サッカーで考えた。2
ヨーロッパチャンピオンズリーグ決勝
     【マンチェスターユナイテッドvsバイエルンミュンヘン】
 99/8/3
 先日、友人から借りたビデオで、遅れ馳せながらヨーロッパチャンピオンズリーグの決勝戦【マンチェスターユナイテッドvsバイエルンミュンヘン】の試合を観た。……凄いね、ありゃ。全体的には両チームの潰し合いで、一見つまらない感じがしたが、そこから繰り出されるマテウスの怒涛のオーバーラップと、それに対抗するベッカムの正確なパス。特に前半7分の、中盤の底にいたベッカムから、右サイドに走り込むギッグスの足元に寸分の狂いもなく出されたロングパスにも驚いたけど、やっぱりロスタイムでしょう。

 スコアは、マンチェスター0点、バイエルン1点。時計の針は90分を回っている。ロスタイム表示の3分のうち、既に1分が過ぎた。38歳で次のチャンスがないバイエルンのマテウスは既にベンチに下がってる。
 マンチェスターにコーナーキックが与えられる。時間的に見て、これが最後のチャンスになるだろうと誰もが思っていた。この試合、マンチェスターには本当に多くのコーナーキックがあったが、いままで1度たりとも上手くいかなかった。しかし、ベッカムの蹴った左コーナーキックはこの試合初めて味方の頭に合う。シェリンガムがニアサイドで合わせて同点!テレビには、ベンチの前に立つマテウスの呆然とした表情が映し出される。
 しかし、まだ同点。このまま延長に入るかと思われた。奇跡はここから起こった。再びマンチェスターに左コーナーが与えられる。蹴るのはまたもベッカム。
 ヨーロッパチャンピオンズリーグの決勝戦で気を抜く選手はいない。この試合に勝てば、12月に日本で行なわれるトヨタカップに出場できる。ここで南米のクラブチャンピオンと戦い、勝ったチームには“世界ナンバーワンのクラブ”の称号が与えられる。そんな試合に臨むためのこの試合で気を抜く選手はいない。
 ベッカムのキックは、ニアサイドに飛ぶ。マンチェスターのFWも、バイエルンのDFも跳ぶ。しかし、この勝負に勝ったのは、マンチェスターだった。シェリンガムが僅かに触って、ゴール正面に落とす。ここに赤い悪魔が足を出す。足を伸ばしたのはソルスキアーだった。反射的に出した足は、その試合バイエルンのGKカーンが見せた数々のファインセーブを一気に無に帰した。ゴールに勢い良く叩き込まれるボール。歓喜の渦に巻き込まれるマンチェスターとは対照的に、さっき以上に呆然とした中に絶望感を漂わせるマテウスが再びテレビに映し出される。フィールド上には、ファーポストを守っていたバイエルンのDFクフォーが、地面に突っ伏してピッチを叩きながら号泣していた。最近、簡単に「号泣」という言葉が使われているが、せめてクフォーくらいの悲しみとリアクションを見せてもらわないと、この言葉は使っちゃいけない。

 結果が分かっていながら観たのにも関わらず、この衝撃。サッカーには、気まぐれな神様がいるとさえ感じる。それまでのバイエルンがどんなにいいサッカーを見せていても、勝ったのはマンチェスター。しかし、こういう所がサッカーの醍醐味でもあるんだと思う。


