10月23日(日) 大阪 martha 深夜に降りだした雨の音が気になってよく眠れなかった。 このところ坂田学さんのライブはいつも雨。 ひょっとして雨男?と思っていたら、出町柳から淀屋橋に向かう間に見事に晴れた。 京阪電車の始点から終点まで、約1時間の旅。 ライジングサンのFishmans音源を聴きながら、やはり生で見ておいて良かった、と思った。 音として収録されない部分が、実はかなり重要だったりするのだ。 それにしても、欣ちゃん(茂木欣一氏)のドラムは、坂田さんとは全然違う。 そしてどっちも大好き。 リズムって何だろう。 誰かのリズムを、好きとか嫌いとか思うのは、どこで決まるんだろう。 窓の外を眺めながらつらつらと考える。 受付開始の1時間前に、阿波座に到着。 え、こんな所に?という場所に、カフェ兼雑貨屋 martha はありました。 くるみ釦にガラスのコップ、ホーローの水筒、リネンの小物、園芸用グローブ・・・ 雑貨大好き人間としては、歓声をあげたくなるようなお店。 店内のあちこちに、奈良美智さんの絵が。 トイレの壁や鏡に落書きのように描いてある絵も、奈良さんの手によるものらしい。 テーブルはほとんど片付けられていて、椅子席が7,80席ほど。 大きなガラス窓を背景に、ドラムセットと機材。右側にスクリーン代わりの白い布。 窓の向こうは道なので、人が通ったり車が通ったり。 時折、何やってるんだろう?という顔で窓越しに中を覗く人もいたりして、なんだか面白い。 ライブはほぼ時間通りにスタート。 1曲目は即興的な曲。前のソロライブでも使ったゴングが再登場。 2曲目はNyancosから「Monotone Blue Planet」。 この曲、坂田さんはまったく右手を使わなかった。 ハイハット、スネア、タム、シンバル、全部、左手1本。 リズムって何だろう。再びそこに思考が戻る。 複雑でもシンプルでも、坂田さんのリズムには惹きつけられる。 たぶん、タンバリンとかカスタネットを叩かれても、私は夢中になるんではないだろうか。 ライブ中の坂田さんはあんまり喋らない人だ。 この日も、メンバー紹介と、ニューオリンズについての話をしたくらい。 客席との交流は音楽を通して生まれる。 「リズムリズムリズム」という曲では、ハンドクラップでお客さんも参加できるので、 会場全体が一気に親密な空気になる。 四拍子で始まって、途中からCDと同じ手拍子に。 これが、やってみるとなかなか難しい。 しばらく続けて慣れてくると、客席を二分して、もうひとつリズムパターンを追加。 ふたつのリズムが交差する中に、坂田さんの縦横無尽なドラムが入る。 手拍子といえども、別のリズムを聴きながらキープするのって結構大変。 客席からは「難しいぞ〜!」という声。 「適当でいいんです」と坂田さん。 いつの間にかみんなが笑顔になってる。 そんな音楽。 そんな夜。 |
| 10月26日(水) 京都 カフェ アンデパンダン 今回のソロツアーで唯一、対バンあり。 DUB MARRONICSの音楽は決して嫌いではないのだが、中途半端にライブで聴くよりも CDで作り込んだ音を聴いてるほうが良さそうな気がした。 坂田さんは20:00頃に登場。 今日は白壁がそのままスクリーンとなっていて、演奏と映像が同一線上に見えて良かった。 遅めのスタートということもあってか、休憩はなく一気にラストまで。 会場のカフェアンデパンダンはレトロなビルの地下にあり、床も壁もコンクリート。 暖かな「木」のイメージがあったmarthaとは趣が異なり、音も随分違って聴こえた。 1曲目は即興、2曲目、3曲目はNyancosから、ここまでの曲順は大阪と同じ。 短いMC(メンバー紹介)が入って、「waltz for guitar」。 大阪では序盤で「リズムリズムリズム」をやって、客席との距離がぐっと縮まった感があったのだが、 今夜は緊張感を保ったまま「gradation」へ。 京都はとにかく、この「gradation」がとんでもなく良かった。 Fishmansファンにならば、「ひとりLONG SEASON(映像付き)」と言えばその凄さが分かってもらえるだろうか。 ライブで聴くのは4度目なのだが、ひとつの完成形を見た気がした。 映像も音も、大阪からわずか3日で、まるでワンツアー終えて来ました的変化を遂げている。 (あいだにあった岡山は、一体どんなことになっていたのか、とても気になるところだ) 途中、ジャンベが入ったのも良かった。