実録!甲種危険物取扱試験合格まで


甲種危険物取扱者とは?

危険物? いったいなんでしょうね? 最近ちまたを騒がしている、クロロホルムとかアジ化ナトリウムとかが該当するのでしょうか? 実は、ここでいう危険物とは、消防法によって規制されているものなんです。つまり、人体に有害かどうかではなく、火事になる危険性があるかどうか?という観点で規制されているものです。

先ほどの例でいうと、クロロホルムは引火性が低いので消防法では規制されておらず、危険物とは言いません。しかし、アジ化ナトリウムは酸と混合したり、金属と接触させると爆発する可能性があるので、消防法により規制されており、危険物に該当するわけです。

(参考までに申し上げておきますと、人体に有害かどうか?というのは、主に毒劇法により規制されております。毒性の程度により、劇物もしくは毒物に分類されます。クロロホルムは劇物、アジ化ナトリウムは毒物に該当します。)

危険物はその性質により、6種類に分類されております。一番ポピュラーな(?)危険物と言うのは、第4類の引火性液体です。ガソリンスタンドで取り扱うのは、(おそらく)すべて第4類に相当するはずです。ガソリン・軽油・灯油、トルエンなどの有機溶媒、アルコール類などがそうです。

危険物取扱者は大きく甲・乙・丙種の三種類に分かれております。丙種は、ガソリン・軽油・灯油等ごく限られたもののみ取り扱えます。乙種は危険物の類毎に6つに分かれており、各類毎に試験を受けて合格した類の危険物のみ取り扱えます。そして、甲種はすべての危険物を取り扱うことができます

乙・丙種は受験資格の制限がなく誰でもが受けられるのに対して、甲種は受験資格がおり、乙取得後二年以上の実務経験を有する者、あるいは化学に関する学科で大学(または大学院)を卒業した者といった条件がつけられます。

各種の合格率は、
 甲 35%
 乙 40%(4類は低め、それ以外の類は60%程度)
 丙 55%
といったところでしょうか…

試験は、三分野に分かれており、
 (1)危険物に関する法令
 (2)物理学及び化学
 (3)危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法
すべて5択になってます。それぞれ6割以上正解で合格です。気をつかなくちゃいけないのは、全部合わせて6割じゃなくて、三つとも6割以上正解しないといけません。

乙種(特に4類)は頻繁に試験が行われているのですが、甲種の試験は年3回ほどしか行われません。詳しくは、近くの消防署まで願書をとりに行って調べるか、財団法人消防試験研究センターのホームページで調べてみてください。

ところで、この資格を持っていると、何かいいことがあるのでしょうか? 少なくとも、僕はいいことが何も起きません。仕事が増えるだけで、給料は一円たりとも増えません(T_T)。資格とらなきゃよかった…。とはいっても、危険物の貯蔵・取扱を行っているところは、必ず資格保持者が必要なので、仕方ないんですが…

ただ、ガソリンスタンドなんかで働いていると、資格手当て等がもらえるんですよね、きっと…。転職しようかな…。


受験日までのみちのり

1998年12月某日 きっかけ

どうやら、いままで消防署に多めに見てもらっていたが、昨今の事件により、危険物取扱者をきちんと置かなければまずいという状況になってきたらしく、受験者を募っているそうで、先輩に「受けて!」と頼まれ、二つ返事で「いいですよ」と言ってしまう。どんな試験か、な〜んも知らずに返事をしてしまってよかったのか??? とりあえず、その日のうちに今度いつ試験が行われるかインターネットで調べてみる。ふむふむ、3月8日か、なんだ、まだ三ヶ月もあるじゃん、余裕、余裕。

12月29日 テキスト購入

暮れも押し迫り、世の中は忘年会シーズン真っ只中。僕も今日は高校時代の友人達と久し振りに会い、神田でしゃぶしゃぶを食うことになってる。でも、その前に!甲種危険物取扱の試験に備えて何かテキスト買わなくちゃなぁ。かあ、やっぱり、おいらはえらい子ちゃんだなあ。こんなに準備がいいなんて。何がいいかな?大きな本屋に行っていろいろ探してみるか。神田ってことは、八重洲ブックセンターにでも寄ってみるか。有楽町までは定期があるから、有楽町駅から本屋までは歩いて行けばいいし、本屋から神田駅までは、、、まあ歩けない距離じゃないや、腹ごなしにはちょうどいい距離だな。
八重洲ブックセンターに到着。う〜ん、いろいろあるなあ。薄いのもあるけど、ちょっと心配だしなあ。あ、これなんかいいかな?図もあって見やすいし、解説もある程度載ってるみたいだし。よし!これに決めた!と購入した本は、「これだけ!甲種危険物合格大作戦」(弘文社)2,600円也!

年が明けて、1999年1月 勉強開始!&終了?