コパ・アメリカでのブラジル。 99/8/3
 コパ・アメリカが行なわれた。欧州選手権と同格の大会にも関わらず、どこか権威が違うように思われがちだが、そんなことはない。……で、優勝したブラジルだが、やっぱり面白い、と言うか何というか。
決勝トーナメント1回戦:vsアルゼンチン
  • リバウドのバックスピンパス:中盤でやや下がったときに両サイドのオープンスペースに散らすリバウドのパスは、長ければ長いほど、意識してバックスピンをかけているのが良く分かる。そのため、走り込む味方に対してボールが流れないから、確実に味方に通る。
  • エメルソンのダッシュ:ボランチに入っていたエメルソンは、自分がボールを持っているときに相手に体を寄せられそうになると、一瞬のダッシュ力を生かしてドリブルに入るのだが、そのスピードが速い。相手がまだ寄せている最中なのに、エメルソンはその横を既にすり抜けて前に出ている。
  • ロナウドの判断:2点目のゴールを決めたロナウド。エメルソンがボランチの位置からドリブルに入り、相手に囲まれて潰された。しかし、そのこぼれダマを、ロナウドはエリア外であるのにも関わらず、迷うことなくシュートした。おそらく、自分にしか見えないゴールへのコースが見えたのだろう。それを一瞬で見極め、他の選択肢を選ばず、シュートに持っていったロナウドはやっぱりすげえやと思う。
準々決勝:vsメキシコ
  • リバウドとアモローゾの反応の速さ:ブラジルの左CKからのボールは、DFに当たって僅かにコースが変わり、リバウドの方へ来た。リバウドはそのボールを、戸惑ったりせずにヘディングシュートで狙い、それがポストに当たって自分の所に来たらアモローゾはすかさず右足ボレーを合わせて得点した。自分でプレーしてみたら分かると思うけど、いきなり自分の方にボールがきても、反応程度は出来るだろうが、正確なプレーは難しい。それを確実に得点に繋げた2人の技術は凄いし、その余裕を生み出した判断の速さも素晴らしい。
  • リバウドのポリシー:中盤でリバウドがボールを持った。リバウドはそのボールを、トップのロナウドに当ててポストプレーからの展開を狙っていた。しかし、ボールを受けたロナウドは、相手DFに体を寄せられ潰れてしまった。メキシコDFは「ファウルだ」と思い、笛が鳴ってプレーが止められるだろうと判断して自分たちの足を止めてしまった。しかし、この潰れてこぼれたボールに走り込んだのがリバウド。そのまま左足でエリア外から叩き込んだ。たとえファウルのように見えても、審判が笛を鳴らすまではプレーを止めてはならず、ブラジルのような相手では得点につながってしまうという好例。逆に言えば、ファウルのように見えても審判の笛が鳴るまでは決してプレーを止めず、こぼれダマを狙っていったリバウドの判断というか、ポリシーを褒めるべき。
  • マークをつかせないコンビネーション:相手エリア外左でロベルト=カルロスがボールを持った。ロベルト=カルロスは、そのボールを、自分の真っ正面にいたリバウドに預け、そのまま左からペナルティエリアに入っていく。また、最初左にいたゼ=エリアス(もしかしたらアモローゾ?)は、リバウドの後ろをすり抜けるようにして、エリアの中に入っていく。その間リバウドは動かない(一瞬の出来事だけど)。メキシコDFは誰についていいか分からず、2人いたのにも関わらず、2人ともロベルト=カルロスのケアに動いてしまった。当然リバウドはフリー。反転して正面を向くや否や、左足でシュートした。得点にはならなかったものの、こういうコンビネーションもあるのかと感心した一例。


カリオカ引退試合。99/8/29
 えぇ、カリオカことラモス瑠偉の引退試合です。何か、持久力さえあれば、まだまだ十分通用するパスを出し続けてましたね。自分に体力がないことを知っているからかハーフウェイラインあたりをウロウロしながら、自分のところにボールが来るや否や、前線のカズやカレッカ(「カレカ」とは呼べん!「カレッカ」じゃい!)にピタリと合わせるスルーパス、というか、「よくそこを見ているなぁ!」というパスを出していました。
 今の僕達の年代の選手たち(僕は「選手」ではないけれど、草サッカー選手として!)の一人ひとりにも「憧れの選手」はいるだろうし、「こんな選手になりたい」というのはあるだろうけど、実際にそのプレーを観て「こういうプレーをしたい」という選手は、スルーパスだけに関して言えば、日本の選手にとってはラモス瑠偉が唯一無二の存在だったと思います。ちょうどJリーグが開幕した頃で、中継の関係もあり、テレビをつけるといつもパスを出していたのはカリオカ。僕だって憧れたもん、あのスルーパスには。
 今の日本のサッカーに足りないのは、こういう個人技術で局面を打開できる人材じゃないかな。よく「一発でゲームの流れを変える」とかって言うけど、それは「1つのゴール」ではなく「1本のパス」で変えられるべきだし、少なくともこの試合のラモスはそういうパスを出してました。もちろん、こういうお祭り的な試合だからマークがほとんどなくって、ボディコンタクトを強いられることがないから出せるのかもしれないけど、それでも、フリーでもこういうパスを出せる人ってそうそういない。いやぁ、そんなパスを出せる選手(!?)になりたいものです。