より幻想的な深い世界に入り込めたように思う。 CDでも40分くらいある曲だが、今日はそれ以上の長さだったのでは。 映像が格段に良くなったせいもあって、「音楽」と言うより「アート」。 見れなかった人にどう説明すればいいのか・・・ 私は普段、音を聴きながら目を閉じていることが多いのだが、この日は一瞬も見逃せない感じだった。 いろんなことが頭をよぎったような、何にも考えていなかったような、不思議な感覚の中、 聴いている間は悲しいくらいに満ち足りていた。 悲しいのは、終わってしまうのを知っているからだ。 後記:今回見た4ヶ所の中では、京都の「gradation」がやはり一番良かったように思う。 あくまで個人的な意見だが、音と映像の相乗効果を最も実感したのがこの日のライブだった。 |
10月28日(金) 名古屋 K.D Japon なぜ私は名古屋にいるのかしら。行かないはずだったのに〜! 京都が終わった瞬間に会場に電話してチケット予約した自分がいました。 一応、仕事は行ったけど、新幹線の時間が気になってちょっと早退・・・ 今週はそんなのばっかりでした。来週、出勤したら机が無くなってても驚きませんよ。 名古屋と言えば味噌煮込みうどん♪ というわけでのんびり食べてたら開場時間過ぎちゃって、鶴舞駅から必死に走る羽目に。 開演には余裕だったんだけど、早めに行かないと座れなさそうなツアーですからね。 KD Japonはちょっと他にはないような、独特な雰囲気のお店でした。元はアトリエ? 狭いけど天井が高くて、ロフトみたいな2階がある。 高架下なので、電車が通ると響きます。それもまたいい感じ。 そういえば、この日はバスドラの低音がすごく響いてました。 足元から、内臓に伝わってくる感じ。こういうのが好きな人間には堪りません。 坂田師匠は開演時間を過ぎても現れず、おっそいなーと思っていたら「タクシーで来ました」と登場。 そんなギリギリになって入るものなのですか。 というわけで始まったのが8時過ぎ。 大阪、京都と同じくツアーTシャツに黒のジャケット姿。 このジャケットすごくお似合い!かなり素敵です。知的な感じにキュートです。 今日もメガネなし。だんだん、メガネなし師匠に慣れてきましたよ。 メガネはメガネで好きですが、ドラムを叩く時にはかけない方が安全。 あれ?あのメガネって度付きでしたっけ?ひょっとしてコンタクト? さて本日の曲順は、初日の大阪に戻った感じ。 同じ曲をやってても、今日はこの曲が最高!ってのが、毎回違うんだよなぁ。 ツアー追っかける醍醐味はそこにありますね。 この日はNyancosからの「Rainbow Tambourine」がキテます! 私が最も好きなタイプのドラムソロ。(サンバではない) ひたすらカッコイイ。いまこの瞬間、坂田さんになってこれを叩きたい!って感じ。 まだ序盤なのに、もう、うっとりです。魂が抜けちゃってます。ふわふわです。 そんなわけで後のことはよく覚えていません。 いやぁ、疲れている時にアルコール飲むと、集中力がなくなるものなのですね〜。 さすがに眠りはしませんでしたが、坂田さんのドラムって、例え隣でガンガン叩かれていても、 気持ちよーく寝れるような気がします。 全然、うるさくない。なんでしょうね、これは。 α派? 1/f ゆらぎ? きっと心音と関係しているのでは。 いつもわりと集中して見てるけど、今日はそんな感じでふわふわと。 なにかすっごい贅沢ですね。 Polarisを見に来た時も思いましたが、名古屋のライブってほんとに盛り上がる。 名古屋の人は、ノリが良いです。歓声もバッチリ入ります。 楽しむことに照れがない感じ。 「リズムリズムリズム」の手拍子も、この日は楽しかったな。 手拍子の上に入ってくる坂田さんのドラムも、とても気持ち良さそうで、ノビノビとしてて、 なんだかアフリカの音楽みたいでしたよ。 良いところです、名古屋。 |
