当用漢字から常用漢字へ  (中島 節) -2010. 7. 1-


 6月6日、常用漢字見直し案が文部科学省に提示されました。 書く漢字から打つ漢字に変化しつつある現在でも、 新たに196字追加という この案への意見百出は当然なことでしょう。 例えば 乱、 語、 障、 憂 など 赤く記した文字が新たに復活しようとしていますが、 皆さんどう思いますか。この他、人名用漢字に985語が認められています。

 この問題にこれ以上深入りはしませんが、「常用漢字」の前身は「当用漢字」でした。 この辺の歴史を5月に読んだ『日本語が亡びるとき』水村美苗で たまたま知ることが出来ましたのでお知らせします。 敗戦の翌年1946年、GHQの要請で漢字の全面的廃止が政府決定されましたが、 さすがの政府も この唐突な廃止案の実施をためらい 暫定処置をとることになった。

 さしあたり当面使用する漢字に1850文字を選び、 これを 当用漢字 と定め これ以上の漢字使用を制限したのです。 同書では これ以降のことに触れていませんが、米国側の占領政策も順調に進み、 漢字問題を静観することになったのでしょう。 そうこうするうちに「日本語をより美しいもの、ゆとりを持たせるべき」 との国内世論が高まり35年後の1981年に、 95文字を追加した1945文字を「常用漢字」と呼称を変更し今日に至っています。

 6月26日の朝日新聞には「常用漢字を増やすな 日本語が滅びる」 という見出しで前日本語学会会長 野村雅昭さんの卓見が掲載されています。 漢字問題に関心ある方へ 一読をお勧めします。

 順序は前後しますが、明治以降の漢字問題に少し触れておきます。 初代の文部大臣 森有礼は大臣就任前に難しい日本語を廃止し 英語を国語にするよう提唱したことで有名ですが、 この考えは 恩師のアメリカ人 W.D.ホイットニー教授に反対されたようです。

 漢字教育の困難を避けるため 漢字を排除し ローマ字採用を提唱した日本人学者は 沢山いましたが結局成功しませんでした。 8世紀頃から古事記、万葉集、源氏物語などを築き上げてきた漢字を そう簡単に捨て去る訳にはいきません。

 最後にちょっと脱線し、今を盛りに 梅雨空に「東京特許局」と 日夜鳴いているホトトギスに移ります。 この渡り鳥を表記する漢字には杜鵑、時鳥、不如帰の他に 子規、霍鳥、杜宇、沓手鳥など驚くほど沢山あります。 たとえ、短歌、俳句などの世界でも 難しい動植物名は避けて欲しいものです。

 ところで ホトトギスを見たことがないとおっしゃる方も結構いるようですね。 ヒヨドリくらいの鳥で 梢に停まっていることはまれで、 結構高い所をスーイスーイと早い速度で 甲高い声を響かせ飛びます。 これは雄で雌は鳴きません。 毛虫類を捕食して生きているそうだが、毛虫も寝ている(?)真夜中になぜ飛び回っているのか、 私は不思議でなりません。 また夜行性のホトトギスでも抱卵、育雛をお願いするウグイスの巣など 見つけられるはずはないと思いますが。 もしお分かりの方がおりましたら教えて下さい。

 ご一読有難う。目の保養に庭先で最近撮った二つ花をお見せします。(2010- 7- 1)


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