浦和レッズの行く末。99/9/12
 現在レッズは非常にヤバイ状態にある。小野伸二の怪我が全てを悪夢へと叩き込んだような感じがある。小野がいないということは、中盤でゲームを組み立て、福田・大柴らのスピードを活かすラストパスを出せる選手がいないということと同義であって、それはそのままレッズの攻撃力を低下させる。それとは反比例するように、桜井や杉山・堀など、レッズから出ていった選手が好調を保っている皮肉。全てが悪循環。こんな状態のレッズを任されたア=デモス監督にも同情する。
 しかし、レッズのフロントよ。この結果だけを見てア=デモス監督を解任するような真似だけはしないでほしい。例えJ2に落ちても!今回はたまたま状態が悪かっただけであり、小野が使え、怪我人もいないレッズはそれなりのサッカーをするチームなのだ。どんな監督だって、超一流でない限り今のレッズをすぐさま連勝に導くような働きは出来ないだろう。時間を与えて欲しい。確かに、今の、怪我人が多いレッズでそれなりのサッカーが出来ないということに対しては批判を加えるべきであるが、それは選手の個人能力にも関わることなのだ。確かに、時には不可解な采配を振るうこともあるだろう(昨日の鹿島戦とか)。でも、まだ早い。ちゃんとした準備期間があればどれだけの仕事が出来るか、それを見て判断してほしいと思う。


J2。99/11/27
 そこには勝者はいなかった。そこには笑顔はなかった。ただ、敗者と涙があったのみである。

 延長戦に入り、レッズサポーターの願いは打ち砕かれた。そこからは「せめて最後は勝って終わってくれ。チキのラストゲーム、駒場でのシーズン最終戦を負けで終わらせないでくれ」という思いのみがあった。だが、福田のVゴールが決まった瞬間、スタジアムは静寂に包まれた。それまで必死に応援してきたサポーターも、ゴールを決めた福田も、勝ったという思いより、悲しさ・悔しさ・空しさが胸に詰まった。

 我々浦和レッドダイヤモンズサポーターにとっての悪夢が起こってしまった。
 J2降格。
 どうしても自宅で1人で観戦するなんてことが出来ず、いてもたってもいられなくなってレッドボルテージに行った。そこで(チケットが取れなかったものの)レッズを愛さずには入られない同じ想いのサポーター達と共に試合を観たくて仕方なかった。だが、逐一入って来る他会場の結果。サポート空しく延長に入り、J2降格が決まってしまった瞬間、僕を含む誰もが頭を抱えて落胆を隠せなかった。僕は自転車で帰宅するまでの道のりでは、呆然とした顔をしていたはずである。涙は出なかった。だが、開いた口がふさがらなかった。ただひたすら信じられない想いでいっぱいだった。1993年10月28日、僕の誕生日に起こった“ドーハの悲劇”のときに受けたショックとどちらがショックが大きいかと聞かれても、僕には答えが出せない。
 J2に落ちれば、メディアの注目度も低く、スポーツニュースなどで結果が放送されることも少なくなるだろうし、何より試合のテレビ・ラジオでの生中継が少なくなる。クラブの経営を考えても、テレビの放映権やスタジアムのキャパシティつまり入場券の数など、収入の減少が見込まれ、いくら大会社三菱がバックにいるとはいえ、選手保有数を減らすことも考えられる。また、J2という、J1より低いレベルでプレーすることを嫌ったり、代表入りすることを本気で目指している選手達がチームを離れるかもしれない。小野をはじめ、山田・永井・城定・岡野・ペトロヴィッチらの代表クラスの選手がJ2に甘んじているという状況は、本来なら我々も考えたくない事実である。個人的には、小野を放出するとしても、レッズがJ1復帰を果たすまでの外国へのレンタル移籍ならば認めてもいい。
 だが、我々は「J1で戦う浦和レッドダイヤモンズ」が好きだというわけではない。我々が好きで、心の底からサポートしようとしているのは、【浦和レッドダイヤモンズ】というチームそのものなのである。自分達が愛するチームがどのレベルのリーグにいても関係はない(もちろん、より上のリーグに進んでほしいという想いはあるが)。それこそが真のサッカー文化であろう。だから、今日レッドボルテージで見かけたような、試合が延長戦に入ってJ2降格が決まってしまった瞬間にテレビ中継の前から離れて帰ってしまったような、そんな奴等とは違う。皮肉ではあるが、今回、最もサポーターに愛されているチームがJ2に落ちたということは、日本サッカー界における試練でもあるし、これが良い方向に作用すれば、日本に“真の”サッカー文化が1つ多く根付くことになる。J2に降格したことにより、逆に、より“真の”レッズサポーターの結束は固まったように思う。金があればスタジアムに向かい、チケットがなくてもテレビ中継があればレッドボルテージに行く。それさえも無理ならば家で観戦。試合の時間にどうしても抜けられない用事が入ってしまったならば、服の下にレッズのユニフォームを着てレッズの勝利を信じる。今回、こういう結果になってしまったことが、逆に僕の心に今まで以上の炎を燃え上がらせた。来年は今年以上に出来るだけ多くスタジアムに行く。J2のチームに、浦和レッドダイヤモンズのサポーターが作り出す“本当のホームスタジアム”の雰囲気を痛感させて飲み込んでやる。そして、全体的には下位に位置していたとはいえ、7年間も日本のトッププロリーグでやってきた底力を見せつけ、必ず1年でJ1復帰を果たさせてやる。埼玉ダービー?ナンボのもんじゃい!!はっきり言って、「レッズのいないJ1は何かつまらない」とさえ言わせてみたい気分である。我々がサポートするのは選手でもリーグの上位下位でもなく、チームだということをどんなときも忘れない。例え主力選手が抜けても。例えば小野が対戦相手となるチームに移籍したとしても、その時は、試合前に拍手くらいするだろうが、試合中は全力をもってブーイングしてやるだろう。選手も、怪我させない程度に、そしてファールをとられないギリギリのところで激しくチャージするだろう。
 とにかく、「好きにならずにいられない」チームなんだよ、浦和レッドダイヤモンズ
      Wise men say Only fools rush in
        But I can't help fallin' in love with you REDS



