「厄介な漢字」補充  (中島 節) -2011. 7. 1-


 例年にない寒い冬、低迷する政治経済、そして東日本大震災に揺れているうちに今年も矢のように半年が過ぎてしまいました。 庭先には 色々な花々が咲き乱れていますが、何かパットしない重苦しい一年の前半でした。 皆さんはどのように過ごされましたか?

 さて今回も 又堅苦しい話題になり失礼します。 これは 前回お見せした原稿(講義)の補充で、同人誌「川柳 芽柳」6月号に投稿掲載されたものです。 その前に 又一つ新しい語源を追加します。 というのは3日前の28日 天川社会学級でヤマダフーヅの納豆工場を見学してきました。 その時 納豆の語源を尋ねましたが 納得できる解答が得られませんでしたので、自分で調べた結果をお知らせします。

 語源には2,3の説がありますが、次が一番有力視させています。 肉食を禁じられていた僧侶たちが 納所(なっしょ、 台所のこと)で大豆を原料にし納豆を作り重要な栄養源にした。 つまり納所で作った大豆の食べ物という意味です。 それに納豆という中国語はありませんから、次の語源で述べる相撲と同じく国字だと思います。 そして この納豆から寺納豆の名前が生まれ、 この美味しい食品を坊さんが檀家へのお礼として年玉、あるいは歳暮に贈る時代があったと言われています。 では本論に移ります。

 5月30日の話題「厄介な漢字」の語源と国字等に少し補充をしておきます。

 最初に、「誤読に注意」に挙げた「富士五湖」は取り消します。 ちょっと疑問になりNHK放送文化研究所に問い合わせましたところ、 熟語化した数字の「五」(十五夜、七五調)は鼻音化するが 富士五湖の場合は鼻濁音にしていないという返事を頂きました。 でも上記の原則に基づいて富士五湖も発音された可能性はありますと。

5.語源

 下戸: 大宝律令では家の大小貧富を大戸、上戸、中戸、下戸の四つに区分し課税しました。 下戸は最下位の貧しい家、婚礼時の酒瓶は2本に限定され、たっぷり飲むことは許されませんでした。 最初は貧乏で酒を飲めない家、人を意味しましたが、いつしか体質的に酒の飲めない人を意味するようになりました。
 旦那: 梵語「ダナナ」(布施をする人)を漢字化した単語で、財布を布施してくれる信者の意味で使われた仏教用語。 そこから一家を取り仕切る主人、妾の主人と意味が堕落してきました。金持ちでないと旦那になる資格はありません。
 鳥居: 「鳥が居る」が原義です。ニワトリ、キジは魔除けの鳥と見なされていました。
 銀杏: 実の形がアンズに似て、核の色が白(銀色)いから。ギンナンは銀杏の唐音読みです。
 相撲: 「争う」を意味した「すもう」に、「相」と「撲」を組み合わせ造った国字。 「相」は「お互いに」、「撲」は「殴る、打ち合う」の意味を持つ漢字です。 古く相撲には「打つ、蹴る」の技もあったと言われている。 なお 角力は中国語で「力を比べる」を意味する語で、それを借用したもの。角は「比べる」を意味します。

6.国字先人の国字を生み出す造語力。

 榊: 「さかき」は昔より神事に使用される木でした。そこで日本人は榊という漢字を考案しました。
 樫: 「かし」は材質の堅い木なので樫。
 峠: 山道を登り詰めて、道が上り下りになる所。
 凪: 風が止み、波が穏やかになる現象。
 働: 「はたらく」とは人間が動くこと。
 膣: 「体」を意味する肉月に、「ほらあな、むろ」を意味する室を合体させた。

X. 注意すべき日中語の意味差

 前回は ほとんど触れる余裕はありませんでしたが、身近な単語で意味が全く違う単語がありますから注意して下さい。 括弧内に中国語の意味を示す。

  老いてなお 漢字に悩む 日々あまた
  歌壇では 読めない漢字 得意顔

(2011- 7- 1)


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