恩師の墓参り (中島 節) -2012. 8. 1-


 先月3日、初めて鎌倉霊園に眠る恩師櫻井益雄先生の墓参りをした。 学生時代は論文指導、また卒業後も勉強・研究などに 何かとご指導を頂いてきた先生でした。 平成7年8月、享年89歳でご逝去され、キリスト教信者のため葬式はキリスト教葬になった。 それ以来、キリスト教の行事・流儀が分からず、気にしながらも遺族との往来もぱったり切れ、今日まで来てしまった。

 先生が亡くなってから17年、大学卒業後間もなく60年になる今春、二年前の叙勲を含めその後の報告、お礼を急に述べたくなった。 そこで、先生が最後に同居していた お嬢さんの嫁ぎ先N氏宅(我孫子)に連絡し、3月末当家を訪ねる。 有り難いことに 自家用車で駅頭まで送り迎えし、私を歓迎してくれた。 長いご無沙汰を詫び、墓参りしたいことを伝えると、恐縮しながら、墓は鎌倉にありますと教えてくれた。 鎌倉なら年一度ぐらいカメラを持って出掛けていますから、そのうちに と云って別れて来たが、 残念ながら天候、行事、健康など都合ですっかり延びてしまった。

 どんより曇った蒸し暑い日の正午近く、聞きしに勝る巨大な公園墓地・鎌倉霊園に到着。 事務所で 墓の場所、歩いて約20分かかることを教えて貰ってから、昼食をとり墓参りすることにした。 季節のせいか 墓参客は少なく数組。手桶に入った花束を買い求め、地図を片手に緩やかな坂道を登り始める。 数分して右折、三ブロックになっている歩きやすい約百段の一直線階段をゆっくりゆっくり、休憩を取り、よそ見しながら登ることにした。

 間もなく胸像、歌碑の並ぶオペラ歌手 藤原義江の立派な墓が目に飛び込んでくる。 事務所近くには有名人の墓が沢山あるようであった。 階段を登り切ると舗装道路を左折、2,3分歩き また左折し小さな階段を次々と三個所ほど降りると右手に先生の墓が直ぐ見つかった。 眺望のよい静かな墓地に、先生より14年前に天国へ旅立たれた奥さんと一緒に静かに眠っていた。 花を供え、久し振りのお祈りを済ますことができ、心地良い開放感、満足感を味わうことが出来た。

 この長い階段を、どうやら無事制覇できた妻の健脚(?)を讃え、広大で美しい霊園を眺望しながら下山。 ロッカールームに置いたリュックサックを背負い、4,5分先のバス停へ歩き出すとポツポツ降り出してきた。 程なくやって来たバスに乗り込むと、次第に雨粒が大きくなってきた。 結局、午後から予定していた名月院行きを断念し、天満宮前で下車した。 傘をさし、雨の小町通りを ぶらぶらする老若男女の観光客、和服姿の女性などをカメラに収められたらと思いながら駅まで歩いた。 (了)


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