レッズにいた外国人選手。00//
オスバルド=エスクデロ(FW)
 92年の天皇杯準決勝・対読売ヴェルディ戦で、右サイドをスピードに乗ったドリブルで突破し、ラインギリギリから体勢を崩しながらも中央に折り返したボールが印象的(柱谷幸一スルー⇒福田ボレーでゴール)。
セルヒオ=エスクデロ(MF)
 オスバルドの兄弟。プレーを見たことがない。
エドウィン=ウエハラ(上原エドウィン)(MF)
 日系ペルー人。彼が出場していた当時はそんなにレッズに強い思い入れはなかったからプレーの印象はない。何より、チーム自体が弱かったから、攻撃はの選手のイメージなんかないよ。さらにこのヒトは、日本国籍を取得して外国籍選手でなくなったころから出場機会が減っていったという不運なヒト。代表入りもなく、ペルーに帰国。
マルセーロ=トリビソンノ(DF)
 キック力だけが有名な“魂の”ディフェンダー。プレーは荒っぽく、結構ファウルをもらってたが、そこは魂でカバー。サポーターに愛されていたのだ。僕が一番「いいプレーしてる」と思ったのは、下に挙げたウーベ=ラーンがリベロにコンバートされて3バックを形成したときの右DF。1対1や攻め上がりが非常に効果的だった。
ビクトル=フェレイラ(FW)
 ダメダメ外国人だったらしい。え?「何で“らしい”なのか」って?だって、本当にそうなのか確認するよりも早く解雇されちゃったんだもん。
マルセーロ=モラレス(MF)
 同上。
ウーベ=ラーン(FW/DF)
 レッズ1人目の“ウーベ”。日本デビュー戦でヴェルディ相手に6失点してしまい、ビスマルクとラモスに遊ばれるという最悪のスタート。ブンデスリーガ得点王でさえレッズはリベロにコンバートしてしまった。だが、ラーンをリベロにし、トリビを右ストッパーにした3バックは予想に反してかなり機能していた。
ミロ(ミロスラフ=メンテル)(GK)
 当時レッズに所属していたGKの中では最高の選手。スロバキアから来て果敢なプレーでゴールマウスを守ったが、さすがに当時の軟弱守備陣の後ろでは可哀想だった。そのプレーは正当に評価されることも少なく、目の前で優勝を決められた対V川崎戦では武田が放った豪快なボレーシュートを鋭い反応でダイビングキャッチしたのにも関わらず、テレビ中継のアナウンサーに「武田惜しいぃ〜!」と言われたのみで「ミロ、ナイスセーブ!」というようなことは一言も言われなかった。
ミヒャエル=ルンメニゲ(MF)
 落合弘と喧嘩して「お前なんか助っ人じゃない!」と言われた、カールハインツの弟。
ルル(ルボミール=ルホビー)(FW)
 対エスパルス戦(アウェイ)でハットトリックしたのに試合には負けてしまうという不運の持ち主。そういえば、来日早々骨折していきなり試合に出られなかったのも不運。だが、復帰後はかなりいいペースで得点を量産していた。
ギド=ブッフバルト(DF)
 レッズの“神”。1994年のアメリカワールドカップ終了後にレッズに合流したドイツ代表。そのデビュー戦となったナビスコカップの対アントラーズ戦(カシマ)では、当時のアントラーズのエースストライカーであったアルシンドをぴったりマークし、全く仕事をさせなかった。その巨体を生かしたヘディング、真っ正面から両足を広げて飛び込む深いスライディングタックルなど、レッズの守備陣を改革。彼が入ってレッズの守備陣はタックルが非常に上手くなった。最後まで勝負をあきらめない“ゲルマン魂”でチームを引っ張るなど、彼には頭が上がらない。対レイソル戦で90%負けていた試合を追いつく、こぼれダマからの豪快かつ強烈なミドルシュートに心を打たれないレッズサポーターはいない。負傷明けで体調を気遣ったオジェックが12番をつけさせてベンチスタートした試合では、後半投入されるとバインとのワンツーから相手DFラインの裏へ抜け出し“怒り”のゴールを決めた。また、その優しく紳士的な性格など、プレー以外の面でも真のプロフェッショナル。レッズ引退セレモニーでは白馬に乗って駒場スタジアムを1周したが、実は馬になんか乗りたくないと駄々をこねていたらしい。でも、股抜きには弱い。
ウーベ=バイン(MF)
 ドイツの精密機械。福田・岡野と言った快速FWの走り込んだスペース・足元を問わず完璧なパスを通しつづけた口髭レフティー。そのパス・FKの描く緩やかな曲線の軌跡は官能的でさえあった。
郭慶根(FW)
 レッズではサテライト暮らしで終わってしまった韓国人選手。その後福島FCなどに所属し、現在はKリーグ。てゆっか韓国国家代表常備軍。Kリーグのオールスター戦でMVPを獲ってしまったほどで、実力があったことが分かる。
