《鎌倉に梅を求めて》 (中島 節) -2007. 3. 1-
先ず駅の案内所に寄り梅の情報を聞き、観光地図を頂戴し、 なるべく裏通りを歩き宝戒寺へ出る。 三脚使用OKの鎌倉では珍しい寺、 2,3年前にも訪れたことがあるので気楽であった。 でも花は既に峠を越えた様子、それに年々樹齢のせいか花数が減っている。 鎌倉最大と言われる本堂前のしだれ梅で有名な寺だけに 見物客が次々にやって来ては、花をバックにコンパクトデジカメ、 ケイタイで記念写真を撮って行く。
三脚を構える客はほとんどいない。
紅梅には蜜を求めて飛来してきたメジロが楽しそうにコンサートを開いていた。
一通り撮り終わってから境内で腰を下ろし、
持参したゆで卵、菓子などを食べ軽く腹拵えした。
次はここから歩いて20分余、
大通りを避け大学付属小学校の前を通り荏柄天神社へ向った。
荏柄天神も2,3年前に来ているので足も軽い。 しかしここの境内では三脚の使用は厳禁。 前回はこのことを知らず注意された。 山門前の梅(想いのまま)は若木で未だ蕾もあり撮り頃、 階段を登って来る訪問者の邪魔にならぬよう三脚を構え遠慮なく撮ってみたが、 立地条件が悪く期待ほどの写真は撮れなかった。
山門をくぐってからは垣根、
柱などを支えにシャッターを切ったがなかなか思うようには行かず歯がゆい。
目映いばかりに真っ赤に塗られた本殿に深々と頭を垂れ
入試合格をお願いする学生、両親、祖父母などの姿が目を引く。
1,2度「三脚は使用しないでください」の大声が響く。
すでに12時も回ったので、市内バスで駅に出、昼飯をとることにした。 神社前のバス停に下りて行くと私たちを迎えるかのようにすぐバスがやって来た。 バス内も温かく汗ばみながら駅2階のレストランへ。 先ずリュック、三脚、カメラを空いた椅子に降ろし、どっかと腰を下ろした。 冷房から吹き出る微風のサービスが心地よい。 ゆっくりと焼き魚定食を味わった。
食後はバスを利用し久しく行っていない長谷の大仏をお参りすることにした。
30年少し前に、夏2ヶ月間お世話した米国の高校生マイクを連れ
家族連れで来た記憶がある。でも妻はそんな事は覚えていないと言う。
とにかくそのくらい長い時間が過ぎていることだけは確かであった。
青空、白雲をバックに瞑想する大きな大仏さんに懐かしさ、神々しさを感じた。 色々な角度から撮らしてもらったが、あの大きな目が魅力的だった。 前垂れになっているあの大きな頭を崩落から保護するため 昭和35年 強化プラスチックで内側から首を補強されたことを知り驚く。 でも数百年前の1252年に建立され、その後多くの風水害、 地震に耐え生き抜いてきた大仏さんに畏敬の念が湧き上がってくる。
大仏前から二つ目の停留場で下車し、歩いて10分足らずの宿、 わかみや荘に着いたのはちょうどチェックイン・タイムの3時。 KKR鎌倉わかみや荘はかねてから妻が宿泊したいと望んでいた宿。 料理はKKR宿泊所の中で全国一の豪華版であるから(もちろん宿泊料も)。 しかしこの時期ならではの1日5室限定の特別サービス (1泊2食付10,500円)を予約利用することができ時は内心ほっとし頬も緩む。
由比ガ浜を見下ろせる明るい3階の部屋に旅装を解き、 一息入れてから大浴場に向った。 熱海の源泉を使用しているという浴場に客は誰もいない。 真昼の浴場を独り占めし、のんびり四肢を延ばし 湯に浸かるのは最高の至福である。 一日の疲れがみるみる消えていく。 湯上り後ゆっくりとビールでのどを潤し、 観光案内書を見たり翌日の予定を話しながら夕景撮りまでの時間をつぶす。
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一階の食堂はほぼ満席、よそのKKRには見られぬ盛況であった。 夕食には当所ご自慢の季節の素材を生かした懐石料理が 吟味した皿に綺麗に盛られつけられ 次々と九品が運ばれて来た。 妻は味を讃え、この値段でこれだけ素晴らしい料理と大満足。
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この日を選んだのは一週間前の天気予報を信用してのことであった。 ところが2,3日前から「曇りのち雨」の予報に変わってきたが、 「午前中ぐらいは曇り」に願いを託し実行に踏み切った。 しかし 前夜の予報は「朝から雨、1日中荒れ模様」に変わってきた。 朝食をとっているうちに雨はついに降り出した。 せめて午前中ぐらいはと思い用意してきた傘をさし 由比ガ浜駅まで歩き鎌倉に出た。
鎌倉五山に挙げられている駅から10分の寿福寺と、
鎌倉唯一の尼寺 英勝寺を歩いて訪れることにした。
日帰り旅行で川口から来たという中学生のグループも寿福寺に向っていた。
折角山門にたどり着くと無残な「見学お断り」の掲示が冷雨に濡れていた。
「なあーんだ。これは」の嘆声、中学生の姿が一層哀れであった。
格子戸越に眺める白梅も何か冷たく咲いていた。
続いて小雨の中、2,3分先の英勝寺へ駒を進めた。 再建への協力金として大人300円、中学生100円の張り紙があるだけで 入り口には誰もいない。小箱に協力金を入れ狭い通路を抜け境内に入った。 「歴史ある建築物に映える白梅はきわめて美しく、心休まる・・・」 と観光マップには歌われているが 多くの建物はプレハブの中に格納されていて現実との大きなギャップに失望。
確かに梅は十二、三本植えられていたが雨の中での撮影、 種々制限もあり魅力的な梅を撮ることは無理であった。 中学生には協力金を見て引き返すグループ、入園したが数分で帰っていくグループ。 雨の古寺には若い中学生を惹きつけるものはなさそうだ。
不満ながらも一応予定の日程を消化し11時前に英勝寺を後にした。 心配されたほどの強い雨、風はなかったが、雨水は革靴の中まで沁み込んでいた。 途中お土産店などに寄り道しながら駅に着くと、 程なくやって来た11時26分発の電車に乗り家路につくことが出来た。 昼食は上野駅構内の食堂街でとる。
待ち時間もほとんどなく順調に最後の交通機関常磐線、 12時52分発に乗り込み腰を下ろすと、 安堵感と疲労感が気持ちよく全身に広がった。 窓の外には傘無しでも済みそうな春雨が降っていた。 「荒れ模様にご注意」の予報が裏目に出たことに少しばかりの恨めしさもあったが、 傘をささず荒川沖駅から駐車場まで歩け、 2時半前と早い時間に帰宅できたことはやはり嬉しい限りであった。
まとめ:
梅を求めての鎌倉への撮影旅行はあまり勧めたものでない。
青い鳥はやっぱり近くにいるようだ。
梅の木も樹齢の頂点に達すると下り坂は必至、それに天候が絡んでくる。
という訳で今回は目的を外れた写真になってしまった。
「梅の花鎌倉よりも俺の庭」。
私たちの旅行は撮影を主にしているだけに日時の選定に気を遣う。 予報的中率が近年飛躍的に向上したと 自画自賛する気象庁に全幅の信頼を置くのは禁物だ。 霞ヶ浦の朝景撮りで予報と実態の乖離をいやというほど思い知らされている。 とは言っても多くの場合天気予報に基づき 宿を予約しなければならない現状では旅行はある種の賭けにならざるを得ない。 (2007-02-26)