よし、さっそく勉強しよう!そうだなあ、勉強しやすい物理と化学から始めるか。なになに?物質の三態?固体と液体と気体。そんなの常識じゃん。小学生だって知ってるよ。余裕、余裕。と思い、あっという間に終了。
じゃあ、次は、各種危険物の性質でも勉強するとしよう。え〜なになに。第1類は酸化性固体で、塩素酸塩類には塩素酸カリウム、塩素酸ナトリウム、塩素酸アンモニウムとあり、塩素酸カリウムは水に溶けにくくって、塩素酸ナトリウムは水によく溶け、潮解性があって… おいおい、こんなのがえんえんと続くわけ? そりゃあ、無理だろう。今から憶えても、試験前には忘れちゃうって。後はもう試験前に憶えればいいや^^; 勉強一時終了!

1月中旬 願書入手

職場の近くの消防署に受験願書を取りに行く。考えてみたら、消防署に行くのって初めてだよな。甲種の受験資格の別紙も併せてもらおうとしたのだが、書類がなかなか見つからないみたい。え?甲種の受験者って少ないのかなあ?ちょっと不安になる… あ、ようやく見つかったみたいだ。ホッ。
薬学科(製薬学科)の卒業も受験資格はあるよな。よかった、よかった。なにしろ、薬学部生は、物理、化学、生物のエキスパートということになってるらしいからな^^;

1月下旬 願書提出

もうすぐ締切だなあ、早く申し込まないと。必要なものは、卒業証明書か卒業証書のコピー(甲種のみ受験資格を証明する書類が必要)。写真が二枚に、切手が一枚か。受験料は5,000円ね。安くはないな。落ちたらアホらしいから、ちゃんと勉強して受からないとなあ。

2月23日 受験票到着

今日は受験票が郵送されてきた。そういえば、そんなテスト申し込んだっけか^^; やばいなあ、そろそろ勉強しないとまずいかなあ。

2月28日 本腰を入れて勉強

あと、一週間だな。チャットとICQをやめて勉強しないとまずいな…。ということで、一週間チャットとICQを封じる決心をする。ついでに、HPの更新も試験が終わってからにしよう。というわけで、今週はメールチェックだけにしておく。
これから一週間、毎日2〜3時間勉強する。法令もひたすら暗記。危険物の性質もひたすら暗記。電車の行き帰りも勉強してみる。ふ〜しんどいなあ。こういう暗記型の試験って全然受けてないからつらいや。

3月3日 母、のんきだね

夜遅くまで勉強してると、親が「あんた、何やってんの?」と聞いてくる。
「今度の月曜日に試験があるって言わなかったっけ?」
「え?何の試験があるの?」
「危険物の試験だよ。先週、受験票が送られてきたでしょ?」
あれ?もう合格したんじゃないの?合格通知書かと思った
「…」
「あんたのことだから、もう受かったもんだと思ってたよ」
「受けもしないテストに合格できるほど器用じゃないわ!」

3月7日 試験前日

テキストの巻末の模擬テストを解いてみる。どれも、6割以上とれてる。よっしゃ、これなら大丈夫だな。心配だった法令も14/15できたし、物理・化学は当然10/10のパーフェクト。ただ、危険物の性質が15/20だから、まだちょっと勉強が足りないかな。もう一回一通り目を通して、知識を整理してみるか。


3月9日 試験当日

試験開始まで

集合時間は9時。試験開始は9時半。試験会場は幡ヶ谷の中央試験センター。千代田線の代々木上原駅から徒歩12分か。ちょっと早いけど、いつも通りの時間(7時過ぎ)に家を出よう。
試験会場には8時40分くらいに到着。席は結構空いている。受験者は全部で600人くらいだけど、まだ半分も埋まってないみたい。みんな、余裕だな… しかし、このなんとも言えない緊張感は久しぶりだな。まだちょっと時間があるからテキストでも見なおしておくか…
おっと、もう9時だ。テキストをしまって、鉛筆消しゴムを用意して、備えておくか。ん?でも、まだ、試験官は来ないのかな。まあ、いいや、もう諦めようっと。周りのみんなはしつこく復習してるみたいだけど、無駄だって^^;

試験官入室

9時15分。ようやく試験官入室。やけにきびきびした人だなあ。消防署や警察署の人ってみんなこんな感じなのかな? 年齢はいくつくらいだろう… もう六十近い感じなんだけどなあ… しかし、てきぱきと指示を出していくなあ、感心しちゃうわ。
ん?試験終了の40分後にはもう結果がわかるのか。え?そのあと免許交付手続きもするの?知らんかったわ^^;