トニーニョ(FW/DF)
 エスパルスからレッズの建て直しのためにやってきた元ブラジル代表。デビュー戦の対フリューゲルス戦では華麗なFKを決めた。だが、DF陣の相次ぐ戦線離脱のためにオジェックがDFにコンバート。不慣れなポジションながらも懸命なプレーでその穴を見事に埋めた。
バジール=ボリ(DF)
 コートジボアール生まれの元フランス代表。大きく“ゴムまりのような”体でレッズの堅陣を担った(ただし裏を取られるのには弱かった)。ギドとも微妙に違うスタイルのタックルやヘッドで貢献したが、優勝争いの最中に骨折で戦線離脱。これが響いてレッズは優勝を逃したほどの存在の大きさ。
ブライアン=スティーン=ニールセン(MF)
 レッズにいた時期の前後には代表に選ばれているデンマーク人。半年のレンタル移籍だった上に、圧倒的な存在感があったわけでもない。華麗なスルーパスを通したわけでもない。だが、正確なセットプレーや献身的な動きでレッズの中盤を構築。それまでのレッズにはあまりいなかったようなタイプのMFで、半年で帰して(返して)しまうのはかなり勿体無くてしかたなかった。
ミヒャエル=バウアー(MF)
 開幕前のナビスコカップと、J開幕戦に出ただけでホームシックにかかってしまい帰国したオーストリア人。実力を見るとか何とかあったものじゃない。でも、開幕戦の対横浜マリノス戦で堀のゴールを演出した、その場ですくい上げるFKは見事。
アルフレッド=ネイハイス(DF)
 チキと共に1997年7月に加入した、ドイツ育ちのオランダ人DF。空中戦に強く、ギドの穴を埋めるだけの活躍をするこの選手を僕はかなり買っていたのだが、それだけの実力を持つ選手を、世界は見逃していなかった。98年に入りしばらくすると、ドイツのボルシア・ドルトムントからのオファーを受け、レッズも快く送り出した。今じゃドルトムントの守備に欠かせない選手っぽい。
ジュゼッペ=ザッペッラ(DF)
 で、そのネイハイスの穴埋めとしてイタリアのモンツァから加入した、ACミランユース育ちのイタリア人DF。最初の頃はGKへのバックパスはゴールの枠を外して送るという鉄則を忘れて田北のオウンゴールを誘発したりしていたが、徐々にレッズの守備組織に慣れ、レッズ守備陣に欠かせない選手となった。が、1999年に入ってスランプに突入。貰うカードの数が増え、退場を食らってしまったりしてサポーター(特に藤波さん)の信頼を失い、ピクンの加入に伴って、ひっそりとレッズから去っていった。
ゼリコ=ペトロビッチ(MF)
 フランスワールドカップに左サイドバックとして出場した、母国伝統の気性の激しさを持つ、血の気の多い元ユーゴスラビア代表。レッズではボランチとして石井と共に相手の攻撃の芽を摘むと同時に、前線に攻めあがってゲームを組み立てる。ファウルで1枚カードを貰うのはまだしも、それで頭に血が上ってしまった彼の退場がレッズを窮地に追い込むこともしばしば。それだけ重要な選手なのだ。ファウルさえなければ(と言うかすぐにカッとならなければ)非の打ち所の少ない選手なんだけどねー。
アイトール=ベギリスタイン(MF)
 ここ2年のレッズの補強の中ではかなりいい方の外国人選手。年齢から来る腰痛やスピード・スタミナのなさなど、欠点をあげればあがるのだが、それを十分カバーする存在感。一言で言えば「レッズのサッカーのリズムを作る」。こぼれダマをきっちりつなぎ、プレーエリアである左サイドからのドリブル・正確なセンタリング・判断のいいパスなどでチャンスを作りまくった、腰痛持ちの元スペイン代表。出場するとバックラインと前線のつなぎ役として、しっかりとしたキープ・パスを見せ、レッズのリズムを作っていく。さりげなくゴール前まで進出してくることもあり、点を決める時はいつも似たようなパターン。
フェルナンド=ピクン(DF)
 J2降格争いに巻き込まれたレッズが緊急補強した現役ウルグアイ代表。Jデビューとなった対ヴィッセル戦ではさすがにコンビネーションや攻め上がりなどのタイミングが合わなかったようだが、その後の3試合は高さ・読み・強さに圧倒的な存在感を誇り、レッズDF陣の柱となった。だが、残り1試合となった対ヴェルディ戦でまさかの肉離れ。「何しに来たんだよ」と一瞬思った。でも中谷勇介よりはましか。ちなみに、岡野の代表初ゴールとなった神戸での、日本−ウルグアイ戦に出場していた。
アンジェイ=クビツァ(FW)
 J2で戦っていく上で盛田が使えないということでイスラエルから補強したポーランド人CF。鳥栖戦がデビューとなるがいきなりゴールを決める。


