久しぶりにキセルのライブに行った。
”京都で一番空に近いフェスティバル「デパオクミュージック」”という名のイベント。
会場のプラッツ近鉄は、今年度末で閉店が決まっていて、このイベントも
4回目のこれが最後。

遠くの海上を通過中の台風の影響で、空は曇り。
今日のライブは雨が降り出すのと競争だ。

子供用のカラフルな機械仕掛けの乗り物が一面に並ぶ屋上。
その一角に出現した手作りステージ。
柵に結ばれた黄色い風船が、ひとつだけ、離れて飛んでった。

揺るぎなきゆるさが漂う中、キセルの二人は物販コーナーに普通にいて、
ビールを飲んだり煙草を吸ったり。
サインや握手を求める人も別にいない。
トップバッターの人が歌っている間、私は階下の北海道展を一回りして買ったジェラートを、

階段の踊り場で食べていた。
するとそこに、友晴さんが。
よく見ると隅の方に楽器が並べてあって、このスペースは楽屋も兼ねているらしい。
ベースを取り出してチューニングを始める友晴さん。その距離1メートル。


私はここに居てもいいのだろうか。いや、よくない(気がする)


何となく目を逸らしつつ、それにしても本当にカッコよくならはったなぁ
などと思っていると、続いてお兄さんも登場。
豪文さんは、アーティストオーラが出ているというか、ちょっと気軽に話しかけられない、

繊細な雰囲気を持った人に見えた。
憧れのミュージシャンを前にして、こんな機会はもう二度とないかも、
と思ったところで、しかし言うべき言葉は見つからない。


「私は貴方達の音楽が大好きです。いま財布の中に入っている全財産を差し出したいほどに」
心の中で呟いて、屋上に出た。

セットリストはこんな感じ(違ってたらごめんなさい)

 ハナレバナレ
 タワー
 道がまっすぐ
 庭の木
 方舟
 ギンヤンマ

1曲目のハナレバナレが始まった瞬間、目の前にキセルワールドが展開するのが見えた。
ギターとベースと、ちっちゃい機械(MTRと言うらしい)
それはまるでミニマルアートみたい、最小で無限の世界。

キセルのどこが好きって、聴いてるとうまく呼吸ができるんだ。
どうしようもなく暗い気分で歩いている時に、見上げれば青空があるって
気付く時のあの感じ。
焦らなくても大丈夫。自分のテンポで。


そうやって歩いていたら、いつも乗れるはずの電車に乗り遅れたりする。
だけどなんだかいい気分なんだ。
すべての電車に乗り遅れてもいい。そんな気分になるんだ。