蕗の薹
  (沼田 吉治) -2009.2.20-


早春の山菜はなんと言っても蕗の薹、まだ木々の芽吹きもみえない山野で黄緑の芽を地中から 顔を出させている様子は、春の生命をいっぱいに感じさせてくれます。今まではあまり気にし ていなかった山菜ですが、年毎の山菜ブームで珍重がる人も増え、ここ2,3年近所の土手では 影を潜めてしまったので、少し足を延ばして奥久慈辺りまで採りに出かけます。

先日15日の日曜日、暖かい陽気に誘われて少し早いとは思って出かけましたが、温暖化のせい でしょうか山里の梅も満開、いつもの場所にぞっくりと蕗の薹が顔を出していました。 このキク科フキ属の多年草は地下茎から早春に花茎だけが顔を出し、その蕾を護るように苞が しっかりと抱え込んでいる様子は何ともほほえましいものです。陽のあたる斜面に顔を出した 蕗の薹一家を携帯電話のカメラで撮りました。この日はいっぱい採れましたのでお裾分けした 方々のお腹の中に美味しく納まった筈です。

食べ方はやはり天ぷらがいちばん、揚げたてを塩で食します。あくの強い山菜類はそう何度も 食べるものではないと思っていますが、以前教わった簡単な酒のつまみ、細かく切った蕗の薹を 味噌と練り合わせ、要らない皿か小鉢に塗って火であぶって焼き味噌にし、箸で梳くって食べます 。春の香りとさわやかな苦味が酒に殊のほか良く合います。昔から「春の皿には苦味を盛れ」とか 言われ、冬から春への活力を呼び覚ます味覚の刺激にこの苦味が役立ったようです。

なお、この野生の蕗の茎と葉は5月頃に採取して伽羅蕗にします。私は料理やらない人間ですが、 これだけはここ数年自分で作ります。その塩辛さには賛否がありますが、私としては今まで 食べたものではいちばん美味いと自負しております。

駄句一句  「其処だけが光り輝き蕗の薹」  お粗末でした!(了)