J2初の敗戦。00/5/9
 J2全40試合もようやく1巡目が終わろうとしている第11節、我らが浦和レッズはアウェイでモンテディオ山形と対戦した。レッズはこれまで、延期となった対札幌戦(アウェイ)を除く8試合で8勝を挙げ首位街道を順調に進んでいた。しかしこの山形戦、レッズは後半ロスタイムにフリーキックからのクリアボールを再びゴール前に出され、それをオフサイドぎりぎりで抜け出した真下に蹴り込まれ、初の敗戦を喫した。この試合のキーポイントとなったのは、岡野の負傷交代である。
 前半、サイドアタックで右サイドを再三切り崩していた岡野のプレーは、山形の左サイドバック(おそらく佐藤淳志か)を山形陣内に押し込み、浦和の右サイドの守備を容易にしていた。また、岡野を使おうという意図から浦和のチーム全体にサイドアタックの意識が浸透しており、無駄な中央突破ばかりを狙おうという展開ではなかった。
 しかし、まず大柴の負傷でゲームの流れが変わり始める。大柴に代えてクビツァを投入することにより、サイドアタックからポストプレーへというチーム戦術の変更を余儀なくされる。このことにより、攻撃の比率がサイドから中央に傾き出す。これは浦和の攻撃のバリエーションを多彩にするという点でプラスだと思われた。だが、攻めども攻めども点が奪えない展開がズルズル続くうちに、岡野が負傷してしまう。それでも前半終了までは出場していたが、後半開始とともに岡野に代えて小野が投入される。
 この試合の展開からして小野の投入は勝利への必要条件であったが、代えた選手が失敗だった。負傷していたとは言え、岡野を下げてしまったのである。つまり、先発FWが45分で2人とも使えなくなってしまったのだ。このことが試合の流れをジワジワと山形に傾けることになった。試合の見た目は、浦和の猛攻でいつ点が生まれてもおかしくない状況。だが、ここでチャンスを生み出せず、また生まれた決定的なチャンスで点を決められない浦和(小野伸二がゴール前5メートルのどフリーを外す!)を尻目に、徐々に山形がチャンスを作り出す。
 前半岡野をマークしていた山形の左サイドの選手がフリーになり、ガンガン前線に上がれるようになり、山形の左サイドからの攻撃に厚みが出てきたのだ。また、浦和のFW登録の選手がクビツァ1人だけになったことと、岡野の代わりにクビツァの周りを動くべきポジションに移った永井が、思ったより機能していないこととで、山形の守備陣が安心してクビツァ1人だけにマンマークを付けることが出来るようになった。浦和は、マンマークされているポストプレーヤーのクビツァをフォローするポジショニングの悪さから、それほどクビツァを上手く使うことが出来ていない。逆に浦和の守備ラインは、山田・内舘の両サイドバックが攻撃に掛かって上がり気味になっている不安定なラインで、実質西野・室井の2人だけが残っているような状態。その空いた両サイドを山形が上手く使ってくる。特に山田がオーバーラップした裏のスペースに、山形はインターセプトから素早くボールを放り込んでくる。無理な状態からシュートを打ってくる浦和とは対照的に、山形は少ないながらも点で合わせるクロスや真下の突破、西山のドリブルで決定的なチャンスを次々に作り出す。結局得点はロスタイムの1点だけだったが、これは「田北様様」ということでもあったのだ。
 (今シーズンは忙しくて1試合ごとの記録をつけられない。なのでこうやって書いていく)
We are REDS!! We are REDS!!00/11/19
Wise men say only fools rush in
But I can't help falling in love with you
(かしこいヤツラは言う、バカはただ突っ走るだけだと
でも君のことを好きにならずにいられないんだ)
(Peretti-Creatore-Weiss)


