「彼と彼女」→「彼と彼の恋人」
  (中島 節) -2008. 7. 1-


 今年もあっという間に半分が過ぎました。 中国関係ではギョーザ、チベットそれに四川大地震、わが国では異常気象、年金、無差別殺傷、 岩手・宮城内陸大地震、ガソリン・食料品の高騰などなど問題の多い半年でした。 今回は英語の初歩 he と sheの訳語と意味変化などを話題に取り上げてみました。 興味のある方は続けて読んでください。

「彼」はhe、「彼女」はsheの日本語訳としてなんの問題もありません。 しかし漢字の本家中国ではどうでしょうか。 「彼」は遠いものを意味する指示代名詞で「あれ」といった意味です。 また「彼女」という文字は日本人が考案したもので中国語には存在しません。 では he, sheは中国語でなんと訳されているか。he は「他」、she は「?」と表記され、 どちらも「ター」の発音になります。

 次は日本でいつ頃からheの訳語として「彼」が使用されるようになったか?
『日本国語大辞典』小学館によると、明治期までは「彼」は男にも女にも用いられていたが、 幕末から明治初期にかけてsheの訳語として「彼女」が出てきますが 「かのおんな」と発音されていました。

 「かのじょ」が一般化したのは大正以降、 そして「恋人」を意味するようになったのは昭和になってからです。 また「恋人」の意味で「彼女」が活字になって最初に使われたのは 大仏次郎「帰郷」昭和24年と言われています。

 ヘボン式ローマ字の考案者として有名なJ.Cヘボン氏が編纂した 『和英・英和語林集成』明治19を開くと次のように載っています。 HeにはAre、kare、 ano hito、ano okata、kono hito、kano okata、 sheにはAno onna、areの訳語が与えられていますが、「かのじょ」はまだ載っていません。

 ご参考までに日本人が造った漢字「国字」を挙げておきます。 榊、榎、椿、樫、樺、笹、峠、辻、畑、凪、鱈、鯖、蛸、鰊、鰯、働、躾、掟など。

 また 次のように同じ漢字でも日本と中国で意味が違うことがありますから要注意です。 先生((尊敬をこめて)、、、さん、、、、氏。中国語では先生を老師と表記します)、 手紙(ちり紙)、勉強(サービス)、湯(スープ)、飯店(ホテル)、鮎(ナマズ)、 新聞(ニュース、初耳)、私(自分の利益、ひそかに)、放心(安心する)など。   (2008-7-1)