原発の真実  (稲植 俊雄) -2011.10. 6-


最近、日本のみならず世界各地で異常気象が頻発しております。 何度も同じ事態が続けば それは異常ではなくなり いつも起る通常現象となります。 この頃の気象や自然災害は、長年その土地に住んでいた人達が 「こんな事は今まで一度もなかった。こんな大雨は降った事がなかった。生まれて初めて経験した。」と云うような話が多く、 このようなことが至る所で起っており、これからも初めての経験が続くものと思います。

かなり前に読んだ「The day after tomorrow」(著者 ホイットリー・ストリーバー)と云う小説では、 地球温暖化のあと、北半球が今まで経験した事が無いハリケーン、津波、豪雨、洪水、豪雪などが続き、 更には氷河期の様な状態となり生物が死に絶えると云うようなストーリーでしたが、 今は正にこの小説の様な状況になって来たように思います。

異常気象の原因とされている地球温暖化は二酸化炭素の排出の増加がその元凶と云われています。 原発推進論者はこの二酸化炭素の排出のない原子力発電が地球温暖化を防ぐ有力な手段の一つと主張しています。 しかし、原発が二酸化炭素を排出しないと云うのは事実ではありません。 ウランの採掘から核廃棄物の処理まで原発はそれぞれの過程で大量の二酸化炭素を放出しています。

一方、地球温暖化の原因は果たして二酸化炭素の排出なのか? 二酸化炭素犯人説に異論を持っている人たちがおります。 その一人、福井県議会議員 「斎藤新緑」 さんは 自分の「議会報告」の中で以下の様に述べております。

『現在進行中の地球温暖化の80%強は 地球の自然現象によるもので、 「小氷河期」と云う比較的寒冷だった期間(1,400〜1,800年)から地球が回復中であり、 人類活動によるものは20%以下で、更に二酸化炭素による影響はその極く一部にすぎない』

原子力発電事業に自己の利害が絡む「原子力村の住人」は我田引水の論理を繰り返しています。 これらの人間は原発の必要性を力説しているが、これらの論理は矛盾に満ちたもので、 原子力発電は未だ人間が制御できない発電方式であり、如何に人類にとって受け入れられないものであるかは明白です。 半減期が45億年もあるウラン238などを含む核廃棄物の最終処理方法も確立されておらず、 いずれ寿命が来る原発の完全な且つ安全な廃炉システムも 未だ完成されていない原子力発電方式など正常な人間がやることではないことは明らかです。

人間が制御出来ない原子力を使って行う発電なら どんな自然災害にも航空機の衝突にも 水素爆発にも耐えられる強固な安全な環境・状態で操業されるべきです。 原子炉、原子炉建屋やシステムも これを満たす事が出来る構造で建設するなら、 膨大な建設費用となり、原発の発電コストが安くなる筈はありません。 安くなければ経済性の原理から造られる事はありません。

立命館大学の大島堅一教授は、電力各社の有価証券報告書を検証し、 過去40年間のデータから他の既存の発電方式と比較して原子力発電が一番コストが高い事を指摘しております。 このように現在の脆弱な原子炉や原発建屋の構造でもコストが一番高い事が判明しております。 如何に政府、電力業界とその関連機関が事実を隠蔽し操業を続けて来たか、 又これを許している政府や多くの有識者がいることは甚だ残念なことです。

今回の様な自然災害に いとも簡単に破壊されるブリキの様な構造で建てられている発電所を操業することは紛れもない犯罪行為です。 更に、強固な構造物で造られた原子力発電所が操業されたとしても、 人間のオペレーションのミスから今日の事態と同じ未曾有の災害を引き起こす事も避けられません。 要するに原発はやってはならないことです。

更に 東電が起こした犯罪に対し 未だに検察などが捜査を始めていないことが不思議でなりません。 交通事故で人身事故を起こし 僅かでも相手に怪我を与え懲役刑になることと比べれば 今回の原発事故は紛れもない悪質で重大な犯罪です。 原発関係者を牢獄に入れる事が本意ではありませんが、何らかの形で罪の償いをやって貰うことは必要でしょう。 科学ジャーナリストの塩谷喜雄氏は日本のジャーナリズム批判の中で以下の様に意見を述べています。

『法的責任を負うべき当事者、つまり検察がまっとうに機能すれば当然起訴の対象となるべき組織と人間(東電とその関係者)が、 恣意的に加工して発信する情報を無批判に世の中に広めているだけではないか。 結果として 責任企業と責任官庁による証拠隠滅を黙認していないか。 事故車両を地中に埋めた中国と、本質において何ら変わらない』

福島原発立地周辺の市町村に対し 東京電力は長年に亘り「原子力安全教育」を行って来ました。 原子力講演会と云う名で、「原子力発電は如何に安全か」と云う講演を繰り返し、繰り返し行い住民を洗脳して来ました。 これは原発が如何に危険であるかと云う事の裏返しであり、隠蔽対策であったことが 今となっては良く分かります。 原発周辺の自治体に多額の交付金を支払い、 寄付を行って 原発に対する批判や反対意見を封殺してきたのは原発が危険であると云うことの証明です。

今まで「水力・火力発電は如何に安全か」と云うような講演を聞いた事がありますか。 安全であるなら 殊更安全だと云う必要がありません。 安全なら 電力の送電コストが高い遠方に原発を造らず、消費地である首都圏の付近、東京湾の埋立地に何故造らないのか。 この矛盾を何故今まで強力に主張する影響力のある人々が少なかったのか 実に慨嘆すべきことです。

先に述べた福井県議会議員、斎藤新緑さんが原発に対して様々な意見を述べております。 興味のある方は下記の議会報告記事をご覧下さい。

 斎藤新緑さんの議会報告(原発特集号)

(了)


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