浦和 鳥栖
1999.11.27  無念のJ2降格から1年。敗者しかいなかった浦和市駒場スタジアムに、勝者の歓喜の雄叫びが響いた。

 2000.11.19  J1で川崎フロンターレのJ2降格が決定した翌日、浦和市駒場スタジアムには2万207人の大観衆が詰めかけた。チケットが手に入らなかったサポーターは、自宅で、REDS SQUAREで、そしてRED VOLTAGEで浦和レッドダイヤモンズのJ1昇格を願って声援を送り続けた。

 試合は今季の苦闘を象徴するかのように対戦相手のサガン鳥栖の攻勢に晒され、序盤の気迫溢れるパス回しが途絶えたまま前半が終了。
 後半開始早々、鳥栖ディフェンスラインのパスミスから途中出場のFW福永(10)がボールカット。ボールコントロールを誤って鳥栖DFと共に潰れたこぼれダマを、FWアジエル(35)が拾ってそのまま切れ込み左足で先制ゴールを叩きこんだ。
 しかし、この得点を活かし切れないのが今季の浦和レッドダイヤモンズであった。先制直後、浦和の右サイドからのクロスボールを、GK西部洋平(16)の目の前でDF西野努(12)がクリアミス。ゴールへと向かったボールを鳥栖のFWルシアノが押し込んで同点に追いつかれる。
 さらに浦和はディフェンスラインのミスから鳥栖FWに独走を許し、後ろから追いかけたDF室井市衛(21)がペナルティエリア内でファウル。これで室井は退場となり、さらにPKを献上する。しかしこれをルシアノが外し、浦和は窮地に一生を得る。

 両チーム決定力を欠きもつれ込んだ延長戦。浦和は神速FW岡野雅行(7)を投入し、勝負をかける。岡野は延長戦開始早々、そのスピードを活かしたチェイシングを見せ、チームに喝を入れる。

