第一話「の知らせ」


6月11日金曜日。
その夜私は、いつものようにニュースステーションを見たあと、 「鈴井の巣」を見ていました。 10分もしないうちに眠くなってしまった私は 電気を消し、TVを消し、布団に入りました。
なんだかいつもと違うな。
そう思ったのは布団に入った直後です。 枕元からざわざわと衣擦れのような音がします。 いかにも不自然なその音は、間を置いて止むことなく続きます。
いつもなら「気のせい」と割り切って寝てしまうのですが、 どうも気のせいではすまない雰囲気です。
誰かいる。
そう思った私は手元にあったリモコンでTVをつけました。 絶対に誰かいる。見えないけど気配があるのです。 生身の人間ではない何かの存在を感じた私は、 TVの音でごまかしながら寝ようと思いました。
もちろん寝つけるわけがありません。
何かほかのことを考えて怖さを紛らわそうと思い、 必死でいろいろなことを思い浮かべました。 就職のこと、最近読んだ本のこと、・・・・・・ そんな中、ふと父親の叔父に当たるHおじさんのことを思い出しました。 そしてなぜだか涙があふれてきました。泣く理由なんてありません。 なぜ涙が出てきたのだかわからないのです。 そしていつのまにか、私は眠りについていたのです。

6月13日、実家に電話した私に母が突然こう言ったのです。
「Hおじさんのお葬式だったんだよ、今日。」
「お葬式・・・・・って死んだの?いつ?」
「11日。昨日がお通夜で今日お葬式。」
「ふーん。・・・・・おととい!?」
「そうだよ。おとといの夜。」
「夜って何時ごろ?」
「11時半ごろだったかな。」
11時25分からの「鈴井の巣」が始まってすぐ布団に入り、 再びTVをつけて少しすると料理の鉄人が終わったのですから、 あの体験をしたのは11時30分〜40分だったと思います。
偶然にしてはできすぎです。
「おじさんはあんたのことかわいがってたからねぇ」
母の言葉を聞きながら、私は部屋を見渡しました。
あれからおじさんらしき人は来ていません。 今はおじさんが成仏してくれていることを願うばかりです。


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