故郷の北京をたずねる。男は中国で育ったが、終戦直後の混乱の中、妹を亡くしながら、かろうじて帰国できた過去を持つ。 少しずつ記憶が戻っていく。同行したカメラマンは自分の会社の秘書の婚約者で、じつはその秘書と男は不倫関係にあった。帰郷して過去を思い出すうちに男は正直にカメラマンに告白する。カメラマンの男はそれを理解する。

「花や今宵」
電車を寝過ごした男女。ふたりは同じような境遇にあった。
男はアパレルメーカーの営業マンで会社のエースデザイナーの女性と婚約していたが、その女性は常務と不倫中だった。女性が常務に結婚を打ち明けたところ、常務は怒り、結婚を妨害する。女性は荘小判や地方の営業マンと結婚する気はない、と婚約を解消する。
女は会社の上司と長い不倫関係を続けていた。今日は誕生日だったが、男の家庭の都合であえなくなっていた。
女は男のやさしさに心を氷解していく。

「ふくちゃんのジャックナイフ」
ブラジル移民をめざす裕次郎が大好きな番頭ふくちゃんと、その店の次男坊だったボク。ふくちゃんはブラジル行きの費用を捻出するため、女性ホステスに貢がせていた。 出航の日、ホステスは叫ぶ「おばあちゃんになっても待ってる」と。ふくちゃんは裕次郎のように「俺のことはスッパリ忘れな。アバヨ」と裕次郎のような台詞で決めるのではなく、船を降りる。そんなシーンをボクはよかったと感じていた。

「ピエタ」
私が6歳のとき男と家をでてしまった母。「いい子にししてれば会える」という別れ際の母の言葉を胸に、私は好き嫌いもせず、家事もし、外国にいるといううわさで外国語を学び、一橋大学を卒業し、女性雑誌の副編集長をつとめるようになっていた。
それも母にあえる、という一念が知らずそういう人生を歩ませていたのだ。
今日はその母親とわかれて以来会う日。場所はローマ。母は日本人向けベテラン観光ガイドとして活躍していた。二人は話し合い、娘は母に対するわだかまりも消えていく。母親はミケランジェロの傑作、ピエタのように見えた。

感想/短編集。30代以上の男女の恋がモチーフの作品「月のしずく」「聖夜の肖像」「花や今宵」
もうひとつがやさしい男、男らしさ、純朴さ、一途さ。女の一見わがまま(負っているものゆえであるが)な言動に怒ることなく、じっと静かに話しを聞いている。
「月のしずく」の辰夫、「聖夜の肖像」の夫、「花や今宵」の営業マン、「ピエタ」のミスターリー
男に尽くす女性も魅力的だ。「銀色の雨」のキップのよさ、あねごはだの菊枝。「ふくちゃん〜」のホステス。そして他作品の不倫中の女性が相手の男と接しているときの控えめさ。
短編ならではの味がでていてどの作品もホロッとさせる。等身大でありながら、魅力的な人物が次々登場する浅田 次郎ワールドに耽溺できる作品。浅田次郎のやさしい視点が感じられる心が温まる作品。
評価/★★★★
図書館(約1週間待ち)

TOP

16 読書日/2000/5/24 著作者/桐野 夏生 作品名/OUT

ストーリー/
弁当工場の夜勤バイトをしている主婦雅子。夫は子会社への出向、高校生の息子は登校拒否と家庭も崩壊していた。
同じ弁当工場に勤め、寝たきりの義母の世話とお金の工面にやりとりする師匠とよばれる中年女、派手好きでお金にさとい邦子。
ある日同じバイト仲間が夫を殺害していまう。助けを求められた雅子は、師匠を誘い、自分の家の風呂場で夫の死体を切断する。死体は分断し、家庭ゴミといっしょに出す作戦だった。しかし邦子の不注意によりしたいはすぐ発見されてしまう。
警察におびえる女たちだが、ある日容疑者が現れる。かつて女性殺しで服役し、今はクラブとカジノを経営する男だった。この男の店のホステスとギャンブルに夫はのめりこんでいたのだ。

同時にサラ金の男がしたい切断のことを知る。ばらしたのは邦子だ。邦子はこのサラ金から金を借りており、帳消しにするかわりにすべて喋ってしまったのだ。サラ金は雅子に提案する。いっしょにビジネスをしようと。そのビジネスとは死体遺棄請負であった。雅子はお金に困っている師匠も誘い、仕事を受ける。