11月3日(木) 恵比寿 switch なぜ私は東京に(以下略) こうなるとむしろ完全制覇を目指せばよかった、と思わなくもないツアー4ヶ所目。 今回のツアーは全国素敵カフェ巡りかと思っていたら、最終日の東京はごく普通の会場だった。 ちょっとガッカリ。 カフェじゃないのは、「音」にこだわったのかな?と思ったら特にそうでもないし・・・ というか、せっかくスピーカーの前に陣取ってホクホクしていたのに、音が小さい! このスピーカーは置いてあるだけ?使ってないの?って思わず確認してしまったよ。 ちょっとダブさん、どういうことですか!? と思っていまブログを見に行ったら、諸事情あったようで。 って、納得できないよなぁ、そんなの。 ううぅ、悔しいのう。 しかしダブさんの日記を読むと、こういう人が坂田さんの側にいてくれて良かったなぁと思う。 この日は、6月のソロライブにも一緒に行った世田谷在住のO氏が一緒でした。 音楽よりもアートに興味がある人なので、今回の映像についてはいろいろ思うことがあったらしい。 アンケートにもひたすら映像について書いていた。 坂田さんが映像付きライブをやると聞いたとき、私は誰かとコラボするものだとばかり思っていたが、 まさか自分で作ってしまうとは・・・ いろんなことができる人なのだなぁ。 正直、初日の大阪で見たときは「別に映像がなくてもいいのでは?」という印象だったが、京都で見たら すごく良くなっていた。 ひょっとして初日は間に合わなかった?と疑うほど。 映像は毎回変化していたので、ツアー中もずっと作業していたのだと思う。 が、どうしても映像がなくてはならないというふうには、私には感じられなかった。 まあ、もとから視覚と聴覚は両立しないと思っているような人間なので、音楽だけでいいという意識が そう感じさせたのかもしれない。 これについてはライブ終了後にO氏とも話してみたのだが、 「映像の導入によってさらにアーティストのイマジネーションが広がりそれが音楽に新たな可能性を(後略)」 と力説されてしまった。 そういうものなのか? まあ、結果的に音楽が良くなるというなら反対はしないが。(という発想がすでに音楽至上主義) そもそも表現者に向かって、その表現を好き嫌い言うのはともかく、「表現そのものをやめてくれ」なんて 言う権利は誰にもないわけで。 すべてが、より深い表現につながればいいのだ。 さてこの日のライブは。 今までになかった新たな楽器が導入されていましたね。 トライアングルが何重にもなったようなあの楽器。 何かのオブジェかと思いましたが、良い響きだったなぁ。 そして東京で特筆すべきことは・・・オオヤくんが来ていた! たぶん、ほっとした人が多かったのでは。私を含めて。 オオヤくん、歌ってる姿を見てときめいたことはないけど、普通に見るとカッコイイ人だった。 曲としては、いつも左手一本で叩いていた「Monotone Blue Planet」が、今日は右手。 機材の配置に合わせて変えてるのかな。 この日は両手がよく見える位置で、手ばっかり見てた。 フレンチグリップの、どこにも力が入ってないような柔らかなショット。 「スティックが体の一部みたい」とO氏。確かに。 同じ曲をやっても毎回変化があって、まるで飽きない。 完璧に作り込んだ曲を、忠実に再現しようとするライブではない。 ただ、「gradation」のように40分を超えるような長さの曲になると、一曲の中に大きな流れが見えると いいなぁという気もする。 東京公演は、ちょっと展開がありすぎというか、盛り沢山すぎかなぁという印象があった。 そうだ、この日はジャンベが入りましたね!(大阪と名古屋はなかった) ジャンベって、両足で固定する楽器だと思うのだけど、坂田さんは同時にバスドラも踏んでいた。 器用だ・・・ それにしても、この長い曲を演奏している間、坂田さんの頭の中はどうなっているのだろう。 ドラム、エレクトロニクス、その他の生楽器、そして映像操作。 聴いてる方は気持ちよーくトリップさせて頂いてますが、やってる方は相当冷静なのではないかと。 瞬間瞬間に出てくるものをぐっと掴まえるセンスと、極めてニュートラルな意識。 ふたつを同時に保っていられるというのが、すごいと思う。 その上、ギターを持てばうっとり夢心地なメロディが出てくるし、歌を歌えば皆が微笑むのだから、 なんだかズルイぞ。 恵比寿からの帰り道、妙に打ちひしがれた気分になって、暗い夜道をトボトボと歩いた。 「死にたくなるよね、ああいうの見ると逆に」。そんな話をしながら。 電車に乗って1人になったら、きっと私はFishmansを聴くだろう。 「何にもない」ことを歌う歌と、どこまでも深く潜り込むようなリズム。 終わりはない。絶望もない。今日を続けて行くために聴く音楽。 逃げなんだろうなぁ、これは。 だけど私には必要な音。 どっちが? どっちも。 |