初めてお目にかける文字、いや正確には私設の図書室です。 この文庫は日立一高15回(昭和38年)卒のM君が高校教師定年退職後、 常陸大宮市の旧舟生分校2階を借りて昨年開設したものです。 40年間で増えてしまった自宅の本、レコードやCDを収め、 奥さんと協力し毎週3回(土、日、月)水戸市平須町の自宅から通い、 過疎地活性化のために 無報酬で活躍している方です。
昨年7月に開設の通知を受けてから、一度は訪ねてみたいと気になっていた。 それに通知文の 「営利目的ではありません。食べ物・飲み物は自由に持ち込んでください。学校の水は飲めません」 等の書き込みから、過疎地の分校に何か惹かれるものを感じた。 そして一年後、8月1日(土)、 午前11時より当文庫の屋外で 水戸工業高校ジャズバンド演奏会を開催しますとの案内状が届いた。 この工業高校は彼が大学卒後最初に赴任したと記憶している。
難なく30数分前、目的地に到着したが、校舎は想像と全く違う鉄筋の3階ビルであった。 真新しい白線に沿って校舎を一周し、白線で区切られた校庭の駐車場に車を停める。 そこに居合わせた 駐車係の初老の男性に言葉をかけ、ごく簡単に自己紹介した。 村人数名がこの行事に協力していること、 草ぼうぼうだった校庭は昨年農機具を入れ綺麗にしたこと、 文庫ができたので 水道を復活してくれたこと、 現在は閉鎖されているが 昔はこの石段を登って登校したことなどいろいろ話をしてくれた。
庭に出ていたM君に挨拶すると、大変喜んでくれ、先ずは 2階の図書室へ案内してくれた。 最初の部屋は事務室、そのお隣の二教室が図書室。 驚いたことに 部屋は溢れんばかりの本、大きなステレオ、CD,DVD,テープなどで埋まっていた。 これだけの蔵書を工業系のM君だけで買い集めたとは思えなかったので、 「奥さんは国語の先生?、それとも読書家?」 と聞いてみたが 普通の主婦との答えには二度びっくり。
彼の説明によると、彼が以前勤務していた高萩工業高校が 昨年3月廃校になった折、 学校図書館から書棚や 辞書・本を無料で差し上げる との願ってもない申し出があったとのこと。 この演奏会を機に 2階に上がり図書室を感心しながら参観している客もほかに数人いた。
定刻10分前に校庭に出る。 曇・雨の天気予報をあざ笑うように 容赦なく 夏の暑い日差しが降り注いでいた。 学生たちは 校庭南側の桜の下で準備に余念がない。 グラウンドには大きな青シートが敷かれ 座布団が数枚、その後ろには 椅子が4,50脚。 ほとんどの客は この一等席を避け 背後の桜の下にシートを敷き演奏に聞き入っていた。
私は時々 青シートの最前列に陣取り、 カメラで汗を流し 硬い表情で 真剣に演奏する男女高校生の姿を追った。 以前クラブ顧問をしていた女教師も応援に駆けつけ 2,3曲ご披露してくれる心強い場面もあった。 アンコールにも応え 12時少し過ぎ、若人の演奏会も大きな拍手を頂いて目出度く 終了。
全く知人のいない 山村の廃校を借り 図書室を開設して1年ちょっと。 この未経験のボランティア活動には奥さんの理解、協力は不可欠だが、 ここまで順調に来られたのも 彼の熱意、そして地元住民の協力が上手くマッチしたからであろう。 水戸工業高校生のジャズ演奏会は今度が二度目と聞く。 帰りは近くの不動滝に寄り、一人静かに滝音、涼風を満喫しながらひと休みした。 M君夫妻の今後ますますのご活躍を祈る。
インターネットで 「 梁山泊倶楽部‘09「舟生ジャズフェスティバル」」 を見ると写真入りで紹介されているのを最近知りました。 (2009-9-1)
![]() | ![]() | |
![]() | ![]() | |