「S字結腸ガン」の後日談
  (宮城 倉次郎) -2011.11. 7-


 「S字結腸」をご存じでしょうか。肛門につながる直腸の一部で「S状部」などともいわれます。 文字通り、S字になっていて、便の水分を吸収する、便をためておくのがもっぱらの役割。 小生(宮城)はここのガンが見つかり、手術をうけました。10月18日入院、11月4日退院。

 切除は約20センチ、この部分が無くなると どうなるか。下痢になりやすい、頻回便になりやすいそうです。 尾籠な話で恐縮ですが、実際、手術後すぐの排便で、たまっていた固い便をなんとか便器に落としたときには貧血をおこし、 額から冷や汗がタラタラ、暫く便器から立ち上がれませんでした。

 もちろん、悪いのは小生。医師はこうしたことを見越して便が軟らかくなる薬を出してくれていたのですが、 下痢して長く便器にうずくまることが嫌だった小生は「便ぐらい出せる」と飲まないでいたのでした。 当然、この直後から「軟便」になる薬を服用しました。しかし、それでも決められた2錠でなく、1錠だけ。 「自分の体調と相談して」と主治医が言ってくれていましたので。 看護士さんたちは、決められたことを そのまま実行しない患者を嫌います。

 便や尿がスムースに出るかどうか、お腹が張ったりしないかが、手術後 暫くの大事なテーマでした。 腸の太さそのままの便が便器に落ちた時には大げさでなく、感激しました。 また、便意が終わるまの時間を相当長く感じました。 3日目から3分粥、その後5分粥、7分粥と進み、左手の点滴もとれました。 ベットで体を少し動かすだけでも痛みが走っていた下腹部も、痛み止めを適当に服用することで自在に乗り切ることを覚えました。 これも主治医が「上手に使っていいですよ」と言ってくれたお陰でした。

 病院では外科部長を始めとする医師たちが毎日回診、入院患者の病状を把握します。 そのほか 当番の看護士から配膳、清掃のおばさんまで、たくさんのスタッフが小生の面倒を見てくれます。 そして、それぞれの診断や感想が、小生にもたらされる最大の情報となります。 注意深く聞き、時には いやみや注文、疑問を交えて「確かな情報」を得ることが肝心です。 同室(4人部屋)の患者さんたちと仲良くして、消灯後のテレビ視聴(もちろんイヤホーンで)なども暗黙の了解を得ておくことも入院生活を円滑にします。

 小生は そうしたスタッフを何度かびっくりさせました。進められるままに、手術の翌朝に集中観察室からひとりで排尿に行ったこと。 「宮城さんが立った」と、正直に驚いた秋田県大館市出身の男性看護士。ためされていたんですね、まったくー。 日に日に元気になる回復力、「日にち薬」とも言います。手術後10日目、主治医が退院日取りを決めました。 手術後12日目での退院でした。これはスタッフたちに言わせると、似たような開腹手術での「記録的な早さ」だそうです。

 しかし、小生はこの裏には手術後もひそかに飲み続けていた漢方薬が効いたためだと信じているのです。 あれほど衰弱していながら 漢方薬を飲むと元気になった母や姉、北茨城市関本に住む漢方医のこの薬はどこがどうであれ元気を回復することが主眼の薬です。 薬の力か、信じることが力を呼び起こすのか、そへんのことは分かりません。 しかし、事実、小生はゆっくりだが すたすた歩けるほど元気になったのです。下腹部の疼きも消え見事な便が出ます。

 他への転移は見られなかった小生のS字結腸ガン。 ところが、「切り取って腸をつなげばおしまい」とはなりませんでした。 小生の退院記録は治癒でも、治癒状態でもありません、その次の「その他」です。 それは、治療が今後も続くことを意味しています。 ガンが腸の外側まで顔を出していたため、ガンが腹膜などに飛び散っている可能性があり、抗ガン剤の服用が必要だからです。 困った副作用も出るでしょう。そして、お酒とも相性が悪いそうです。当面、孤独をいやす居酒屋通いも控えねばなりません。 なかなか死滅しないガン細胞、やはり怖いですね。(2011・11・7 宮城倉次郎)


Topへ戻る