distortion bloom-------990326 pm0:38+++


煌びやかな教会の光。
ステンドグラスも十字架も蝋燭の灯で照らされて
聖域は、今堕天使の純愛の場になる。

数え切れぬほどの蝋燭が、少年の周りを取り囲んでいた。

何故此処にいるのか?自分は誰なのか?

「っ・・・・・・」
頭痛と共に、床に這いつくばる。
その意識の中にノイズまじりの映像が広がる。
見たことのない、でも懐かしい自分の顔。
そして目の前にいる人間が彼を見下す。

「・・・・・貴方は、俺に何を望んでいるんだ?」
いつも問い掛ける質問。
本当はわかってる、
返ってくる答えも、次に自分が言う言葉も。
「・・・・・ただ君が気に入っただけだよ・・・・君は光があるとより輝きが増すね」
「・・・・・・・・・・貴方は・・・・・っ」
顎をつかまれ、相手の指で言葉を止められる。
それは、オマエには何もいらないんだよ。と言われるかのようで。
「何も知らなくていいんだよ」
睨み付けてみせても、自分の知識が増える事はない。
自分は、何も知らない。何もわからない。
「知るのは、もう一人の君だけでいいから」
「・・・・・・もう一人・・・・?」

その一瞬で全ての炎がかき消される、空気が変わる。
月光が、少年の瞳に潤いを与えると、黒いシャツのボタンを上から外してゆく。
白い胸元が見えた所で、指が止まった。
先ほどとは逆に、見下した視線でこちらに目を向ける。

「・・・・・・余計なコト言わないでくれない?あいつも、僕みたいにさせたいわけ?」
祈りを捧げるための台の上に、躯をのせて。
軽蔑を加えた目は、支配者の心を捉える。
「いや、・・・・・・せっかく奇麗な黒と白の華があるんだから、それをわざわざ枯れさせたくはないよ」
「・・・・悪趣味だね。でも、もし本当にあんたが、あいつの白を塗りつぶしたら・・・・・。殺すよ」
冷静な声で、彼にとっては冷静な発言をする。その言葉を聴いて、楽しげに相手は笑った。
「それも、楽しいかもしれないね・・・・」

その顔を見つめると、くるりと後ろを向いて、
かつかつと、足音を立てて教会を歩く。
取り出されたのはグラスと葡萄酒の入った瓶。

「・・・・・・・・・・・飲む?」

そして彼は、グラスに液体を注ぐ。
グラスから漏れてゆく葡萄酒、でも彼はその動作を止めない。

そのうちに中身の雫が全て零れた瞬間、礼拝堂に響く音。
彼は瓶を椅子に叩き付けた。
その硝子の欠片を、摘み上げると、無表情でそれを握り締める。
白い肌に浮かんできた紅い染みは
だんだんとその速度を早めて、床に流れ出して。
その手をこちらに向けると、相手は躊躇うコトなどまったくなく蹲り、唇を寄せた。
「・・・・・・16年前に死産だった君が、生きていた双子の弟の中に存在したとは」
長い髪が血だらけの手に垂れる。思い出すように語り始める事実。
「あんたが、あの時にあいつに手出さなきゃ、僕も寝てられたのに」
「彼には、その記憶がないからいいでしょう・・・・本当に汚れを知らないイイコだね」
懺悔をするわけでもなく、視線だけを彼に向けて。
彼はその発言に言葉を発する事なく、左手で舌の愛撫を受けながら、右手のグラスを自分の口元にもってゆく。
飲み干す、と言うよりは、躯に流していくと言った方が妥当で。
露になった鎖骨を通る、紅い水。

そして、そのままこちらに倒れ込み、唇を交わすと、彼は天使のような微笑みを浮かべる。

「・・・・・絶対に許さないから。僕にとって、あいつが全てなんだよ・・・・。傷つけたあんたはその何百倍も苦しめてやる」

狂った楽園(エデン)に、鳴り響く鐘の音が、全ての常識を消し去ろうとする。
重なってゆく2つの躯の瞳に映るのは、ただの赤だけだった。

「・・・だから私は君達を手放したくない」


------コワレタコイビトタチヘ

ボクノ ソンザイノ スベテヲ ササゲヨウ..........。


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カンソウ。