試験開始

9時半。試験開始!試験時間は2時間半(つまり12時まで)だけど、1時間位したら退室できるっていってたな、さっさと試験を終わらせて出て行こうっと。さあて、乱丁・落丁のないのも確認して、はじめるぞ!
うげ!げげげ!僕が使ってたテキストより問題が難しいぞ〜。ちっきしょう、ダマされた。って、もう手遅れだからしょうがない。一生懸命頑張ろう。
ふ〜、一通り回答し終えたぞ。見直し見直し。ん?二問目にして早くもミスってるぞ。あぶないあぶない。お!あれ!強くマークをしすぎたみたい。消しゴムで完全にきれいに消えないぞ。大丈夫かなあ。ちゃんと消えてるって認識してくれてるかなあ… そんなこんなで見返してみると、五問くらいミスってた。
と、隣を見ると、、、ね、寝てる!つわものだ、この女の子!!!TOEFLを受けた時もそうだけど、僕の隣に座る子はなぜか、よく寝るみたいだなあ…

試験終了

10時半。回答用紙、問題用紙を提出して退室。ん〜〜よく、わからんなあ、どうだろう。いまいち手応えが…。

合格発表

12時半。ちょっと早めに部屋に戻る。
発表の仕方がえぐいんだよなあ。全員、座席につかせておいて、それで、時間になったら、部屋の壁の電光掲示板の数字が点るの。その数字ってのが受験番号に対応していて、合格者はオン!不合格者はつかないまま。で、不合格者はその場で退室…
12時40分。さあ、運命の瞬間が…「548番は… よっしゃ!合格!
試験中に居眠りこいてた隣の女の子は、どうかな?と見てみると、落ちてるやん、やっぱり(T_T)。試験官の声が不合格者に容赦なく浴びせられる。「不合格だった方は残念ですが速やかに退室してください

免許交付申請

受験者641名に対して、合格者は211名。合格率は33%といつも通りらしい。
13時。手続き開始。免許交付してもらうのに、2800円もかかるのか… ぼったくりや。受け取りは3月25日の10時から12時に、本人または代理人が、またここに来いだと?! そんな暇あるわけねえだろう! なになに、来れない人は、郵送してもらえる?え?また900円取るの?またしてもぼったくり(T_T)。まあ、薬剤師登録料30,000円(!)よりはましだけど。


使用テキスト

「これだけ!甲種危険物合格大作戦」(弘文社) 2,600円

いいテキストかどうか、判断に迷うところですね。なにしろ、他のテキストはぱらぱらとしかめくってないんで、比べようもないしね。ただ、受験会場で見た限り、このテキストを使って勉強してる人は多かったようです

各分野、出題範囲毎に分けてあり、まずその部分の解説がしてあって、その後に例題が数問用意してあって、各例題毎に、解説が施してある。ひたすら、その繰り返しです。巻末には、「模擬試験」が用意されており、全分野に渡っての出題がなされてます。ここで、6割以上とれてれば、合格間違いない!なんてことを言っておりますが…

解説はある程度詳しく書いてあるので、それほど不満はありません。だけど、問題傾向が本番とは若干違うような気がします。最近、出題傾向が変わったのかもしれませんが、もしそうならちゃんと対応しておいて欲しいものです。

例題の傾向がほとんど同じなので、「模擬試験」でもなんとなく得点できてしまうんですよね。だから、ここで6割以上できても本番では6割をとれる保証はないですね。「模擬試験」をほとんど満点とれるくらい勉強しておいた方が無難です。このテキストで勉強した後に、(問題傾向の違う)別のテキストの問題を解くと効果的かも知れません。まあ、そこまで時間があれば、の話ですが。


勉強時間?

読んでいただいたので分かると思いますが、僕の勉強時間は非常に短いです。ですが、はっきり言います。こんな短い時間しか勉強しないと落ちます。もっとしっかり勉強した方がいいです。では、なぜ僕が受かったのでしょうか?理由は二つあります。

  (1)物理・化学の知識があった
  (2)いろんな有機溶媒を実際に扱っていた

僕は薬学部卒です。当然ながら、物理と化学の知識はあります。だから、この部分はほとんど勉強する必要はありませんでした。そして、研究内容が有機合成を伴うものだったせいもあり、いろんな溶媒を触っていました。その性質は、当然ながら身についていました。しかも、頭で覚えたものではなく、体で覚えた知識ですので、忘れっこないんです。

というわけですので、なんの知識もない人(といっても、化学系の大学卒業した人が大半でしょうけど…)が、たかだか一週間の勉強で受かるとはとても思えません。では、どのくらい勉強したらいいのでしょうか?そうですね、1ヶ月くらいは勉強したいですね。

それが分かっていながら、なぜ僕は一週間しか勉強しなかったのでしょうか?簡単です、仕事が忙しかったからです。それ以外に理由はないです。はい。チャットやICQが忙しかったわけじゃないです^^;


最後に

危険物取扱者に興味を持ったあなたは以下のホームページを訪れてみてはいかがでしょうか?
財団法人消防試験研究センター
危険物取扱の試験に関する情報が載っています。