そのころ嫌疑をかけられた男は雅子たちの周囲をさまざまに調査し、弁当工場の警備員になり近づいていた。男は雅子に対し、複雑な感情、それは憎悪と愛と親近感の混じったものだ。男の復讐が始まる。死体処分の仕事をまたサラ金屋が受けてきた。いつもどおり浴槽にしたいをおき、カバーをはずしてみるとそれは邦子の絞殺死体だった。

ついに男の手が雅子に及び弁当工場の裏手に連れ込まれ陵辱される。が、雅子と男はお互い同じタイプの人間であり、お互いが一緒でなければ生きていけないということに気づき始める。が、気づいた時には雅子は男をかみそりで切り、男の余命はいくばくもない状態となっていた。

家からも解放された雅子はしかし日本にいることの息苦しさを覚え海外へ行くことを考える。

感想/TVドラマ化され、雅子に田中美佐子、師匠に渡辺えりこ、邦子に高田聖子、カジノの男に柄本明の配役だった。田中美佐子はちょっときれい過ぎて若い気もするがおおむねキャスティングは原作のイメージに近いと思う。
が、ドラマの脚本は原作のストーリー展開を踏襲しているだけで、(原作にないストーリーもあるが)この原作の情念や空虚さなどは描えていない。またドラマ化はムリのように思う。特にエンディングにおいて、雅子と男が徐々に心を通じていく様は、長時間男に拘束され、陵辱されても男にこびらず、それが繰り返されるうちに、ようやく到達するものであり、映像化は困難。またドラマのエンディングはブラジルに行ったように(空想かも知れないが)描かれるが、原作のエンディングはもっと冷めて、でも解放された中で終わる。
しかしすごい設定だ。女性が著者の作品とは思えない残酷さ、そして女性ならではの、女性の性格、きれる主婦、日常への鬱憤、仕事上の差別などさまざまな女性問題が盛り込まれていた。
評価/★★★
図書館(約4ヶ月待ち)
昨年12月初旬にオーダー !
TVドラマの影響か?

TOP

17 読書日/2000/5/24 著作者/東野 圭吾 作品名/白夜行

ストーリー/
1970年代、大阪の街で質屋の男が建築中のビルで殺害される。その男と関係があると思われていた女性が自殺する。その娘は叔母の元で成長し、男の目を引く魅力的な女性に育っていく。しかし女性のまわりでは、不信な事件がおきていた。高校生の時はライバル視されていた同級生が暴行され、大学生の時には高校の時から親友だった女性が暴行される。暴行のあとには、必ずその娘と暴行された女性は親友となり、いつのまにか娘の味方になっていく。

女性は土地もちの男と知り合い結婚するが、自分のブティックを経営しはじめ、じきに夫とうまくいかなくなり離婚する。が、すぐに大手会社社長の息子と知り合い再婚する。 男には娘がいたが、ある日その娘も暴行される。そして母親となった女は話す。もっとひどいことを私はされていた、と。

殺害された質屋には息子がいた。息子はパソコンゲームやプログラム、中古パソコンの販売などでビジネスをしている。
しかしその情報入手方法は犯罪であった。

実は質屋の息子と女は子供の頃からつながっていたのだ。彼女を守るため、男は犯罪すれすれのことに手を染め、彼女がうまく成功した人生を歩みように、サポートしていたのだ。そう、質屋を殺した犯人は、子供だった息子なのだ。なぜなら、ビルで遊んでいた息子は父親が小さな娘に悪戯をしているのを見てしまい、その汚らわしさに憤り、父親を刺したのだ。

はじめからこの事件を追っていた元刑事はついに真実をつきとめ、ふたりの元で向かう。

感想/ 永遠の仔と同様の時代設定はすごい偶然。現在の主人公たちが過去にある事件の影響を受け、ひきずっている。永遠の仔は現在と過去が交互に語られる構成だったが、この小説は、スタートが70年代で、そのまま現代まで続く。時代のブーム(長島茂男引退、インベーダーゲームブームなど)をうまく取り込みながら主人公が成長していく様を描いている。主人公が自分と同時代なのでリアリティを感じる。
淡々とストーリーは進む。クライマックスという部分は少ないが、主人公の苦悩や事件の背景が徐々に明らかに(犯人と動機は途中でわかる)していく過程がつらく悲しい。
評価/★★★★★
図書館(約4ヶ月待ち)
昨年12月初旬にオーダー !
ベストセラーだしょうがないか?

