《各国料理事情》 (稲植俊雄) -2007. 3. 3-
カンガルー
「カンガルーを食ったことある?」先日の我が家の近くのゴルフの昼食時の話題である。 質問者はゴルフ仲間の一人で悪食が好きな62歳のシングルハンデイキャップ氏。 この友人が猪、熊、鹿、狸、鰐、マムシ、青大将、などの味覚について一通り披露した後、 突然カンガルーの質問があった。4人の中で手を上げたのは一人だけ。
35年ほど前出張で訪れたシドニーで得意先のオーストラリア人三人とレストランでの昼食の際、 メニューを見るとカンガルー料理があった。 隣のオージーに、カンガルーの味はどうだろうね、 と訊くと、旨い、食べてみれば分る、と言われた。 勧めに従ってカンガルーを注文した。しかし他の三人は別な料理を頼んだ。 皿の上に載った肉は、見た目は牛肉に似ていたが食べると少し硬めで味はかなり希薄である。
食べ終わった後三人がニヤニヤしながら、どうだった?と訊ねたので正直に、 あまり旨いものではない、と答えたら、 三人とも口を揃えて、旨いと言う人もいるが我々は食べたことがない、と言った。 それを最初に何故言わないと文句を言ったら、 好みの問題だからあんたが嫌いかどうか分らない、と言われた。 その通り、しかし美味と一般的に評価されていたら食べたことがない筈がない。 オージーも人が悪い。
トカゲ
ナイジェリア の首都ラゴスから
北に向かって2時間ほどのフライトで
Kano
と言う街に着く。
ビアフラ戦争が終わった直後仕事でこの街を訪れた。
到着した翌日、昼食はホテルのレストランの庭で摂ることにした。
メニューを見ても料理が良く分らずウエイターに何か肉料理をだすように頼んだ。
白っぽい肉料理が載った皿が運ばれて来た。
食べると鶏肉のような味がした。
ウエイターに何の肉か訊ねると、Lizardだと教えてくれたが リザードがよく分らなかった。
その時突然頭上の木の枝から30センチほどのトカゲがテーブルの上にドシンと落ちてきた。
ウエイターはトカゲを指差して、これ、これと言った。
木を見上げると 何匹ものトカゲが枝にびっしりと張り付いている。
料理の材料を聞かないほうが良い場合もある。
半分ほど残っていた料理はそのままとなった。
この料理の材料費は只であるが私は千円程支払った。
鮪の刺身とグヤーシュ
ハンガリーの会社を買収してから暫くして
その会社の経営について現地の幹部社員と何度目かの打合せのためブタペストを訪問した。
今回は現地の日本大使館にも挨拶をすべく連絡を取ると、
大使が大使公邸で昼食に招待してくれた。
料理は日本酒と、茶碗蒸し、鮪の刺身、豚の角煮、
野菜炊き合せなどの日本料理とハンガリー名物トカイワインとグヤーシュの日本、
ハンガリー混合料理が出た。昼食ではあるが殆どフルコース料理をいただいた。
ブタペストは海からかなり離れているが、鮪は新鮮で大変美味しかった。
ハンガリーの刺身も悪くない。
ブタペストにも何軒かの日本料理店があるが、公邸での日本料理が一番堪能できた。
グヤーシュはレストランでも食べたことがあるが、ここのグヤーシュは大変美味しい。
グヤーシュは放牧や農作業をしていた大ハンガリー圏の人々が、
わざわざ時間をかけて自宅で昼食をとる手間を省くため、
外で釜を作り大鍋で昼食用に作られた野菜や穀物が中心の釜煮グヤーシュが起源で
現在でもハンガリー農村部だけではなく
都会でもこの伝統的なスタイルのグヤーシュを食べている。
ハンガリー料理の代表的な料理であるが
一般的にハンガリー家庭では主菜として食べられることはない、
日本の味噌汁のような存在である。最近は日本でも人気があるらしい。
(了)