一人占めネオン見下ろす山の風呂 (中島 節) -2012. 5. 1-


 4月中旬、半年ぶりに妻と2泊3日の旅に出た。加齢と重いカメラのせいか少し旅行も 億劫になってきたようだ。昨秋は元気を出し自家用車で栃木縣の湯西川温泉へ。今回は 中央本線利用で甲府の奥座敷・積翠寺(セキスイジ)温泉へ行って来た。 土浦や東京は葉桜になりかけていたが、八王子を過ぎると塩山あたりまで、桜は満開で あった。車窓からあちこちに点在する霞のような桜、駅のホームに咲き誇る桜をのんびり 眺めながらの汽車旅も良いものだ。日本人の心の故郷と言われる桜、満開の桜には身も心も 癒やされる。

 時間節約のため車内で昼食を済ませ、甲府駅着(12:07)後は直ぐ市内バスで県立美術館へ。 高齢者入場無料の恩典を受け、ゆっくりミレー展を中心に美術鑑賞。「落ち穂拾い」、「種を まく人」など光と影、写真撮影の観点から見直してきた。これに比べ、日本画、日本の洋画 コーナーに展示されていた作品は少し見劣りがした。

 館外に出ると、予報通り黒い雲が出始め、バス停に着く頃には俄雨がぽつぽつ降り出した。 駅発3時の無料送迎バスで北へ約30分、標高780mに佇む里山の一軒宿・坐忘庵へ。この温泉 は武田信玄が隠し湯として傷病兵の治療所に当てたと云われる。混雑するほどの客は無く、 露天風呂、大浴場はほとんどの場合一人占めで湯を満喫することが出来た。昼はピンク色の 奇麗なミツバツツジを湯船に映し、夜は甲府のネオンを見下ろす浴場で静かに過ごす至福の 一時は金銭には換えがたいものであった。そこで一句:昼ツツジ夜はネオンと風呂浴びる。

   展望台から眺めた早朝の甲府市街、遠くに霞む残雪を頂く南アルプスの山並みも絶景であっ た。2日目は10時発のバスで出発、駅近くの甲府城跡を見学する。城跡は舞鶴城公園にある が、往時の城は後楽園の25倍の敷地を占めていたとのこと。しかし大火や明治時代の廃城措 置、中央線敷設、県庁・学校の移転などで昔の面影は消滅し寂しい限り。現在は見事な石の城 壁が残っているだけで、今見られる稲荷門、稲荷櫓などは最近復元したものである。でも親切 なボランティアに助けられ色々と楽しく勉強することが出来た。

 午後からは市内バスで武田神社へ。私は昨年ブドウの時期に、町内会の旅行で当社を訪れて いたので、次から次と団体客がやって来るなか復習気分で妻のお相手をした。 神社前、3時半近い送迎バスに乗り宿へ引き上げる。

 最終日は10時のバスで駅へ下山し、電車で塩山駅へ。タクシーを利用しマンズワインのワ イナリー(当地には7ヶ所、山梨全県で70数カ所あり)と信玄が埋葬されている恵林寺を見 学した。11時からのガイド付きワイナリー見学者は私たちだけの気楽で充実した内容となっ た。秋特有の仕込み風景が見られないのが残念。その後は自由な試飲、ほろ酔い機嫌で4本ほ どワインを選択、宅急便の手続きをしてから店を後にした。

 同じタクシーを呼び、十数分で恵林寺へ。参道の両側には咲き終わった桜、4,5日前だっ たらどんなにか豪華なことだったろう。池の周りの枝垂れ桜は散り急いでおり、池には花びら の絨毯。入場料を払い、枯山水、鳴き龍廊下、墓などを見学。予想以上の好天に恵まれ予定の 行程を無事に完了し、14:46の特急で帰路につくことが出来た。

 
甲府城の石垣
塩山の桃宿から見下ろす早朝の甲府市街