TOP

18 読書日/2000/6/5 著作者/佐藤 賢一 作品名/王妃の離婚

ストーリー/
14世紀のフランス、パリ、カルチェラタンの優秀な学生でマギステルと言われた男は皇帝の不評を買い、地方に左遷される。が、ふとしたきっかけで皇帝ルイ12世原告、被告ジャンヌ王妃という皇帝から王妃への離婚訴訟を手伝うことになる。
当時はキリスト教の力が強く、不妊など事情がない限り離婚は認められていなかった。男は弁護士として皇帝側の検察と弁論をもって戦う。男の元恋人の弟や、恋人が生んだ子供、など登場し協力しながら勝訴を勝ち取る。

感想/ 警句や風刺、教条的な文章が多く冗長している気がする。が、当時のパリの雰囲気や市井の暮らしなどは目に浮かぶ。現在の法廷もののスリリングは期待できない。また学生時代の恋人が王妃の使用人であったり、そのときできた子供が登場したり、設定が都合よすぎる嫌いはある。 また、男が左遷されたときには男根をきりとられていた、というオチも全体のストーリーや文体からは違和感は否めない。 評価/★★
図書館(約1週間待ち)

TOP

19 読書日/2000/6/13 著作者/大前 研一 作品名/ドットコムショック

ストーリー/<内容>
日本企業をだめにしたのは日本政府
自動車、繊維、通信などアメリカの外圧に負けて本来国の基幹産業となるべき産業をどんどん弱くしていき、そのかわり、もう終わっている産業である農業には50兆円以上もの金をつぎこんでいる。
マレーシアマハティール首相のもし日本なかりせば演説について
インドのIT産業、低賃金労働力、IT重視の政策による教育の充実
ラスベガス、オーランドに見るアメリカの強さ、(労働集約型である)サービス産業も好調、その理由はエンターテイメントと高齢者の居住、反してシーガイア、ハウステンボスはレベルが低すぎると喝破。
ITと遺伝子産業が今後のポイント

感想/ 大前氏が次々と日本の政府、官僚をズバズバ切っていく。が、日本をコケにするだけでなく、立ち直りのための方向性の示唆にあふれている。
ムリをいうアメリカ、追従する政府、官僚という図式の変革が必要。また官僚から流される温風に髄まで浸る企業。この温室的構造では日本に未来はないのだ。
評価/評価すべきものではない
図書館(約1ヶ月待ち)

TOP

20 読書日/2000/6/18 著作者/福田 和也 作品名/作家のねうち

ストーリー/<内容>
飛鳥新社刊。現代の著名作家の作品を点数で評価した画期的な著。単なる★の評価とはわけが違う。この本を執筆するために福田氏は9ヶ月で700冊の本を読み(慶応大学の助教授としての業務と月間200枚の執筆活動を続けながら!)、もうしばらく日本文学は読みたくないと記している。
作家の作品の全体像と各作品の批評に別れており、作家像としての批評は辛らつでも点数は比較的高い作品があったり、作家像、作品ともボロカスのものもある。特に私が好きな船戸与一に関しては、測定不能、との極めて辛らつなものとなっている。同様に、渡辺淳一、鈴木光司に対する評価も厳しい。

■ボクが読んだ本のねうち
この本で紹介されている中でボクが読んだことのある作品の点数を紹介

感想/ 船戸、藤原伊織の章でも触れられているが、全共闘世代における、一部の理想像(これを妄想としているのかな)に対して特に厳しい評価のようだ。私のようにその世代を体験していないものには、なんか懐かしい時代の憧れのようなものはある。そしてそれが本来のハードボイルドとは違う、単に感傷的で自意識過剰の自己満足であったとしても、あくまでも小説として、その小説の中の世界を読者に体験させることができるのであればそれはそれで、小説なのではと思うのだが・・・ 評価/
図書館(約1ヶ月待ち)

TOP

21 読書日/2000/7/9 著作者/浅田 次郎 作品名/壬生義士伝上下

ストーリー/東北は南部藩の北辰一刀流免許皆伝の剣豪であり、武士の子供を教える教師でもあった吉村貫一朗。貧しさゆえ、脱藩し、新撰組に入隊する。近藤勇、土方歳三、沖田総司らと薩長の浪人らを倒していく。が、鳥羽伏見の戦いで官軍に破れ、大阪の南部藩藩邸にたどりつくが、そこでであった幼馴染でもある藩の重鎮大野に切腹をもうしつけられる。
明治になり、吉村にゆかりがあった人々をたずね吉村のことを取材?しながら(最後まで取材者不明)吉村の人物像が明らかになっていく。

