M「これは、雇主とX氏のどちらに重点を置いて読むべきでしょうか?」
S「どちらでもないの」
M「と言うと、他に誰が?」
S「一人の男、じゃよ」
M「一人の男?請求書を持って来たっていう?」
S「そうじゃ」
M「でも、請求書を持って来た男は請求書を持って来ただけですよね」
S「果してそうかな?」
M「全うな金額じゃなかった、ってところに意味でもあるんですか?」
S「ふむ。この男、果して存在するのかな?」
M「う〜ん、そう言われると、何とも」
S「つまり、そういうことじゃよ」
M「そういう、ってどういう?」
S「ふん。請求書を持って来た男など存在せんっ、ちゅうことじゃ」
M「狂言である、と?」
S「本当に注文をしたのがX氏なら、なぜX氏のところに行かなかったのじゃ ?」
M「つまり、請求書をでっち上げて、皆のアルバイト料をせしめるのが目的な わけですか。で、それをX氏のせいにするっていう」
S「そうじゃ。身銭を切る、などと言っておいて、こやつ、はなから偽請求書 を用意しておったのじゃよ」