稲植宅を訪問  (中島 節) -2010. 8. 1-


 7月22日、私たち夫妻は猛暑の常磐道を北上し稲植宅を訪ねた。 だが 自分の不注意で広野ICを下りてから すっかり道に迷ってしまう。 メールで送られてきた道順の説明書は読んだが、肝心の添付されていた地図を見落としていたからです。 結局、楢葉町役場で待ち合わせ、稲植ご夫妻の迎えを受けることになる。

 12時に昼食を予約してくれていた「楓の庄」から、 俊雄君へ「今日のソバは完売、ご希望なら今から打ちますが1時半まで待って頂けますか」との電話が入る。 「ハイ、分かりました。今度はソバが出来上がった頃に行きますので宜しく」と返事し、途中から車を自宅に向け走ることになった。

 なるほど 説明書通りに進むと、緑の多い長閑な田舎風景、その奥に彼の家、広々とした庭園があった。 私たちの訪問目的は花の撮影にあったから、彼は直ぐ炎暑をいとわず花、木々の間を縫うようにして 広い庭を案内してくれた。

 それから ゆったりしたベランダで奥様の用意してくれた冷たい飲み物で喉の渇きを癒しながら、 四方山話をしているうちに、約束の時間が近づいてきたので、再度「楓の庄」への車に乗り込む。

 自宅から数分、畑の中に造りの変わったレストランらしい一軒家があった。 車も人の通りもないこんな田舎のソバ屋の人気の秘訣は、店主の腕はもちろんだが 打ち立ての新鮮なソバを提供すことらしい。 各食事時には一定量のソバしか準備せず、それが売れ切れるとそれで商い終了。 この日は 上客の俊雄君のため特別サービスをしてくれたようだ。 当店自慢のソバの舌触り、香り、汁それに天麩羅の味がこんな村はずれにまで多くの客を呼び寄せているのだと納得。

 遅い昼食後は楢葉町の観光スポットへ案内してくれた。 最初に天神岬スポーツ公園。太平洋に面した岬には心地良い涼風が吹き付け、まるで高原の別荘地へ来たようだった。

 猛暑知らずのこの別天地には隣町からやって来て木陰で将棋を打っている老夫妻もいた。 近くには山百合が咲き始め、良い香りが漂い、素朴な避暑地気分が満喫できる展望台からは静かな海原、 濃緑の田園、広野火力発電所、鮭の遡上で有名な木戸川などが見下ろせた。

 そこから数分で、全寮制の女子サッカー学校があったり、 11面を密集させたサッカー練習場(合宿所あり)などで有名なヴィレッジへ案内して貰う。 どこもここも初めての観光地だけにただ感心するばかり。

 ここから 役場に戻り、長時間駐車しておいた自家用車に乗り換え、俊雄君夫妻の乗るクラウンの後を追い再度自宅に戻る。 写真撮りに来たのだからと遠慮したが、中へどうぞとリビングルームへ通される。

 玄関に入ると先ず箱に収めた何十個という貝の標本が目を惹く。 家は洋風造り、ゆったりとしたリビングルームのあちこちには海外の勤務先で入手した数々の珍しい置物、調度品に目を奪われる。

 奥様手造りのヨーグルトにアイスクリーム、ジャムを添えたパフェは実に美味しい絶品であった。 もっと雑談したいところであったが、時間の関係上、外に出て少し写真を撮ることにした。 今度は三脚を出し、先ず4人で記念撮影、それから色々な花などを撮影する。

 敷地1200坪の庭園の一角にはメダカを養殖している甕2個、農業用水を引き入れている池、 芝生を綺麗に刈り込んだゴルフのパット練習場、四阿、未完成の仕事場、奥さんの園芸準備棟などが 所狭しと並んでいる。

 そして 種々雑多な珍しい和洋の花々、木々の大半根本には名札が付けられている。 ラテン語の学名などを書き込んだ札は俊雄君が辞典を参照しながら作成しているとのこと。

 池にはミズスマシ、イワナ、ドジョウ、フナなどの魚の他に巻き貝のカワニナも数個生息し、 今年は夜になると 蛍が2,3匹 幻想的な舞いを見せてくれるとか。 何とも優雅な別世界に住む幸せ一杯のご夫妻である。

 その夜は隣町の玉山温泉へ宿泊を予約していたので、3時半に辞去する心つもりでいた。 しかし 私たちの到着30分余の遅れで庭園、花を充分撮ることができず、少し心残りもあったが、 次回を楽しみに1時間遅れ、俊雄君夫妻の笑顔に見送られ楢葉を去る。

 そして 温泉宿には全く迷うことなく約20分後に到着。 女将の「今晩は貴方たち二人に全館貸し切りです。どうぞごゆっくり」との言葉にはただ驚くばかりであった。 一日が 歓待続き、お陰様で思い出深い旅になりました。 (2010- 8- 1)


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