感想/ 義とは何か?武士の誇りとは何かをテーマとした小説。新撰組を取り上げることで、もう少し波乱万丈のドラマが展開されるかと思ったが、吉村貫一朗というひとりの武士の行き方をかかわりがあった人物に取材しながら明らかにしていく。吉村の一人称とゆかりがあった人の回想録で構成。面白いといえばおもしろいが、回想録が続きすぎて冗漫さを感じた。 評価/★★
図書館(約1ヶ月待ち)

TOP

22 読書日/2000/7/15 著作者/宮部 みゆき 作品名/鳩笛草

ストーリー/ 朽ちてゆくまで:両親を同乗していた車の交通事故で失い、祖母も他界し、家の整理ををしていた智子は大量のビデオテープを発見する。ビデオには押さない頃の智子が撮影されていた。ビデオはパターンがあり、智子は、人が死ぬ、苦しんでいる、や叔母さんが赤い服を着ているなど意味不明の言葉を話し、最後に父親がその日の新聞の日付を撮影していた。しかしテープのラベルに表示された日にちと新聞の日付は違うのだ。そしてそれが予言であることに気づく。今ではその能力はなく、交通事故以前の記憶はなくしていた。両親は智子の能力に苦しみ、そのため自動車で自殺を図った、とのうわさもあった。智子は自殺を図り、一命をとりとめるが、予知能力とともに過去の記憶も取り戻す。事故は本当に事故だったことがわかる。智子はこの能力と共存していこうと心に決める.

燔祭:妹を殺害された兄は復讐を誓う。そこに現れたのが青木淳子。彼女は会社の別職場のスタッフだった。彼女は男に復讐の手伝いを申し入れる。淳子は男の前で、店の前に駐車していたベンツを燃え上がらせる。淳子はバイロキネシス念力放火能力の持ち主だった。犯人の親子に火を放つが、兄は淳子を止め、非難する。「復讐でなく単に力を試したいだけだ」。淳子は男の前から姿を消す。ある日新聞を見たら若者4人組のなぞの焼殺事件が報道されていた。

鳩笛草:女刑事は人の体や物に触れることで相手の心やそこで起こった事件を透視する能力を持っていた。しかしその力も少しずつ弱まり、体調もおかしくなっていく。

感想/ 超能力を持つ女性が主人公の3作。ストーリー的には朽ちてゆくまでが完成度が高いように思う。苦悩を描いた点では表題作である鳩笛草も良い。燔祭については、先にクロスファイアを読んでしまっていたので、どうも空腹感が残る。 評価/★★★★
図書館(約1ヶ月待ち)

23 読書日/2000/7/30 著作者/浅田 次郎 作品名/霞町物語

ストーリー/ 1960代後半の現在の西麻布の高校生が主人公。写真屋を営む家の長男として育つ「ボク」は同級生やお小遣いにも恵まれながら楽しい時代をすごした。
夏休み、東大を目指す彼女と湘南にドライブの帰り、2年留年している年上の同級生と憧れだった女性の先輩とであう。始業式の日、その二人が交通事故死していたことを聞かされる。二人が会ったときには死亡していたはずだった。ボクと彼女はふたりから聞いた、幽霊がでるとうわさされるトンネルに向かう。
祖父祖母の思い出や父との思い出なども語られていく。

感想/ センチメンタリズム、ノスタルジー、古きよき時代をかんじさせる連作短編集。浅田節もたっぷり、幽霊が登場したり、映画やファッションについてうんちくがあったり。
しかし 東京の一部、と強調されているが、偏差値も高く、金もあって、女遊びもすごい、今の高校生も真っ青の生活。スタイルにこだわる生き方を感じた。この世代が団塊の世代になっている。ボクの高校時代とはえらい違いだ。
評価/★★
図書館(即日)
24 読書日/2000/8/3 著作者/浅田 次郎 作品名/活動寫眞の女

