農家の次男である同窓生は1966年に早稲田大学商学部を卒業して 専門商社に勤務しましたが その年の5月にはこの会社を退職して間もなく東京、江古田でラーメン店を開業しました。 板前派遣協会からの板前と退職した際 一緒に会社を止めた同僚と三人での開店でしたが、 最初は店が繁盛する事もなく、その為その内 板前も来なくなり 同僚も出て行ってしまい、店じまいを覚悟しました。
しかし、ここで諦めると、この後 何をやっても成功しないと考え、歯を食いしばって踏み留まりました。 その後、中学を卒業したばかりの男の子を雇い 自分は板前となり、 男の子に出前をさせて二人で店を続け何とか商売を軌道に乗せました。
あまり料理をした経験のない板前の中華料理店では 味を売り物にすることは出来ず、 この弱点をカバーし 如何に固定客を増やすかに腐心をして営業を続けました。
出前の少年には、出前を持って行った時に、必ず玄関の靴 全てを揃えてから出る、 一度出前を取って呉れた人に通りで会った時には 必ず大きな声で挨拶をする、 出前の注文を電話で受けた時には 二回目以降は相手が自分の名前を名乗る前にこちらから相手の名前を言うこと、 などを徹底して教え、次第にお客からの信用を得るようになり 固定客が増えて 店の経営も安定するようになりました。 「この食堂の料理を食べると まず お客様が儲かり、その結果店が儲かる」。この考え方を基本理念として商売を続けました。
もともと 子供の時から将来は事業家になることを望んでいた同窓生は、中華料理店が軌道に乗っても それで満足出来ず、 次の事業を考えていましたが、ファストフードチェーン店に関心を持ち、これらのチェーン店に何度も通って その仕組みを学びました。
その後 このファストフードチェーン店を 大きく発展させる事になりますが、 1968年には この前身となる定食や牛丼を中心とした食堂を開店させました。 持ち前の努力と創意工夫でこの事業を拡大し、店頭市場への上場の後、 二部、一部株式市場への上場を次々と果たし名だたる企業に成長させました。
米国や中国にも ファストフードチェーン店を数多く展開し、従業員1270名、資本金66億円、株価も1600円以上、 国内店舗数833店、海外7店に及ぶ大企業となったのです。1270名の正社員以外に数千人のアルバイトがおります。
2011年3月期の連結決算は、売上高702億円、経常利益47億円、純利益22億円と堂々たる業績を残しました。 発行済み株式の21%を持つ筆頭株主である同窓生は 2年前から代表取締役会長となり、 今後の事業拡大の為 益々精力的に活動を続けております。
講演の後、この企業家は小学校と中学校の同窓生代表から花束贈呈を受け、同窓生と記念写真を撮って会場を後にしました。 様々な苦労を乗り越えて 零から大企業まで成長させ、 子供の頃からの夢を実現した同窓生は大変素晴らしい企業家精神の持ち主で、 我が郷土の誇りであることは言うまでもありません。(了)