 私は浦和レッズの直営店RED VOLTAGEにいた。この店は試合がデイゲームでテレビ中継があった場合、店内の大スクリーンで放送するので、スタジアムに行くことが出来ないサポーターが集まる場所として知られている。しかし、スタジアムでない分だけ盛り上がりには欠ける点もあった。
 しかし、この日は違った。正規の90分の間はおとなしくしていたが、大分で大分トリニータが大宮アルディージャに対して1−0の勝利を収めたことを知ったサポーターは、黙っていなかった。誰かが始めた選手とチームのコール。それは店中を巻き込んだ大合唱となった。
 そして迎えた歓喜の時。ゴール右からのMF阿部敏之(20)のFKが鳥栖の人壁に当たり、跳ね返る。高く浮いたボールは、左サイドにいたMF土橋正樹(4)の目の前へ落ちてくる。土橋はこれをワントラップし1歩前へ。土橋はそのまま豪快に左足を振り抜く。選手・チーム関係者・サポーターの想いが詰まったボールは、ドライブがかかって逆サイドのネットに突き刺さった。

 その瞬間、日本全国でどれだけの人が叫んだだろうか。
どれだけの人が「1999.11.27」を思い出して感涙にむせんだだろうか。
どれだけの人が今季1年間の苦しさに思いを馳せただろうか。

そしてどれだけの人が来季の浦和レッドダイヤモンズに喝を入れただろうか。

 だが、今はこの昇格の喜びに浸っていよう。RED VOLTAGEでも、「浦和レッズ!浦和レッズ」「J1浦和!J1浦和!」「We are REDS!!We are REDS!!」コールが響き、土橋のゴールシーンのリプレイでは私も「正樹!正樹!」コールの音頭をとった。

 J1昇格おめでとう。
浦和レッドダイヤモンズ

 


好きにならずにいられない01/4/14
就職活動をしていく中で、「自由テーマでの5分間スピーチ」という選考内容があった。そのために僕が語ろうとしている文章の模解をここに掲載してみよう。なお、模解は作りたてで、まだ実際の選考で読むかどうかは未定。一応もう1つ、蕨に関するものを考えている。
 私は浦和レッズのサポータである。Jリーグ開幕当初はどこのチームのサポータでもなかったが、気がついたらレッズの虜になっていた。だが、強いとは言えないチームなのに、なぜそれほどまでサポータがついてくるのか。なぜ私はレッズが好きなのだろうか

 確かに95年には現カナダ代表監督ホルガー=オジェック、Jリーグ初の日本人得点王・福田正博、そしてドイツ代表の真のプロフェッショナル・ギド=ブッフバルトを擁し、そして98年にはルーキーの天才ミッドフィルダ小野伸二を軸に3位に食い込んだ。代表選手を抱えているにも関わらず、しかし昨年はJ2に降格するなど、絶対に勝ち数より負け数のほうが多いチームである

 しかし、サポータはどんな時も変わらずスタジアムを埋めつくす。単に「地元だから」というだけでもないし、「サポータの応援に憧れる」というのは順序が逆だ。一体それはなぜなのか

 それを表す1つの象徴がある。エルビス=プレスリーの曲に『好きにならずにいられない』というものがある。これが全てである。歌い出しはこうだ「Wise men say Only fools rush in But I can't help falling in love with you(カシコイ奴らは言う バカはただ突っ走るだけだと でも 君のことを好きにならずにいられないんだ)」

 例えば、それは恋愛に似ている。自分の言うことに素直に従ってくれ、何でも簡単にこなしてしまう女性より、少しくらい意地が悪かったり、期待を良くも悪くも裏切ってくれたりする女性のほうが付き合っていて面白いように、上位チームに対していいサッカーをして勝ったと思った次の試合にコロッと下位チームに負けたり、期待を裏切る小悪魔的な要素があるのだ。僕にはそんな恋人はいないのだが。教育にもつながる点があるかもしれないな

 ジュビロ磐田や鹿島アントラーズのように、常勝軍団を応援する人もいるだろう。しかし、常に勝っているチームのサポータは、サポートのしがいがないということはないのだろうか。ないのかもしれないが。その点、浦和レッズであれば、適度に負けてくれる分だけ勝った時の喜びは大きいし、「自分たちのサポートで勝った」という実感も得ることができる。それがサポータの喜びに繋がる。

 「サポータ」の「サポート」とは、チームが苦しい時であっても、「支える」「支援する」ということである。これだけ「支えがい」のあるチームは他にない。だからこそ私は浦和レッズを好きにならずにいられない