ストーリー/ ボクは京都大にこの春入学したばかり。学園闘争が激しく、東大をあきらめ、京都にきた。ある日映画館で1000年続いている家の男、京大二回生と友人になる。友人に太秦の映画会社スタジオでのバイトを紹介される。もともと映画が大好きだったのですぐ飛びついた。ボクのアパートの隣室には京大の二回生の女子学生が住んでいた。彼女も同じバイト先だった。ある日、ボクと友人と彼女はエキストラのバイトにありつくことができた。そこで3人とも、とても美しい女性に出会う。隣人の彼女はサインまでもらって喜んでいた。夕霞という女性をボクはひそかにあこがれていた。しかしある日、バイト先で古い映画をチェック(ボクのバイトは古いフィルムをチェックし内容を確認することだった)していると、その映画の中に夕霞がでていたのだ。バイト先の古老に尋ねると、その映画は30年前のものだった。古老は夕霞を知っていたのだ。彼女は日本映画界の巨匠マキノ省三に東京からつれられてきたが、あまりの美貌ゆえに役がつかず、いろいろあったのち、スタジオで首吊り自殺したのだった。
驚愕したボクだが、もっと驚くことがおきる。友人と夕霞が交際していたのだ。
映画業界が斜陽となり、太秦の映画会社もあちこち閉鎖されてきた。バイト先のスタジオの閉鎖の日、ボクは映画監督になったつもりで、夕霞に主役を演じさせる。満足した夕霞は消えていく。が、交際していたボクの友人は、夕霞を忘れられず、行方不明になる。ある日、昔のニュース映画を見ていたら、友人と夕霞が仲良く歩き、ボクのほうを見てにっこり笑った。

感想/ 日本映画の盛衰をテーマに京都太秦が舞台。絶世の美貌のために主役をくってしまうため、役がつかず、苦悩する女優。30年前に自殺したのにも関わらず成仏できず、今も(1960年後半)現れてしまう。
登場人物に実在の人もでてくるので、フィクションとノンフィクションの境目があいまいで、日輪の遺産など歴史もの同様、ストーリーに奥行きがでている。
評価/★★★★
図書館(即日)
25 読書日/2000/9/9 著作者/アレックスガーランド 作品名/TESSERACT4次元立方体

ストーリー/ マニラが舞台。イギリス人の船員がフィリピンの黒幕のボスを射殺し、逃走する。
マニラに住む主婦は夫の帰りを待ちながら家では母親としょうもない会話をしている。
ストリートキッズの若者は夢を語り、そのヒグラシをしている。その日車をパンクさせ逃走する。
船員は逃走し、主婦の家に逃げ込む。 若者はそのあとを追う。船員は射殺される。そこにパンクさせた男(=主婦の夫)が帰宅し何がおこったのか驚愕する。

感想/ The BEACHの作者の第2弾作品とのふれこみ。圧倒的なスピード感、驚愕のラストの帯広告だが、あまりの遅い進行、単なる精神分裂としか思えない、脈絡のないストーリ展開、予想されたどおりの結末など、これで1000円は高い。冗漫すぎる。イギリスではこんなのが若い人にうけるのか?レベルが低いのか、単にファッションとしてしか読んでないのかな? 評価/
もらった
26 読書日/2000/9/10 著作者/桐野 夏生 作品名/ファイヤボール・ブルース

ストーリー/ 女子プロレスラー火渡、付き人の私、近田。ある試合で外人レスラーとのタッグが組まれた。女性レスラーが突然、逃亡してしまう。ある日、新聞に外人女性の水死体発見のニュースがでる。不信を持った火渡と私は、真相をつきとめようと動く。外字レスラーは実は偽者で本物はアメリカにいた。火渡と対戦した相手はもうプロレスはやめ、空手を学んでいた女性だったのだ。真相は、外人レスラーの招聘費費用を渋ったプロモータの仕業で、逃亡した女性は、見せしめに殺されていたのだった。犯人は空手家で気孔師の男だった。魔の手は私に及び、私は監禁されてしまう。ぎりぎりのところで火渡が助けにくる。火渡はこの男を許せず、男と戦い、破る。
団体の解散が決定する。私は火渡が立ち上げる団体に合流することになる。団体最後の試合、それまでデビュー以来12連敗していた私は、やっと1勝をあげることができた。

感想/ 強い女性、男らしい女性が主人公。OUTの主人公や村野ミロもそうだが、作者の主人公となる女性は、男らしい、からっとした女性が多いように思う。作者の文体もあまり女性を感じさせないように思う。
新幹線の中、2時間ちょっとで読める分量、評価は高いようだけでちょっと物足りなさも感じるけどなあ。
評価/★★★
東京駅購入

27 読書日/2000/9/14 著作者/村上 龍 作品名/希望の国のエクソダス

ストーリー/西暦2001年。15歳の少年が中近東のゲリラにいることがTV放映される。日本は円圏構想の実施によりアジアの基軸通貨として、ドル、ユーロと並ぶ通貨となっていた。が経済の根幹は空洞化が進み、政府は明確な手立てをうてないまま、死に体の状態だった。中学生の登校拒否は一層深刻化していた。
そんな中、 中学生のネット組織「ASUNARO」が生まれる。主導者はプログラミング能力の高い中学生であるが、独裁組織ではなく、緩やかにネットワーク化された組織だった。ASUNAROは、全世界の中学生らとネットワーク組織となり、日本の金融・マスメディアを掌握し、情報操作による莫大な利益と国際的地位を手にいれる。そして北海道に独立都市を作り、独自通貨を流通させる。

感想/ 日本経済の現在のもやもやした状況や、大人が持つ不安感、そしてこどもの希望のない(大人が希望を示さないゆえ)ための不信などが明快に語られている。
経済情報、金融情報など綿密な取材のあとも伺え、近未来経済予測小説として読める。
中学生に理解を示す記者が結局北海道への移住を決意したり、エンディングに向けての盛り上がりはエンターテイメント小説としてみた場合は不満が残る。
なにかかつての村上龍の作品のように、徹底した破壊から生まれる新しい価値観、みたいなものが弱いように思う。
評価/★★★
図書館約1ヶ月

28 読書日/2000/9/15 著作者/浅田 次郎 作品名/天国までの100マイル

ストーリー/主人公安男はかつては不動産会社の社長だったがバブルの崩壊で倒産し、今では高校の友人の会社に世話になっている。妻子との別れ、いまでは太った年増のホステス、マリの世話で糊口をしのぐありさま。
そんな時母親が入院し、重い心臓病であることがわかる。安男の兄姉はきちんとした生活をしているが、誰も母親の面倒をみようとしない。母親の世話は安男の別れた妻英子がたまに病院を見舞っている。
ある日、母親の病気は困難な手術しか延命の方法はないとわかる。手術は高名な医者でもムリなものであるとわかった兄姉はあきらめ、葬式の相談をはじめる始末。担当医から千葉の房総に心臓病手術に実績のある無名の医者がいることを知らせれた安男は、房総までの100マイル16kmを自ら運転し、母親を連れて行く。
病院はキリスト系の運営で医者も型破りな男だが信頼できる人物だった。手術は無事終わり、母親は助かる。
東京に戻った安男はマリを訪ねるが、もうその部屋にはいなかった。マリは安男の妻英子と会い、自分は安男の面倒を見てきたが、もう嫌。なんとかしてくれ、と安男と英子のよりを戻すために本心ではないことを告げていた。妻英子からそのことを打ち明けられ、安男はマリに深く感謝するとともに、英子と再び暮らし始めることにする。

感想/ほろっ、とさせるネタがふんだんにでてくるので、涙腺ゆるみぱなし。
ホステスマリの人物造形は特に秀逸。妻英子もいい。安男と別れた妻が別の男と関係していることを知ったときの安男の反応もいい。房総の病院の担当医もチョーかっこいい。安男に黙って財布ごと渡すサラ金屋も、搬送途中で立ち寄った千葉のドライブインの客の男たちも、東京の医者も、世話になっている人のいい高校の同級生もいい。でも高校の同級生で弁護士の男は嫌なやつ、長男も嫌な奴だし、姉の夫も嫌な奴だ。
病院近くの浜辺で、母親といるときの医者の登場シーンも良かった。
さすが浅田次郎、いままでの小説の中でも似た人物造形は多いが、この作品は、その人物造形が見事に調和されたいるので、「人っていいな」と幸せな気分にさせる。

評価/★★★★★
図書館すぐ

29 読書日/2000/9/21 著作者/船戸 与一 作品名/虹の谷の五月

ストーリー/主人公安男はかつては不動産会社の社長だったがバブルの崩壊で倒産し、今では高校の友人の会社に世話になっている。妻子との別れ、いまでは太った年増のホステス、マリの世話で糊口をしのぐありさま。
そんな時母親が入院し、重い心臓病であることがわかる。安男の兄姉はきちんとした生活をしているが、誰も母親の面倒をみようとしない。母親の世話は安男の別れた妻英子がたまに病院を見舞っている。
ある日、母親の病気は困難な手術しか延命の方法はないとわかる。手術は高名な医者でもムリなものであるとわかった兄姉はあきらめ、葬式の相談をはじめる始末。担当医から千葉の房総に心臓病手術に実績のある無名の医者がいることを知らせれた安男は、房総までの100マイル16kmを自ら運転し、母親を連れて行く。
病院はキリスト系の運営で医者も型破りな男だが信頼できる人物だった。手術は無事終わり、母親は助かる。
東京に戻った安男はマリを訪ねるが、もうその部屋にはいなかった。マリは安男の妻英子と会い、自分は安男の面倒を見てきたが、もう嫌。なんとかしてくれ、と安男と英子のよりを戻すために本心ではないことを告げていた。妻英子からそのことを打ち明けられ、安男はマリに深く感謝するとともに、英子と再び暮らし始めることにする。

感想/直木賞受賞作品だよね、これ?船戸の骨太の文体には少年の語り言葉、一人称はあわないんじゃない?

評価/★★
図書館約1ヶ月

30 読書日/2000/9/30 著作者/宮部 みゆき 作品名/あやし

ストーリー/

感想/江戸が舞台の短編怪奇小説。残酷なシーンではなく、ジワジワとした恐怖感の描き方はさすが。でも江戸物はこれまでの幻色江戸ごよみのようなオカルト人情物?のほうが良かったかな。

評価/★★★
図書館約1ヶ月

31 読書日/2000/11/18 著作者/岡田 斗司夫 作品名/失われた未来LOST FUTURE

ストーリー/ かつて「科学の力で理想の未来を作ろう」というテーマを持っていた楽園「フロリダディズニーワールド」は大きく様変わりしていた。「未来の国」のそこかしこになにやら古めかしい懐かしいメカデジンがみうけらられる。未来なのに懐かしいノスタルジックな光景が展開している。ディズニーはいま人々が求めている未来像を「科学万能というノスタルジックな夢の世界」と捉えなおしたようだ。だから未来の国のシンボルに選ばれてたのはディズニーランドに56年に建造され、74年に撤去されたムーンライナーロケットになった。ムーンライナーは宇宙旅行が夢の時代、と考えられていた時代に建造され冷戦時代はアメリカの強いシンボルとして屹立していた。70年代にはいるアポロ計画は予算ばかり喰う、ことで中断され、ムーンライナーも取り壊された。
しかし、時代とともに忘れ去られたこのロケットは世紀末に「ロストフューチャー」という新しい様式として蘇ったのだ。「ロストフューチャー」とはかつて訪れるだろうと待ち望まれた未来像、いまやどんなに待っても決してこないバラ色の未来像をモチーフとする様式である。
取り上げられたLOSTFURE
●ドリームカー●万国博覧会●知能ロボット●モノレール●人類滅亡●ユニスフィア●女性の未来●宇宙開発●ロボット駅馬車●原爆指輪●正義の原子力●形態通信機●リニアモ^ターカー●原爆計算尺●戦争ごっこ●スペースニードル●フーツラマなど

感想/毎日新聞に1999年4月〜2000年3月まで連載されたコラム。
筆者は「オタク」という言葉の産みの親であり、オタクそのものの人。アニメ制作会社ガイナックスを設立し、王立宇宙軍オネアミスの翼、や不思議の海のナディアなど優れた作品を残す。「オタク」ならではの深い造詣と、筆者ならではの歴史観や社会とのかかわりから問い掛けてくるテーマにはうなずくものが多い。
戦争ごっこ、ティーチングマシンにおいては教育論、原爆指輪、ユニスフィアなど原子力に関しては、アメリカの「正しい正義(アトミックピース)」に対する皮肉など、ロストフューチャーという様式をテーマに教育、文明、歴史、経済、女性もないなど幅広く提起している。底にんがれるのは、しかし、どこか不安で、行方の見えない、日本、世界の現状に対する諦念とした思いなのであろうか?、

評価/
図書館在庫

32 読書日/2000/11/25 著作者/小林 よしのり 作品名/台湾論

ストーリー/ 戦争論に続くゴーマニズム宣言特別編。李登輝前総統、陳水篇現総統との対談など。教育問題、政治問題、経済問題から日本と台湾のナショナリズムまでゴーマンのオンパレード。台湾独立派の金美齢教授や日本在住の著作家謝雅梅さんの意見なども紹介されている。筆者は日本(政府)の台湾に対する非常識、非礼な行い(小渕首相葬儀出席希望の李登輝、陳総統の来日拒否など)に憤りをあらわし、朝鮮緩和(金正日、金大中対談)に疑問を投げかける。中国、朝鮮やしょせん、独裁国家であることを示している。

感想/ 台湾の高齢者の日本に対するなんともいえない懐古、郷愁、憧憬感と国民党教育によって育った40歳以下の台湾人との意識の乖離に教育の大きな影響を感じた。
また朝鮮融和に私自身、どうもいかがわしさを感じていたが、筆者も同様の見解を持つ。
犬去りて豚きたる、日本が負けて日本統治が終わり、かわりに共産党に負けて台湾に逃亡してきた国民党は豚だった、という征服の歴史に台湾の悲しい過去を感じた。228事件など日本の教科書で教わったことがあったろうか?国民党の教科書では、モンゴルは中国の一部であり、中国本土自体、台湾中華民国の領土であると教えられてきた。教科書問題=国民教育というのは一種の政府による、国民の洗脳であることが明らかにされ、恐怖を覚えた。

■台湾について

評価/
購入

33 読書日/2000/11/28 著作者/謝雅梅(シェヤーメイ) 作品名/台湾人と日本人〜日本人に知って欲しいこと〜

ストーリー/ 台湾論の中でも登場した謝嬢執筆の日本人と台湾人について記した書。筆者の生い立ち、日本好きな父親、父親の反国民党意識、台湾の歴史、教科書問題、台湾人の就業意識や気質(面子)についてわかりやすく紹介している。日本に対する憧れや無念さを日本在住ならではの感覚で、単に日本人批判ではない、ある意味で日本賛歌、日本応援歌としてかかれている。この本でも、台湾人のナショナリズムについて多くのページが割かれている。

感想/

■台湾について

評価/
購入 図書館在庫

34 読書日/2000/12/4 著作者/浅田次郎 作品名/薔薇盗人

ストーリー/ 浅田次郎得意の短編集。ホステス、ストリップ、失業中の中年男などお約束のテーマのほか
表題作は横浜のある高級住宅地に出没した薔薇泥棒を巡る物語。子供が見たことをありのままに描くとともに
その息子から航海中の父にあてた手紙という形式。息子が書いた手紙は息子の認知範囲で描かれているため、読者が気づいている事実とのずれがなんともいえない。薔薇盗人の犯人は先生であり、その先生は自分の母親と不倫関係になっているというのに、先生を信頼し、不貞をとがめられてなく母親をかばおうとする。航海中の船で読む父親は息子の手紙を見てどう思うのだろうか?何も明らかになることなく物語りは終わる。

感想/ 過去の短編集と比べると正直物足りない。登場人物もマンネリ化しているし、マンネリ化してもいいからもっとなかせる、笑わせる話を期待したい。このレベルの泣かせる話などいつのまにか、「一杯のかけそば」と同じようなものばかり、となってしまいそう。

評価/★★
図書館約1ヶ月

35 読書日/2000/12/5 著作者/堀ちえみ 作品名/堀ちえみと3人の小さな山男たち

ストーリー/ かつてスチュワーデス物語でアイドルとして一斉を風靡し、医者との結婚、泥沼の離婚問題、号泣の会見、今では大阪ローカル番組のコメンテーターとしても登場する堀ちえみとその息子3人の登山の記録。
近場で距離の短いハイキングが中心であるが、この本が沸き母親のハイキングマニュアル、入門書として読まれることは理解できる。プライベートな問題も素直に書かれていて好感が持てる。4人目をまもなく出産するようだが、全編に渡り、母は強し、を痛感。
しかし、前半部分(最近の文章)と後半部分(97年ぐらいの雑誌連載)とでは前半の文章が稚拙なのはなぜだろうか?
同考えても後半(つまり執筆初期)は、本人の手によるものではないと考えざるをえない。

感想/ 母は強し。子供ができたらこういう生活も悪くないね、と感じます。
でも小さいの連れてのハイキングはたとえ距離が短くても大変だと思う。

評価/★★
図書館在庫

36 読書日/2000/12/10 著作者/アランピーズ&バーバラピーズ 作品名/話を聞かない男、地図が読めない女

ストーリー/男と女は脳のつくりが違う、だから差別があってあたりまえ。人類100万年間、男は狩猟、女は子育て、家事をやってきた。だから脳も体もその状況に適したように作られている。男女同権の機運や混乱するのは近代になって、男女の役割が交錯するようになったから。
だからこそ、異性の脳構造を理解しあうことがうまくいくことにつながる。

感想/ 遥洋子や上野千鶴子はこの本を読んでどんな感想をもつのであろうか?
遥洋子は「男社会」が「女性差別」を生む最大の要因、と述べているが、それ自体も脳の違いによるものだからしょうがない、理解しあおう、というこの本の意見にはやはり反対するのであろう。

■男女脳テスト

評価/
図書館約2ヶ月